秘色のフレイムヘイズ   作:sairu

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今回は厨ニチックな詩はかきません。理由は思いつかなかったから・・・w
さてと注意ですタグにも書きましたが性格改変ですので今回から悠二君とヘカテーの性格が少し?結構?とりあえず変わります。原作の悠二とヘカテーが好きな人はあまりお勧めしません。
それでも大丈夫な人はどうぞ~^



山の天気と女の転機

 

「ねぇヘカテー」

『なんでしょう、悠二』

しばらく無言で帰路についていた悠二が家の前でヘカテーに問う。

「ヘカテーが他のフレイムヘイズに名前を伏せてって言ったのは、こういう事だったんだね。」

『・・・・ええ、そうです。今回は話のわかる“天壌の劫火”のおかげで、監視だけですみましたが中には私の名前を聞いただけで襲ってくる奴も居ると思います。』

悠二の問いにヘカテーは若干言いにくそうに答えた。

「ふふ・・ヘカテーは有名なんだね・・」

悠二はそう言い自分の家のノブを回した。

 

「ただいま~」

「あら・・悠ちゃんお帰りなさい、ずいぶん遅かったわね」

家に入ると悠二の母親、千草がわざわざキッチンから出てきて声をかけた。

「うん、ちょっとお店に用事があってね」

悠二はさも当然のように答えた。一応嘘ではない。

「そう、じゃあもうすぐご飯できるから着替えてらっしゃい」

「うん・・わかった」

そう言い

悠二は二階の自室へ千草はキッチンへ戻っていった

 

『悠二・・・なぜ聞かないのですか?』

自室にはいるとヘカテーがそう聞いてきた。

「うん?何のこと?」

悠二は上着を脱ぎながらそう答える。

『とぼけないでください!・・私の事についてです。』

ヘカテーは、はぐらかそうとしている悠二に怒鳴る。いつも冷静なヘカテーにしては珍しいことだ。

『今回、悠二は私のせいで監視されることになったんですよ? 』

「うん・・・そうだね、でもこっちが変なことしなかったら何もしてこないでしょ。」

自分を責めるヘカテーの問いに悠二はズボンを脱ぎながら答える。

「それとも、ヘカテーはアラストールが言うように何か企んでるのかい?」

『い・・・いえ、そういうことは何も・・』

にやけながら言った悠二の言葉にヘカテーは反論できない。だが納得もできない。

もっとも、ヘカテーが動揺したのは別の理由かもしれないが・・・

 

悠二は私服に着替え、制服を壁にかけようとするところで止まった。

「なっ・・・・・・」

『どうしました?悠二』

悠二の驚愕した声に何事かと問う

「さ・・・財布が・・・無い・・」

まるでこの世の終わりかと言うような声を絞り出す悠二。

それも当然か、新しく買った財布にはお金のほかにスタンプカードやポイントカードまで入っている。

加えて財布のお値段は約3000円・・・計一万円以上の損失である。

悠二はあきらめず上着の内ポケットや意味もなく部屋の床を探し回る。

だがあるわけもなく最終的に床に伏した。orz←これ状態・・・

 

『そういえば、ゲーム屋の床に落としてましたよ。』

さも今思い出したようなヘカテーの一言。それに対し悠二は伏したまま、声が1オクターブ下がる

「ヘカテー・・・」

『なんでしょう?』

「なんでそのとき言ってくれなかったの?」

『そのときは徒が最優先かと』

責める悠二に淡々と答えるヘカテー。

「じゃああいつと別れた後とかさぁ・・・」

『忘れてました。』

ヘカテーの非情な一言に悠二はついに暴発して腕を床に叩きつけながら叫んだ。

「何でだああああああああああああああああああ」

 

 

