IS -錬鉄の女騎士-   作:skyfish

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臨海学校編(福音編)前のショッピングですが、ここでできる限り多くの型月キャラをだそうかなと考えています。でるのは次回からになります。


第24話「混沌な買い物日和①」

ピピ、ピピ、ピピ、ピピ。

 

目覚まし時計の音が鳴る。時刻は7時。今日は休日だからいつもより30分遅い目覚めである。

 

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ。

 

 私の左側に目覚まし時計は鳴っている。完全に覚醒した私は目覚まし時計の音を止めたい。だが、それは出来ない。何故なら自分の左腕はがっちりと固められているから。その正体は

 

ピピピピピピピピピピピピピ(ガチャ)……………。

 

「おふぁよう。ふあ~」

 

 鳴り響いていた目覚まし時計を隣のベッドに寝ていたシャルロットが止めてくれた。それに感謝しつつ救援要請。

 

「シャル。助けて」

 

「お似合いだからこのままでもいいんじゃない」

 

 ニヤケタ顔をしシャルロットは言う。彼女は今楽しんでいる。目の前の光景に。

 

「ラウラ。起きて。朝だよ」

 

「う……ん。あと1時間」

 

「あと1時間しがみつきたいだけでしょ」

 

 無事な右手でラウラのおでこにでこぴんをやる。何故この部屋にラウラがいるのか。その理由は簡単なものである。シャルル・デュノア(男)がシャルロット・デュノアだったことで部屋の入れ替えが発生。山田先生が奮闘するも既に部屋は満杯状態。シャルロットをどこの部屋にするか悩み考え出した結果。2人部屋のどこかに移すことだった。幸いベッドは移動可能だったため二つを繋ぎ合わせ1つの大きなベッドとして活用することになった。そして、彼女の部屋に選ばれたのが白野・ラウラの部屋だった。理由はシャルロットと一番仲が良かったから。私自身OKだったしラウラの了承をもらったから、シャルロットが加わり、三人で一つの部屋を使うことになった。幸い寝るときも不自由はない。が、あの日からラウラが自分にしがみついてくるのだ。最初のころは体にしっかりしがみついて見たシャルロットから「コアラ?」と笑われた。因みに、ちゃんと寝るとき服を着るようになった。何故かパンツの裸ワイシャツのみ。ラウラ曰く「この服装が日本古来伝統の寝間着姿だと私の部下が言っていた」とのこと。おそらく依然と同じ副隊長の事だろう。

 

 ドイツはもうダメかもしれない………

 

 

 

 

 

 午前中は部活。午後は臨海学校に必要なもの(主に水着)とラウラの私服。なんでも持っているのは制服と軍服のみだという。「そんなの良くない。ラウラはもっと着飾んないとダメだよ!」はシャルロットの一言。で、今2人はお先に駅を10ほど離れたここら一帯で一番大きいデパートで買い物している。自分はさすがに所属する弓道部をおろそかにしてはいけないから午後からの途中参加という事になっている。部活も終わり、2人に合流したいのだが――

 

(しつこいっ!)

 

(もうこれは執念だろうな)

 

 学園中を走り回っていた。姿は見せないものの追ってくる気配が分かる。100%あの生徒会長だ。これはもう尾行ではなくストーカーではないのだろうか?

 

(あの建物に逃げ込むよ)

 

 何番目か忘れたがIS整備棟の裏口から入る。ドアは開けっ放し。追ってくる者は中を伺った後入ろうと動く。その瞬間いきなりドアが動きだして

 

「痛っ!?」

 

 顔面からぶつかった。

 

 

 

 

(ざまぁ)

 

(なんというか。マスターいろいろ黒くなったな)

 

(さすがにイライラしてきたから)

 

 

 

 追手を足止め(憂さ晴らし)して広いところに出てくる。と、そこには私が知る人が二人いた。

 

「あれ~? はくのんだ~。やっほ~」

 

「……………」

 

 そこにはのほほんさんこと、布仏本音さんと更識簪さんがいた。こっちに手を振る本音さんに対し、簪さんは私に目を向けるだけでキーボードの指を止めることなく動かしている。

 

(そういえば)

 

 今まで何度か簪さんと話したことがあるが、その時だけあの視線が和らいだ。それに彼女はあのストーカー生徒会長の妹さん。もしかして身内がいる場所は苦手なのか? もしそうならこれを利用しない手はない。

 

「少し迷い込んでしまったというか。ところで2人とも何してるの? ほとんどが臨海学校に向けての買い物しに行っているのに」

 

「聞いてよ聞いてよ~。かんちゃんったらコレ完成させるから行かないって言うんだよ」

 

 指差すそれは見たところ打鉄のように見えるが、防御重視の丸井見た目の打鉄に比べると鋭い部分が多く高機動型の様に見える。それよりも、何故完成していないISがここに置いてあるのだろう。本当なら国か企業の研究室で創り上げてから渡されるはず。その答えを本音さんが小声で言ってくれた

 

(それなんだけどね~。ちょっと事情があるんだ)

 

(事情?)

 

(おりむ~のISは倉持技研が作ったものなんだ。かんちゃんのIS“打鉄弐式”もそこで開発中だったものなんだよ)

 

(だった……というとこっちの開発を中断したってこと?)

 

(ん~……それで合っているかも。向こうは何故男でも動かせるか解明させるために必死らしい)

 

(……呆れた)

 

 白式を最優先して打鉄弐式を放棄したのか。開発元として一方的に中断されたらそれを待っている候補生がどんな思いをするのか考えていたのだろうか。

 

(で。だったら自分で何とかする。て言ってこれを受け取ったとき本体完成度は70%くらいだったけど、今じゃ98%まで出来たんだよ。私の補助もあったけど)

 

(ちなみに受け取ってから今日でどれくらいになる?)

