……はい、すいません。元からあった物を少し直してるだけです(土下座
無事昼飯にありつけた後
小休止を挟み再び庭へと足を運んでいた
「とりあえず弾幕ごっこのために、霊力弾くらいは撃てるようにしないとな。幻想郷に精通しているなら俺だけ出来ないみたいな事になりかねないぞ……」
既に筋肉痛になっている重たい腕に力を込め手の平に集中する、しかし何も起こらず、まるで変化もしない
目の前で見せられた現象、霊力弾を間近で確認したからこそ出来ると確信ある
だがやり方が分からない、もしくは一部の限られた人にしか出来ないのかもしれないと後ろ向きな考えが浮かんでしまう
此れではダメだ、首を振り集中し練習を再開する
そのまま続ける事二時間───
結果としては二時間と経過しても成果があらわれなかった
「……っぶはぁ……!」
身体の疲労感に耐え切れずその場へ倒れ込む
荒い息を整えつつ、何故駄目だったのだろうか思考を張り巡らせる
「原理が分からないな……。というか霊力ってなんだよ。あれか、魔法使う為のMPみたいなやつか。いや、それだと魔力だよな……。結果、手探り状態で迷走中と……」
迷走中だから瞑想でもするか、と考えるのが面倒になりくだらない思考で逃避を始める
「……仕方ない、今はこっちを重点的にやろう」
起き上がり近くに立て掛けてあった木刀を手に取る、気分転換代わりに、と素振りを始めつつ再び思考を張り巡らせる
先ず始めに、霊力とは
イメージでは生命力、活動するために必要なエネルギー……だろうか
だとすれば全員が持っていて、それを自分で自発的に使う使わないは兎も角、俺にもあるはずだ
ならばそれを出すためにどうするか
心との対話?追い込んだ時に発動する?
違う、そんなのは現実的ではない
ならば何をするか、それは認識だ
自分の中に其れがあるとまだ理解出来ていない、だから使えない、出せない、感じ取れない、まさに無い無い尽くしなのだ
無い頭で珍しくそれっぽい事を思案する
気付くと何時の間にか日が傾き、夜の帳が下りていた
「……あれ?」
薄暗くなった庭でぼんやりと薄い緑色に光る木刀、始めは木刀に蛍光塗料のような光る物が付いているのかと思ったのだがどうやら違うようだ
木刀が光っているのではない、まるで木刀の周りの光が包み込むかのように木刀を覆っている
「此れが霊力、なのか……?」
おそらく此れが霊力とやらなのだろう、と勝手に決め付ける
しかし何故先程集中していても出せなかった代物が今になって出せるのか
「……まさか、道具を使わなければ使えない?だとしたら妖夢と同じようにこうやって──」
ぼんやりと光る木刀を上段へと構え、空に向け一閃、放出するイメージで振り抜く
しかし、唯振り下ろされるのみで霊力弾など発射されなかった
「…………って、おい。何で出来ないんだ?」
混乱し始めた最中、手に持つ木刀から光が消え失せてしまう
不思議に思いつつ、もう一度力を込め木刀へ霊力を流し込もうとするが
「光……らない?あれは、マグレだったのか……?」
本来の色である茶色から緑色の光を出す事などなく木刀に変化などは起きない
疑問で埋め尽くされた頭に更に追い討ちを掛けるかのように身体が重くなり、足元が覚束なくふらつき始めた
「……っ、体力が限界きてる……らしいな」
重い身体を引きずるように汗を流そうと水場へと向かう
運が良い事に途中で妖夢と会い、汗だくで足を引きずる俺を見ると風呂を沸かしてくれるとの事なのでお言葉に甘え風呂場へと行き先を変更した
風呂で汗を流し、湯船で疲れを取りそのまま部屋へと直行する
既に日は落ち、とっぷりと暮れていた
「……駄目だ。今日はもう寝よう。身体が重くてもう動きたくない……」
疲れにより重くなった体を布団へ向かわせ、倒れ込み目を閉じる
先程の光はやはり霊力だったのだろうか?
