寛大すぎる読者様のせいで作者がまたもや、やってしもうたぞw
今回もかな~~~~り壊れてます。原作のキャラが好きな人は見ない事をお勧めします。
それでも大丈夫bっていう人はどうぞ~~~↓
「・・・であるからしてXには3がそしてYには5が入るわけだ。わからないやつは・・・・」
普段どおりの授業。皆自分や教室などが半壊していたなど思いもせず、5限目の数学を受けている。
今のところ何の問題もないのだが、悠二の隣には何故か(・・・)すこぶる機嫌の悪い不発弾が設置されていた。
軽く触れれば誰かまわず暴発しそうな・・・いや触れずとも自然爆発しそうなほどの不機嫌オーラを辺りに散らして、教室は午前中とは違う空気で静まり返っていた。
そんな中悠二は、背筋がゾクゾクするのをなんとか意識の外に追い出し自在法ノートにペンを走らせている。だがやはりいつものように集中することは出来ず、隣に居る危険物にに目をやり先ほどの戦いに思いを馳せていた。
(さっきの戦い・・・なんで僕の机と椅子だけ原型を留めないほど破壊されていたんだ?それとシャナは白だったけど・・・ヘカテーは何色なんだろ?やっぱり髪と合わせて水色とか? いやその法則だとシャナが赤や黒になってしまう・・・というより、そもそも紅世の徒って下着つけてるのか?もしかしてノー・・・いやいや落ち着け坂井悠二。煩悩に支配されるな心を静かに、頭はクールに、素数を数えろ 1、2・・・)
・・・・・訂正。最初から戦いに関する思考など欠片も入っていない、動き続けるペンが書き連ねるのはなにやら怪しげな言葉と様々な色。
深刻な表情で悩んでいる悠二の顔とは裏腹に意味のわからない語句が並ぶノートに、ヘカテーは一人悠二の腕輪の中で頭を悩ませていた。
そんなこんなで5限、6限と授業がおわり現在放課後。
『あの・・・悠二。もう学校終わりましたよ?それとさっきから何を考えているのですか?』
学校と言うことでヘカテーが小声で悠二に話しかける。
「いやちょっとまって・・・今宇宙の真理が僕によって解き明かされようと・・・」
何をどう歪曲したらそのような思考に行き着くのだろうか?
『・・・・そうですか。とりあえず宇宙の真理は解き明かされることを望んでいないと思うので、帰ってきてください』
間を置いてから発せられたヘカテーの声は驚くほど冷静であった。まぁ反応してあげたのはヘカテーの優しさ故だろうが・・・普通の人ならばスルー乃至、心の壁形成だろう。。。
その眠り姫悠二を起こしたのは妥当?と言うべきか騎士(ナイト)啓作とその他(速人、栄太)であった。
「おい、悠二。学校終わったから一緒に帰ろうぜ!」
その美声は思考の海に呑まれていた、悠二を引き上げるのに十分な力を持って脳内を揺さぶる。
「ん・・ああわかった。まってて準備する」
そう言い悠二は机の上と中にある教科書やノートを鞄の中に入れる、その時偶々視界の端にシャナを捕らえた。もうとっくに片付けを済まし、帰ったとばかり思っていたが教室の入り口に寄りかかりこちらを横目で見ている。
悠二がシャナを視界の端から中央に移そうと首を回した瞬間、
「おい、悠二はやくしろよ~~~~」
栄太が遮るように悠二の顔の前に立ち、待ちくたびれたとばかりに言い放つ。
悠二は栄太の言葉を無視して背もたれから背中を反らしシャナを捜す、だが先ほど居た場所にシャナはもうおらず周りを見てもシャナらしき小柄な生徒は教室には居なかった。
「?どうしたんだ?」
栄太は自分が無視されたことより、悠二が何を探しているのかが気になり振り返りながら尋ねる啓作も気になるらしく、悠二の視線の先を探る。だが悠二自身が既に目標を見失っているので二人も悠二が誰を、もしくは何を見ていたかはわからなった。そう二人は・・・
だがここにはもう一人いる。メガネマンこと池速人、彼は悠二とは離れた位置に居たので、悠二が何を探しているのかを見て知っていた。
「ゆかりちゃんなら、今帰っちゃったよ」
声では普通に振舞っているが、顔は少しにやけ眼鏡が輝いている
「っ!」
