私のまちがってしまった青春ラブコメはもう取り戻せないのだろうか   作:ぶーちゃん☆

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どうも。大変ご無沙汰しております、ねっころがしです(自虐)



という訳で、お久しぶりの二宮美耶の珍道中となります!
そんなの有り得ないと思ってたんですが、なんと完結してからもスローペースでお気に入りが100ほど増えて、気が付いたら1000を超えていたようです!まっこと有難いことでございます!

二宮美耶?だれだっけ?
な感じで、もう忘れちゃったかも知れませんが、もしよろしければご覧くださいませ(^人^)





【後日談①】心はまだまだぼっちを卒業できないようです

 

ぼっちの朝は常人よりよっぽど遅い。

なぜなら部活動など当然やってるワケがないし、教室に早く到着しても話し相手も居ないから、ただただ気まずいだけなのだ。

つまりぼっちにとっては朝のSHRが始まるギリギリに教室に入る事こそが絶対的正義と言える。

 

 

 

……などと冒頭から捻ねた態度を取ってる時期が私にもありました。

私カコイイ!とでも思ってたのかしらね、あの頃の私。

あ、時間軸的に言えば昨日でしたソレ。嘘でしょ昨日なの!?

 

たったの1日──なんか数ヶ月前の出来事みたいな気もするけどそれは間違いなく気のせいのはず☆──で、昨日の自分を過去の黒歴史とバッサリ切り捨てられるのはなぜかって?

それは…………、ふっ、私がついに昨日ぼっちを卒業したからに他ならない!

 

さよならぼっちな美耶ちゃん。こんにちはリア充美耶ちゃん。

そう!私はこれからの青春を、友達の比企谷君と一緒に、手と手を取り合って素敵なリア充生活を送っていくことをここに宣言するのである!

 

※※※※※

 

そんなリア充な私は、なんと今日、この二年近く通ってきた我が高校の、これまた一年近く通ってきた我が教室に、いつもよりも30分も早く到着しちゃったのだ。

やっぱリア充っつったら、朝のSHRまでの貴重な時間を友達とうぇいうぇい面白可笑しく過ごすってのがデフォじゃない?

私知ってるよ?だって昔経験済みだもの!経験済みとかちょっぴり卑猥っ。

 

そして私は扉を開く。教室の……そしてリア充な未来の扉をっ!

おはようみんな!リア充美耶ちゃんの到着だよっ?

 

扉を開けた私に、何人かのクラスメイト達からの視線が集中する。

ふふっ、普段こんな時間に居るはずの無い私の登場にみんな驚いているのね分かります。

 

 

 

…………えっと……その……べ、別にそこまで注目しなくたっていいのよ?みんな。

た、たかだか私ごときがちょっと早めに登校してきただけじゃない……!

 

 

 

 

 

…………やめてっ!見ないでっ!?ぼっちにとって大勢からの視線の集中ってのは何よりの拷問なのよ!ああ……顔が火照っていく……なにこれもう帰りたいっ!

ぼっち卒業したんじゃないのかよ。さっきまでの無駄なリア充自慢の尺返せよ。

 

いやいやそりゃ無理ってもんですよ。だって卒業したって言ったって、つい昨日卒業したばかりのぺーぺーなんですもの。若葉マークだよ、仮免だよ。

仮免じゃまだ卒業してないね。てへっ。

 

 

そもそもなんで私ってばリア充気取って早く登校とかしちゃってんの?よくよく考えたら、私って友達比企谷君だけじゃん。

しかも比企谷君はうちの生徒じゃないんだし、…………あ、あれ?結果的に私ってぼっちのままじゃね?

 

やべーわ……昨日の比企谷君とのやりとりで浮かれすぎて自分を見失ってたわ。

なんか無駄に張り切って早く来ちゃったけど、私ここではぼっちなままだったわ(白目)

 

大体浮かれすぎてって言っても、昨日のアレ(恥ずかしすぎる告白→即玉砕→泣き落としでギリギリ友達おっけー)で浮かれてる私もどうなのよ……

ああ……なんかもう昨夜みたいにベッドに飛び込んで悶えたくなってきちゃった。やっぱり昨夜は悶えちゃってたのね。

 

 

クラスメイトからの視線に我に返った私は、その好奇の視線から逃れる為にすぐさま机に突っ伏すのでした。

やめてもう見ちゃいやん!

