東方剣舞録 〜希望と絶望〜   作:カルート

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どうもお久しぶりとなりますカルートなるものです。
長らく期間を空けてしまい申し訳ない限りです。
これからはゆっくりと更新していこうかと思うのでよろしければお願いします。





十一話 金髪の自称魔法少女

「おろ?何だ何だ。此処は普通の人間も働いていたのか?」

 

 開け放たれた扉の先に居たのは、小さなメイド達……ではなくキラキラと眩しい金色で長髪の少女、其処まではまだ幻想郷であるなら驚くに至る事はないのだが気になる点は別にある

 その金髪の少女は黒のまるで魔女のような格好をしているのだ、更に黒い魔女帽子付きで、だ

 

「まぁ良いや。邪魔するって言うのなら容赦はしないぜ!」

 

「え?いや、俺は──」

 

 急な出現に呆気にとられ脳の処理が出来ていないでいると、目の前の金髪少女は手にしていた箒を持ち直し、空いた手を此方へと向けてきた

 

 ──ヤバイ

 

 そう思った時、俺は既に行動へと出ていた

 咄嗟に横へと転がりその場からの退避を試みる、すると金髪少女の手から霊力弾であろうか、光の球が発射されたのだ、しかも大量にである

 この世界では話を聞かないのが通常運転なのだろうか?

 頭をよぎる疑問も光の球で形成された弾幕により消し去られる

 

「う、おおぉ!?ちょ、待……」

 

「お?あの妖精共よりもマシな奴が出てきたな。これは楽しめそうだぜ」

 

 奇怪な声を発しつつ第一射の大量の光の球を避ける事に成功したが、其処で終わる訳も無く嬉々とした声を出した金髪少女は此方へと手を向けている

 

「(これは……次のは避けられない……!?)」

 

 第一射を見ていた事から瞬時に判断を下す

 どう考えても地面に転がっている状態から体勢を整えている間に、あの大量の光の球の餌食となってしまう

 ふと、自らの手に握り締めていた物を思い出した

 

「一か八か……」

 

 そう口に出しつつ手にしていた新品の『モップ』を振り払いの要領で振るった

 綺麗な軌道を描き発射された第二射の弾幕を叩き伏せようと『モップ』が迫る

 

「これで……どうだッ!」

 

 ぶつかり合う『モップ』と光の球達、気合を入れ一閃を振るったは良いのだが……

 

 バキッ!!という音と共に『モップ』の柄が折れてしまう

 

「(いやいや、当たり前だろ!)」

 

 もっと早く気付くべきだろ、と自らにツッコミを入れた所で既に遅い

 眼前に迫り来る弾幕に俺はなす術無く埋め尽くされるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、まさかたまたま此処に来ただけなんてな。すまんすまん」

 

 あっはっは、と目の前で笑うのは霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)であり(自称)普通の魔法使いらしい

 この金髪少女は俺を先程のメイド達と同じ使用人と勘違いして撃退したらしいのだが、話を聞かずに襲い掛かるというのはどうなのだろうか

 

 あの弾幕を撃ち落とす事の叶わなかった俺は、あの弾幕の直撃を浴びた思われた、しかしあのお札の結界とやらに守られたらしい

 その後必死で説得を試みて、何とか話を聞いてもらう所までに至ったのである

 お陰で無傷ではあるが色々と納得がいかない事が同時に浮上してきた

 名前などを聞いた時に思い出し博麗 霊夢(お前)を追ってきたと愚痴を言おうとした所どうやら彼女は違うらしい、同時に俺は騙されていた事に気づかされたのだった

 

「まさかの無駄足……はぁ。しかも今ここ危険らしいじゃないか」

 

「んむ、さっきも説明したが今は幻想郷で異変が起こっているらしいぜ。ほれ、外見てみ」

 

 外へと向けられた視線を追い窓から外を見やる、すると其処には先程までと変わらない紅い霧に覆われた空が広がっていた

 これについては入る前から知っていたからもう良いのだが問題は其処ではない

 自己紹介ついでに今起こっている事を聞いてみたところ、どうやらこの状況は異常事態でありそしてその元凶は此処にいるらしいのだ

 

「私としちゃお宝……じゃなくてこの異変を解決しないといけないと立ち上がった訳だぜ!」

 

 今お宝と言いかけたのを聞き、どうりで荷物が多い訳だと思った

 大方此処の館で色々とくすねた物なのだろう、と言っても俺はこの館の持ち主でも管理者でもないから口は出さないが

 

「取り敢えずさっき、地下の図書館は回ってきたから次は上の階なんだが……何故か階段が見つからないんだよなぁ」

 

「階段がない?」

 

 外から見た限りでは少なくとも二、三階建てに見えたが……まさか隠し階段とかなのだろうか

 此処がファンタジーの世界であるならRPGゲーム的に考えて何処かに隠しスイッチがありそれを押せば秘密の階段が出現……ってそれはゲームだから成立する事だ、これは現実であってゲームではないそう簡単なものではないはすだ

 確かこの世界では霊力などが普通に使われていると考えれば……

 

「あ」

 

「お、どうした?何か良い案でも思い付いたのか?」

 

 突拍子も無く思い付いた作戦とも言えないものであるが試して見る価値はありそうだ

 俺は霧雨へと相談を持ちかけるのであった

 

 ……というか何故俺まで行く事が前提で話が進んでいたのであろうか

 

 

 

「じゃあ行くぜ零一。舌噛むなよ?」

 

「あ、あぁ……って別に思いっきり行く必要は──」

 

 魔理沙(何故か苗字で呼んでいたら怒られた)と話した後俺は空を飛んでいた

 詳しく言うと魔理沙の持っていた箒に乗せてもらい二人乗りの形で館の外をふわふわと飛んでいた

 魔理沙の掛けられた声に反応しようとしたのだが、その言葉が最後まで紡がれる事はなかった

 何故なら──

 