マグレだろうと其れが出せた事は素直に喜びたいものだ、此れで俺にも霊力が使える才能があると確信が出来る
後の課題はその霊力をどう使い熟すかである
眠気から意識が薄れ始める、後の事はまた今度考えようと睡魔に身を任せ眠りに就くのだった
◇◇◇
あれから一ヶ月が経った、当初は一週間ぐらいで帰るはずであったが、八雲さんの話によると幻想郷と元の世界は時間の流れが違うらしく、此処に一年間いたとしても元の世界では一時間程度しか経っていないらしい
俺としては色々と教わる事もあったので嬉しい限りであり、あれから剣を振り続け、霊力を使えるようになるために練習を重ねた
剣に関しては指南してくれる人がいるためか真面に振れるようにまで上達したと自負している
ただ妖夢からすると付け焼き刃に過ぎないとの事、手厳しい先生である
そして霊力に関してなのだが、此れが今だに上手く行かず、やはりあの時の光はマグレであったかのように一度も光る事はなかった
どんなに集中をし、イメージを絞り出すように木刀を光らせようと奮闘したが虚しく結果は出せず仕舞いである
しかし鍛練のお陰か、或いは妖夢の教えのお陰か、体力、筋力がグンと向上した
当初は素振り五百という数だけで筋肉痛になり、息も絶え絶えになっていたが、今では千という数の素振りをしても疲れる事もなく、むしろ以前よりも軽々と振る事が出来たのである
と、此れが一ヶ月みっちりと練習をした結果だ
「どうしたんですか?手が止まってますよ」
「ん?あぁいやごめん、少し考え事をしていたんだ」
そして今は妖夢に見てもらいながら太刀筋を指導されていた
と言ってもただの素振りであるが
「……だいぶ振れるようになってきましたね。一度手合わせとして模擬戦をしてみますか?」
「模擬戦、ということはいよいよ実戦形式という事か。対人ではやった事ないから上手く出来るか心配だな……」
「見てる限りだと十分に振れてますし、そろそろ次の段階に行った方が良いかと思いますよ?もし嫌なら別に構いませんし……」
「そうだな……よし、頼む。何処まで振れるのか試したい」
「では……加減なしで打ってきてください」
「……良いのか?」
「はい。霊力は使うのは良いですが、霊力弾はなしにしましょう。弾幕ごっこじゃないので」
妖夢が何処から取り出したのか木刀を構える、それを見て俺も上段に構える
いつでも振り下ろせる構えだ
ちなみに妖夢は今回は木刀一本である、流石に二刀流まで持ち出す必要はないと思ったのだろう
「その構え……基本である素振りの構えですか。……果たして私に届くのでしょうか?」
「それは、やってみないと分からない……だろ!」
地を蹴り走り出し接近する、しかし妖夢は微動だにもせず動かない、余裕というやつであろう
そのまま妖夢目掛けて木刀を振り下ろす、教えの通り体重をしっかりと乗せた一撃だ
しかしひらりと妖夢は身体を捻るだけでその一撃いとも簡単に躱してしまう
「そんな見え透いた太刀筋では私を捕らえる事は出来ません!」
「っ……!」
次は真横に薙ぎ払うように振り抜こうと踏み込む
──瞬間、眼前に迫る木刀が見え、咄嗟に身体を仰け反らせる
「なっ……ぶっ!?」
仰け反らせ避けれたのは良いのだが勢いを殺して受け身を取れず無様に転がるように後ろへと下がる
「今のを避けますか……。反射神経はなかなかあるようですね。ですが、今の躱し方であるなら普段の私は追撃を掛けています」
「……うっ」
真剣勝負、それならば斬られやられていたという事であろう、しかしそんな事を言われても無理がある
剣士の斬撃を必死に躱す以外俺に残された道などない、受け止めるなど馬鹿な事をしたら最後、射程内に入る事となり受けきれなくなってしまうだろう
「……さぁ、此れで終わりですか?では、そうですね。確かにこのままだと不平等でしょうし、私の枷として此処から後退させられたら、零一さんの勝ちとしましょうか」
妖夢は木刀でガリガリと目の前の地面を削り、一本の線を引く
そして線を越えるように立つと再び構え出した
「ハンデって事か……。一歩でも下がらせれば良いんだよな?」
「はい。そして私は此処から基本動きませんので、どうぞ好きなように打ち込んで来てください」
俺はその台詞に憤りを覚えた
幾ら何でも女の子に此処まで言われ、何も感じない程プライドは捨てていない
しかし実力が足りず、その条件を無しに模擬戦を続ければ勝てる可能性など皆無に等しいと言っても過言ではないだろう
ならばどうするのか、答えは一つ、勝てば良い
ムキになっていると言えばそれまでだが、自身に湧き上がる気持ちを抑え込む事など出来ない
「…………」
無言で再び木刀を構え、妖夢と対峙をする
雰囲気から感じ取ったのだろう、妖夢も心なしか気を引き締めたような表情をする
「っ……はぁっ……!!」
妖夢へと脚を踏み込み駆け出す
距離は十メートル程、駆けているのであればおそらく二、三歩もないであろう距離
──一歩目
右脚に力を込め地を蹴り、突進する形でスタートを切る
妖夢は依然構えたまま動かない
──二歩目
蹴り上げた右脚を地面に付けると同時に木刀を振り上げる
ピクリと妖夢が反応を示し木刀動かし始める
──三歩目
飛ぶ、と言っても良いであろう勢いのまま左脚で地面を蹴り飛ばし妖夢へと急接近し、振り上げた木刀を今出来る最高の力を乗せ振り下ろす
妖夢へと叩きつけるように木刀で斬りかかる
──ガッ!