「悠ちゃんなに騒いでるの?ご飯できたわよ~」

扉の向こうからは穏やかな千草の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

「ああ・・・・」

夕食と入浴を終え悠二が濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に戻ってくる。

電気をつけ、ベットにダイブする。枕元においてある時計を見ると、もう20時を半分過ぎていた。

「ねぇヘカテー」

悠二が右腕につけている腕輪“エリーニョス”に話しかける。まだ吹っ切れていないようだが大分諦め気味だ。ちなみに腕輪にした理由は一番邪魔にならないと言う理由から、全体的に銀色で切れ目が無く流線型の模様が掘り込まれている。腕とほぼ同一化しているので外す時は自分の意思で炎にして転移させるしかない。

『なんでしょう?』

ヘカテーが普段と変らない声で返す。

「あの時聞きそびれたんだけど・・・“天壌の劫火”とか“頂の座”ってどういう意味?紅世での役職か何か?」

ベットに寝転がりながらヘカテーに尋ねる。

『私たちの紅世での本当の名前ですね。ちなみに“天壌の劫火”アラストールがフレイムヘイズとなった場合その者の外見を重視して“炎髪灼眼の討ち手”と呼びます。』

「へ~。じゃあヘカテーのフレイムヘイズたる僕はどう呼ばれるの?」

ヘカテーの説明に頷きつつさらに聞き返した

『それは・・・』

悠二の質問にヘカテーは詰まる

『わかりません。』

「へ?」

ヘカテーの率直な回答に悠二はおもわず声を上げる。

『そもそもこの呼び名は長年フレイムヘイズをやっていて、他の人がつける呼び名なので先代がいたならまだしも成りたての悠二にはまだ・・』

ヘカテーは若干言いにくそうに言った。

「ふ~ん・・・先代か・・フレイムヘイズって何回もなれるの?」

『なれる・・・という言い方はおかしいですが、私が生きている限り私のフレイムヘイズになる事は可能です。しかし人間の場合一人で何回もというのは無理ですね。悠二は“零時迷子”を内包しているのでわかりませんが、普通は契約主の王が抜けた時点でその力の媒介になっていた人間は死にます。』

「そっか・・・まぁこれだけの力だしそれぐらいの代償は必要か・・」

悠二は仰向けになり、左腕を上にのばし手のひらを開け閉めしながらヘカテーの説明に答えた。

「それにしても・・・やっぱりいい気はしないね。」

悠二は天井、その先の屋根にいる少女を見てつぶやいた。

 

そのころ屋根の上では、あの子もとい“炎髪灼眼の討ち手”が契約主であるアラストールに愚痴を零していた。

「あ~~~~~もう!むかつくむかつく~なんなのよ“あいつ”は~~!自分の存在の力を犠牲にして町を直す?それに喧嘩売って来たと思ったら急に笑顔になって握手をもとめるとか・・・もう!わけわからない!・・」

少女は愚痴というより混乱しながら首に下げているペンダント“コキュートス”に向かって吼える。

『あやつは“零時迷子”を内包してる故にそのようなことが可能なのだろう。それにお前が混乱するのは久しぶりに人間と会話したからだな。まぁ今までフレイムヘイズとしてだけでここまで来たのだから、少しぐらい人間らしく接触するのもいい事ではないか?』