「ほう」
「へぇ~」
三者三様の答え、メガネマンの活躍により一人は顔を少し歪ませ、他の二人をニヤケマンに代えさせた。
当然歪ませたのは悠二でニヤケマンのお二人は啓作と栄太だ
「なんてことだ・・・・僕は一人の友人の密やかで甘やかな恋路を邪魔してしまったのか・・・」
栄太が右手で顔を覆い天を見上げながら、芝居がかった口調で嘆く。手で覆い切れていない口元がはっきりと笑っているのが余計癪に障る。
「そういえば悠二5限も6限もなんか上の空だったよな・・・それでか・・・」
啓作が腕を組み頷きながら言う、こちらも当然口元が笑っている。
「昼休みでは、そんな気無いって言ってたのに・・・やっぱり嘘だったんだね~」
メガネマンが眼鏡の光度をさらに上げ完全にニヤつきながら悠二の近くに歩いてくる。
「・・・・・」
まったく見当違いもいいとこなのだが、悠二はどこをどう否定すれば良いのかわからず・・・というよりもはや諦めて椅子にもたれかかったまま沈黙した。どうせ否定しようと意味はない、仲が良い友達だからこそこうなった時、やられてる本人が何を言おうと信じてもらえず結局周りが飽きるまで続くのだ。
自分もやったことが在るだけに悲しいほど現実が見えていた。
「まぁ俺はそうなると思ってたけどね~お前ら仲よかったしな」
栄太が芝居がかった口調をやめ、悠二の頭を軽く叩きながら言う。
「?・・・田中お前、昼には仲良くはなかったって言ってなかったか?」
栄太の軽口を啓作がニヤ顔をアレ顔にして指摘する。
「あれ?そうだっけか?」
「うん。僕も聞いてたよ、たしかに仲が良いとは言ってなかったね」
メガネマン池速人が啓作を支持する、その時悠二は少し疑問を持っていた、栄太の言い間違えなんてしょっちゅうあることだし、そんなことを指摘するより皮肉にも自分を弄っていたほうが絶対楽しいと思う。なんで態々そこを指摘して会話を変えるのかそこが気になった。
決して弄って欲しいとか寂しいとかは断じて思ってない!
絶対に思ってないさ!
・・・・・
だがその答えは悠二そっちのけの3人の会話で解決することになる。
「あんまり気にしてなかったけどさ・・・入学してきたときのゆかりちゃんって覚えてる?」
栄太が珍しく少し真剣な顔をして二人に聞いた
「え・・・・?あ・・・そう言われて見れば・・・あれ?・・なんかぼんやりとしか思い出せない」
速人が困惑したような憔悴したような顔で栄太の問いに答える。一応学級委員長をやっているので、普段から多くのクラスメイトと接しているはずなのだが、ゆかりだけ(・・)がなぜか薄ぼんやりとしている。
「そうだよな・・・アレだけインパクトあるのになんでだ?・・・というより何時から?」
啓作も真面目に考えながら、的確に栄太に答える。
「そう!それだよな!・・・・何時からなんだ?なんか最近って感じはするんだけど具体的に何時からかってのがホント曖昧なんだよな・・・悠二お前はどうなんだ?」
栄太は待ってましたと言わんばかりのジェスチャーで表現し、今まで空気同然として扱ってきた悠二に話を戻した。
「あれ?そういわれてみればそうだね。何時からなんだろ・・・僕も記憶が曖昧(・・)で・・・」
悠二もさも同じことを思ってたと言う様に答えた。頭の中では2人の平井ゆかりがばっちりと浮かび、理由もわかっているのだが・・・言うわけにはいかなかった。
「ん~まぁ悩んでもしかたねぇよな~ゆかりちゃんはゆかりちゃんだし・・・・そろそろ帰ろうぜ、周りほとんど帰っちまってるよ」
言いだしっぺの栄太がこの会話を終わらし、本来の目的である一緒に帰るという行事に帰着させ教室のドアへと歩き出す。なるほど周りを見るともうほんの数人しかおらず、日は西に傾き教室を赤く染めていた。速人も啓作もそれに続き教室のドアへと向かう、悠二は椅子から立ち上がりとっくに荷造りし終えた鞄を手に持ち自分の隣の机を見て止まる。想像とし椅子に座っているのは、フレイムヘイズではなくトーチとしての平井ゆかりの姿、「おーい悠二、何してんださっさと帰るぞ~」消えてしまった、いや消されてしまった物、だがトーチとして生きていたゆかりは悠二の中に思い出として残っていた。そう・・入『悠二、友人が呼んでますよ』・・・
