幻想郷で傘屋始めました。 作: 空乃
許せ……クッ……!
―stage1 はしゃぐ氷精。―
ゆーきやこんこん♪あられやこんこん♪
「降っても降っても、寒いだけなんですが?」
どうも半ギレ気味の傘屋です、現在雪道を歩いております。
「うぅ、確かに寒いですね、炬燵が恋しいですよご主人」
「あれ……お前、平気じゃないのか?」
左隣を歩く椛は身体を小刻みに震わせながら歩いている。犬とか狼とかって寒いの平気じゃないのか?うーむ、やはり妖怪はよく分からないな。
「こいしは……っと、雪だるま作ってるな」
自分の身長の倍くらいあるだろう、そんな大きさの雪だるまを作り、きゃっきゃとはしゃいでいた。妙に雪だるまの胸部がリアルに作られているのは何故だろう、これも無意識のせいなのか……。
「今日も今日で平常運転だなっ!?」
突如、急な向かい風が起こる。その風は積もった雪たちを舞い上がらせ、吹雪となり僕達を襲う。今にも飛ばされそうな猛吹雪の中、僕は隣にいた椛にしがみつくしか出来ない。
「あぁ……!ご主人が私を頼っている……っ!!ついにフラグg」
「勘違いするなよ!?これは非常事態だからな!」
「これは、リアルツンデレッ!?」
ないです。と言うか男のツンデレとか誰得ですか?
今にもコイツを突き飛ばしたいが、この猛吹雪の中で手を離したら紐なし逆バンジーの如く空中を漂った後、真っ逆さまに落ちて真っ白な雪に人形の跡を作る事となるだろう。
(いやいや、この風圧に耐えきれずに身体が空中分解なんて事も……)
「幸せぇ……」
殴りたい、この馬鹿犬。
――チラッと、この猛吹雪の中心部だろう、その場所に小さな人影が見えた。
その姿は全体的に水色、氷がモチーフの妖精特有の透明な羽根。そしてその小さい背丈に似合わない、キリッとした目付き、一瞬誰かと思ってしまったが間違いないアレは……っ!
「チルノ……なのか?」
羽根を大きく広げる、それに応じ今まで吹き荒れていた吹雪は吹き飛ぶように霧散し、風が嘘のように吹きやんだ。残るのは音も無く降る白い雪と、こちらを見下げる氷の妖精。
「アレは、チルノ ルナティックVer.!?」
何じゃそりゃ、と椛の答えに返し、再びチルノへ目線を向ける。
「見たか、アタイのこのぷぅぁあわあぁぁをッ!!」
「え?ごめん、なんて言った?」
「ブルアアアァァッ!!」
どうしよう、アナゴさんみたいになってる!アニメでは一度もブルアアアァァッ!!なんて言ってないけど!言ってるのはテイルズの方の若本〇夫さんだけど!
すると、困惑に満ちていた僕の頭に、隣でその様子を観察していた椛が、冷静な口調で説明をし出した。
「アレは冬のエネルギーを多大に吸収しすぎた為、チルノ ルナティックVer.になってしまったのでしょう。こうなってしまったチルノは通常の戦闘力の三倍+CV若〇規夫さんっぽくなってしまい、まるで歴戦の戦士のように感じてしまうのです」
なるほど、CV若本規〇さん似のせいで、まるで某緑の人造人間がこちらに対面しているかのように、絶望に似た緊張感とプレッシャーが僕を襲うわけだ……。
恐るべし、CV〇本規夫さんッ!!
「……って、CV若〇規夫さんで強く見せかけただけだっ!こいし!椛!やっちまえッ!!」
「「
空中でドヤ顔をかましているチルノに、数十発のカラフルな弾幕が直撃する。悲鳴に似た断末魔が、僕の耳を横切ったが知らん。全ては正義の元に粛清された、許可なくCV若〇規夫さんを使った罰だ。
「……と言うか、さっきのチルノって三倍の強さじゃ無かったのか?」
「え?ご主人、0に3をかけたって0ですよ?」
……この世界は残酷だ。
―stage1 はしゃぎ過ぎた氷精。― clear
春……終わってるやん。(現在6月)