 

 

 

おっと!

あまりの無慈悲なクラスメイトからの視線に動揺して、この場所にも友達(未満)が二名ほど居たことをすっかり失念しちゃってましたよ。

まぁその友達(未満)な二名は、きのう面白半分悪ふざけ半分でコッソリ私をストーキングしてきた困ったちゃん達ではありますが。

面白さと悪ふざけが半分ずつって、それもう百パー遊びじゃないですか。なんなの?実は私っていじめられてるのん?

 

まぁあの人達……というには常識人の方に失礼か。

あえて名前は出さないから誰のことか分からないかもしれないけど、あっちのウケる人の方はいじめとかに無縁の自由人。それあるっ!

だから、ウケまくりそれある娘にとっての私は、わざわざストーキング行為を行ってまでも気になる存在と言っても過言ではないはず。

 

よし!せっかくこれから青春を取り戻そうと張り切っている私は、こんな風に人の目を気にしてうずくまっている暇などないのでありますよ!

であるならば私は今日…………!友達未満も卒業してさらなる友達作っちゃおう!

世に言う友達ツクールである。世に言わないね。ツクールのはRPGくらいのほうがいいね。

 

 

そして私は立ち上がる。美耶、大地に立つ!

あ、ここ二階なんで厳密に言うと大地では無いんですけども。まぁガンダムが初めて立っちしたのもコロニー内だし、そこら辺はノーカンてことでオナシャス。

 

……っておい!クラスメイトの方々、すでに私なんて見てねーじゃん。飽きるの早すぎィィ!

でもこれからの私の行為で、また確実に注目集めちゃうんだろうなぁ……

でもまぁしゃーない!青春を取り戻す為ならば、いくらでも恥くらいかいてやんよ!

私は、もう誰一人として私を見てないのをいい事に、コッソリとてとて友達(未満)へと歩み寄る。

思えば、この学校に通い始めて、私から挨拶に赴くのなんて初めてのことでは無いだろうか?

 

い、いや、べべべ別にさ?きっ、緊張なんてしてないのよ?そっ、それはもう全っ然!超冷静、超クール。

そして私は大人で優雅なレディの如く、余裕すら感じさせる程の落ち着き払った所作で、海浜総合人生初の朝のご挨拶を敢行するのであった。

 

 

「…………おおお折本さん仲町しゃんおはようごぜーましゅっ……」

 

……さぁ、どうやって死のうか……

 

※※※※※

 

「…………くくくくくっ…………ぶっ!…………ふ、ふひひっ……!」

「ちょっとかおり!あんたいい加減許してあげなよー……」

「……だ、だってっ……ぶひゅっ……ご、ごぜーましゅって……!ぐっ……ぐふっ……!」

 

私は今、即座に引き返したマイテリトリーにて、制服の裾を涙に濡らしながらぷるぷると突っ伏している。

もうやだもうやだもうやだよぅ……!

 

そんないつ命を絶ってもおかしくない私の横で、折本さんは噴き出すのを堪えて悶え苦しみながら私の背中をバンバン叩いてる。痛い痛い。

もう5分近く爆笑してからのこれだよ?

 

「ご……ごめん……ね?美耶っ……も、もうちょいで……な、なんとか……ぶっ!……た、立ち直るっ、からっ」

 

あんたが立ち直る頃には私はもう二度と立ち上がれないわよ。

もう立ち直らなくてもいいから、いっそ私を楽にしてください。

 

それからしばらくののち、ひーひーふーっ、と呼吸を整え始めた折本さん。相変わらずラマーズ法最強説である。

 

お産の激痛=折本さんのウケ

 

と考えると、やっぱ折本さんのウケってすごいわ。世界中が折本さんで出来ていたなら、ホント世界は平和そうよね。

…………あー、でも……うん。ちょっとウザくて五月蝿くて、私には生きづらい世の中かもね。

 

「ふー……おはよ!美耶」

 

あんたに挨拶してからもう10分くらい経つんですけど、今更おはようなのん?

