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プロローグ
始皇帝が統一に成功して生み出した統一国家帝国。この国も1000年経った結果、腐敗と汚職が蔓延しておりいつ亡国になっても驚かない老大国。おまけに革命軍が帝国打倒を掲げ蜂起しておりいつ内戦になってもおかしくない情勢だった。
「なるほど、そしてこの帝国は周辺諸国の中では一番科学技術が発展している先進国であり、始皇帝の命令で造りだした帝具と呼ばれる武具は現在では再現できない物というわけだな」
「は……はい。現在の……か、科学技術で……は帝具を再現でき……たと聞いた……ことは……あり……ません……」
「そうか。さすがは革命軍の一員と言ったところか。なかなかの情報を持っているようだな」
木に縛り付けられている男から最低限必要な情報を聞き出した長髪の男性は、最後に木に縛られたままの哀れな男の頭を手で鷲掴みにする。
「うっ!? ……」
「なるほど革命軍はこの国の首都から南の方にいるのか。それとナイトレイドという暗殺組織を使っているのか……何とも滑稽なことだ」
大臣の悪政に対抗する為に暗殺という一番汚い手段に出ている革命軍の所業に思わず笑いが噴き出てしまう。
革命軍は悪政を行い腐敗した帝国を打倒して民を救うという大義名分を掲げているが、その手段を知ってしまった第三者から見ればどんぐりの背比べだ。
「さて。必要な情報は大体手に入れた。この国の都である帝都に向かうとしよう」
滅びへと向かうこの国に1人の男が降臨したことにより、多くの人間達の運命は大きく変わっていくことになるとはこの時はまだ、だれも知る由もなかった。
「報告を聞こう」
「現在異民族討伐は大元帥閣下が組織した特殊部隊に加え、あなた様が授けてくれた例の物のおかげで順調です」
皇帝が住む宮殿一角でこの国の政治を実質担っている2人の男が、この国の政治について話をしていた。
1人は現皇帝を皇帝の玉座に座らせてこの国を牛耳っているデブ男ことオネスト大臣。
「あなたが来てくれて本当に助かりました。最近の帝国軍や警備隊は情けない限りなので」
「お世辞はいい。それよりも革命軍の方はどうなっている?」
オネスト大臣の言い分にマダラは内心お前のせいだろうがと突っ込みを入れたが、それを口に出すことはなかった。
「あれだけ我らが痛めつけて大打撃を与えたにも関わらず、羽虫の様にうるさく足掻いていますよ」
「そうか。連中は余程愚か者のようだな」
オネスト大臣は顔を顰め、マダラは革命軍の愚かな行動を嘲笑する。
オネスト大臣打倒を旗印に帝国軍の離反者等を中心にまとまっている自称革命軍は、マダラがこの前行った軍事作戦によって並の国家組織なら滅亡してもおかしくない程の被害を受けていた。
「この前革命軍に資金給与を密かに行っていた町が誓約書を出してきました。すでに10件目です。奴らの活動資金は日々少なくなっていますので軍の崩壊は時間の問題のはずなのですが……」
「ふむ」
オネスト大臣は帝都に届けられた誓約書をマダラに見せる。
この誓約書は革命軍が結成以来の類を見ないダメージを受けた後、マダラが彼等を切り崩すべく仕掛けた工作の1つだ。
軍を維持するには莫大な金が必要だ。革命軍は政治の腐敗が進めば進むほどそれに比例して規模を拡大しているが、それを維持する為にはそれ相応の収入が必要だった。
そこで革命軍は大臣の悪政や政治腐敗に嘆いている良識を持った者をメンバーに加えて、その者達から武器や食糧等軍を維持するのに必要な金を得ている。
「異民族や革命軍に通じて交易の利益を横流しした者は粗方粛清したはずだが?」
「はい。……ですがスパイの報告では革命軍は士気は落ちていますが、まだ軍として組織を維持できているようです。数が増えれば負担は増すにも関わらずです。奴らを支援する連中はゴキブリの様に湧いて出てくるのですよ」
「(それはお前のせいだろうが)」
マダラは革命軍の支援者を増やしている原因になっている目の前の暴食デブ大臣を内心罵倒する。
現在の戦力比を数字で表すと帝国、革命軍、その他の順番で3:5:2。
自分が来る前は2:7:1だったのだから帝国側は随分挽回したと云えるが、それでも依然革命軍有利には変わりはないのだ。
