さぁて!そんなことより!進化回!
俺は目が覚めた。
あの謎の激痛に悶え苦しんだ結果、痛みに耐えきれず気絶したのかもしれない。そう仮説を立てるほど全く昨晩の後半の記憶が無い。
体には昨晩のような痛みは無い。しかし微かな違和感を感じていた。嫌な予感がするのとは違った自分の体への違和感だった。何か自分の体、それも内部に重大な変化が起きているそれが俺が直感で感じた事だ。
「(ったく何だってんだよ・・・)」
体を起こす。どうやらマグマの中洲で気絶していたらしい。熱くないのだから凄い。
イテテ・・・。昨日は最悪だったな、絶対フルフルが原因だ。絶対フルフルは食べない。まあ火山になった今、ここに来る馬鹿なフルフルもいないだろう。火弱点だし。
俺は自分の姿を確認しようとした。
でも鏡無いんだよな。前の地底洞窟ならまだ水があったからよかったんだけど、さすがにマグマは鏡にはならないし・・・。待てよ、確か水が少しだけ流れているエリアあったよな。
そこは地底洞窟のときにフルフルに襲われたエリアでもあり、グラビモスを四つ裂きにしたエリアでもある。確かあそこには少量だが水が流れていたはず!
あれでリオレウスの火属性やられを打ち消した覚えがある。あの水に救われたハンターは多いはず。とりあえず確認だけでも済ませておこうか・・・。
いつもより一人ボケ突っ込みや妄想をしないあたりこのときの俺はきっと大分疲れていたし不安だったんだろう。
俺はあの水が流れているエリアにやってきた。そして思ったこと。
案外水って少ないんだね・・・。
擬音語を使うならチョロチョロ、実際流れているのが精一杯、といった様子で俺の足元の川?は悲しげに流れていた。
うん・・・まあ、写るんなら問題ない。写ればな。
そういって俺はその水を覗き込んだ。流れが少ないからかあまり表面に波紋もできずに、さらに地面が黒っぽいおかげで水はうまい具合に鏡化してくれていた。
もちろん覗き込んで写ったのは人間だった頃のアホ面ではなかった。写ったのはアカムトルムの顔。そう言いきれるほどに全く問題点らしい箇所は見当たらなかった。
っれ~、おっかしぃな~?確かに違和感感じるんだけどな。
別に頭がおかしいとか、そういうレベルではない。それに頭なら最初からイカレてる。今に限った事じゃない。・・・わぁ、悲しい自虐。一人な分余計悲しいです。いや誰かがいてなじってほしいとかも考えてない。あわよくば妹系ロリになじってもらえたらなんてこれっぽっちも考えていない。いや本当です!嘘じゃない!ラピュタは本当にあるんだもん!・・・。トトロとラピュタ混線したな。話を戻そう。
変わったところは特に見分けられなかった。ただしそれは顔に限った話。その他の部位は知らない。前足だけならいけるんじゃね?とか思って首だけ動かそうとしたら脚の棘に頬を強かに打ちつけた。痛いです・・・。なんて理不尽。自分の体に攻撃されるなんて!
下にしか水流がないため全身の確認は不可能。あ~あ、せめて立ち鏡があればなぁ~・・・。
てってれ~!
