ではどうぞ
富士の樹海の地下200メートル。そこはIS委員会直下の武装組織『フィーネ』のラボがある。
いつもなら人が集まらなければ騒がしくはないはずのラボではアラームが鳴り響いていた。
所々を抉られたような傷や切りつけたような傷があちこちに出来ているその光景は異常としか言い表せない。
「一体全体なんなんデス! シンフォギアでもISでもノイズでも無いなんて!」
「わからない……でも狙いはこの下……マムが光とマリアに知らせるまでは……」
「私たちが守るデース!」
「ちょっせぇ! さっさとあたしにやられろ!!」
緑色の装甲とステッキ状の小ぶりな鎌を持ったシンフォギア、『イガリマ』を纏う暁切歌。
桃色の装甲とヘッドギアにマウントされたコンテナから鋸を出すシンフォギア、『シュルシャガナ』を纏う月読調。
全身を覆う銀色の装甲と肩部の鎖状の鞭が特徴の完全聖遺物『ネフシュタインの鎧』を纏う亡国機業の少女、K。
この三人は互いに牽制しながら戦闘を繰り広げていた。
鎖状の鞭を振り回し二人を分断するK。初めて相手をする謎の敵に対して二人は反応が遅れその攻撃を避けられず吹き飛ばされた二人は壁にぶつかる。
すぐに立ち上がり二人は己のアームドギアで斬りかかりネフシュタインの鎧は砕かれたように見えた。しかし……
まるでビデオを逆再生するかのようにネフシュタインの鎧はすぐさまその破片を集め再生する。
「そんなのありなんデスか!?」
「ずるい……」
「戦場にズルもインチキもねぇんだよ!」
そう言ってKは鞭を振りかぶり二人をなぎ払う。
「あたしが食い破られる前に……あれを手に入れねぇと……」
Kがそう呟きながら廊下を進んでいく。
残されたのはギアを解除され意識を落とした切歌と調のみだった。
「切ちゃん!? 調ちゃん!? これはまずいな……」
モニターで戦いの一部始終を見ていた束は隔壁を閉めて無人ISを何機も待機させる。
敵の狙いはわかる。地下2000メートルにある隔離ユニット『エンデュミオン』で保管している完全聖遺物であろう。
束自身も隔離ユニットのワンフロア上で無人機と共に待機している。
敵の少女が纏っている鎧。あれは日本の二課と呼ばれるシンフォギア運用機関から強奪された完全聖遺物『ネフシュタインの鎧』である事は見てわかる。だが分かるが故に勝ち筋が見えない。
シンフォギア装者である切歌と調は負傷。光とマリアには連絡が取れない状況だ。SOS信号を出してはいるがIS委員会が動くまで時間はかかるだろう。
「どうか、持ちこたえて……」
光とマリアは光の担任である織斑千冬を通し理事長に状況を説明してIS学園のVTOL機を借りてラボへと向かっていた。
VTOL機を操縦するマリアには焦りが感じられる。
「マリア、二課はなんて?」
「今ラボに向かっているそうよ。私たちよりも早く到着すると思うのだけど……」
「そうか……祈るしかないね……」
わかっている。今の私たちにはそれくらいしか出来ないのだと。
だが悔しさで操縦桿を握る手に力が入る。
また自分は家族を守れないのかと……
ラボでは束が待機するフロアの二つ上まで少女の進入を許していた。
所詮は聖遺物も持たない機械人形。時間稼ぎにしか過ぎない。一機、また一機と無人機の反応が消えてゆく。
こうしている間にまたワンフロア突破されてしまう。残るは無人機が十数機と200枚の特殊隔壁のみである。持って15分と言ったところだろうか。
「これは流石の束さんもひーくんやマリアちゃん、あれを預けてくれた弦十郎くんにも合わせる顔が無いや……」
減り続ける反応を確認してながら10分後。ついに隔壁を突破して少女が束の待機するフロアに現れた。
「ハッ、やっと人形の相手は終わりかよ」
「不満そうだね?そのまま回れ右して帰っても良いよ?」
「ジョーダン! お前も倒してさっさとブツを貰ってくぜ!」
「なら私が直接相手をしてあげるよ」
そう言って自身のISを起動する。
純白の装甲とスカート状のアーマーパーツ。左手には水色を基調としたカノン砲。周りには3枚の自立シールド。
「篠ノ之束! フォートレスカノンッ、行きます!!」
束は左手に持つ巨大なカノン砲であるストライカーカノンの引き金を引く。圧縮された青いエネルギー弾は少女を貫かんとするが鞭を回転させて砲撃を防ぐ。
「ヘェ……口だけじゃ無いみたいだな。ならこいつはどうだ!」
少女はもう一本の鞭を振りかぶり束を攻撃する。
弾けるような音が響くが束は無傷。先ほどから浮遊していたシールドユニット、フォートレスシールドが防いだからだ。だが耐えきれなかったのかシールドは残り二つしかない。
「次はどうかな!」
もう一度振りかぶられた鞭をフォートレスシールドで防ぐ。
「くっ……」
破壊こそされ無いがヒビが入り次は防ぎきれ無いだろう。
埒が明かない。だから束もストライカーカノンで砲撃するがまた鞭を回転させて防いでしまう。
「話になんねぇな」
なんども鞭を振りシールドを完全に破壊して束に振りかぶる。それをスカートアーマーから取り出したプラズマソードで何とかズラして直撃を間逃れる。
だがプラズマソードでは精々弾くのがやっとだ。
「さっさと潰れろぉ!」
なんどもなんども鞭を叩きつける少女。その純白の装甲はボロボロになってしまう。
森の上空までたどり着いたVTOL機。ラボの入り口には別のヘリが待機していた。おそらく日本のシンフォギア運用機関、二課の機体だろう。
「マムと連絡が取れないわ……」
なんども通信を送るが反応はない。
「マム……僕たちが到着するまで持ちこたえて!」
少女は束を貫かんと鞭を槍のようにして突きつける。だがそれは一人の少女が束を抱きかかえその場を離れたため避けられる。
「何もんだ!?」
青い髪を束ねた凜とした少女。日本では有名なトップアーティストである風鳴翼が立っていた。
「しがない歌女とだけ言わせて貰うッ!」
そう言って少女、翼は胸元から下げたペンダントを取り出す。
「そ、そいつは!?」
「Imyuteus amenohabakiri tron……」
シンフォギアを纏って突入した光とマリアは廊下を一気に駆け抜けて行く。
束がいるフロアの二つ上で二人は驚愕する。
互いのギアに見覚えのある反応が現れたからだ。
「アウフヴァッヘン波形……だと……」
「シンフォギア!?」
「防人の歌を聴くがいい!」
翼が纏った青を基調とした鎧。第1号聖遺物『天羽々斬』が今、戦場に旋律を奏でる。
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次回はキャラ説明をちょっとだけ。