「え?・・あ、今行く!」
思い出に耽りそうになった悠二をヘカテーが呼び戻し、廊下で鞄を頭上でブンブン振っている栄太の下へと走り出す。
「それでさ・・・・ここからが本番なんだよ・・・・」
・・・所かわって下校中の通学路。その交差点で栄太が何やら声を低くして、だが力の篭った声で三人に話す
「GLR・・・スナイプポイントをついに、発見した!」
最初の方は声を抑えていたのだが、段々力が入り最後にいたっては鞄を持っていない右手で胸の前に握りこぶしを作る興奮ぶりとなった。
「ほう~~さすが田中・・・期待を裏切らない男だ!」
啓作も興奮して栄太の背中をバシバシ叩きながら叫ぶ。彼らの口調からして大分前から色々と画策していたようだ。
だがここに居るのは学級委員長であり優等生の池速人。よくわからないが良いことではないことは確かな行動、彼がそんな行動をゆるすはずが・・・
「君達・・・このグレネードランチャー計画がばれたら僕達は一巻の終わりだ、はしゃがず入念な検証の元、実行しよう」
なくなかった・・・。メガネマンはノリノリでその眼鏡を右手の人差し指で押し上げ、落ち着いた口調で二人を嗜めた。彼が首謀者なのだろうか?
「隊長・・・・指示をどうぞ・・・」
池が悠二を見て、言った。・・・・やっぱりだったか・・・
「池・・・明日のミッション遂行予定時刻は何限目だ?」
悠二が威厳に溢れた声で池に尋ねる。
「・・・・四限目にございます。」
池が間を見計らい・・・答えた。
「ふむ・・・啓、お前は栄と共に朝の段階で下見を、池、お前はその時間お前の権限を使ってその場所に他の生徒を近づけさせるな。」
「ハッ」
「はっ」
「フッ」
答え方はバラバラだが心は一つになっているようだ。
「明日。。。俺達の長年の苦労が実る・・・皆・・我らに勝利を!」
悠二が胸に手を当てて叫ぶ。
「「「我らに勝利を!」」」
それに続いて啓作や栄太、速人が叫ぶ。ついになにかの組織が何かのために動き出した。
悠二の右腕にいるヘカテーはまたもや訳がわからない。まぁ実際ヘカテーにばれないように悠二がやっているわけなのだが・・・
GLR・・・・girl's locker room 通称グレネードランチャー
つまり。。。。単なる覗き・・・最低の奴らだ。
4人が交差点で謎な儀式を終えた後、それぞれの家へと歩みを進める。夕日に染まった道を歩く後姿はまさに戦場に赴く兵士を彷彿させる堂々たる漢の歩み。その中で何故か悠二だけは家とは違う方向へと足を進めていた。
『悠二?・・・どこへ行くのですか?』
ヘカテーが当然の疑問を口にする、それ以上に聞きたいことが山ほどあるだろうが・・・すでに色々と諦めていた。
「ん?ちょっと買い物をしようと思ってね」
先ほどとは違う軽い口調でヘカテーの問いに答え、繁華街へ続く道を進む。
『この前のゲームですか?』
「・・・・・・いやちがうよ」
悠二はそのことをすっかり忘れていたのだが、ヘカテーの言葉で思い出し2秒の葛藤の後結論を下した。
『では、なにを?』
「いけばわかるさ」
さらりと答え更に足を進める。目の前には既に繁華街の煌びやかな装飾が、耳には煩わしくも活気の出る喧騒が聞こえている、さすがに夕方とだけあって人が多い。この繁華街には食料品店も数多くあるので夕飯の買い物に来る主婦や悠二のような学生、他にも犬の散歩や母親と逸れて泣いている子供など様々な人が居る。
そうした人ごみを掻き分け繁華街を中心まで進み右の道に入る。本道では無いので人通りは比較的に少なくイルミネーションもほとんどない、昔ながらの道、その通り沿いに少し古びた外装のパン屋さんがあり悠二はその中に躊躇無く入る。どこの地域にもある穴場、母千草お墨付きの店。
名前は神創(しんぞう)ベーカリー
「いらっしゃいませ~」
