幻想郷で傘屋始めました。 作: 空乃
最近、椛をペットにしたいと思った。
「う……」
朝か……そうだ、犬(椛)の餌と自分の餌を作らなきゃ。はぁ……、食費は大丈夫になったけど貯金はあまり作れないなぁ……。
もしもの時……、どうしたら良いのか……
……
…………?
………………!
そうだ、いざとなったら椛を売ろう。
なんて考えている暇があったら、いい加減この布団から出なきゃ……。フカフカでもふもふで少し暖かい……、ナニコレ?抱き枕?それとも……
布団の中身をオープン。
「スヤァ……ご主人~……」
「……死ね」
俺の布団で寝ていた馬鹿に日傘を叩きつける。
「イヤァァァァァァァァァァァァッ!!!!????」
重さ60kgの日傘は容易に椛の頭蓋骨を粉砕し、大量の出血を果たした。よくやった、戻れ日傘!
「起きろ、サ ン ポ の時間だ馬鹿犬」
「あ、ハ……ハイ」
これが僕の新しいペット、犬走 椛……白狼天狗の妖怪だ。
ガラッと店の戸が開かられる、反射的に僕は「いらっしゃいませ~」と言い、戸の方へ目を向ける。そこには常連でありお得意様の幽香さんがいた。
「ごきげんよう」
「また壊したんですか?」
壊したと言うのは日傘の事で幽香さんの弾幕ごっことかでは、日傘を用いて弾幕ごっこする特徴があり、毎回僕が日傘の修理をしている。
「いいえ?暇だから来てみただけだけど……お邪魔だったかしら?」
「あぁ、壊して無いんですね。すみません、ここに来る時は毎回日傘が見るも無惨な姿で来るものですから。アッハッハッハッハ……」
「ナニソレ、私が悪いみたいじゃない」
「いいえ?収入源ですからいつ来て頂いても良いですけど、それでお茶でも出しましょうか?」
「遠慮しとくわ、ありがたく思っておく事ね。フフッ」
うわぁ……、こちらの金銭的事情をキッチリ把握してる……。まぁ、ありがたいねぇ……男としてのプライドはズタズタですけど。今はプライドなんてペットに食わせましょう、ウワーイ節約万歳。
……。
あれっ?おかしいな……、涙が止まらないや。
「ところで……」
涙を拭き終えた僕に幽香さんが声をかける、なんだい……もう僕のライフはとっくに0だよ……。
「店の前にいた犬……、突然襲いかかって来たの。あれって殺っちゃって不味かったかしら?」
「ん?店の前にいた……犬?」
僕ってペット飼ってたっけ?
……。
いや、あいつか。
僕は満面の笑みで……
「ナイスです、幽香さん」
「……?わ、わからないけど良かったのね?」
後で墓を掘っておこう。
「ご主人大丈夫ディスカァァ!?」
「大丈夫だ、それとオンドゥル語をやめろ」
チッ、生き返ってたか。そのまま死んでたら生活が楽になっていたものの……、まぁ墓を掘る手間が省けたと考えておこう。そうしよう。
「╭( 0w0 )وウェイ!」
オンドゥル語をいつ覚えたんだ……コイツ、聞きたいけどなにか怖くて聞けない。聞いてもあまりいいこと無さそうだし……聞かない事にするか。
「あら、番犬さんじゃない」
「……ッ!ご主人下がって!」
「お客様に何て事を!椛!おすわり!!」
「わん!……ハッ!?」
狼って聞いてたけど……犬じゃん。
少年事情説明中...
「うぅ……わ、分かりました……」
事情を説明し、把握した椛は耳と尻尾を垂らして店の外へ出ていった。なんか可愛い。
「あら?私はいつでも歓迎よ?」
「日傘使うんでしょ?修理は僕がするんですからね?」
「その方が儲からない?」
いやいや流石にね……
「疲労で死にます」
金より命とりますよそりゃ。
ある日のお昼時。
ガラッ
店の戸が開かれた。
「遺体ありますぅ?」
「無いですぅ」
「なんか嫌なヤツとか死んでも困らないヤツいますぅ?」
「あぁ、うちのペットなら」
「……ッ!?」
椛売りますぅ。
~すぅ。の語尾が特徴的な妖怪、死体回収業者をやっている火焔猫 燐さん。皆からはお燐って呼ばれている、僕もお燐さんと呼ばせてもらっている。
「ホントですか旦那!?」
「あぁ、あっちにいると思うからしっかり仕留めてくれ」
「ちょちょっ!ご主人!?」
慌てふためく椛に僕はニッコリと……
「今月ちょっと厳しくてね」
「また露骨な理由だっ!?」
「お前かァ!?すぐに死体にしてやるぅ!!」
「ギャァァァァァァァ!!」
……平和だな。
あわよくば……椛が片付きますように……。
―――その日の夜。
「ご主人~♪」
「なんで生きてんの!?」
どうやらお燐さん、仕留め損なった様ですな。くそぅ……、我ながら良い作戦だと思ったのだが……。
「ご主人!ご飯まだですか!?」
「草でも食ってて下さい」
「しどい!?私はご主人のご飯が食べたいんです!」
面倒臭い、明日の朝燃えないゴミに出しておこうか。
「てか椛風呂入れよ、泥だらけで汚いぞ……どこ行ってきた?」
「えへへ~、ちょっと地底まで……」
……コイツとんでもなくスタミナあるんじゃ……、てか僕はコイツから逃げられないじゃん、普通の妖怪より強いんじゃ……ないか!?
でも……
「それではご主人!風呂に入ってきます!……あっ、覗かないでください……ね?チラチラ」
「覗かねぇよ、馬鹿」
今の椛に俺を襲う気配は全く無い、やはり一括りに妖怪は人を襲うという考え方は良くないのか……。でも……っ!
「あーっ!……、頭を使うのは苦手だ。夕飯作ろ……」
なんかモヤモヤするな……、頭の中が。