IS -錬鉄の女騎士-   作:skyfish

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前半 Fate/EXTRAより ヤバイときのBGM(名前分からなかった)
     
後半 戦闘シーン 魔法使いの夜より Judicare tibi



第13話「人形劇・前篇」

岸波白野は実をいうと定められているアリーナの使用時間を無視していた。だが通常なら当番の教員に見つかりすぐに出されてしまう。そう、通常なら

 

「はぁ……はぁ……これで、34回中……34失敗……」

 

疲労の表情を顔に出しながら彼女はバタンと座り込む。彼女の手には刀身が折れた剣。そして目の前には地面に突き刺さる巨大な大剣。その周りに散在する彼女が持つものと同じ剣、だが、そのすべてがただの鉄屑になっているが。

 

「一体なにがだめなの、アーチャー」

(ふむ……。この前言ったことだが訂正しよう。私の固有結界にあった宝具を投影するときマスターのイメージが大きく影響されるようだ)

「自分のイメージがあやふやだからこの結果になった……か」

 

手に持つ折れた剣を見る。

 

彼女が34回も投影した宝具は『不滅の天剣(デュランダル)

フランスのシャルルマーニュ伝説に登場する英雄、シャルルマーニュの聖騎士、通称パラディンの筆頭として登場するローランが持っていた聖剣だ。この聖剣の特徴は刃こぼれしない、折れない、斬れないものなしと言われるほどの切れ味が特徴だ。物語のなかでも最後の闘いで死にかけたローランが敵に聖剣を奪われるのを阻止しようと岩に叩きつけたがデュランダルは折れるどことか岩を斬ってしまったと書かれているほどだ。同じ能力を持つ聖剣アロンダイトがあるがデュランダルのほうが能力は高いだろう。

1次移行したときにアーチャーが投影し無人機の腕を切り落としていた。

アーチャーが投影したから他の宝具が自分でもできるかどうかやってみたのだ。

 

結果はこの通り。投影したはいいが目の前に刺さっている大剣、グレートソードで切れ味を確かめたがどれも無残に折れてしまった。それに異常に疲れた。

 

「やっぱり、私の魔力が必要みたいね」

(宝具の投影はしないことだな。私が使っている干将・莫耶は大丈夫なようだが)

「その宝具のイメージか…あの時対戦したサーヴァントたちの宝具はどうなんだろう?」

 

月の聖杯戦争で岸波白野とアーチャーに立ち塞がった強敵たちを思い出す。確かに彼らのことは他の伝承で伝わる英霊たちよりも良く知っている。投影できそうなものを想像する。

 

『砲撃用意! 藻屑と消えなあ!!』

 

無理。剣じゃないし。彼女が持っていたクラシックな銃だったら可能かもしれないけど

 

『ん~じゃ。ぼちぼち始めますかぁ』

 

同じ弓兵だからできなくないけど、もし能力発動したらIS学園崩壊する危険がある。ボツ

 

『さあ。楽しみましょう』

 

あれは彼女たちの固有結界だからアーチャーには無理

 

『では謝肉祭の始まりだ』

 

…………………………怖い。やめとこう

 

『はは! 世界は広い。こうでなくてはなぁ!』

 

あれは拳法だから再現不可能。彼の極致に至るまで何年かかるか分からない。

 

『■■■■■■■■■■―――!!!』

 

………やめときますか

 

『どうあれ、道を譲るわけにはいきません』

 

出来なくはないのかもしれないけど、魔力消費が馬鹿にならなそうだなぁ

 

 

 

(あれ? 全部できないじゃない……)

 

途方に暮れた白野はまた後日にしようと無銘を解除した。周りを見渡す。とりあえず“今は”視線を感じない。

 

(今はないけど、随分熱心だね)

(ただ見ているだけだからな。このままでいいのか?)

(いいんじゃない? それにもう疲れた。寝たい)

 

大きくあくびをしながら更衣室へと歩いていった。更衣室に入るなりイスに深く座り込む。はあ、と深く息を吐くと誰かが私の傍に近づいてきた。あまりの疲労に更衣室に入ってきたのさえ気が付かなかった。

 

「こんばんは岸波さん」

「はぁ…はぁ…シャルルさん、どうしたの……?」

「1つ聞きたいんだけど私を呼び出したのって岸波さん?」

「呼び出した……? いえ、私はずっとアリーナで訓練していたけど」

「そうなんだ。あれ?」

 

突然部屋の電気が消えた。だがすぐに非常用の電気がつく。

 

薄暗い電気がついたとき私は更衣室の出入り口に誰かがいることに気が付いた。顔は俯いて見えない。分かるのはシャルルさんと同じブロンド色の髪をした少女だ。誰? と思う間に“彼女”は右手を前に突き出す。そして、その手が、彼女の腕から切り離され真っ直ぐ飛んできた。

 

(え―――!?)