中では三十五、六程度のおば・・・おねぇさんが愛想良い顔で出迎えてくれた。その年齢にしては美人で巷では少々噂になっているようだ。だが悠二の射程範囲からは全然(・・)遠いので特にそれに関する感想は無い。時間が時間なので普段はたくさんのパンが置かれている棚には数えるほどしかパンが残っていない、穴場とは言っても主婦の情報網は侮れない。学校で言う男子の可愛い女の子情報網のようなものだろうか?入学と同時に上級生による厳正な審査の元発表される男子の裏情報網で、上位にランクインすれば次の日に何故かさわやかな人の良い先輩が学校を案内してくれたりするそうだ・・・
悠二は入り口のそばにあるプレートとトングを取り、目的であるパンの前に近寄るが、その棚にはもうパンはなく、“ふわふわめろんぱん”と書かれた紙が一枚、空になったプレートの前にたてかけてある。
目的のパンが手に入らなかった悠二は、肩を落とし諦めようと体を反転させた時、違う棚に一つのパンと紙に書かれた文字が、目に飛び込んできた。
“ウニョールくりぃむパン”
「・・・・・・・・・」
その棚に一つぽつんと残されているパン。本来ならこれでいいかと直ぐ手に取るのだが、何故か取るのをためらってしまう、そんな響きを持った怪しげなクリームパン・・・クリームパンなのか?
色々と疑問はあるが一つしか残っていないと言うことは、やはり売れていて美味しいのだろう・・・だが悠二は奇妙な感覚に襲われていた。買ってしまったら取り返しのつかないことになるようで成らないような・・・中途半端な感覚。
それでも意を決してトングでそのパンを掴み自分のプレートに移す、そのまま店員さんのいるレジへパンを持って行き、お金を払い「ありがとうございました~またどうぞ~」と言う言葉を後ろで聞きながら店をでる。
「・・・・っはぁ、・・はぁ・・・はぁ」
意を決したからと言って息を止める必要は無いと思うのだが、何故か悠二は息をすることを忘れていた。
なぜたかがパンを買うことだけでこのように体力を消費しなければいけないのか?それは悠二本人が一番知りたかった・・・
その夜。
時刻は悠二の時計が狂っていなければ10時を半分回ったところ、すでに夕食もお風呂も済ませた悠二がベットに寝っ転がりながら本を読んでいる。
本の題名は“神の軍略”
・・・・・・どんな本だ?
『悠二・・・・買ってきたパンは食べないのですか?なるべく早く食べたほうが言いと思いますよ』
悠二の腕から外され、机の上に置いてある腕輪からヘカテーが悠二に言う、実際に買ったパンは未だ鞄と共に机の脇に置いてある。
「ん~・・・修行の後に食べるよ・・・」
悠二は仰向けで本を読みながら、ヘカテーに緩んだ声で返す。
『ですが・・・退く気配はまったくありませんよ?』
「・・・そうだね~・・・・」
相変わらず気の抜けた声で返事をしつつ体を起こして本を自分の脇に置く。
「ふぅ。。。だったら強制退去してもらうかな」
『出来るんですか?』
「出来ないこともないよ」
悠二は言葉とは裏腹に自信ありげに断定した。
そしてベットから立ち上がり、閉めていた窓を開けた。
同時刻屋根の上
「普通(・・)の・・んぐ・・学生ってひう・もぐもぐ・・のも疲れるひょね・・・」
シャナがお決まりのメロンパンを頬張り、屋根に胡坐をかいてアラストールと話している。
『・・・・そうだな・・・とりあえず口に入ったものを食べ終わってから話しかけてくれ・・』
・・・・またもや訂正。一方的に話しかけていた。
「んぐ・・ごくん。・・・普通の学生ってのいうのも疲れるものよね・・・」
シャナがアラストールに言われた通りメロンパンを胃に押し込んでからもう一度言いなおした。
『集団で勉強するというのが、初めてだからではないか?』
今度はきちんと文章に対する返事をした。
「勉強?あんなのとっくに知ってて学ぶことなんて何もないわ」
シャナが今日あったことを思い出し、アラストールに強く言い返した。
『たしかにな・・・だが集団というのに慣れることはできるはずだ』
「あんな連中と慣れ合うつもりなんてまったく無い・・・・んぐ・・」