その“コキュートス”からアラストールが少女を落ち着かせようとしていた。

「ずいぶんあの悠二とか言う奴に寛容ね・・」

少女が声を落としながら返答する。どうやら落ち着かせるために言った言葉が癪に障ったらしい

『む?・・・そう聞こえたか?まぁ我々が監視するのは“頂の座”の方であってあの男ではないからな』

「でも・・・フレイムヘイズとして行動しているんだったら・・・監視すべきは“アイツ”でしょ?」

『ま・・・まぁそうなのだが・・』

普段の彼女らしからぬ言動に押され気味のアラストール。

そのとき屋根の下で窓が開きそこから開けた窓を踏み台にして悠二が屋根の上に上がってくる。その手には二つのカップが握られている

「一つ訂正だよ。喧嘩を売ったのは僕じゃなくて“君”でしょ?」

悠二が“君”を強調しつつカップを少女に差し出す。カップからは仄かに湯気が出ていて。その暖かさを教えてくれる

「盗み聞きしてたの?」

少女がカップを両手で受け取りつつ怪訝そうな顔で言う。

「いや・・・あれだけ大声だせば聞きたくなくても聞こえてくるし・・」

悠二が苦笑しながら答え、自分のカップに口をつける。

悠二が飲んだことを横目で確認しつつ少女もカップから飲む。

「げほっごほっ・・・うぇ・・・苦い・・」

少女は涙目になりながら口に含んだ黒い液体を吐き出す。

「あれ?もしかしてコーヒー飲んだこと無かった?一応ミルクも砂糖も入れたつもりなんだけど・・・“やっぱり”、“見た目通り”苦い物は苦手みたいだね」

悠二が一部の語を強調しながら口元を上げて言う。それに対し少女は悠二を睨み徒を倒すときに見せた神速で悠二の顔めがけてカップを投げつける。

悠二もそれをわかっていたのか、フレイムヘイズの肉体を駆使して簡単に横にずれてかわす。

「ふふふ、ひどいな・・人の好意を無駄にするなんて・・」

悠二は悪びれも無くそういってのけた。

「殺す・・・」

少女は元々狭い堪忍袋が破裂し、睨みながら少女とは思えない大地を震わすような低い声で言う。

「ふふ、ごめんごめん次はココアをもってくるからさ・・それじゃあヘカテー後よろしく☆」

『え?ちょ、ちょっと悠二、待ってください。☆?え?何ですか☆って??』

悠二は少女の睨みに笑顔で答え、手首から腕輪を外し屋根におき、窓から部屋に入っていった。

取り残されたヘカテーは完全に混乱してしまい。普段なら考えられないほど取り乱した。

 

『・・・・・・・・』

『・・・・・・・・』

『“頂の座”・・・』

『・・・・なんでしょう“天壌の劫火”』

『同情しよう・・・』

『・・・・今は素直に受け取っておきます・・・』

未だに悠二の消えた場所を睨んでいる少女のそばでペンダントが姿があるなら憐憫の目で腕輪を見つめ、言った。

 

『ちなみに“頂の座”、☆というのは絵文字で楽しい時などに使う飾り文字だ。』

『なっ・・そっそんなこといちいち言われなくても知ってます!!』

『・・・ふふ』

『・・・くぅ・・・』

アラストールにからかわれて呻くヘカテー・・・アラストール意外に楽しんでいるらしい

そこにこの騒動の元凶が帰ってきた。

 

「よっと・・・はい今度はちゃんとココアだよ」

そう言って再び少女に暖かいカップを渡す。

「・・・・・・・・」

少女は悠二を睨みながらカップを受け取り警戒しながら飲む。

「・・・・・・おいしい・・」

ココアを飲んだことが無かったのか先程の怒りを何処かへ追いやり、目を丸くして感想を言う

「ふふ・・それはよかった」

対する悠二はそういい元々自分が入れてきた若干冷めたコーヒーを飲む。

 

『悠二・・・・』

「ん?どうしたのヘカテー?」

『後で話があります・・・』

ヘカテーの声はあの時よりも殺気をはらんでいる。アラストールにからかわれたのがよっぽど悔しかったらしい

「・・・・・わかった・・・」

悠二は下手に抗わないで頷いた。若干頬がひくついているが

 

「何のよう?」

今までおいしそうにココアを飲んでいた少女が突然声を発した

「監視のところにわざわざ来るなんて・・・何か企んでるの?」

「何も企んではいないよ。ただ上に女の子がいると思ったら落ち着かなくてね・・」

「なっ・・・」

『うむう・・・』

悠二の狙っているのか天然なのかよくわからない発言に少女もアラストールも若干引く。

『悠二・・・言い方が少しおかしいです』

「え?」

ヘカテーの呆れながらの言葉にようやく悠二は気づく

「あっ・・・いや変な意味じゃなくて、そのただ上に誰かいるのは落ち着かないな~ってうんそう思って・・」

「じゃあどうすれば?嫌がっても監視は続けるわよ?」

「僕の部屋使っていいよ。外はフレイムヘイズだとしても今の季節少し寒いでしょ?僕は下のソファで寝るからさ」

悠二は笑いながら少女に言う。少女はその笑顔に悪意が無いことを確かめ言う

「変なことしたらぶっ殺すわよ」

『大丈夫です。悠二にそんな甲斐性ありませんから』

さっきの仕返しとばかりにヘカテーが即答した。

「なっ・・・・」

ヘカテーに甲斐性なしといわれ落ち込む悠二。

その間に少女は開いている窓から靴を手に持ち部屋の中へ入った。

その後ろに悠二が付いていく。

 