(マスター回避を!)

 

明らかに人間の物とは思えない所業に一瞬思考が停止する。すぐに現実に戻り回避しようとするが手は真っ直ぐシャルルの方へと伸びている。彼は後ろがどうなっているか気づいていない。このままでは危険だ!

 

「どいて!」

 

私は、岸波白野はシャルルを強引にどかして迫りくる魔の手から救い出した。

 

 

 

変わりに自分がやられることを覚悟して。

 

「っ、ぁああぁああ――――――!!!!」

 

“彼女”から放たれた手がお腹に突き刺さる。その勢いは止まらず、白野は後ろ10メートル後ろにあるロッカーに背中を打ちつけた。

 

「―――つあ!!」

 

壁にぶつけられた白野は苦悶の声をだす。一方、白野を撃ち捉えた手はスルスルとワイヤーみたいなものに引かれながら“彼女”へと戻る。

 

「岸波さん!」

 

シャルルはすぐに立ち上がり白野の方に駆け寄った。咳き込む白野を立ち上がらせる。

 

「う―――ごほっげほ! だい、じょうぶ?」

「それよりもあなたのほうだよ! けがは!?」

「お腹と背中を強く打ちつけただけ………それよりも」

 

痛みで顔を歪めながら白野は20メートル向こう、不気味に佇む人型を睨み付けた。今も彼女はスルスルと自分の手を戻している。

 

(無事かマスター?)

(ええ、なんとかね。それにアーチャー、一応聞くけどあれは人間?)

(生気を感じなければ魔力も感じない。人形だ)

 

ガチャン! と音を立てて人形の右手は元あった場所に戻った。次に何をしてくるのか警戒する。すると右の方で音が鳴った。

 

「誰?!」

 

別の人形が現れたのかと思い音がしたほうを見る。そこには腰が抜けたように座り半分涙目にした水色の女の子がいた。

 

「え、えっと。私は―――」

 

いきなりのことでパニックになっているのかうまく言葉に出せていない。彼女をチラッと見ただけで白野は人形に目を戻した。

 

人形の両手にはアサルトライフルのような銃が二丁握られていた。

 

(マスター!)

「シャル! 右!!」

「う、うん!」

 

白野とシャルルが銃の射線から逃れるのと銃弾が発射されるタイミングは一緒だった。人形がもつM16から放たれた弾丸が先ほど自分たちがいた場所に撃ちこまれる。なんとか避けたがこれではっきりした。あれは私たちを殺すつもりだ!

 

「逃げるよ! ほら、あなたも!」

「分かった!」

「う、うん…」

 

すぐさま行動に移す白野はシャルルに呼びかけ倒れている少女の手を握る。3人は別の出口、アリーナに続く通路へと走り出す。

 

一方“彼女”は手に持つM16を量子化しスタスタと歩き始めた。まるで獲物をじわじわと追い詰める獣の様に

 

 

 

 

 

 

薄暗い通路を走る。後ろから追ってくる人形とはかなりの距離ができたが詳細が分からない以上逃げに徹するだけだ。それに先生方に連絡を取ればどうとでもなる。そう思っていた。

 

「だめ。外と連絡がつながらない」

「そんな…。岸波さん大丈夫?」

「うん。だいぶ楽になった」

 

道中にある端末から簪が外から救援を呼ぼうとしたが、どうやっても連絡がつながらない。

 

「簪さんちょっと貸して」

「うん」

 

走っているときに軽く彼女のことを知った。

更識簪 あの生徒会長 更識楯無 の妹さんだとその時知った。そしてこの子が私を監視していたのだろう。そう思っている間に白野は外と連絡がつながらない原因を見つけた。

 

「なにこれ…アリーナのセキュリティがレベル7、それに外部からジャミングが掛けられている」

「レベル7!?」

「この前の襲撃よりも高い…」

「出入り口すべてが厳重に閉まってる。アリーナ内部もシールドエネルギー展開しているから突破も難しい……」

 