「特殊部隊は連中の後方攪乱任務中だ。そっちに回せる人員はない以上警備隊や軍のケツを叩くしかないだろう」
「それしか方法はありませんな……。いや、待ってください。それならエスデス将軍を呼び戻しましょう」
「あのエスデスをか?」
マダラはオネスト大臣の口から出た人物に顔顰める。
「ええ。実力は申し分ありませんし、彼女に帝国に湧く賊共を殲滅させます」
オネストはどうでしょうか? とマダラを見ながら自分の考えを述べる。
「悪くない案だがあいつはやり過ぎる所がある(正直軍を率いてずっと異民族の相手をしてもらった方がいい)」
しかし、マダラはエスデスに治安を任せることに一抹の不安が生まれる。正直彼女がやり過ぎて余計な禍根を残す結果が目に見えている。最もマダラからすれば彼女のやり方は正直中途半端過ぎた。
敵を殲滅するのなら1人残らず始末すべきなのに戦いを楽しみたいからという理由で、中途半端に敵を逃す。その為に見逃した敵が力を再びつけて復讐にやって来るので、彼女のやり方にマダラはイラついている。
「そこはあなたが彼女の主人として手綱を握ればいいだけではないでしょうか? あのエスデス将軍もあなたの前では借りてきた猫のように大人しくなっていますし」
「……」
マダラは自分に敗北して以来、猛烈にアプローチを掛け続けているエスデスを思い出して無言になる。
彼女の主義主張からすればある意味正しい行動なのかもしれないが、普段の彼女を知る人間の前では自分に対する態度も普段通りに接してほしいと内心思っていた。
「取り敢えずエスデス将軍に帰還命令を出します。それと平行して警備隊と軍には一層喝を入れて賊や革命軍の協力者を始末させます」
「ナイトレイドもそろそろ放置はできないな。革命軍は奴らを便利な捨て駒として利用しているからな」
暗殺組織ナイトレイド。
メンバーのほとんどが帝具持ちで中には過去帝国軍に所属していた者もおり、悪政や汚職を行った役人や政治家、金持ち等は彼等の手によって殺害されている。
無能で愚かな連中を処分する手間が省けるのはありがたいが、そんな連中を処罰できない程帝国の力が衰えていることを強調されてしまうので、そろそろ始末した方がいいかもしれない。
「ええ。まったく忌々しい連中ですよ。折角こっちは適切な政治を始めているのに未だに暗殺を続けるのですから」
オネスト大臣もナイトレイドの名を聞いて顔を怒らせながら頷く。
彼の適切な政治という発言にマダラは眉を顰めるがそれをすぐに引っ込める。
「まずは暗殺部隊を使って、未だに交易の利益を横流しにする連中を始末する。裏切り者にはそれ相応の報いを与えてやる」
「お願いします。私は何とか宮廷の動揺を抑え込みます」
マダラはそう言って席を立ち部屋から出て行った。
「まったく持って頼りに成るお方ですね。正直革命軍には同情を禁じ得ませんよ」
オネストはそう呟きながら机の上に置いてあったシュークリームを平らげるのであった。
マダラは命令書を暗殺部隊の部署へと持っていくように部下に命令した後、自分の執務室で届けられた報告書を読んだ後一息ついていた。
「東半分をほぼ掌握。革命軍に繋がっていた者はほぼ始末し、僅かに逃げた者は革命軍の本拠地がある南へ逃亡したようだな」
これでこの国の4分の1を手に入れたことになる。正確には取り戻したということになるが。
「それにしてもこの国に来て1年か……月日が経つのは早いものだ」
この国の宮廷に潜入してこの国を実質掌握したことを昨日ことのように思い出しながら、マダラは政務に取り組む。
「あの愚か者を始末するタイミングは重要だ。すでに準備を整えたがもう少し餌になってもらわなければならん。類は友を呼ぶというからな」
オネスト大臣には彼に似たような愚か者を傘下に集めてもらう必要がある。
一時人材は不足するかもしれないが革命軍の切り崩し工作で集めた人材を、前大臣チョウリの元に送って再教育を施しているから問題ない。
無論そのチョウリも自分の手下と化しているので裏切られる心配はない。
「そのチョウリが帝都に来るつもりだと……エスデスが戻ってくるのにタイミングが悪すぎるな」
大臣にとってチョウリは邪魔者でしかない。エスデスを使って始末する可能性もある。
「前途多難だな」
自分でも何故ここまで首を突っ込んでしまったのか少し後悔しながら仕事に打ち込むのであった。