アラストールの言葉にシャナは即答を吐き捨て、乱暴に食べかけだったメロンパンにカプつく。
「モグモグ・・。。ごくん・・・昼のも美味しかったけど、こっちのは特に美味しい・・」
イラついていてもアラストールに言われたことを律儀に守るシャナ。だがそのイラつきもメロンパンにカプ付くと霧散してしまうようだ・・・単純なのかそれほどまでに美味しいのか・・・
シャナが脇に置いているメロンパンを入れていたと思われる袋には・・・
神造ベーカリーの文字が・・・・
「そんなところで食べてないで、中に入って食べれば?」
窓が開いた音が聞こえていたので驚きはしない。シャナの目の前に悠二が立ってた。
「・・・・・そうさせてもらうわ・・・」
悠二の言葉に邪念が感じられない事を確かめたシャナは、そう言い右手で神造ベーカリーの袋を持ち、口にパンを咥え屋根から悠二の部屋へと入る。
悠二はシャナが自分の部屋に入ったのを確認した後続いて部屋に入った。
『こんばんわ、アラストール』
ヘカテーが皮肉めいた声でアラストールに話しかける。
『・・・・ああこんばんわ、ヘカテー』
アラストールも声を低くして答える。会話だけ見れば普通のあいさつに見えるのだが、なぜかその場にいるとペンダントと腕輪の中間で火花が散っているような幻視にとらわれる。
「・・・・とりあえずシャナ、コーヒーとココアどっちがいい?」
悠二はヘカテーとアラストールの会話を無視してベットに座ってメロンパンを食べているシャナに話しかける。
「ふぉふぉふぁ」
「・・・・・・・・ココアね、わかった持ってくる。」
悠二は余計な事を言わず、自分の部屋から出る。
(・・・・やっぱりかわいいな・・・呂律まわってないところとか・・ね)
口に出していないだけで、色々と考えているようだ。
一階にあるお風呂場からシャワーの音が聞こえて悠二は少し安心した。なればと・・・台所に移動し牛乳を電子レンジで温め、ココアパウダーを引出しから出す。そして温めた牛乳にそれら(・・・)を入れココアを完成させる。
ココアを持ち再び自室に戻った時そこは・・・・地獄だった。
最初は火花程度の幻視だったが今では嵐や雷にまで発展してしまっている。
『だから・・・アラストール今のは、後出しです!』
『ふん・・・負け惜しみか?ヘカテー』
『なっ・・・負け惜しみなどではありません。公正なじゃんけんのルールに基づいた事を言っているだけです!審判を掌る神が聞いて呆れます!』
『なんだと・・・』
『確固たる事実ですよ・・アラストール』
『・・・・』
『・・・・』
「・・・・・・・・・・・・・」
この現状をみた悠二は呆れて物を言えない・・・どうやってそこに行きついたのか?顕現してないのにどうやってじゃんけんをしたのか?など色々な疑問が浮かぶが・・・とりあえず・・・幼稚すぎて泣ける。
「はい、シャナ」
「ん・・・ありがと」
悠二は無視というより見なかった、聞かなかったことにして2つ目のメロンパンを頬張っているシャナにココアを手渡した。
「僕は下で寝るから自由につかっていいよ」
そう言い悠二は机に置いてある、腕輪とかばんの横にある袋を掴み部屋をでる。
『悠二・・・・ひどいです。もう少しで勝てそうだったんですよ・・・』
ヘカテーが若干の涙声で悠二に言う、かなりレアな気がするが理由が理由なだけに何とも言えない・・
「ヘカテー・・・とりあえず落ち着いて」
『・・・はい。すみませんでした・・・。・・・・////』
悠二に諭されようやく落ち着いたのだが、落ち着いた頭に先ほどの行為は・・・少々・・苦しいらしく
後半の謝罪はかすれる様な声だった。
悠二が2階から1階への階段を下りて、腕にエリーニョスを取り付けた時
『悠二・・・・忘れてくださいね・・・』
ヘカテーの絞り出した声は、強い懇願が混じっている。本人にしてみれば死ぬほど恥ずかしいらしい。
「はいはい」
『ぜ・・絶対ですよ。』