「座っていいよ。」

そういい悠二はベットを指差し自分はその正面に腰掛ける。

「さて自己紹介からはじめようか。僕は坂井悠二。君の名前は?」

「・・・無い」

「え?」

悠二は定番である誰でも答えられる自己紹介から躓くと思わず、声を上げて驚く。

「自分の本当の名前は知らない。呼ばれるときは“炎髪灼眼の討ち手”か“贄殿遮那”(にえとののしゃな)のフレイムヘイズって呼ばれてた。」

少女は悠二から目をそらすように下を向きながら答えた。

「ふ~ん・・・そういう人も居るんだね・・でもその呼び方だったら名前って感じがしないし・・う~んよしじゃあ“贄殿遮那”(にえとののしゃな)からシャナってことで・・・どう?」

悠二は首を捻り考え抜いた末に笑顔でそういった。

「好きによべばいい」

対する少女・・・シャナはそっけなく言った。

 

『それにしてもヘカテー“零時迷子”を内包しているとはいえ面白い奴と契約したな』

今まで黙っていたアラストールが突然声を発した。

『後半はともかく前半は聞き捨てなりませんね。その言い方では私が“零時迷子”のために悠二と契約したと聞こえます。』

アラストールの声にヘカテーが非難の声をあげる。

当の本人は

「面白いって褒められてるのかな?」

「知らない」

などシャナと会話していたりする。

『そのつもりで言ったのだから当然であろう。違うのか?』

『違います。私は“零時迷子”のために悠二と契約したわけではありません』

『ではなぜ彼と契約したのだ?彼の境遇は知らないが同じような人は世界中に何人も居る。その中でなぜお前は彼と契約した?偶然近くに居たからという安易な理由でか?そんなわけは無いだろうフレイムヘイズになればほぼ死ぬまで一緒だ、それをそんな理由でするとは思えない』

『そ・・・それは・・』

攻めるアラストールに防戦一方なヘカテー。しかもアラストールの言っていることは正しい。この言い合いは完全にアラストールの勝利と思われたところで邪魔が入った。

「やめてくれアラストール」

『悠二・・・』

悠二は諭す様な声でアラストールを止めた。ヘカテーはほっとしたがすこし怪訝に思った。

状況的にアラストールの圧勝、悠二がヘカテーに対して不信感を抱いても仕方が無い。だが悠二はヘカテを味方した。その意図が分かりかねたのだ。

「ヘカテーがもし本当に“零時迷子”が欲しいんだったら、僕を助けた後僕を殺して中から取り出せばいい、ヘカテーにはそれが可能な力がある。それができなくても僕を攫ったりとかできる。でもヘカテーは僕ばかりじゃなく家族や近所の人までも助けてくれたんだ。」