かなりまずいことになった。実質私たちは閉じ込められたことになる。私たちを狙う殺人人形と一緒に。

 

「シャル。ダメもとで聞くけど専用機の装備でシールドを破壊することできる?」

「無理。僕のラファールリヴァイブカスタムⅡは実弾装備だから不可能だよ。岸波さんのは?」

「私も同じ。装備は剣しかないから………………一つだけ例外があるけど」

「? 何か言った?」

「いや、何でもない。簪さんは?」

「持ってない………まだ完成してないから」

「そうか……あれ?」

 

なにか打開策は無いかとハッキングをしていた白野はあることに気が付いた。それはこのジャミングの原因。

 

「どうしたの?」

「外との通信を妨害するジャミングだけど、あの敵から発信されてる」

 

しばし沈黙が私たちを包み込む。現状でこの状況を打開するにはあの人形を破壊するしかない。そして遠くからこちらに近づく足音が聞こえてきた。

 

「とにかく、やるしかないってわけね。シャルルさん。私が時間稼いでいる間に簪さんを安全なところまで避難させてくれる」

「岸波さん1人置いて行けないよ!」

「でもこんな狭い通路だと普通のISは身動き取れないでしょ。大丈夫。少し時間を稼ぐだけだから」

「…分かった。更識さん行くよ」

「うん………無茶しないでね」

 

シャルルは簪の手を引いてここから去って行った。まあ、この通路はアリーナの内部に繋がっているからそこまで連れて行くだろう。それにもう私を見る者はあの人形しかいない。

 

「さて、はじめるよ。アーチャー」

(了解マスター)

 

白野は無銘を起動させる。手にはいつもの武器、干将・莫耶を装備する。無銘を起動させたとたん疲労がぶり返してきた。やはり訓練の時の疲れとあの時のダメージが残っている。

 

「長期戦になる前に何とか仕留めるよ」

(マスター。あまり無理するな)

「…分かってる。周りは頼んだよ」

 

ああ とアーチャーは頷いた。有利な戦法をとるならシャルルと一緒に組んで戦うのが一番だろう。だがここは狭い通路の一角だ。普通のISだと狭すぎるため動きに支障が出る。さらに簪さんがいることだ。彼女が戦いの場にいると流れ弾の被害にあう危険が残る。

 

よって出された結論は、ここであの人形を機能停止になるまで破壊すること

いくら先ほどのダメージが残っているとはいえこの方が彼女たちを守ることができる。それに向こうは人形。こっちにはアーチャーがついている。不安要素は一つもない。

 

そして待つこと数十秒。ついに人形が姿を現した。相変わらず顔を俯かせたままであるが、IS学園の服を着ているため普通の生徒と何も変わらない。あくまで外見での話だが。

 

チャキッ と干将・莫耶を構える。人形は銃から攻撃するのか、また手を飛ばしてくるのか、それともまだ見せていない奇行を出してくるのか

 

人形は右腕を上げる。その動作を白野はすでに見ていた。

 

(来る―――!)

 

打ち出される魔の手。それを正面から両断しようと迫りくる凶器に振り下ろす。ガキン! という金属同士のぶつかり合う音が響く。野球のバッターよろしく迫りくる凶器を完璧に捉える。だがその手は斬れるどころか傷一つ入っていない。

 

(ちょっと! どれだけ堅い素材でできてるの!?)

(マスター。受け流して本体と繋がるワイヤーを斬るんだ)

 

アーチャーに促されて人形の手を受け流す。手は白野の後方へと飛んでいき本体と繋がっているワイヤーを斬った。これなら戻すことはできないだろう。残りは分かっているだけで本体と左腕、左腕も右腕と同じ作りと想定したほうがよさそうだ。

 

「このまま一気に詰めて」

(マスター伏せろ!)

