すいません・・・。
ヴェルディは、目の前の少女たちに対して、あきれを感じていた。
はしゃぐフランドールに、それを見て笑むレミリア。
なんで、こうなったか?
数分前、ヴェルディは咲夜に連れられ、レミリアの部屋を訪れた。
何も考えず、部屋に入った彼はフランドールの存在に気づく。
目が合い、フランドールは反射的に目をそらした。
それに不思議そうに首をかしげると、部屋の主から声がかかる。
「・・・ヴェルディ、あなたに頼みたいことがあるの」
「頼みたいこと?・・・・・・強引に要求すればいいじゃないか。なぜ?」
「あなた、人がせっかく『命令』でなく、『お願い』をしようというのに・・・水を差すようなことを」
「これが俺の癖なものでな」
「それならしかたない・・・のかしら」
「さあな」と短く済ます。
レミリアの服の裾を、フランドールがちまっとつかんで引いた。
「お姉さま。この人、どうするの?」
「そうね・・・。フランがいいのなら、あなたの遊び相手でもいいわよ?」
「え、いいの?」
「おい、聞いてないぞ・・・。こいつの遊び相手って・・・」
ヴェルディはひどく疲れたようなそぶりで溜息を吐く。
喜んでいるのか?フランドールは、笑みを浮かべながらヴェルディの反応をうかがっていた。
「ダメ?」
レミリアの隣で、問うフランドール。
その様子に、またため息をついた彼は、「ダメというか」と口ごもる。
「・・・断るのかしら?」
「なあ、それ。俺に断らせるつもりないよな」
「そうね。ノアを殺した犯人を見つけるまで、でいいのよ?」
「はぁ・・・。しかたない。それでいい・・・・・・よな、フランドール」
「えっ?!・・・・・・あ、うん。もちろん!」
どこか苦しそうな顔をしていたフランドールがヴェルディの呼びかけに一拍遅れて反応した。
―――様子がおかしい。
そう感じたヴェルディは、問うこととした。
「・・・なんかあったのか?嫌なら嫌と・・・」
「嫌って言うか・・・ううん。うれしいよ!お兄さんとお話するのも楽しかったけれど、遊ぶのも楽しそう!」
「そうか・・・なら、まあいいんだが」
フランドールはにぱっと笑みを浮かべた。
「・・・?」
レミリアも『おかしい』と気づいたのか、眉を顰めフランドールを見やった。
それに?を浮かべるフランドールはぴょんぴょんと跳ねて、喜びを体で表現するかのように動き回る。
見ていたレミリアがその様子にクスッと笑みをこぼした。
「・・・堕天使と遊ばせるだけで喜ぶなんて・・・よっぽど暇だったのね。申し訳ないことをしたわ」
「・・・・・・いいのか?堕ちた身だが・・・天使と遊ばせて」
「いいのよ。霊夢や魔理沙以外のやつとも遊ばせてやりたいけれど、それができなかったから」
「霊夢と、魔理沙以外に・・・いなかったのか?」
「美鈴がちょいちょいかまってあげてただけよ」
どこか憂いていうような表情をして見せるレミリアに、ヴェルディはついフランドールに目を向けてしまう。
未だに喜び跳ねているフランドールは、視線を向けられていることに気づき、ヴェルディたちを見返した。
「・・・なぁに?」
「いや、なんでもない」
「ええ。そうね」
「・・・そっか。わかった。じゃあお姉さま、私は先にお部屋にいるね。じゃあね!」
フランドールは、嬉しそうに笑みを浮かべながら、部屋から出ていった。
ヴェルディはそれを見送り、レミリアが口を開く。
「あなたは、これでいいの?」
こちらを冷たく見下ろしてくるレミリアの目。
「いいわけないだろ」
「・・・そうよね」
(俺はフランドールにかまっている暇は本来ないはずだ・・・。なのに、なんで・・・?)
半ば強制的であったことも理由にはあげられるものの、ヴェルディは強引に断れなかったことを不思議に感じていた。
なぜだ、なぜなんだ。
そんな言葉が頭をぐるぐるとめぐる。
そのうち、考えるのをやめたヴェルディが「じゃあな」とその場を離れようとする。
「待って」
「?」
呼び止められて、ヴェルディはレミリアを見やった。
「妹を・・・どうか、よろしく頼むわ・・・」
「・・・?」
「本当に・・・忌々しいことだけれど」
「・・・まあ、程々にな」
悲しそうに笑みを浮かべたレミリア。
彼女の表情の意味とは、いったいなんなのか・・・。
ヴェルディは、それを探ることはせず、部屋を後にした。
☆ ☆ ☆
「もう、ヴァルったら・・・」
くすくすと少女が笑った。
『ヴァル』をどこかから見下ろして、少女は体制を変える。
頬杖をついていたが、その場に寝転がり、ほのかに笑む。
「フラン・・・。いつまでも、『僕』に縛られていちゃだめだよ」
「ヴァル、お願い・・・。フランをどうか・・・」
にっこりと笑んだ少女。
それは、ヴェルディにフランドールのことを頼んだ時の、レミリアの表情と同じで。
少女は静かに首を振って思考を飛ばすと、息を一つ吐いて、起き上がった。
「さて、『僕』は『僕』のすべきことをしないとね」
「いつか・・・元気な姿を彼の前に見せられるようにね」
ただれた右腕を持ちあげて、少女は羽を羽ばたかせ、