幻想妖美伝   作:Lan9393

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二十二話:弾幕ごっことお出かけ

琴羽side

 

「よし、弾幕ごっこするぞ!」

 

 僕の目の前に立って、魔理沙はそう言い放った。

僕はしばらくその言葉の意味を理解しかね、魔理沙さんのどや顔を眺めていたが、テーブルの上に置いたクッキーを口に放り込み、咀嚼して飲み込んでから、次の言葉を言ってあげる。

 

「・・・急にどうしたんですか?」

「急にってなんだよ急にって。お前、この幻想郷では弾幕ごっこは普通だからな?」

「そう言われても・・・。弾幕ごっこってなんですか?」

「あー、そっからかぁ」

 

魔理沙さんは一気にやる気をなくしたように顔をしかめてから、どう説明したものか悩んでいるらしく、唸りながら考えるようなしぐさをする。

 

「こういう球体とか、こういうカードを用いて遊ぶんだ。怪我するけど、楽しいぜ」

「・・・ん?」

 

彼女が手のひらの上に作り出した球体には少々見覚えがあった。

 いつか、森の中出迷子になったときにアリスさんが妖怪(どう見てもただの化け物にしか見えなかったあれだ)にぶつけていた弾丸のようなアレと同じようなものだと思った。

しかし、魔理沙さんの手のひらの上に形成されていた球体は次第に星形に形を変えて、パンッとはじけて、星のかけらのようなキラキラが部屋に散らばる。

 

「まあ、いろんな色、形をしたこういうのを相手とぶつけ合うんだよ。こういうのをいっぱい作ってぶつけあうから、弾幕ごっこみたいに名前がついたんじゃねーかな?」

「へぇ・・・それじゃ、そのカードは?」

「『スペルカード』だな。これを発動すると、・・・まあ・・・必殺技みたいにぶわーってなるんだ!綺麗だったりするぞ!」

「・・・ふむふむ」

「弾幕ごっこは、相手と『弾幕の綺麗さ』で競うんだよ。妖怪と人が対等に戦うための遊びだな!」

「・・・・・・その説明であってるんですか?」

「しらねー。ま、私はさっきみたいな星っぽいの作ってやってるぜ。宴会とかでも、弾幕ごっこする奴らは多いからな、覚えて損はねーぜ」

 

 からからと笑う魔理沙さんに、「同じようなものが作れるのか」と眉を寄せて見せると、「大丈夫だよ、練習すりゃできるようになる!」と笑ってくれた。

説明に少し不安を覚えるが、まあ『習うより慣れろ』というし、とにかく練習してみることとする。

 

☆  ☆  ☆

 

 ぽこんっと出来上がった小さいが、丸く白い球体を眺めて、僕は溜息をついた。

弾幕ごっこの説明を受けて小一時間。

やっと出来上がったのがこの大きさだと先が思いやられる。

 

「・・・魔理沙さん」

「うん、がんばれ」

「アドバイスも何もなしですか!」

「だってよー・・・。それじゃ今日は弾幕ごっこは無理かー」

 

唇をとがらせて、魔理沙さんはそうやってボヤいた。

うっ、なんだかそう言われると罪悪感が・・・。

僕は罪悪感から目をそらし、手のひらにできた球体を握りつぶすことで消した。

 

「ちぇー。楽しめるかと思ったのにな」

「・・・すいません」

「いや、いいって。大丈夫だ・・・ま、そのうち暇つぶしに弾幕ごっこできるようになるって!」

「なればいいですねぇ・・・」

 

遠い目をしながら、魔理沙さんの言葉に願望を混ぜながら答えると、魔理沙さんが快活に笑った。

僕の背中をたたいて、言葉を放った。

 

「なるって、絶対」

「絶対ってつけないでくださいよ・・・なんか、できなかったら罪悪感が半端ないじゃないですか」

「今更だろ、そんなの」

 

 いつか、彼女と弾幕ごっこができる日が来る・・・。

とりあえず、それを目指して頑張ってみようと思う。

 

「そういや、緋乃はずいぶん前に弾幕ごっこ学んでたな・・・。教わってみたらどうだ?」

「緋乃が?」

「ああ。あいつと一回遊んだことあるんだよ。ボッコボコにしてやったぜ☆」

「う、うわぁ・・・」

 

ボコボコにされた緋乃を思い浮かべて、少しばかり笑ってしまう。

 

「それじゃ、ちょっと私は用事思い出したから。・・・えっと、琴羽はどうする?今から私、紅魔館に行ってから、アリスの家に行ってかるーく駄弁って帰ってこようかと」

「あー、そうですか」

「お前も来るか?」

「・・・えっ、あっいいの?」

 

来るかと問われて思わず素で聞いてしまった。

魔理沙さんはそんな僕を見て苦笑して、「まあいいんじゃね?」と言うと、箒を取り出した。

 

「確かお前って一人で飛べたっけか?いつも連行してたからわからないんだが」

「まあ・・・少しばかり遅くなりますけど」

「あー、そうなのか。じゃあまあ行きはゆっくりでいいや。いこうぜ」

(まだ行くとも行かないとも言ってないのに行く方向になっている・・・!)

 

僕の手をひっつかんで箒に座ると、魔理沙さんはどんどん高度を上げていく。

自分で風を操り、体勢を整える。すると、僕の手は離され、一人で飛ぶこととなる。

魔理沙さんが前へ進みだすと同時に、僕も前へ動き始めた。

 二人で出かけるなんて、初めてのことかもしれない―――少し、楽しみだ。

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