宇宙戦艦ヤマト 主力戦艦「霧島」戦記   作:南部赤松

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冥王星沖会戦 後編

SIDE永倉

戦闘が始まってからどの位たっただろうか、艦橋の窓から見える爆炎は味方の物ばかりで敵艦の爆炎は数える程しかない。

 

(くそッ……、攻撃力は有っても防御力が無かったら駄目か)

この「三笠」他の艦艇にはなけなしの資源を使用した対ビームコーティングが施されているのに味方艦は次々と沈んでゆく。

(こんな結末……、認められるかぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!)

 

 

SIDE OUT

 

NO SIDE

 

戦況は圧倒的に地球側の不利であった、一隻また一隻と沈んでゆく中ガミラスの爆炎は地球艦隊のそれに比べ極めて少なかった、ガミラスの圧倒的な科学力とそれに裏打ちされた強大な軍事力の前にはいかに地球艦隊が知恵と勇気を振り絞って戦ったとしても覆すことのできない差があるのだ。

レーダー手

「太陽系外から侵入してくる正体不明の物体を感知、超高速で移動している模様」

 

沖田

「惑星間航行速度を遥かに超えている、あの分では数時間で火星軌道に到達してしまうぞ。」

 

宇宙物理学の博士号を持っている沖田は唯々驚くばかりであったがそうしてばかりもいられず即座に意識を切り替え即座に撤退命令を下した。

 

沖田

「全艦に通達、直ちに戦闘を中止し全速力で冥王星宙域より退避せよ。」

 

沖田の命令に永倉は詰め寄った。

 

永倉

「提督、逃げるんですか?」

 

沖田

「このままでは皆犬死にするだけだ、残存艦をまとめて撤退する。」

「三笠」が殿となり撤退するとの命令が全艦隊に通達された、その命令に従い旗艦以下各艦が針路を変更したが、駆逐艦「雪風」のみが針路を変更しなかった。

 

レーダー手

「提督、古代少佐の「雪風」が反転しません。」

 

戦闘中の混乱で命令が伝わっていなかったのかと考えた沖田提督は「雪風」との間に回線を開き古代艦長に直接命令を下した。

 

沖田

「古代、本艦に続け。」

 

それに対して古代艦長は沖田提督の命令を拒否した。

 

古代

「沖田さん、僕は嫌ですここで敵に背中を見せたら死んでいった仲間達に顔向けができません。」

 

そう答えた古代艦長に対し沖田提督は重ねてこう言った。

 

沖田

「古代、男なら明日の栄光の為に今日の屈辱に耐えるんだ。」

これ以上部下を失いたくない沖田は何とか古代を説得しようと必死だった、しかし古代の意思は変わらなかった。

 

古代

「沖田さん、男なら戦って戦って戦ってそれから死ぬべきじゃあありませんか。」

 

沖田

「古代、分かってくれ。」

 

古代

「沖田さん、地球の事を頼みます。」

 

必死の説得もむなしく「雪風」はガミラス艦隊に向け全速力で突入して行った。

 

単艦で突入した「雪風」は戦場を縦横無尽に駆け回り、ある時はガミラス艦同士で衝突するように仕向け、ある時は試製空間魚雷でデストリア級を撃沈するなどの活躍を見せた、だがしかし「雪風」にも最後の時が訪れた。

敵艦隊の砲撃が次々と突き刺さり遂に幸運艦「雪風」は爆発した。

 

沖田

「決して振り返るな、最大船速でこの宙域を離脱するのだ。」

 

永倉

「徳川機関長、機関出力最大」

 

徳川

『了解、最大で回します。』

 

「三笠」・機関室

 

徳川

「回せーーーーーーツ!!、エンジンが焼けても構わん最大出力で回し続けろーーーーーーッ!!」

 

徳川機関長の号令に全機関部員が機敏に反応し機関出力が上がってゆき、やがて「三笠」以下残存艦は最大船速で冥王星宙域を離脱した。

 

((古代、許してくれ……。))

 

沖田提督と永倉艦長は心の中で古代少佐に詫びた。

 

後に冥王星沖会戦と呼ばれる事となるこの作戦における地球艦隊の損耗率は約八割に及び対するガミラス冥王星艦隊の損耗率は二割にも満たなかった。




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