これは彼らの始まりでありプロローグ
某A国研究所
それは表向きでは遺伝子研究を行っている。しかし遺伝子研究はあるプロジェクトの一部でしなない。
オペレーティングレセプター
それは人工的にIS適正が高い人間を作り出す、または保護、育成する計画である。
保護という形ではあるが監禁に近いそれは国によって隠蔽され光に触れる事は今までなかったのだ。今までは。
だが『篠ノ之理論』に基づき行われる実験や開発を彼女、篠ノ之束が知らないはずが無い。
彼女は後に語る。あれ程苛立つ研究は無いと。
「確かに、想定してない訳じゃなかった。いつかは私の理論が原因で行われる……覚悟はしてたけど見過ごせない……」
彼女、篠ノ之束は己が操る大型ヘリ『エアキャリア』で研究所へ向かっていた。
通常ならセンサーに補足されるはずだ。だがエアキャリアにはアラーム一つとて鳴らない。不審に思いドローンを飛ばし研究所を確認すると研究所からは炎が燃え上がり所々破壊されていた。
止まるのを止めエアキャリアで研究所まで向かうと彼女は天を穿つ紫色の光を目にしたのだった。
時は数時間前に遡る。
少女たちが集まるこの場に一人だけいる少年。研究者たちは彼をNo.101と呼ぶ。
この研究所に集められた少年少女たちはオペレーティングレセプターの為に集められた通称、『レセプターチルドレン』である。
彼女たちは日々ISとの適合係数を上げる為に実験を繰り返している。だが少年だけは違うのだ。
少年は『男でありながら高い適合係数を生まれ持っているように造られた少年』だ。だから名前が無い、いやなかった。
だが彼と共に過ごす3人の少女たちが彼に名前を与えた。
『風音光』
これが少女たちが考えた名前であり少年、光の大切な宝物である。
「光はこの後は起動試験なんデスカ?」
「うん。切ちゃんと調ちゃんは適合係数の検査だよね?」
「うん。私と切ちゃんが検査でマリアは休みのはず」
二人の少女、切歌と調と話しながら真っ白な通路を歩く光。彼には立て続けの起動試験で疲れているのか少し顔色が悪い。
それを心配したのか二人は互いに光の手を握る。
「お兄さんならへっちゃらデス! だからまたみんなでご飯を食べるデス! ちょっと薬みたいな味のカレーデスけど……」
「切ちゃんも言う通り薬みたいな味だけど四人でならそんな食事も楽しいから……だから光も頑張って……」
二人の少女、それも年下の妹分に励まされたのが恥ずかしいのか少し顔が赤いが光は頷く。
「そうだね、いつもの様に頑張るよ」
「ファイトデスよ!」
「頑張って」
そう言って二人の少女達は手を離し手前の通路を曲がって行く背中を見送る。
「そうだね……どんなに辛くても僕が頑張らなきゃ。マリアだっていつか折れてしまう。四人でなら大丈夫だから……」
研究者は光のことをモルモットのようにしか思っていない。それは起動試験を見ればわかる。
紫を基調とした一騎の鎧。次世代型ISであり『シンフォギア・システム』を起動させた事により『シンフォギア』と呼ばれるISの四機目である
神獣鏡を纏い待機する光を外側で囲む複数の研究者たち。
「それでは第21次試験『装者へのダメージによるバイタルの変化によって生じるシンフォギアの機能解析』を開始します。はい!」
そう言ってメガネの男はボタンを押す。そうするとどのくらいの威力があるか分からないほどの電撃が光を襲う。
「ガァァァァァァァァ!!」
絶叫する光。それを感じとった神獣鏡はリフレクターを展開する。すると電撃が全てリフレクターに吸収され周りに放出される。
「素晴らしぃ! この力が手に入ったら僕は英雄になれる! 腐った世界を救う英雄! まさしくこの星のラストアクションヒーローだ!!」
愉快に笑うメガネの男。だが神獣鏡は反射するだけではないのだ。
『バイタル不安定。装者へのダメージを抑える為オート戦闘を開始します』
神獣鏡から流れるテキストを見てメガネの男は光とは別の意味の絶叫をする。こんな機能はしらない! と。だが神獣鏡はそんな反応を見向きもせずにバイザーを下ろし妖しく発光させる。
「ヒィぃ!」
神獣鏡はワイヤーを展開し施設を破壊し始める。時にはレーザーを放ち時には扇子の様なアームドギアを展開する。剣の様に振るい壁を破壊して行く。
「クソ! クソ! クソ! あんな機能があるなんて!? ……そうだ、101と一緒にいる女たちを連れてこい!」
オート戦闘が解除され意識を取り戻した光は状況を整理する。
研究者たちに反抗してしまった事。だがいつかはやろうとしていた事だ。だがシンフォギアたる神獣鏡でも普通のISを数多く相手するのは難しい。それに……
「みんなが危ないッ!」
神獣鏡にスキャンさせ得た地図を見てマリアたちがいるであろう部屋への最短ルートを探す。
「最短ルートで10分……時間が惜しい。なら……」
「道を作る!!」
円状のリフレクターに紫の粒子が収縮されて行くと光の玉が完成する。
「放てッ!流星ッ!」
光の玉が一気に極太のレーザーへと変わり壁を突き抜け天井を突き抜けて行く。
「早く、早く迎えに行かなきゃ……」
リフレクターを格納し一気に自身が作り出した穴を抜けていくと調が見下ろしていた。
「調ちゃん!? 下がって!」
調は軽く頷くと穴から離れる。それを確認しさらに出力を上げて調の側に降り立つ。
「光、今日なんだね。逃げ出すの」
「うん、そうなっちゃったね……切ちゃんは?」
いつも一緒にいる切歌が居ない事に不安を覚え調に聞く光。
「切ちゃんならマリアを……」
迎えに。そう言おうとした瞬間施設全体に放送が流れた。
「No.101ィ! いや、風音光とあえて呼ぼう! 君がどこに居るか知らないが逃げるがいい! だがァ! 君の大切な人たちは全員居るかなぁ? それは否! なぜならぁ……この僕が捉えているからさぁ!! ウヒャヒャヒャ!! 逃げるなら逃げろ……こいつらの命は無いですけどねぇ!!」
それは今の光たちにとって絶望的な言葉の刃だった。
最後まで読んでくださった皆様ありがとうございますm(__)m
初心者ですがお楽しみいただけたでしょうか?
近いうちに軽い設定を載せます。
よろしければ次回もお楽しみください。