リメイクといって、ほとんどが前の文を書き換えたりするだけだからかなぁ(汗
俺が霊夢と会って、数ヶ月が経った。
ヴェルディの話は最近は聞かない。どうしているのだろうか?
俺はあいつが連れ出してくれたおかげ、一週間に一度、霊夢に同行してもらってやっと、狩りに出ることを許可してくれたのだ。
なんで霊夢が付いてくるかはわからない。
霊夢の心境を真剣に考えて、「こうなのか?」と問うても、だいたい彼女は「そんなもん、なんとなくよ、なんとなく」とそっぽを向いて言い放ってしまうのだ。
考えるだけは自由、と俺は勝手に推測しているが、これらがすべて「なんとなく」で済まされるのかと思うと、苦笑してしまう。
そこまで考えられるほど、俺にとっては珍しい存在になったのかもしれないな、なんて達観的に言ってみたり。
数か月の間は何も起こらなかった。
基本的に俺は神社で留守番、霊夢は周りのやつらの対応や仕事をしている。
その仕事とは、だいたいが妖怪退治。
巫女本来の仕事であると当人は言った(そんな物騒な巫女がいてたまるかとついつぶやいてしまい、その後霊夢にひどい目にあわされてしまったが)。
人里のみんなを困らせている妖怪を懲らしめるもの。
本人はなんでもないというようにに言っていたものの、それは結構過酷であった。
彼女自身、人里の住民にあんまり好かれていないようなのだ。
(妖怪に好かれやすいんだから、人に好かれにくくて当たり前か)
彼女のまわりには比較的、『ヒト』に分類されにくい種族の者たちが集まる。
人喰い妖怪や、妖精たち。陽気で楽し気な彼女らでさえ、人里のみんなは怖がってしまう。
その中でとりわけ凶暴な奴と戦ってきて、帰ってくるなり貧血で倒れられたことがあって、慌てて医者の元へ急いだこともある。
極力、その仕事は受けて欲しくないと今は思う。
いってほしくない理由は二つほどある。
その一つ目は、『食料と食費の問題』だ。
人を心配しといてそれか、と思うだろう、ただ、彼女の生活の中に、『金』というものは本当に大切なものなのだ。
帰ってくるなり腹の虫がなって、飯を要求してくるのだ。それも大量に!作る側のことを考えていない!
いくら、霊夢の力が強くたって、霊夢も人だ。
限界まで力を酷使すれば疲れて、燃料切れにもなる。
そして、もう一つの理由は『傷ついて欲しくない』ということ。
霊夢が帰ってくると、決まっ家に帰るときの言葉を言う。
ここまではいいんだ。
出会うなり、焦った表情になり、あからさまに避けてくる。
どうしたのか聞いても「なにもない」と言い、患部を隠すように去って行く。
隠されると、どうにも心配でならない。
俺の心配は無用なんだといっているようでもあったが、俺はそんなことを関係なしに心配してしまう。
それはなぜかはわからないものの、俺はどうしようもなくその光景を見るたびに、言い知れない不安を覚えるのだ。
今日も、霊夢は妖怪退治に向かっていた。
きっと、また怪我して帰ってくるんだろうなと、深くため息をつく。
「ただいま」
『おかえり、霊夢』
噂をすればとか何とか。
縁側から玄関口へ移動すると、霊夢はぎくりと身を強張らせる。
ふいに腕を動かし、俺の視線から逃れるように移動する。
あ、今日は右腕か。
腕の布が赤くシミを作っていて、しかも隠されてる。
「さ、ご飯作って頂戴!」
『ああ、もうできてるよ。・・・それより聞きたいんだけど』
「なにもないわよ。心配しすぎよ」
俺の質問なんてわかってるというように、変わらぬ仏頂面で彼女は俺に帰した。
でもその顔は微かに引きつっていた。
ふとした時、霊夢の顔が悲痛にゆがむ。
『右腕?』
「なッ・・・・・・ち、違うわよ。・・・信用されてない?」
『そうじゃないよ。・・・心配なんだ。怪我してしまうのは仕方ないと思ってる』
この際、怒るだけだったが本心を言うことにしておく。
・・・このまま、怪我され続けるのも困る。
さっきまで述べていた自分勝手な理由もそうだ。
俺の自分勝手で、こうやって文句をつけるのはあれだから、別の理由をつけよう。
心配だからだ。
いつしか、彼女は俺を泊めてくれている間に無理をして死んでしまうのではないのだろうか?
