朝日が昇り始め、鳥たちの囀りが聞こえてくる頃、1人の少年がいた。
恐らく着慣れているであろう胴着を着用し、30cm程のナイフを型のように美しく、それでいてどこか大胆に振っている。
これが俺の日課であり、この世界で生き残るために必死で学んで来た事だ。
死にたくないのなら魔法を学ぶ事に力を入れたほうが良いとも思ったのだが、いかんせん、瞬間記憶で必要な事はすぐさま暗記できてしまうし、もし魔法を無効化する『キャストジャミング』なんて物を使われるとどうしようもなくなってしまう。
その分、短剣ならば隠し持っておけるし基本は魔法で戦うので奇襲にも使えるという事、だから俺は短剣術を学んだ。
勿論、魔法込みの短剣術の方も我流で作った・・・題して魔流短剣術!・・・イタタタタ。
まあ、作りはしたが、結局使わないでいられる事が一番良い事だと思うので過剰行使は止めておこうと思う。
基本、魔法師以外には使わないって決めてるし・・・平和主義なんで。
「響・・・そろそろ朝飯だぞ。」
「ん?ああ、今いくよ父さん。」
この道場で剣を振るうのは今日で暫くお預けだから、つい振りすぎてしまったようだ。
早めの朝食を終え、制服に着替えて昨日用意しておいた荷物を抱え家を出る。
実家から魔法科高校までは大体3時間程かかる。
本当は昨日、高校付近に買った一軒家に行こうと思ったのだが、妹や弟達と遊んでたらいつの間にか眠ってしまい、気がつけば3時位だったのだ。
今の時間は5時半・・・入学式は9時からなので間に合うであろう。
・・・そう思っていた時期が俺にもありました。
『只今、事故の影響により、あと1時間ほど掛かる恐れがあります・・・』
今の時刻は7時、何度か乗り継ぎを行い、後は高校近くの駅に止まる電車に乗るだけの筈だったのだが、どうやら電車が止まっているようで・・・困る。
ここ以外の行き方は知らないし、歩こうにも地図がない・・・
何か他に方法は・・・あるわ。
「正直あんまり使いたくないんだけどな・・・」
しかし、使わなければ遅刻する事はほぼ確定のため、俺は仕方なく男子トイレに入り、人がいないのを確認すると目を閉じる。
「・・・屋上でいいや。」
そう呟くと同時に体に浮遊感が生まれる。
目を開くと、そこは確かに魔法科高校だった、だったのだが・・・
「やっぱり!使いたくねぇぇぇぇ!!」
案の定、魔法科高校の上空に
俺は先ほど千里眼という魔法を使い、魔法科高校を見た。
何故かというと転移魔法の条件として、目に見える範囲というものがあるからだ。
勿論、転移魔法なんて物はないだろうし千里眼もない・・・俺の自作だ。
だって転移とかしてみたかったし・・・まあ、そのおかげで転移事態に欠陥があって見ている場所の近くだけど確実にそこに行けるって訳じゃないんだ・・・十分だけどね。
取り敢えず学校の屋上が目の前に迫ってきているので重力魔法を使い衝撃を無にする。
「ふー・・・着いたけどかなり時間がなぁ・・・」
時計を確認すると先程から5分ほどしか経っておらず、まだ2時間程の余裕がある。
「せっかくだし見て回るか。」
俺は欠伸を噛み殺しながら屋上のドアを開け、中に入っていった。
ーーーーー
「納得いきません!なぜ・・・」
・・・いつの間にか眠ってしまったようだ。
確か適当に見て回って、疲れてベンチで休憩してたら・・・まぁいいか。
「それは仕方ない事・・・」
ん?なんだ?恋人達のケンカか?
「ですがお兄様・・・」
兄妹だったっぽい・・・でもお兄様って、リアルで聞くの初めてかも・・・
俺はどんな人物なのか気になってしまい、声の聞こえる方へ向かった。
・・・この時興味なんて持たなければ、もしかしたらもっとマシな高校生活が送れたのかもしれない・・・