 

(だいたい1カ月くらいかな)

 

(すごいね。たった1カ月で残りの30%を創り上げるなんて)

 

 ISはその専門性の高さから1機創り上げるまで多くの人材と時間が必要になる。全体の70%が完成していたことを鑑みても、残り30%を実質1人で完成させるのは厳しい。そのことを考えていると彼女(簪)はある種の天才かもしれない。まあ、彼女の場合ある病気にかかっているため完全な天才ではない。

 

(あの後説明してもらったけど、解離性同一性障害か……)

 

解離性同一性障害 前の名称は多重人格障害。

 

文字通りの病名と症状である。本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害であるが、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。

 と一般的には記されているが、彼女の場合はそれが出来る過程が少し違う。本音さんから聞いた話によると小さいころから彼女の姉:更識楯無(現生徒会長)と比較されていたそうだ。何においても優秀な姉との差に絶望して性格も内気なものになってしまった。だが、それからしばらくした後あの人格が出来ていたらしい。その人格曰く『この状態を瓦解しようと自分とは正反対の自分を想像した結果』こうなったらしい。裏の人格は戦闘にのみ姿を現すそうだ。(あのとき、織斑一夏の態度にキレて人格がチェンジしたらしい)

 

 まあ、そんなこんなで今に至るのだが。その裏の人格(黒簪?)に自分は気に入られたらしい。いつか本気の戦闘をしてみたいだそうだ。その話は置いといて

 

「本体がほぼ完成しているなら何が残っているの?」

 

「これだよ~主に武器」

 

「本音。あまり他人に見せないで」

 

 彼女の言葉を無視して、渡された資料を拝見する。

 

(近接武装薙刀“夢現”に……荷電粒子砲二門と48連装ミサイルユニット“山嵐”………これはいかにも)

 

(無理がある話だな)

 

 アーチャーも私と同じことを思っていた。未だどこも開発成功していない電力バカ食い高燃費の荷電粒子砲を二門も搭載するのはどうなのか。山嵐のミサイルマルチロックオンシステムも相手を包み込むように、例え逃げても再度同じように追尾包囲すると書かれているが、ミサイルに内蔵されている演算処理能力では対応できないと思う。何せISに搭載できるミサイルは従来の物よりも小型化しているのだ。そこにさらに高性能演算処理機を付け加えて大丈夫なのだろうかと正直思ってしまう。

 

「で、どこまで仕上がっているの?」

 

「…………………ん」

 

「え?」

 

「ぜんぜん。0%」

 

「…………冗談?」

 

「………………」

 

「ごめん。悪かったから泣きそうな顔しないで」

 

 聞いたところ開発元の倉持技研に基礎データを問い合わせてもずっとのらりくらりとされて渡されていないらしい。………うん。なんだかとても嫌な予感。

 

「じゃあこうしよう。私がハッキングしてデータを見る。そして渡す。そうすれば幾分か進展するでしょ」

 

「……色々と言いたいのだけど、まず堂々と"ハッキング"するのはどうなの」

 

「大丈夫大丈夫。バレるようなハッキングなんかしないから」

 

「そういう問題じゃないと思う……」

 

「おお~はくのん大胆だね~」

 

 ぶかぶかを袖を振り回して喜ぶ本音。堂々と違反行為をするといった私に何も責めてこない。うん。こういう友人ていいよね(違うと思うぞマスター)

 

「そのかわり。ちゃんと臨海学校に行くこと。これが条件です」

 

「………なんで?」

 

「なんでって。皆で楽しみたいからよ。海だよ海! 泳ぐ、ビーチバレー、ポチョムキン、ギャランドゥ、釣り、フィッシュ、アングラー、ナンパ、仕返し、埋葬。楽しいこといっぱいだよ!」

 

「そうだねそうだね~。出されたワサビを知らないセシリアたちに食べさせるのが楽しみだよね~」

 

「「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」」

 

(……君たち、とてつもなく物騒だぞ)

 

「わ、分かった。行くよ」

 

 満面の笑みでハモらせる2人に簪は若干引く。とにかく簪さんも行くことになったからやることは1つだ。

 

「じゃあかんちゃん急いで行くよ~」

 

「でも、次の列車まで残り10分しかないよ。ここからだと、もう間に合わない」

 

「いや。走れば余裕だよ。しっかり捕まってて」

 

「え? ひゃあ!?」

 

 白野は簪さんを抱き上げて―――曰くお姫様抱っこして走り出す。お~早い速いと言いながらその後を本音は追って行った。

 

 

 

 

 

「き~ッ! 簪ちゃんをお姫様抱っこなんて―――!! 追うわよ虚!」

「畏まりました―――――――――はぁ」

 




捕捉
ビーチバレー、ポチョムキン、ギャランドゥ → カーニバル・ファンタズムより
釣り、フィッシュ、アングラー → ホロウアタラクシアより
ナンパ、仕返し、埋葬 → 漫画版エクストラ4巻で海に来ていたザビ子と愉快な仲間3人(紅茶、赤王、キャス弧)おまけマンガでナンパのふりしてザビ子を暗殺しようとした緑茶を素手で倒した。
ザビ子「伊達にサーヴァント3体使役している魔力持ってるわけじゃない」
緑茶 「これ魔力関係ないよね!? グワーーーーー!」






次回

近くのお店に逃げ込み立てこもった銀行強盗犯

偶然お手伝いしていたシャルロットとラウラ

お客の中で弱そうな女性を無理やり立たせ人質にとった犯人たち

この状況をどう打開するか話しあう二人

そんな中一人の男が状況を一変させる―――!



「祈る神がいるなら、いや――――――言葉は不要か」
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