幻想妖美伝   作:Lan9393

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今回は一段と短いです。
すいません・・・。


十二話:遊び相手

 ヴェルディは、目の前の少女たちに対して、あきれを感じていた。

はしゃぐフランドールに、それを見て笑むレミリア。

なんで、こうなったか?

 

 

 

 

 

 数分前、ヴェルディは咲夜に連れられ、レミリアの部屋を訪れた。

何も考えず、部屋に入った彼はフランドールの存在に気づく。

目が合い、フランドールは反射的に目をそらした。

それに不思議そうに首をかしげると、部屋の主から声がかかる。

 

「・・・ヴェルディ、あなたに頼みたいことがあるの」

「頼みたいこと?・・・・・・強引に要求すればいいじゃないか。なぜ?」

「あなた、人がせっかく『命令』でなく、『お願い』をしようというのに・・・水を差すようなことを」

「これが俺の癖なものでな」

「それならしかたない・・・のかしら」

 

「さあな」と短く済ます。

レミリアの服の裾を、フランドールがちまっとつかんで引いた。

 

「お姉さま。この人、どうするの?」

「そうね・・・。フランがいいのなら、あなたの遊び相手でもいいわよ?」

「え、いいの?」

「おい、聞いてないぞ・・・。こいつの遊び相手って・・・」

 

ヴェルディはひどく疲れたようなそぶりで溜息を吐く。

喜んでいるのか?フランドールは、笑みを浮かべながらヴェルディの反応をうかがっていた。

 

「ダメ?」

 

レミリアの隣で、問うフランドール。

その様子に、またため息をついた彼は、「ダメというか」と口ごもる。

 

「・・・断るのかしら?」

「なあ、それ。俺に断らせるつもりないよな」

「そうね。ノアを殺した犯人を見つけるまで、でいいのよ?」

「はぁ・・・。しかたない。それでいい・・・・・・よな、フランドール」

「えっ?!・・・・・・あ、うん。もちろん!」

 

どこか苦しそうな顔をしていたフランドールがヴェルディの呼びかけに一拍遅れて反応した。

―――様子がおかしい。

そう感じたヴェルディは、問うこととした。

 

「・・・なんかあったのか?嫌なら嫌と・・・」

「嫌って言うか・・・ううん。うれしいよ!お兄さんとお話するのも楽しかったけれど、遊ぶのも楽しそう!」

「そうか・・・なら、まあいいんだが」

 

フランドールはにぱっと笑みを浮かべた。

 

「・・・?」

 

レミリアも『おかしい』と気づいたのか、眉を顰めフランドールを見やった。

それに?を浮かべるフランドールはぴょんぴょんと跳ねて、喜びを体で表現するかのように動き回る。

見ていたレミリアがその様子にクスッと笑みをこぼした。

 

「・・・堕天使と遊ばせるだけで喜ぶなんて・・・よっぽど暇だったのね。申し訳ないことをしたわ」

「・・・・・・いいのか?堕ちた身だが・・・天使と遊ばせて」

「いいのよ。霊夢や魔理沙以外のやつとも遊ばせてやりたいけれど、それができなかったから」

「霊夢と、魔理沙以外に・・・いなかったのか?」

「美鈴がちょいちょいかまってあげてただけよ」

 

どこか憂いていうような表情をして見せるレミリアに、ヴェルディはついフランドールに目を向けてしまう。

未だに喜び跳ねているフランドールは、視線を向けられていることに気づき、ヴェルディたちを見返した。

 

「・・・なぁに?」

「いや、なんでもない」

「ええ。そうね」

「・・・そっか。わかった。じゃあお姉さま、私は先にお部屋にいるね。じゃあね!」

 

フランドールは、嬉しそうに笑みを浮かべながら、部屋から出ていった。

ヴェルディはそれを見送り、レミリアが口を開く。

 

 

「あなたは、これでいいの?」

 

 

こちらを冷たく見下ろしてくるレミリアの目。

 

 

「いいわけないだろ」

「・・・そうよね」

 

(俺はフランドールにかまっている暇は本来ないはずだ・・・。なのに、なんで・・・?)

 

半ば強制的であったことも理由にはあげられるものの、ヴェルディは強引に断れなかったことを不思議に感じていた。

なぜだ、なぜなんだ。

そんな言葉が頭をぐるぐるとめぐる。

そのうち、考えるのをやめたヴェルディが「じゃあな」とその場を離れようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「?」

 

 

呼び止められて、ヴェルディはレミリアを見やった。

 

「妹を・・・どうか、よろしく頼むわ・・・」

「・・・?」

「本当に・・・忌々しいことだけれど」

「・・・まあ、程々にな」

 

悲しそうに笑みを浮かべたレミリア。

彼女の表情の意味とは、いったいなんなのか・・・。

ヴェルディは、それを探ることはせず、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆  ☆  ☆

 

「もう、ヴァルったら・・・」

 

くすくすと少女が笑った。

『ヴァル』をどこかから見下ろして、少女は体制を変える。

頬杖をついていたが、その場に寝転がり、ほのかに笑む。

 

「フラン・・・。いつまでも、『僕』に縛られていちゃだめだよ」

 

「ヴァル、お願い・・・。フランをどうか・・・」

 

にっこりと笑んだ少女。

それは、ヴェルディにフランドールのことを頼んだ時の、レミリアの表情と同じで。

少女は静かに首を振って思考を飛ばすと、息を一つ吐いて、起き上がった。

 

「さて、『僕』は『僕』のすべきことをしないとね」

 

「いつか・・・元気な姿を彼の前に見せられるようにね」

 

ただれた右腕を持ちあげて、少女は羽を羽ばたかせ、()を蹴った。

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