え?じゃあなんでそもそも作品投稿したのかって?
書きたいからだよ!!
そんな訳で、頑張って亀かつ不定期更新ながらも頑張って完結まで持っていけたらと思います。
午前3時まで寝ずに書いた2話、どうぞ←←
「残念だが、君には、今までの生活を捨ててもらう」
その一言で、15歳の少年、隼田太一の日常が戻る希望は消え去った。
あんな異常なことに巻き込まれて、元の生活に戻れる気は微塵もなかったが。
「……あの」
どうして、と理由を聞いたところで先ほどの異常な光景から察してしまえる。
わかった、といっても実際はわからないことだらけだ。
故に彼は、疑問を投げかけることにした。
「何が起こっていたのか、何が起こっているのか、俺にはわからない。だから、」
どうせ両親のいない身だ、生活が変わっても迷惑のかからないような身元だ。
「一から、教えてくれませんか」
声を絞り出し、彼は『知ること』を決断した。
どうせ、自分に日常に戻る選択肢はないのだから。
あの戦いの後に連れられたその場所は、刑務所などでいう尋問室だった。
テーブルと椅子と白板以外に表記できるものがない、強いて云うなら壁に窓がなく、扉に小さな窓があるくらいか。
壁も床も簡素な造りで、白いテーブルに椅子が2つ向かい合う様に置いてあった。
そして片方の椅子の後ろの壁には白板が設置されてあった。
現在、太一はその二つの椅子のうち一つに座っており、見知らぬ男性と向かい合っていた。
尋問される側が誰かなどと聞くまでもない。
彼の前に座っている、黒いスーツを着た男。
顎は綺麗に剃られ、髪は短く切られており、若々しい顔をしていた。
30歳ほどだろうか。
が、表情が無に等しい。
虚ろとも言っていいような雰囲気のせいでその若々しさをかき消すような疲労感を醸し出していた。
その虚ろな瞳は瞬きを殆どせず、ただ太一の目の奥を見つめていた。
心を見透かされている、あるいは見抜こうと観察されているような気分で、太一はどうも落ちつけなかった。
「すまない、説明の前に要約した一言が言いたくてね。君は、我々に関わってしまったが故にもう普通の生活には戻れないというような内容なものだ。先ほどの異形の生物を見たのだから、それくらいは察していたかもしれないが。それでは、説明しよう」
「お願いします……」
「まずは自己紹介だな。私の名前は
「かがく……とくそう…?」
全く持って聞き覚えの無い組織名だったが、大変な事に巻き込まれたということだけは、理解できた。
村松は特に驚かず、平坦な声で返す。
「ああ、我々科学特捜機関についてはまず20年前に起こった一連の事件について話さないといけない」
男は立ち上がり、ポケットから黒マーカーを取り出し背後の白板に文字を書き始める。
「およそ20年前、とある事件をきっかけに我々は地球外生命との交流を始めざるを得なくなった」
キュッキュッとマーカーが白板を擦るような音を立てながら、彼は振り返りもせず話を続ける。
白板に書かれた文字は『宇宙連合』と『地球陣営』。『宇宙連合』は大きな丸で囲まれておりその下に小さな丸に囲まれた『地球陣営』がある。
「宇宙の生物の暮らす星々が連合を組んでおよそ千年経ったらしく、その事件を機に地球をその連合に誘った。このことを知っているのはまだこの星のごく一部だけだがな」
『宇宙連合』と『地球陣営』が点線で結ばれた。
「そして、異星人が地球の存在を知りここを訪れるまでそう時間はかからなかった。勿論、地球でも宇宙連合でも一般市民には正式には発表されてないがあっちは上層部と関係を持つ者は情報を入手することができた」
白板に書かれた『地球陣営』の横に『異星人』と中に書かれた丸を幾つも書き、どの丸からも『地球陣営』に向けて矢印が描かれている。
「しかし、当然ながら宇宙連合に加入したもののまだ発表準備が整っていないのだからここに関しての法など行き渡ってるはずがない。いや、むしろそのことを利用して好き放題に暴れる犯罪者が出始めた。まだ力を持っていない星だということに着目し、連合の力が完全に届く前に乗っ取るつもりの輩もいるという情報もある」
今度は『異星人犯罪者』と中に書かれた丸を描き足している。
「残念ながら相手は科学技術がこちらより遥かに進んでいる上に、異星の生物として発達した種族ごとの能力の高さなどもあって地球の人類などは歯が立たなかった」
そして、彼は一旦マーカーを走らせる手を止めた。
「この場合、対抗する術は幾つかあった。一つは連合加入を早めに正式発表すること。だが、それを突然発表しては世界が混乱に陥る。連合と話し合ってゆっくりと順を追って加入するのが市民にとって最善と結論が出た。
「じゃあ、その犯罪者達のことは……」
そこで村松は胸ポケットからタッチ画面の携帯端末の様なものを取り出した。
「これが、さっき君が装着していたパワードスーツの正体だ」
「パワード……スーツ?強化服?」
「ああ。宇宙連合から託された、異星人に真向から対抗する現在唯一の手段だ」
再びマーカーを白板に走らせる村松。
今度は『宇宙連合』の真下に『技術共有』と書き、そこから矢印が『地球陣営』に向かって伸びている。
「異星人に対抗するために送られたこの設計図を基に、我々はこれを製作したのだ」
取り出した端末を起動し、そこから太一に見える様ホログラムが投影された。
勿論、ホログラムなんて技術はあるにはあると知っていたがここまで完成されたものは太一は今まで見たことがなかった。やはり、軍などの国家機密の関わるような機関の技術はやはり一般用より進んでいる、ということなのだろうか。
いや、そんなことよりも重要なのは投影された内容の方だった。
『ULTRA-CORE』