悠二は淡々と説明する。

「そして自分が自由にできなく事を承知で僕と契約してくれた。そこまでしてくれたヘカテーを僕は疑うことができない」

悠二は同じく淡々とだが力強くシャナの首にかかっているコキュートスに向けて言いきった。

「それでももしまだヘカテーを疑うなら、たとえ勝てなくても戦うよ。アラストール」

きっぱりと明確な覚悟を持って悠二は言った。殺気は出していないもののその目は炎を宿している。

その言葉にシャナは座っていたベットから立ち身構える。

シャナと悠二お互いの目がカチリと合い睨み合う。一触即発の状態。

『悠二やめてください・・』

『やめておけ・・・』

ヘカテーは弱弱しく、アラストールは諦め気味に互いの契約者を諌める。

『これでわかりましたか?“天壌の劫火”私たちはお互いを信用の元で契約しているのです』

ヘカテーは先程と異なり力強くアラストールへ向けて言い放った。

『うむ・・・』

ヘカテーに気おされてか・・アラストールは唸った

「悠二」

「何?」

シャナの呼びかけにこたえる悠二

「アラストールは“頂の座”だけを監視すればいいと言ったけど、私は今ので気が変った。あなたも監視対象にするわ。」

「わかった・・まぁたいして変わらない気がするけど・・・」

シャナの言葉に悠二はそう返して扉の方へ向かう。

「じゃあそこらへんの使っていいから、今日はもう寝るね・・おやすみ」

悠二はそう言って元々開いていた自分の部屋のドアを閉めて下の階へ降りる。返事は無かったが別に気にした様子も無い。返ってこないと分かっていたんだろう。

 

 

『悠二・・・ありがとうございました』

悠二が階段を下りている途中腕輪“エリーニョス”からヘカテーが穏やかな口調で言う。

「別に・・・本当のことを言っただけだからね」

悠二は左手で頭を掻き少し照れながら答える。

『それでも・・です。本当にありがとうございました』

今度は楽しそうにヘカテーが言う。信じられるというのはそれほど嬉しい事なのだろう。

「やめて・・・ほんと照れる」

悠二が頬を染めにやけながら反抗する。そして一階に着いた。

一階はもう暗い。単身赴任で現在一人の千草はお風呂から上がり、少し涼むとやることがないので一階に在る自室に入りすぐ寝てしまうのである。寝ている母親を起こさないように静かに歩き、リビングに入り電気をつける。壁にかかった時計を見るといつの間にかもう22時を半分以上過ぎていた。そのままぼんやりと歩き目的地であるソファに腰をどっしりと下ろす。

「ふぅ~・・・・何か疲れた・・・」

溜息をつきかすれた声で呟く。

『お疲れ様でした』

先程の件で機嫌がいいのかヘカテーは妙に優しい。

「これでもう監視はヘカテーのせいじゃなくなったね」

悠二はエリーニョスに笑いかける

『もしかして・・・わざとですか?』

ヘカテーは不振に思っていた、普段悠二はあまり物事を荒立てない。しかし今回に限り何かと厄介なことをしでかしている。およそ悠二とかけ離れた行動。

「いや・・・さすがにわざとじゃないよ・・まぁ結果的にそうなっちゃったけどね」

自嘲しつつそう呟く

「それにしても・・・普通フレイムヘイズにも名前あるよね?」

悠二は先程の会話を思い出しつつヘカテーに問う

『ええ、私もフレイムヘイズのすべてを知っているわけではないですが』

前置きをいれつつ

『名前がないというのは初めて聞きますね』

そう言った。

『彼女の場合特殊なケースなんでしょう。戦い方も少し特徴的でしたし』

ヘカテーはすこし含みの在る言い方をした。

「そういえばシャナは炎を使ってなかったね。」

『さすがですね、悠二』

悠二の返答にヘカテーはうれしそうに声を少し弾ませた。

「“炎髪灼眼の討ち手”ってそういうもんなの?」

悠二は疑問に思ったことをヘカテーに聞いてみた

『いいえ少なくとも先代の“炎髪灼眼の討ち手”は違うと聞いています。たしか天罰神アラストールの炎を完璧に使いこなし、その炎で軍勢まで作って戦ったと』

悠二の問いに惜しみなく自分の知識を披露するヘカテー、元々惜しむ必要も無いのだが・・・

「ふ~ん・・・苦手なのかな?」

『ですがフレイムヘイズそれぞれにそれぞれの戦い方があるのでどれが一番というのは決められませんね。』

悠二の仮定にヘカテーが補足した。

「たしかにあの剣術はすごかったしね」

『悠二も自在法では引けをとらないと思いますよ?』

悠二はシャナをヘカテーは悠二を褒めた

「へへへ、ありがと」

悠二は照れながらそう答えた。

 