「行っくぜぇぇぇ!!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁ!!?」

 

 あろう事か魔理沙は俺を乗せたまま館の窓、つまりおそらく上の階であろう地点へと疾走したのだ

 俺の持ち掛けた作戦なるまでもないものは中から行けないのなら外から行けば良いじゃないか?というものであり、ゲームであるなら裏技で画面外から某土管工のおっさんが先のステージへと行くようなものであった

 用意されたものをすっ飛ばすのだ、用意した側からしたら普通は玄関からだろうというルールをぶっ壊してやったという訳である

 

 と、目の前の現実から目を逸らしゲーマーらしい事へと逃避していたのだが現実は待ってはくれない

 体感的にジェットコースターばりのスピードで突撃し窓へと激突、そしてガッシャーンと激しい音と共に粉々になり散る窓ガラス、それを見る間も無く館の中へと再び入っt……くn……■■■■■■■■■

 

 

 ──バチッ

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 ──そこは薄暗い廊下であった

 窓も無く(・・・・)光のない廊下は壁に掛けられた蝋燭がゆらゆらと揺れる火を灯して薄暗く照らしている

 どうやら突っ込んだ時、気を失っていたようだ

 

「っ……いつつ。魔理沙、何も思いっきり突っ込む事もないだろ……」

 

 ゆっくりと起き上がり魔理沙へと愚痴を漏らす

 しかしそこで異変に気付いた

 

 ──魔理沙がいない

 

 しかも辺りを見渡した所、先程外から見えていた廊下とは内装が違う

 少なくとも窓も無い(・・・・)などあり得ないのだ

 

「……あれ、なんだ、これ」

 

 突如起こった更なる異常事態に混乱し始める

 突っ込んだ時、確かに意識が飛んだまでは良いのだが、その間に何が起きたというのだろうか?

 あのまま館に突っ込んでいたのならこの奇妙な廊下はともかく、魔理沙が一緒に居るはずなのだ

 それがどうした事か魔理沙は愚か、窓も、その時に砕け散った窓ガラスすら見当たらない

 ある物とすれば何かあった時にと先の折れた、最早モップとは言えない棒切れが側に転がっている程度なのだ

 

「待て、いや、そうだ待て、落ち着け。RPGゲームでならよくある分断だ。もしくは……裏技を使ったバグ?」

 

 そうわざわざ声に出し自らを諭す

 いや、そうしなければこの状況に飲み込まれてしまいそうだったからかもしれない

 

「……今考えていても分からないものは分からない。幸い道はあるんだ。進もう」

 

 今まで一人であったのにも関わらず先程出会い、少ない時間であるが行動していた魔理沙が居なくなり、寂しさを感じたからか独り言をわざと口にし側に落ちていた棒切れを拾い上げ、薄暗い廊下を進み始めたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜魔理沙side〜〜

 

 

「いっつー……大丈夫か、零一?」

 

 大きな音と共に館へと再び入った私は少々やり過ぎたかな、と思いつつ後ろに乗せている青年へと話し掛けた

 

「……?零一?」

 

 返事が無いので後ろを振り向く、しかしそこに青年の姿がなかった

 しまった、振り落とたのだろうか、と慌てて割れた窓ガラスへと箒に乗ったまま近寄り下を覗き込む

 

「いない……?零一のやつ、どこにいっちまったんだ?」

 

 奇妙な出来事に首を傾げ何処かに飛ばされていないか、再び廊下へと向き直ったのだがそのような人影は見当たらない

 

 そういえば入る時、何か力の流れを感じた気がする

 何かをこの異変の首謀者がしたのかもしれない、そう結論付けると廊下へと降り立ち、暫しの休息ついでにあの青年、鈴白 零一について思案し始めた

 

 あの青年、何故か霊夢の奴に騙されここまで来たと言うのだがどうにもおかしな点が多い

 幾らあの霊夢であっても神社を訪ねて来た外来人を騙し、自身の利益にもならないような嘘を付くとも思えないのだ

 確かに霊夢は少々がめつい所があるが妖怪ならともかく人間にそこまで酷い対応はしないはずである

 

「どうなってるんだぜ……全く」

 

 やれやれと誰もいない廊下で肩を竦め首を振り、今の考察を頭の隅へと追いやった

 今はそんな事よりも目の前に起きている異常事態に対応した方が良いだろう

 そう考えていると廊下の奥から慣れ親しんだ霊力を感じた

 

「ん?これは霊夢の……?やっぱりあいつも来てたのか?」

 

 まぁこの幻想郷で起きた異変と言ったら博麗 霊夢(あいつ)が解決するのが普通なのでそう不思議ではない

 博麗の巫女とはそういう使命であり、運命らしい……私には関係ないが

 

 正直なところ、私がこの件に関わる必要などないのだが霊夢が関わるのなら別である

 勝負をしているそういう訳ではないが負けたくない、所謂負けず嫌いなのだ

 普段弾幕ごっこなどで勝負を持ち掛けてはいる、しかし殆ど勝った試しがない

 ……あいつはそういうやつで大した努力をしなくとも才能のある天才肌なのだ、羨ましいとは思わない、でもそんなのに負けたくない、そういう感情が私の中で渦巻いているのだ

 恨みがある訳でも無く唯々親友として負けたくない、そんな想いから私はここまでやってきた

 

「……だから無駄になんかさせないぜ。霊夢、どっちが解決出来るか勝負だぜ!!」

 

 私は黒い魔女帽子を被り直し、箒へと跨がると床を踏み込みこの異変の首謀者を探し出す為に飛び立つのであった

 

 

 

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