悠二は色々と呆れていたが、悠二自身思い返してみればヘカテーの違う一面が見れて得した気分だったし、加えてヘカテーのこの言葉。からかいたくなるのが普通でしょ・・・
「ふふ・・・はいはい」
『う・・・くぅ・・・・』
ヘカテーは悠二にからかわれている事はわかっているのだが、その理由を作ってしまったのは紛れもない自分、もはや自分では悔しがる事しかできない。
そうしている内に悠二は一階の玄関に着いていた。
『え?悠二どこに行くのですか?』
ヘカテーはこれを機に悔しさや恥ずかしさを余所へ追いやり、ただの純粋な疑問として悠二に聞いた。
「ん?修行でしょ?」
それに対し悠二はヘカテーが気づかない事に驚き、さも当然の事のように答える。
『し・・しかし“炎髪灼眼の討ち手”がいますよ?』
「はぁ・・・ヘカテー、僕がただの善意でシャナのためにココアを作ってあげると思う?」
ヘカテーの焦ったような言葉に悠二はため息を着きながら答える。ヘカテー感情の制御は徐々に出来ているようだが、動揺はまだ収まっていないらしく普段より頭の回転が鈍い。
そうしたことをよそに悠二は靴を履き、家を出る、鍵をかけるのも忘れない。そしてしばらく歩いた後、大分落ち着いてきたヘカテーがひとり言のように悠二に話しかける。
『・・・・そういうことですか・・』
「ん?」
『何かの薬ですか?』
「ふふ・・・うん正解。強力かつ即効性の睡眠薬だね、自分でも一回試したしシャナにもね」
ようやく普段のヘカテーに戻ってきた事に、悠二の中では嬉しさと残念さが混在していた。
そうして夜の道をしばらく歩いた後
「もうそろそろいいかな?」
悠二はそう言いヘカテーを付けている腕とは反対につけている腕時計を見る。
時刻は23時23分。シャナに睡眠薬入りココアを飲ませてから約5分が経過している、抗わなければそろそろ眠気が襲ってくるはずだ。
現に悠二の部屋ではいきなり襲われた眠気に、抗う理由の無いシャナが悠二のベッドに制服のまま伏している。さすがに自分でも試しているだけあってその時間はかなり正確。
もうかなり遅い時間なので人通りが全く無い通り、普段は街灯と月明かりだけが道を明るく照らす。
しかし今日は違った、薄ぼんやりしたやさしい光ではなく、強烈な光が数秒辺りを照らしそしてまた、何時も通り一部を除き薄ぼんやりした暗がりに戻る。その一瞬の光源には、白く光るマントに暗がりでもわかる明るい水色の髪をした青年が立っていた。フレイムヘイズと成った坂井悠二である。
「さて、行こうか」
言葉とともに悠二の背中から髪と同色の炎が噴き出し、翼を象る。悠二の両手を大きく横伸ばしたのとほぼ同じ長さの大きな翼。
跳躍。
跳んだ勢いに合わせて翼を動かし、暗い空へ舞い上がりある一点を目指し滑空する。
悠二のいた道は再び全てが薄暗くなり光を飲み込んでいった。
スタンッ
何かが着地する音・・・まぁ当然悠二なのだが・・・
場所は三崎市の高くはないが低くもないマンションの屋上、ここが悠二とヘカテーの“修行場”である。
ここを修行場に選んだ理由は広いということもあるが、一番は周りを高い塀で覆ってあるおかげで悠二とヘカテーが開発した自在法“醒絶(かくぜつ)”のデミリットである光を遮断してくれるからだ。
悠二は背中に生やしていた翼を消し、白きマント“朔夜(さくや)”を靡(なび)かせながら屋上の中心へと移動する。
移動し終えた悠二は辺りを見渡した後、指先に炎を灯し自在法を編み込む為に集中する。
醒絶は劣化封絶なのだが、自在式は封絶よりもかなり複雑で、意外にめんどくさいようだ。
━展開━ 醒絶(ジ・セイ・ウィーグル)
悠二を中心に自在式が屋上に刻み込まれ、白く発光する。普段は冴えないコンクリート造りの屋上だが、今は神秘的な空間として悠二を包んでいる。その神秘的な光は屋上の周りを囲んでいる塀に阻まれ外へは漏れないよって、上から見ない限り屋上が光り輝いているなんて誰も思わないだろう。
悠二はその中心で以前同様トライゴンを取り出し、エリーニョスを媒介にヘカテーを疑似召喚する。
━シャラン(展開)━ 傀儡(ドーフル・バーチ)