「あ~そういえば今日の練習してないや・・・でもノート部屋にあるし・・・疲れたからまぁいいかな?」

悠二が座りながら手足を伸ばし言う。

『本当はだめですが・・・今日は多めに見ましょう。ですが少しの間だけ“出して”ください。今日は“あれ”も居るので結界をちゃんと張ってくださいね』

ヘカテーが呆れたように言う。

「うん・・・わかった」

悠二は返事をして、ソファから立ち上がり電気を消し人の姿のまま目をつぶり右手を忍者がするように人差し指と中指を立て顔の前に持ってくる。そして指先に集中し自在式を組む、自在式が完成に近づくにつれ指先の明るすぎる水色の炎が大きくなる。

目を開ける。それと同時に火のともった指を振るう。封絶とは違う式がリビングを白く光らせる。

 

 

━展開━           醒絶(ジ・セイ・ウィーグル)

 

 

 

封絶の劣化版醒絶(かくぜつ)封絶のように因果から外されることは無く中に普通の人間が入っても何の影響も受けない。この自在法の能力はこの領域内外との気配の拒絶。つまりこの領域内で何をやってもシャナにばれることはない。この自在法は近くにフレイムヘイズが居てそのフレイムヘイズにばれないようにするためだけの自在法である。理由は外から丸見えと自らの炎で目立つからだ。徒にしても封絶のほうがありがたいだろう。

光の中悠二は姿をフレイムヘイズのものに変える。黒い髪は水色に黒き瞳は澄んだ青に。白きマント朔夜(さくや)を身に纏う。その中から神器大錫杖(トライゴン)をとりだし、それを床に打ちつけ音を鳴らす。

 

━シャラン━

悠二の前に丸い弾ができる。

━シャラン━

目の前の弾に自在式が土星の輪の如く取り巻く

━シャラン━

輪を取り込みもとの丸い弾に戻る。

 

悠二はその丸い弾に自分の右腕の腕輪“エリーニョス”を入れる。

 

 

━シャラン(展開)━     傀儡(ドーフル・バーチ)     

 

 

“エリーニョス”を埋め込んだ丸い弾が徐々に人型に変化する。

小柄の人に・・・さらに全身を覆うマント帽子まで明るい水色で表現されていく。

そしてすべてが表現され固定する。同時に水色の炎でしかなかった体に足の方から色がつき再現され、明るすぎる水色の瞳を持つ小柄で無機質で繊細な容貌を持つ少女。

“頂の座”ヘカテーの擬似顕現である。

この擬似体は悠二の存在の力によって形成されているため、零時前にしか使えない。本物の顕現と比べると格段に劣るが、与えた力によっては自在法も扱える。

そのヘカテーが醒絶によって光る床の上に立つことにより、光る床と周りを埋める闇が混ざり合い両方を増長させ神秘的な空間を作り上げる。

悠二はこの自在法のおかげで彼女を見慣れているが、いつ見ても見とれてしまう。それほどヘカテーは美しく可憐なのだ。

「悠二・・・」

そのヘカテーがほんの少し笑うそぶりを見せ悠二を呼ぶ。呼ばれた悠二はトライゴンを片手にヘカテーへ近づく。そしてお互いがちょうどいい距離になったその時

 

 

 

                  ━━━━パンッ━━━━                  

 

 

 

子気味いい音がリビング内に響いた。悠二は突然の横顔に痛みと衝撃を感じ思わず光の床に倒れこむ

そして左頬の痛みと振りぬいた後のヘカテーの右腕を見て自分がビンタされたことを自覚した。

「え?ちょっな・・なんで?」

突然のことで頭が情報を処理しきれず、ビンタされた理由がわからない。今まで結構いい雰囲気を醸し出していたのに台無しになってしまった。

「今日の夕方と夜・・・これでわかりませんか?」

微笑を浮かべ悠二に教えるヘカテーだがその微笑はすさまじく威圧感が在る。今まで神秘的だった床の光もいつの間にかヘカテーの恐怖を倍増させる光へと変貌している闇もここぞとばかりか勢力を上げて悠二に食らいつく。これが紅世の王のなせる力なのか?