重たい物がぶつかるであろう音を響かせ、妖夢は全力で放った一撃を表情を動かす事なく涼しい顔で受け止めていた
その時点で俺の負けが決定された未来となる
木刀で打ち払うように弾き返すと妖夢は無表情のまま振り下ろした
「ぁ──」
小さく声を漏らす
木刀は視界を覆い尽くさんとばかりに眼前へと迫り来る
打つ手はない、元より何もない、作戦も何も通用する物などない、受けとめる事も弾き返す事も払う事も出来ない
迫る、迫る、迫る
くだらないプライドで冷静を失った代償であると言わんばかりに振り落とされる木刀
《──なんじゃ、今だに『力』の使い方が理解出来んのか》
──不意に聞こえた声、視界は変わらず迫る木刀が映る
《ほれ。出そうと躍起になるのではなく、己の中にある物を『理解』してみぃ?》
──理解、即ち把握する事
神経を張り巡らせ探す、深淵に眠るそれを糸を手繰り寄せるかのように『見つける』のでは無く『理解』した
───使う力は放出する物ではない、『纏わせる物』だ
右腕にある細胞へ膜を張るように霊力を纏わせる
まるで活性化したかのように身体、細胞が熱くなる
動かすのは一度で良い
右手を迫り来る木刀へと動かしその手に持つ棒切れ、もとい木刀を突き出した
「なっ───」
───カラン、と乾いた音を立て飛ばされた木刀が地面へと落ちる
言葉を発したのは、そして転がる木刀の持ち主は、妖夢本人である
絶句したまま動かない妖夢へ言い放つ
「……そんな条件断る。此れで俺の勝ち、だろ?」
「そんな……どうして……」
妖夢は何が起こったのか分からないような顔をし、木刀を弾かれた手の平を見つめていた
そうなるのも無理はない、自身が放った斬撃を力で押し返されたのだ、それも受け止める事も無く、だ
呆然とする妖夢から視線を外し、辺りを見渡す
しかし俺と妖夢以外の人影など無く、広い庭があるだけであった
勿論、計一名を除きである
何時から見ていたのか分かり兼ねるが縁側に座り、模擬戦の一部始終を見ていたのだろう
「あらあら、妖夢。負けは負け、認めるべきね」
「……幽々子様」
今迄閉ざしていた口を開き従者へと現実を突き付ける
おそらく妖夢は今気付いたのだろう、顔を上げると幽々子さんと視線を合わせる
「もっと精進なさい。貴女ならまだ高みを目指せる筈よ」
「…………はい」
「あ、あのさ妖夢。今のは……そう、偶々なんだ。咄嗟に出来たんだよ」
落ち込む妖夢を見ると居た堪れない気持ちとなり、フォローの言葉を慌てて言い始める
「それでも負けは負けです。……油断していた私が悪いのです」
「いや……えと……」
肩を落とし更に落ち込む妖夢
どうやら逆効果、今言葉を掛けても駄目なのかもしれない
「でも妖夢。良いライバルになりそうで良かったじゃないの。其れに──」
ぼそっと何かを妖夢へ呟く
俺には聞き取れなかったため前半の部分だけに返す
「ライバル……?俺が?」
「それは……っ……失礼します!」
「お、おい。妖夢!?」
急に顔を真っ赤にすると、妖夢は駆け出してしまった
そのまま屋敷の奥へと去って行ってしまう
「………えーと、此れは一体?」
「あらあら。零一も大変ね」
「……は?」
訳も分からず幽々子さんに言葉を投げ掛けられ、その言葉しか返す事が出来ないのであった
再びどうもカルートです。
刺激が欲しいと思いこういう結果を書き上げました。
やはり戦闘シーンは難しい……というか書けない(真顔
何処かおかしな所、誤字脱字などがありましたら言ってくださると嬉しさで土下座します(自虐