夜が明け再び朝がやってくる。空は昨日とは打って変わったかのような曇天。今にも雨が降り出しそうな様子だった。
「朝からこんな曇り空だとなぁんかこう気分が乗らない感じ………」
咲夜は1人、通学路を歩きながらブツブツと独り言を垂れる。
今日は1年生は校舎案内や教材配布で午前だけの楽なスケジュールだが、2・3年生は午前で終わるのは同じだが始業式と春休みの課題テストがあるようで、校門付近の道でもあまり楽しげな雰囲気では無かった。
「やっぱり真面目な人が多いのかな………?」
咲夜は今までの学校での始業式の日の雰囲気とは違う空気に少し自分が場違いな気がして
「なんかヘコむなぁ………」
と朝からやや鬱モードに入ってしまったようだった。
しかしそんな鬱モードも放課後が近づくにつれて勝手にオフになっていったようで、放課後には教室でクラスメイト数人と話をしながらお弁当をつつき合うまでに回復していた。
昼食を終えて咲夜は足早に麻雀部の部室へと向かう。少し話が盛り上がってしまったため予定より少し遅めの時間。
「ここだ」
他の教室と違い、「麻雀部室」と彫られた小さな板が掛けられた綺麗な木製の扉。
緊張で鼓動が早くなり、ゴクリと唾を飲み込む。
(この中にあの時私が憧れた人達がいるんだ…………)
気持ちが逸る。息が乱れ、胸が締め付けられるような気分になる。
「落ち着け私……まだ何も始まってすらいないんだから………」
そう自分に言い聞かせ、大きく深呼吸をして気持ちを整える。
「よし、行こう」
意を決して咲夜は麻雀部室の扉を開けた。
「失礼します………」
部屋の中は扉と同じ木製で、木のなんとも言えない安らぐような匂いが咲夜を包んだ。
「あ、いらっしゃい、体験入部だよね?君の前に2人来てて、ちょうど今から試しに打つ所なんだけど君も入る?」
すぐに麻雀部の上級生らしき人が咲夜に声を掛けて来た。
「あ、はいそうです。えっと………」
答える前に咲夜はざっと部屋を見渡し周囲を確認するが、小蒔達の姿は無い。
(まだ神代さん達は来てないのかな?とりあえず一回打ってみるのもいいかな……)
「えと、じゃあよろしくお願いします」
「おっけー、私は麻雀部の副部長の磯野。君は?」
「梢 咲夜、です。よろしくお願いします」
「咲夜ちゃんね、こちらこそ。そんなに畏まらなくていいよ、もっと楽にして、そんなんじゃ集中出来ないでしょ?」
「そう、ですね……じゃあ、よろしくお願いします磯野先輩!」
次回、咲夜ちゃんがようやく麻雀を打ちます。
(なんとか矛盾が出ないように気をつけます)