「?!」

 

アーチャーからの警告を聞いて白野は咄嗟に伏せる。そこへ何かがヒュン! と風を切る音を出しながら私の後ろから通り過ぎた。何が通り過ぎたか確認しようと前を見るが人形の左手にはロケットランチャー。狭い通路、お互いの距離は10メートルでそれを撃ってきた。

 

「まずっ!!」

 

まさかこの至近距離でやるとは思わなかった。もし生身なら爆風の余波を受けるため絶対にやらない。でも人でない人形だからこそできる方法だ。干将・莫耶をしまい別の剣を出す。それは刀身2メートル以上の巨大な西洋剣。訓練の時に使ったグレートソードだ。剣の幅は30cmにもなるので楯にも使用できる。それを盾として使いロケット弾を防いだ。

 

爆風で前が見えない状態になったので後ろに後退する。一体なにが頭上を通過したのか分からない以上危険なことは避ける。横へと繋がる曲がり角に入り様子を伺う。次第に煙が晴れてくる。完全に晴れたとき人形の傍に浮いている物を見た。それはあのワイヤーに繋がれていた右手。

 

「あれ単体でもOKなんて…セシリアのビットみたい」

(それに干将・莫邪の刃が通らなかった。おそらく全身が同じ装甲に包まれていると見ていいいだろう)

(じゃあどうすればいいのよ……)

 

ランクは低いが今私が持つ干将莫邪はアーチャーが愛用する宝具だ。これで無理なら今扱える武器(宝具でない刀剣、槍)は全部使えない。つまりあれに効果があるのはそれ以上のランクが高い宝具か切れ味の高いものに限られる。だが、それに今の制限が大きくぶつかる。白野自身のイメージで大きく完成度が左右される今ではこの状況を打開する宝具を投影することは難しい。

 

「ああんもう! なにか無いのアーチャー? 私たちが戦った相手の中でこの状況を打破できる宝具の持ち主は」

 

つい白野は声を荒げてしまう。こんなことを言っても白野自身分かっているのだ。彼女たちが対戦した相手の宝具は威力がでかすぎて彼女の遥か後方で逃げている2人に影響が出るかもしれない。

 

なにか…なにか無いのか? 威力が小さく、それでも高い攻撃力を持つ、今の私にも扱える宝具は―――!

 

(一つだけある)

(―――え?)

 

白野が求める答えに返したアーチャーにただ言葉を無くす。ちょっと待って。それは本当なの!?

 

(一体誰なの?)

(確かに私たちは7人のマスターとそのサーヴァントたちと戦った。例外が1人いたがね。だが私たちと関わったもう1人のマスターとサーヴァントがいることを覚えているか、マスター?)

(もう1人のマスター?)

 

一体誰だろう? もう一度私たちが戦ったマスターたちを思いだす。

 

 

 

第1回戦 マスター:間桐慎二

     サーヴァント:ライダー 真名:フランシス・ドレイク

第2回戦 マスター:ダン・ブラックモア

     サーヴァント:アーチャー 真名:ロビンフッド

第3回戦 マスター:アリス

     サーヴァント:キャスター 真名:ナーサリーライム

第4回戦 マスター:ランルー

     サーヴァント:ランサー 真名:ヴラド三世

第5回戦 マスター:ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ

     サーヴァント:アサシン 真名:李書文

第6回戦 マスター:ラニⅧ

     サーヴァント:バーサーカー 真名:呂布

第7回戦 マスター:レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ

     サーヴァント:セイバー 真名:ガウェイン

 

例外   マスター:トワイス・H・ピースマン

     サーヴァント:セイヴァー 真名:釈迦

 

 

 

この中に含まれないもう1人のマスターとサーヴァント………誰だ? 

 

いや待て。確かに私が戦ったのはこの8人だがそれ以外に戦いとは別でもう1人知っていたような……

 

「………ああ! 凛!」

(ようやく思い出したか)

 

そうだ。思い返せば彼女のサーヴァントを見ている。けど私が彼女の戦闘に介入したときしか顔を合わせていない。でも今でもはっきりと覚えている。セラフの障壁ができる隙間を潜り抜けて、バーサーカーの巨大な矛が自身の半身を持っていかれながらも、ランサーはラニの爆発寸前の心臓を深紅の槍で射貫いたのだ。

 

でも、私は彼の正体やあの宝具について全く知らない。

 

(そういえば、凛のランサーについて知っているような口ぶりだったよね)

 

凛とラニの決戦をユリウスが用意していた物で見てしまうことがあった。その時にアーチャーはランサーのことを知っているように話していた。ということはアーチャーはランサーについて知っていた?