彼女の怪我はひどくならない。ひどくはならないのだが、必ず出血をしているのを俺は見てしまう。
彼女がたらふく食べるのも、「元気なのだ」とアピールするためなのかもしれない。
関係ない。
「じゃあなによ?」
『少なくとも、隠さないでほしい、それが嫌なら怪我を軽いものにしてくれ。隠さないでいてくれれば、文句は言わない。怪我が軽くなっても文句は言わない。・・・だけど、』
霊夢の腕を見て、俺は不満そうな声を作り、ペラペラと言葉を並べ、やがて止まった。
なんで俺は居候の分際で家主に文句を言っているのだろうか?
なんで、俺は隠されるのが嫌なんだ?
怪我の話は、まあ治療がどうのとかそう言う話で終わらせられるだろう。
それではなぜ?なぜ、隠すのはいけない・・・?
自分の放った言葉に驚愕し、俺は次の言葉が出てこない。
『だけど・・・』
(もしかして、俺は隠されるイコール、信用されてないと思ってる?!)
俺は、もう一度言葉を発そうとして―――やめた。
霊夢は不機嫌になったようで、「言いたいことがあるなら言いなさい」と俺を指さしてそう言った。
そうは言われても、信用されてないのをありのまま言ってしまえば、それこそ「なんだ」といわれてしまいそうで怖かったからだ。
怖い?怖いのだろうか?
――――違うのかもしれない、信用されているのかも。
今までの考えとは全く真逆の考えを持った俺は、声を作りだした。
『・・・だってさ、怪我のことを隠すってさ・・・』
「あんたに心配かけさせたくなかっただけよ。はい、終わり」
霊夢は長くなると思われる俺との会話に終止符を打つと、居間に入って行った。
呆然とその姿を見つめるしかできない。
なんで?なんでだ?
何故、終わらせた?
『―――なあ』
「なによ?もう怪我の話は終わりよ?」
少し不安になった俺が、霊夢の後を追いかけてその裾をつまむ。
こちらを振り返って、「今度は何よ」と呆れたように行ってくる霊夢に、裾を離して問うた。
『もしさ・・・俺がどっか行ったら?』
その質問に、「は?」と霊夢は目を丸くした。
急に、関係のない質問をされた霊夢が戸惑っているのを俺はどこかすがるような思いで見つめる。
「・・・なにしてるのよって怒るわね」
『そう、・・・・・・だよな』
心配する。
そう言われたかっただろう質問は、いたって普通の反応で返されてしまう。
それもそうだ、何とも思われてないはずだ。
それなのに、なぜ俺は勝手につけあがったのだろう?
「急になんなの?様子ヘンよ?」
『べ、別に・・・。霊夢が心配かけさせるからだろ?』
笑いながら言ってやれば、霊夢は暗い顔をする。
――――なんでそんな顔をするんだ?
食事を並べ、霊夢のことをもんもんと考える。
霊夢からいつも聞こえるひねくれた美味しいは、今日だけは、頭に入ってこなかった。
聞きたくても言わせない。
霊夢は、そんな雰囲気であった。
この時、食事中にいつものように考えていた、これが夢で、もし地上に戻ったらどうするかは、頭からすっぽぬけていて霊夢の表情が、ただただぐるぐると頭を回っていた。
「・・・約束」
『え?』
「お互い、何も言わずにどっかへ行かないこと。何かがあるなら、必ず文句は相手に言うこと」
「いい?私の勘はそんな鈍くないのよ。死にそうな仕事は引き受けないし、この仕事上、怪我だって当然するのよ・・・わかった?」
霊夢が黙っていたのは、これを考えていたから、なのだろうか・・・?
彼女の耳が少し赤くなっているのを見つける。
それを見て、少し笑ってしまった。
(・・・『約束』、か)
☆ ☆ ☆
また、それから数日が経つ。
人里から、妖怪退治の依頼があった。
今回は、凶暴な妖怪がいるとのこと。
心配でならない。
『霊―――・・・』
「いってきます」
『・・・帰って来いよ?」
「もちろん。私を誰だと思ってるの?―――幻想郷一の巫女様よ?」
霊夢は、ドヤッとした笑みを浮かべて言い放った。
鳩が豆鉄砲をくらったような顔で俺は霊夢を見る。
今まで異常に過剰な自信に、苦笑するしかなかった。
『そう、だな!』
俺を拾ってくれた彼女は、強いんだ。
この幻想郷の中で、一番。当然俺よりもだ。
なんたって、素敵で最高の巫女様だから。