明るい水色で包まれている空間が一気に恐怖の空間へと変わる。

「あ・・・・・」

今頃になりその意味を理解した悠二。いくらフレイムヘイズとはいえ相手は紅世の王・・・その王に殴られ悠二の左頬には真っ赤な紅葉が張り付いている。

「次は夜の分ですね・・・」

そういい倒れている悠二の方へ歩いてくる。悠二より小柄なはずだが威圧感のせいか、悠二より格段に大きく見える。十分に近づき再び振り上げられる右手。

抵抗する無力を知っている悠二は左頬を押さえることをやめ目をつぶり、潔くヘカテーの制裁を待つことにした。

 

だが一向に衝撃は来ない。悠二がそろりと目を開けてみると右手を振り上げそのままの姿のヘカテー

どうやら悠二が目を開けるのをまっていたらしい・・・

(・・・・・鬼畜過ぎるでしょこれは・・・・)

悠二が心の中で叫んだ。

そして手が振り下ろされる。今回は悠二が倒れているおかげで手が簡単に届く位置に顔がある。

先程は見えなかったが、察するにそれと同じかそれ以上のスピードで迫り来るヘカテーの手のひら。

悠二は目を瞑りたい衝動をなんとか抑え、頬に来るであろう衝撃に備える。

だがヘカテーの手は悠二に当たる直前スピードが急に無くなり、悠二の頬に当たった。

そう打ったではなくあたった。

フレイムヘイズたる悠二にとっては撫でられるのと同じようなものだ。

「え?」

思わず声が出るのもしかたないだろう。あれほど威圧感に満ちた部屋は打って変わり元の神秘的な空間になっている。

ヘカテーは悠二の頬に手を当てたまま顔を近づける。そして悠二に自分のかぶっている帽子が当たったところで口を開いた

「今回は悠二に助けられそして、信じてもらったのでここら辺にしておきます」

言うのと同時にヘカテーの右手が発光、痛みが引くのを感じる。治癒の自在法である。

自在法を使えば当然ヘカテーが消える時間が格段に早くなる。見た目もうすでに足の先から水色の炎が散っている。

「もう、同じようなことしないでください・・」

言うのが早いか消えるのが早いか・・・悠二がとっさにヘカテーに手を伸ばすが触れるのは自らの炎だけ。

最後の言葉と共に炎が笑う形を作り散っていく。

ヘカテーが“いた”場所には支えを失った“エリーニョス”が重力に従い落下する。

それが床に落ちコンと音を上げ、その音にあわせる様に自在法醒絶が解除される。

神秘的空間が砕け闇が謳歌する

悠二はヘカテーへ向けて差し出した手を戻すことをせずそのまま床に倒れこむ。

悠二の纏う朔夜も手に持っているトライゴンも闇に解け、明るい水色の髪は瞳と共に闇に侵食され黒く

戻る。睡魔に襲われ意識さえ刈り取られ、悠二は自分を引き寄せる闇に 体をゆだねた。

 

その神秘の名残である神器“エリーニョス”は未だ闇を寄せ付けず悠二のそばで輝いている。

その中でヘカテーは悠二の眠りを妨げることもせず

暗闇の中沈黙を守り悠二を見ていた。

 

 

 




いや~なんか・・・すみませんw
厨ニ全開ですよね~・・・止められなかったわが病気・・
まぁ治すつもりさらさら無いんで嫌な方は華麗にスルーしてください。
あとこれ以降タグにも書いてありますが、更新がかなり遅くなると思います。
理由はえ~っと大学受験というふざけた行事のせいです!
つかてめぇ大学受験中に何駄文イソイソ書いてんだ!って感じですが・・衝動ですよw
因みに理系っすw
いや~ほんとなにしてるんでしょうか~・・・・
とまぁこんな理由です。お許しを・・
あと感想や愚痴、悪いところ、修正部分など何でも結構ですのでどしどし送ってください^^
それでは次項でお会いしましょう^^
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