今日び宇宙空間と地上の交信だって時差はほんの僅かなのよ?ソースはいっこく堂。

あんたと私の心の距離はどんだけ離れてんのよ。

ちなみに仲町さんは私の席に来てくれたと同時に挨拶してくれました。ウケる人の爆笑に掻き消されてましたけどね。

 

「へへ〜っ」

 

なによ……まだ笑うの……?

 

「美耶から朝の挨拶してきてくれたなんて初めてだよねー!

あたし嬉しくって超ウケちゃった」

 

あんたがウケてたのは違うとこだろ。

で、でもまぁ?ちょっと声掛けたくらいで嬉しいとか言われちゃうのは、私だってまんざらじゃなくってよ?悔しいから突っ伏したまま動いてやりませんけどね。

 

「あっ、見て見てかおり!二宮さんの耳がまた赤くなったよー」

「なによ美耶ー。うずくまったままの癖して、ちょっと喜んじゃってんじゃーん!ウケる!」

 

ぐぬぅ……!ちょっと仲町さん余計なこと言わないでよ!なんなの?二宮検定でも狙ってんの?

私、そんなに簡単な女じゃないわよ!?……やべー、我ながら超チョロそう……

 

「う、うっさいなー……もうほっといてよぉ」

 

このままじゃ埒が開かないと悟った私はのそりと起き上がって、涙目で恨みがましく二人を睨めあげる。

 

「あ、やっとこっち見た。へへ〜、美耶おはよう」

「おはよっ!二宮さんっ。ホントばかおりが朝からごめんねー」

「ばかおり!なにそれウケるんですけど!」

「いやマジでうっさいからあんた」

「千佳手厳しー」

 

くぅ……やっぱ朝から挨拶なんて慣れないことするもんじゃないわね。

朝イチのリア充とのやりとりのライフの削られ具合はホント半端ないわ……

 

で、でもまぁ、さっきの挨拶は緊張で近年稀に見るほどのグダグタになっちゃったし、もっかい挨拶してあげようかな……?

 

「……お、おはよ」

「っ!?……きゃー二宮さん、口尖らせて真っ赤な顔して「お、おはよ」だなんて超可愛い!」

「美耶ってば可愛いじゃーん」

 

ふぇぇ……もう恥ずか死くってライフが持たねーよぅ……

 

──とても優しいニコニコ笑顔で照れ具合を覗き込んでくる二人に辱められながら、私はまたばったんと机に突っ伏すのでした。

 

※※※※※

 

そして時は流れてお昼時。

四時限目終了のチャイムと共に私は二人に取り囲まれた。

私の席は廊下側だから、横にマークが着いてしまったら逃げ道などないのだ。

やだなー……こいつら超ニヤニヤしてるし、絶対目的は昨日の話だよー……

 

「おっし、お腹減ったし昼ごはん食べようぜー」

「かおりー……だから男子も居るんだし、お腹“空いた”にしときなってばー」

「なんでー?女同士で居る時は減ったって言うのに、男の前だけ空いたとか言う方がよっぽどダメくない?」

「いやまぁそれはそうだけどさー……

前に葉山君達と遊び行った時だって、あんたの減った発言で葉山君苦笑いしてたじゃんよ」

「そうだっけ?でもそれは葉山君に器量が無いってもんだって。

男の前だけでも上品な言葉遣いを求めるなんて、それ完全なる男のエゴじゃん。

またまだ女ってもんを分かってないよねー。

むしろわざとらしく女を飾らないあたしを見ろよって感じ」

 

お?なんか話逸れまくっていい感じじゃない?このまま逸れててくれれば、昨日のことに触れられずに済むかも?

……にしても。やっぱり折本さんてこういうトコ好感持てるかも。あのリア充王子の前でもこんな砕けた態度がとれる女子って、なかなか居ないんじゃない?