タイトルの様に目立つ様にそう書かれた文字の下には、設計図の様な図と解読できない文字列が延々と続けて下に表示されていった。
設計図の様な、というよりは、まさしく先程見たあのスーツの詳細を記した図でありまさしく設計図なのだが。
「この端末と融合している情報の塊とも言える結晶こそが『ウルトラ・コア』、強化服の設計図でありそれを動かすために必須なソフトウェアの様な役割も果たすものだ。スーツの名は『ULTRA-ARMOR』、従来の地球の技術では到底たどり着けなかったであろう異星科学の塊だ。だが、幾ら設計図を元に製作したスーツに我々が開発したソフトウェアを使用しても、本来の性能の20%も発揮できなかった。つまり、宇宙連合に支給されたこの『ウルトラ・コア』でしかスーツの性能を最大発揮できない」
「はあ……」
正直、長々と細かい話をされてもそう簡単に頭に入るわけもなく、太一は呆然と聞いて頷くことくらいしかできなかった。
「そこで、だ」
彼はその端末から投影されるホログラムを消し、タッチ画面の方を指で操作し始めた。
「問題は、コアには適合率というものがあって、コアに適合できる脳波長を持つ者でなければコアは作動せず、スーツの性能も100%発揮することができないということだ」
「じゃあ、俺は……」
「ああ、適合者だと判定され、あの時に君の意志が川村からスーツを剥ぎ取って自分に装着させたのだ」
「川村?って、誰?」
それを聞いてそれまで無表情だったのが複雑そうな表情を浮かべる村松。所謂苦笑いなのだが、目が笑っていない。
「最初にスーツを着て君を守って戦った男だよ」
「……ああっ!あの人、大丈夫ですか!?」
「ああいや、彼ならだいじょ――」
ガチャリと、尋問室の扉を開いて入ってきたのは、太一に見覚えのある人物だった。
「多少の怪我はあったが深刻なものはない。見ての通り、俺は元気だ」
太一の疑問に答える様に、村松が素早く説明をした。
「彼が、その川村だよ」
「紹介に預かった、
この状況で太一が混乱するのも無理はないだろう。
村松が説明を終えたのだと勘違いした上での発言だったのだから。
が、特に解釈に支障を起こす訳でもないからか、村松はそれに関しては特に何も言わなかった。
「で、どこまで話したんだ?」
先程の戦いで聴いた、覚悟の籠った声とは違った、どこか明るく軽い口調で話しかけてくる川村は、ギャップのせいか違和感を感じざるを得なかった。
「彼が適合者であるというところまでだ」
「なるほど、『ウルトラマン』については?」
『ウルトラマン』という単語に反応し、村松は若干眉を上げながら言った。
「それは正式名称ではないだろう、『ULTRA-CORE』の適合者、あるいはコアの適合者で良いだろう」
「相変わらず堅いねえ……」
「あのー、ウルトラマンって、何ですか……?」
よくぞ聞いてくれた!とでも言うように笑顔で振り向く川村に、苦虫を噛み潰したかの様な表情を向ける村松。
「このスーツを着込んで戦う戦士の俗称だ。ULTRA-ARMORを装着した
「率直すぎると言ってるだろう……もう少し考えたらどうだ?」
「でも実際機関の人達の間の呼び名でもあるしな、別にいいだろ?」
そして、村松がため息を吐きながら、手に持った端末をテーブルにおいて太一に差し出した。
「君への要件は、そのウルトラマンの役割をこの男から引き継ぐことだ。先ほどの戦いで君がこのコアと適合した後、何故か川村との適合率が変化して装着できなくなってしまったのだ」
その言葉を捕捉する様に、川村は頷きながら唸った。
村松は、表情一つ変えず淡々と続けた。
「原因はわからないが、今はこの地域を担当する適合者……ウルトラマンの代理として、戦ってもらわなくては困るというものだ。残念だが、拒否権は無いに等しい。コアと適合できる人間は限りなく少ない以上、君を逃すわけにはいかない」
「……大体わかりました」
「話が早くて助かる」
「……俺は、こんな学生に戦わせたくはないんだが……すまん……」
表情が殆ど変わらない村松に対し、川村は申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「なので、君には現在行くことになってる高校を諦めてもらい、この科学特捜機関日本支部基地に、一番近い高校に通ってもらう」
「…………へっ?」
奇声を上げる太一に対し、少し不思議そうな表情を浮かべる村松。
「…なんだ?学校には行かなくてもいいのか?一応それらの日常生活は保証するつもりなのだが」
「いや、そうじゃなくて!どうして高校を変える必要があるんですか!?」
せっかく受験で受かった高校を唐突に変えられるというのも普通じゃない話だ。
そもそも普通にはあり得ない話なので今更ではあるが、自分の成果を捻じ曲げられるというのも素直に肯定できない。
「一番この基地に近い方が活動もしやすいからだ。候補となる高校は二つある」
今まで白板に書いてあった文字や記号を全て白板消しで消し、村松は再びマーカーを取り出して書き出した。
そして白板に書かれた名称は彼の言う様に、二つだった。
『UTX学園』
『音ノ木坂学園』
前者は聞き覚えのある名前だったが、後者は全く聞き覚えがない。
「因みに、UTXは女子校なので女装させてこちらで入学許可を無理やり取るということしかできない。まあ、君の容姿と我々の変装技術ならば特に問題はないだろうが、いちいち面倒だろう。後者は元女子校で最近共学化したばかりの高校だ。どちらがいい?」
「音ノ木坂でお願いします!!!」
こうして、地球外知的生命と繋がった地球の現在の状況についての壮大な話は、太一の悲痛の決断で幕を閉じた。
彼に女装癖は、無い。