そう効果音をつけても差し支えないだろう。よく考えたら水って上の段から下の段にかけて流れてるんだよな。つまり俺が下に下りれば崖を流れる水流に自分が写って、まるで服屋の試着室の鏡のようになる!やべぇ天才かもしれない。早くしようっと。
俺は下の段に降りた。そして崖を流れる水流を見つめる。滝である分少し水の動きが不安定だったが、姿が映せないほどじゃない。それに色も若干不明瞭だが認識は出来る。さぁてどうなってるのかなぁ~♪
・・・何か一枚多く甲殻を纏って見えるのは気のせいか?心なしか白っぽい甲殻をいつもの甲殻の上に上書きしているように見えるんだが・・・。
気のせいじゃありませんでした・・・。体全体に白っぽい、灰色がかった甲殻が増えてます。
おそらく原因は灰水晶だな。俺の記憶が正しければアカムトルムはカルシウムを含んだ体液を分泌している。そこに火山や溶岩島の希少な鉱石成分が付着するためあんなにも黒く光って見えるらしい。それに強度も上がるし。俺の場合ほとんど潜って移動なんぞしてなかったから体につく鉱石成分が極端に少なかったんだろう。
で、ここからが俺の推測だが、鉱石成分をまともに付着するチャンスがない俺の体はカルシウムを分泌するのを止めてしまった。しかしそれでは甲殻の強度が上がらず外敵からの攻撃にも耐えられるか分からない。そしてカルシウムを分泌するをの止めた俺の体は新たな方法で防御力を上げようと考えた。
それが俺の散々食べまくった灰水晶を使う事。俺の体は中からジワジワと灰水晶の成分を抽出し始めた。しかし灰水晶は衝撃に弱い。ただ灰水晶の成分を抽出して纏ったところでガラスを纏っただけで、それこそガラスの鎧だ。
そして俺の体の内には使われない大量の灰水晶の成分が溜めてあった。そしてついにそれを使うときが来た。それが昨日鉱脈を一つ潰した鉄鉱石だろう。
俺の体は都合よく舞い込んできた鉄鉱石を存分に使った。しかし鉄鉱石と灰水晶の成分を全て使ってしまうと甲殻が重くなり、動きを阻害するかもしれない。苦渋の決断の結果、灰水晶の成分は色素や一部の硬い性質だけを残して使われなくなった。
そして鉄鉱石の頑丈な成分と灰水晶の色素を残して俺の甲殻になった。恐らく昨日の全身の痛みは急速な進化に体が耐えられなかったのだろう。
ふぅ・・・。俺は論文でもまとめたのかな?それくらい疲れたよ。まぁ論文ではないにしても妄想全開の俺理論だったけどな。どう考えても支離滅裂で馬鹿なの?といわれても仕方ない馬鹿な考え。でもそれがどうした、ここには俺しかいない。経験をしたのが俺だけで、ここにいるのは俺だけ。主観は俺だ。つまり俺が正しいっ!
さて、ここまで堂々と馬鹿丸出しの啖呵を切った俺だが心には未だ得体の知れないモヤモヤがあった。何だろうね、落し物の百円拾ってネコババしたら駐在所の前通るたびに味わった感覚に似ている。何してんだ俺は・・・。ちなみに挙動不審で職質受けた。
未だ体の中にある違和感。それを知るのにはもう少し時間がかかりそうだ。
と思っていた俺をぶち殺したい・・・。俺の中にある違和感は実は二つあった。そしてその違和感が二つも分かってしまった。
一つはフルフルの事を思い出したら急に意識してしまった。そしてその部分ははっきりとあった。そう、俺は自分の中に電気を扱う部分があるのをはっきりと感じた。
いや、どやぁ、とか自画自賛してる場合じゃない。何で今更?どうせならフルフル食べた直後に使えるようになってほしい。
そしてもう一つ。体の中に〝その部分〟はあった。逆に意識するのが難しくさえあるほど自然に存在していた。
俺は〝その部分〟を動かしてみた・・・。動かすべきではなかった。その事は忘れていつも通りの自堕落生活をしていればよかった。
突如として俺の前脚や背中の背甲など、複数の甲殻がスライドし、中から割と長い鉄の棒が飛び出した。
・・・な、動かさなければよかったと思うだろ?何が悲しくて体中から鉄の棒が飛び出なくちゃいけないんだ、泣けてくるよ。しかもこの棒出し入れ可能だし、何これ怖い。
とここで疑問と閃きが。同時に再び俺理論の展開。
フルフルを食べた俺が得た物は不味さと電撃袋。前者はいらないな。で、その電撃袋は俺の体の中に作られた。
けれど俺は電気が使えない。電気が使えるモンスターってのは何かしらの特別な器官があるもんだ。フルフルは特殊な脂肪を持ってるし、あのジンオウガだって、雷光虫の力や背中にある特殊な脂肪で電気を増幅しているわけだし。まあ、祖龍は知らないけど・・・。
てなわけで俺には電気を通したり増幅させたりする脂肪がない。そのために使わなかった。否、使えなかった。けれど鉄鉱石を食べたなら話は別だ。電気を通す鉄があることにより、俺の体は電気を使えると判断し、甲殻を作るのに余った鉄鉱石を使って体中に鉄の棒を作り出した。さしずめ理科で習う電気の実験でいう〝銅線〟だろうな。
それにもしかしたらフルフルを食べた事によって少しでも変な脂肪がついたのかもしれない。なんかキモイ・・・。
まあ物は試しだ。やってみるか、電気。
とはいったものの、どうしましょう?いや、さすがにジンオウガの雷光虫飛ばしとかは出来ないし、雷の調節だってうまく出来ればフルフルみたいに麻痺させることだって出来るんだろうが、そんな調整は知らん。
まああれだな。どこぞの小さな探偵くんの知り合いの自称天才発明家が作り出した。パワー全開にするとサッカーボールでも木をへし折れる程度のキック力を繰り出せるシューズの原理を利用すれば自分の身体能力を上げる事ができるかもしれない。
とりあえず、甲殻をスライドさせ鉄の棒を体外に出す。よく考えたらこの鉄の棒の長さ俺の牙くらいあるんですけど・・・。
電気ってどうするの?とりあえず体の中の電撃袋に刺激を与える、と何かの反応があり、鉄の棒に電気が流れた。おっ、案外簡単に使えるな。
でもどのくらいの威力で電流を流せば筋力増加の効果があるのか分からない。適当でいいか・・・。
とりあえず弱く流してみる。
腕が軽くなった。何これ怖い・・・。本日二回目の発言です。これって万能でいいの?なんか副作用とかリミッターとかないの?
