【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
白瀬さんの話で大体の世界の状況が掴めた。
何だよ!男が少ないって......。体験してみてわかるが、そんな世界に幻想を抱いてる諸君。恐怖以外の何物でもない。
「ヤバいなぁ......。」
そうブツブツと言いながら俺は歩いているが、そんな俺を露知らず、目を光らせた存在が今かと待っていた。
その刹那、一匹の狼が俺の眼の前に現れた。
「金剛君っ!私とお茶しない??ねっ!?お茶しようよー!!お姉さんが奢っちゃうぞ☆」
「うわっ......一発KO狼だ。」
俺は思わず武蔵に一撃で大破させられていたのと狼に見えるというのが合わさったあだ名を出してしまった。ちなみに、初めて話しました。
「一発KO狼とは失礼しちゃうわ!武蔵と大和が居ない今、チャンスなのよ......!もう後がないの......。」
うわっ、さっむ!
建物内で普通くらいの温度なのに、周りの気温が急低下した。ちなみに出遅れた艦娘も凍り付いている。
「......因みに、何の後がないんだ?」
俺がそう訊くと、狼はうーんと考えだし、答えを思いついた様だ。
「何の後がないんでしょうね?」
俺は滑った。何故言ったし!
「あー、後がないのがないなら遠慮しておきます。後が無くても遠慮します。」
「ガーン!」
ガーンって口で言う人初めて見たわ。
「グスン......初めて会った男だっていうのに......。」
そう言って狼は袖で目を隠した。
「一発KO狼......泣く事かよ......。あーもう!!分かったから、どこ行くんだ!?」
少し可哀想に思えたので言ってしまった。
「間宮に行きましょ!」
「嘘泣きかよっ!?」
狼はケロッとしてそう言って俺の手を取った。
「それと私は一発KO狼じゃないわよ。妙高型重巡洋艦 三番艦 足柄よ!足柄でも足柄さんでも足柄姉さんでも好きな風に呼んでもらっても構わないわよ?ちなみに私の一番のおすすめはお前だけど......そうしたら何かケッコンしてるみたいで......。」
「そう言うのいいんで......足柄でいいか?」
感情の起伏が激しいらしいおおか......じゃなかった、足柄は勝ち誇った様な表情で廊下を進んでいった。
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間宮に連れて行かれた俺はどうせそんな食べれないだろうと小ぶりのパフェを頼んだ。というのは建前で遠慮である。どうしても奢りだと言われてしまうと遠慮してしまうのだ。
「美味しー♪」
セリフに音符が見えるのは置いておいて、間宮でも例外なく艦娘が居る訳で......。
一言で言うならば、物凄く怖い。視線が刺さる刺さる。足柄の向こう側に見える誰だろう......ピンク色の髪で小さい女の子。目つきが戦艦並みだ。
「美味いな。」
俺はそんな視線を視界に居れないようにパフェに集中する。これまであまりパフェを食べたことは無かったが、何かとてつもなく美味しく思える。何でだろうか。
「そう言えば金剛君。」
足柄はパフェにスプーンを刺して俺に話しかけてきた。
「何時の間に金剛とか連れてきたの?」
そう言われて俺は両脇を見た。
右には比叡、左には榛名。そのさらに奥には霧島と金剛が座っている。
「いつの間に!?」
「あー、気付いてなかったんだ。」
そう言って足柄は再びスプーンを取った。
「私は気付いてたけどねー。というか、もう第一目標は達成されたからね。」
そう言って足柄はパフェのサクランボを口に運んだ。
「第一目標って?」
俺がそう訊くと足柄は答えてくれた。
「金剛君に話しかけて話をすることかしら。それは達成されたわ。大和や武蔵が居ないからね。」
そう言って今後はアイスをすくって口に運んだ。
「ンク......それと、私への変な誤解も解いておきたかったし。」
「変な誤解?......あぁ、一発KO狼ね。」
「それよ。案外素直で私的には嬉しいわ。......これなら第二目標に移れるわ!」
そう言って足柄は残っていたアイスを口に入れると、前にのめりだした。
「それはね......。」
そう言ってくる足柄に危険を感じて俺は咄嗟に比叡の襟を掴んだ。
「ひえぇ!!」
慌てた比叡が俺の前に顔を出し、足柄と額をぶつけた様だ。
「ひえぇぇぇぇ、酷いですお兄様ぁ~。」
「おう、初戦果だな。」
俺はそう言ってぶつけた額を擦っている比叡の頭を撫でた。
「ちょっ!?私も撫でなさいよー!!」
そう騒いでいると何だか楽しかった。
これじゃあ大学に通っていたあの時と変わらない。そんな気がした。
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あの後、余りに騒がしいからといって大和や武蔵、果てまでは提督まで来てよくわからない事になってしまったので逃げてきた。
ちゃんと足柄には礼も言ったし、忙しくなかったらまたとも言っておいた。何でかは俺も分からない。何でだろうな。
廊下を歩いていると、見るからに艦娘ではないし白瀬さんでもないような女性が現れた。
「ちょっと君。」
「?」
俺はいきなり呼び止められて通り過ぎたのを振り返った。
「何故、男が......。」
「何すか?」
「いや、何故男がこんなところに居るのだろうと思ってな。」
「あっ......さ。」
「さ?」
「さよならー!!!」
「あっ、こら!!」
俺は何だかとてつもない予感がしたので走った。何故なら呼び止めた女性の腕には『憲兵』と書かれていたからだ。英語に直せばMilitary Police、更に直訳すると軍警察。警察を見たら逃げろっていうじゃないか。
「待てー!!」
「待てと言われて待つかよー!!」
そう言って廊下を追いかけられるので結局甘味処の時と変わらない状況になった。
「止まれー!!」
「涎と煩悩垂らしながら追いかけて来るなー!」
そう俺が走りながら言うと、後ろで鈍い音が聞こえた。ゴスッみたいな音が聞こえ、後ろから走る音が聞こえなくなったので俺は振り返った。
「ここの憲兵さんも一回憲兵さんに捕まるといいっぽい!」
そう言って憲兵の腹にアッパーの居れた状態の金髪の少女はこっちをみた。
「困ってるみたいだったから加勢したよ!褒めて―!」
そう言って来た少女は伸びている憲兵を踏んでこっちに飛んできた。この少女には不思議とそこの憲兵の様な雰囲気は取れないのであのままだと地面とキスする事になるだろうから受け止めた。
「おー、ありがとうな。それで、名前は?」
「白露型駆逐艦 四番艦 夕立よ!」
そう言って金髪に変な髪の跳ねたところがピコピコと動いているのを見ながら俺は一言。
「犬だな。」
「犬っぽい?」
そう言うと首を傾げたので取りあえず頭を撫でておくことにした。
「助かったよ。」
「んふふー♪」
俺は夕立を撫でつつ伸びている憲兵が持っていた手錠を憲兵に付けて、白瀬さんに報告に行くことにした。
俺はどこに行っても騒ぎを起こす分子になるようだ。この先、思いやられる......。
束の間の番外編ですねー。
この世界、まさかの憲兵役立たずというw
それと何だか前半に夕立っていましたよね?あれは別人です。
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