私も、まだ友達(偽)に囲まれて“可愛い私”を演じてた時代は、あたりまえのように可愛らしい言葉遣いを選んでたけど、今となってはそういうのって薄ら寒く思えるもん。

男の前でだけクスクス笑って、女同士だとギャハハと笑う女を散々見てきたもんな。

……あれ?意外と私って折本さんのこと好きじゃね?

 

「あ……私は結構その気持ち分かるかも……」

「お!まさかの美耶が参戦!」

「意外〜!二宮さんて、どっちかって言うとかおりの逆タイプかと思ってたぁ」

「……う、うっさいなぁ……いや、ホラ、私も昔はそうやって自分を飾ってた頃があったからさ……

なんか、男子の前だからって飾らない女の子の方が、ずっと信頼できるかも」

「だよねー!やばい、美耶に肯定されちゃったよあたし!マジウケんだけどー!」

「いや……でもさすがに折本さんは砕けすぎでしょ……」

 

最早砕け散っちゃってるレベル。あんたの場合はもうちょっとだけ飾ろうよ……

 

「だよねー」

「ヤバイいきなり裏切られた!ウケるっ」

 

ホント五月蝿くてかなわんな〜、この人たち。

でもまっ、なーんかこういう飾らないガールズトークもたまにはいっか。

ふふっ、なんかいいな、こういうのって!リア充生活ってのも悪くないかもっ!

──そんな気持ちが、私を油断させてたのかも知れません……

 

 

 

 

 

「……あ、あれだよね。確かにあのなんかキラキラした人なら女子にそういうの求めそうだけど、比企谷君なら飾らない女の子を求めそうだよね。

でも実は「こういうところで恥じらいを見せる女の子ってのもおじさん的に好みだけどなっ」とかニヤニヤしながら思ってそう」

「ウケる!ホントそれっ」

「あ、わたしもちょっと分かるかもー」

 

……お、おおっ……!なんか私ってばリア充のガールズトークに馴染めちゃってる上に、なんか話題を提供しちゃう大活躍を見せちゃったよ!

でも……あれ?なんか失策があったような……

 

「ひひっ、にしても……なぁに?美耶ー。美耶の頭ん中には比企谷のことしか無いのー?

まさかこの会話の流れからわざわざ比企谷出してくるとは思わなかったよ」

 

……あ、し、しまったぁ!!

せっかく話が逸れてたのに、気付かないうちにわざわざ比企谷トークをセルフプロデュースしちゃってた……!

 

「ち、違くて……だって!……その葉山君と遊びに行った時ってのは、ひ、比企谷君も一緒だったって聞いたから…」

「まぁまぁかおりー、そうやって二宮さんをからかわないのっ!

ホントは二宮さん、あれからの話したくって堪らなかったんだよねー?」

「それあるー!」

 

ねーよ。

ぐぎぎ……二人して超ニヤニヤ見てくるんですけどっ……

 

 

「じゃあ仕方ないなー。わたし達がちゃんと聞いてあげるからぁ……」

「あのあとのこと洗いざらい話しちゃいなよー、美耶ー」

「「ほれほれ〜」」

「……う、うー……」

 

そんなこと無いのにっ!恥ずかしいから話したくなんか無いのにっ!

…………でも、ホントはちょっと誰かに話したかったのかもしれないな。自慢にもならないようなあんな情けないお話を誰かに自慢したくって。

 

も、もちろん告っちゃったことは、こいつらなんかに絶対言えませんけどね!?

 

つづく

 






本当にご無沙汰でした!
実は去年の年末辺りから書きたかったんですけど、他に書きたいものやら書かねばならぬものが色々ありまして、気が付いたらこんなんなっちゃってました(^皿^;)


いやいやそれにしてもホント驚きました。
なにが驚いたって、全然話が進まなかったこと(苦笑)
①ではもう比企谷トーク終了まで行くつもりだったんですけど、想像以上に美耶の脳内トークが長くなっちゃって(白目)
美耶はもしかしたら香織よりもめんどくさいヤツかもですね(苦笑)マジで尺返せよ。



というわけで、たぶん三話程度の中身の無い後日談にはなると思いますが、その②でまたお会いしましょう!


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