とりあえずまた電流の強さを強くした。腕がさらに軽くなった・・・。何これ怖い・・・。もう何回でもいいやこの発言口癖になりそう・・・じゃねーよ!だ・か・ら!リミッターや副作用は無いんですか!?万能すぎて怖い!
それでも俺は電流の強さを上げた。しかし今回は何の効果も無かった。ホッ、よかった。さすがにね・・・。
まあこんなもんだろうね。さすがに強くなりすぎるのはちょっと・・・。
けれど、俺は恐ろしい考えを思い浮かべてしまった。
ソニックブラスト撃ったらどうなるんだろう・・・?
俺は体の鉄棒を出したままにし、電気をチャージした。限界まで溜まったところで首に出来る限り力をこめてソニックブラストを地底洞窟の奥地に向かって放った。
結果を知っているのは俺だけだ。
火山古龍観測隊よりギルドへ
地底火山が活発になっているようだ。調査がしたい。許可を願えるだろうか?
ギルドより火山古龍観測隊へ
許可の申請、受け入れる。気球を普段より高度を下げての観測をされたし、十分に注意するように。
火山古龍観測隊よりギルドへ
ありえないことが判明、地底火山にて謎のモンスターを発見。外見はアカムトルムは酷似しているが、大きさがドスジャギィ程度だ。行動パターンはあまり把握できなかった。遠くからの観測になったが、基本的な行動パターンを把握できた。報告する。
・ソニックブラストを確認。アカムトルムと同じようだが、複数のパターンを確認。詳細までは不明。
・ティガレックスのように、地面に爪をつきたてて、押し飛ばす行動が見られた。
・鉱石を好んで食べているようだ。そのせいか体色が白がかっている。
・グラビモスなどの大型モンスターを主食としているようだ。大きさでは適わない が、並外れた戦闘力を持つようだ。ウカムルバスのように大きく跳躍する様子も 見られた。
・時折狂ったように咆哮を上げる様が確認された。
これは新種だろうか?新種認定の要請する。
PS、かなり戦闘力が高く、狂暴だと思われる。
ギルドより火山古龍観測隊へ
そのモンスターの件についてはマスターと審議しあったが、新種に認定された。アカムトルムに酷似しているが、行動パターンや行動原理、戦闘力、知性が全く違うことが決め手になったようだ。
火山の立ち入りを規制した。捕獲して調査がしたい。
クエスト名:謎の竜の捕獲
依頼主 :地底火山において覇竜の亜種や近縁種と思われる固体を確認。通常種 のような巨躯ではないが、違う行動パターンなどが数多く見られた。
挑戦するのは個人の自由だが、十分な準備をおすすめする。
契約金 :700z
報酬金 :90000z
アカムさんがばれた!?
実はアカムさんは古龍観測隊の気球に気がついていました!さすがに打ち落としはしませんでしたが、色々威嚇してました。時折狂ったように咆哮をあげていたのはそのためです。
そして雷属性取得!鉄棒の件は、ん?おかしくね?、と思ってもあまり追求しないでください・・・。イメージが無ければ、確かナルトに背中から杭がいっぱい出ているやつがいたような・・・。
疲れました!
報酬金にきがつきましたかね・・・。