 

(トオサカリンのサーヴァント。ランサーの真名はケルト神話の大英雄。光の御子、クー・フーリン。奴の宝具は因果逆転の呪いにより必殺必中の一撃を可能とする魔槍ゲイ・ボルク)

 

人形との距離を離しながら私はアーチャーの説明を聞いた。凛のサーヴァントの正体。そしてどんな宝具をもっていたのか。どんな能力だったのか。それを使えば心臓を必ず貫く魔の槍。あの人形はこの前と同じ無人機と考えていいだろう。かなり人に近づけた作りになっているが必ずコアがあるはずだ。コアはISにとって心臓のようなものだからそれに反応するのではないか? アーチャーは説明にそう付け足した。アーチャーがなぜ彼を知っているのかはこの際どうでもいい。今はあの人形を止める術がランサーの宝具を私がどれだけ本物に近く再現できるかにかかっている。

 

(とにかくやるしかない。お願いアーチャー)

 

人形との距離を離した白野は心を落ち着かせる。精神を集中する。より完成度の高いものをイメージする。

 

((投影、開始《トレース・オン》))

 

投影するものをイメージする。血のように染まった赤い槍。刃と柄の間には棘のような装飾。そして、必殺必中の因果を逆転する能力を持つ魔の一撃。

 

 

 

目を開けるとそこには確かにランサーが使っていたものと瓜二つの槍が握られていた。外見は問題ない。でも問題はそこではないが

 

ゲイ・ボルクを構える。狭い通路ではこれは不向きだが今はそんなこと言ってられない。この宝具が効果を発揮するのは刺突技のときだ。それができるだけいいだろう。そうこうしているうちに人形が追いついてきた。

 

距離は20メートルくらい。まだ何も構えていない状態の人形へと走り出す。近接武器を使用するうえで重要なのは間合いだ。いくら切れ味が高い剣でも相手との距離を詰めなければ敵わない。人形は両手にアサルトライフルを2丁構える。それを見た私は左手に黒鍵を2本投影し投擲した。黒鍵は見事銃口に刺さり銃は暴発する。

 

(よし! こんなところでバイトが役に立つなんて)

(ちょっと待てマスター。先ほどの行為と君のバイトに何の関係があるのだ?)

 

わけが分からんとアーチャーは言う。声が聞こえているだけでアーチャーがどんなポーズをとっているか分からないが、なんとなく額を抑えて顔をしかめている光景を想像する。でもこれでとりあえず両手は塞いだ。すでに距離は5メートルをきり、もう少しでゲイ・ボルクの有効距離に入る。

 

残り3メートル。白野はゲイ・ボルクを構える。このゲイ・ボルクは本物には到底及ばない偽物だ。だけど、偽物でもゲイ・ボルクに変わりはない。だから微弱ながらもこの宝具の能力が出せるはず!

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!!」

 

宝具がその効果を発揮する真名解放。そうすれば例え外れていても因果逆転の呪いにいよりISコアに突き刺さる。

 

 

 

 

 

 

あくまで発動すればの話だが

 

 

 

 

 

 

槍の切先は人形の胸を狙っていたが人形は体を捻りギリギリ躱した。だが左腕は躱し切れず槍に貫かれる。切れ味は申し分ない。しかし肝心のゲイ・ボルクの効果が発揮されていない。

 

(これでもダメなの? なら今度はイメージを強化して……え?)

 

ゲイ・ボルクを抜こうとしたとき、白野は人形の素顔を見た。

 

綺麗な男性とも女性とも取れる中性的な顔立ち

背中にまで伸びる輝くブロンド色の髪の毛

 

それはつい先ほどまでそばにいた誰かと瓜二つだった。

 

意外な事実に動きが止まってしまう。そして人形は光の中に包まれる。この光を知っている。これはISの展開時に発生する光―――!

 

(来るぞ!!)

 

アーチャーからの警告が脳に直接響き渡る。ひどい危機感を感じ取り急いで後方へと下がる。だがそれよりも先に光の中から、巨大なアイアンクローがロケット推進で白野に突っ込んできた。握りこぶしのように丸めたそれはミサイルの速さで突撃する鉄塊となる。回避は無理と判断した白野はゲイ・ボルクを盾にして受け止める。が、その推進力を止めることはできず壁に背中を強く打ちつける。

 

「ガ―――ッ!!!」

 

胃からこみあげてくるものを堪える。鉄塊の勢いは治まらず壁を突き破り白野ごとアリーナへと突入した。

 

 




あとがき

今回のお話構成ですが、魔法使いの夜に出てくる人形戦を参考にしています。

この前のアンケートで制約がほしいという要望に応えて自分なりに考えてみました。

そして、これの原因と解決を次のお話に入れたいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました
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