以前と同じとは言ってもそれは手順だけで、込められた存在の力は桁違いだ。それだけに悠二自身の存在の力がかなり乏しくなる。
「ふぅ・・・・でわ始めましょうか?」
疑似顕現したヘカテーが毅然と悠二に言う。
「うん。お願いします」
それに対し悠二はヘカテーに笑いかけながら返す。
そして示しを合わせたように約2秒後二人が同時に後ろへ跳び距離をとる。
着地と同時にヘカテーが指を振り、周りに数十の光弾が現れ、 落ち着いて一言
「星(アステル)よ」
その言葉と同時に数十もの光弾が自在に動き回り、悠二に襲いかかる。
悠二も着地と同時に身構えていたため、いち早く回避行動をとる、当然顔は笑っておらず、真剣そのもの
襲いかかってくる光弾を成るべく引き付け、一瞬で体をずらしよける。引き付ける理由はヘカテーが光弾を操っているので、早すぎると方向修正されてしまうのだ。
だがやはり数が多いのでかわしきれない、そういう物についてはトライゴンで薙いだりして防ぐ。
「この程度は、避けれるようになりましたね」
ヘカテーが同じ場所で悠二に語りかける。
「ふぅ・・・まぁね、ほとんど毎日やってればこれぐらいは出来るようになるさ」
悠二は少し息が上がっているがダメージを受けた様子は無い。
これが悠二とヘカテーの修行法、ヘカテー自身は近距離戦闘など教えられないので、徹底的に攻撃を避ける事を覚えさせ、遠距離の特性を生かすやり方だ。さらにこの修行は、醒絶の特性を十二分に生かすやり方でもある。
醒絶は気配を拒絶する自在法、気配には音も入るので内側でどんなに大きな音を出したとしても決して外に聞こえることはない。だがそれだけでは無く、この自在法は複雑なだけに自在式同士の結合がかなり強くそれが膜となり地面が損傷しにくいのだ。
ヘカテーの放っている光弾は悠二と存在の力に配慮して、かなり密度が薄く地面に当たってもこの自在法を貫く力は持っていない。
つまり醒絶内でどれだけ大きな音をだそうと、光弾を炸裂させようとも、ヘカテーが手加減している限り周りの損傷は0なのだ。
そしてこの修行において悠二は攻撃を行わない。これはメインが避ける修行だからや、自分の存在の力がかなり少なくなっているから、という訳ではない。全く違うかというとそういう訳でもないのだが、一番の理由はヘカテーの存在が不安定だから・・・これに尽きる。
自分の契約主の疑似顕現。これだけ見ればかなり有効な自在法だと思うが、これに対するリスクが釣り合わないのだ。まず第一に大量の存在の力が必要ということ、ただ出すだけなら少なくても平気だがそれではただの邪魔で、存在の力の無駄遣いでしかない。そして二つ目が自在法でむりやり(・・・・)顕現させているという事。これが非常にリスクが大きい、ぶつけるや倒れる等の外部物理的干渉なら、ある程度は大丈夫だが、問題は自在法による攻撃だ。無理やり顕現させていてかつ微妙なバランスを取っている自在式に別の自在式が干渉すると、何が起こるか分からい。最悪の場合、契約両者二人とも消えてしまう可能性もある。だからこそ醒絶という自在法を作り、万全を期して修行をおこなっているのだ。
そうして悠二とヘカテーは醒絶が出来てからほぼ毎日この修行をしているというわけだ。
この修行の最終目標はヘカテーに与えた存在の力が切れるまで、ヘカテーの攻撃を避けるというものなのだが、なにぶん成りたてのフレイムヘイズ対紅世の王・・・手加減しているとはいえ勝敗は火を見るより明らかだ。
このような解説をしている間も悠二とヘカテーの修行は続いていた・・・・
「はぁはぁ・・はぁ・・っく・・はぁ・・・」
この言葉を聞いただけでもかなり参ってるのがわかる。現に悠二の顔や体至る所が擦り剝けて薄っすら血がにじみ出ている。体力もかなり消費しているらしく、立っているのがやっとだ
「その程度ですか?悠二」
あいかわらずヘカテーはその場から動いておらず、ただ指を振り自在法を操っているだけ。
「はぁ・・・はぁ・・まだ。。まだだ」
肩で息をしながら悠二はありがちな台詞を言う。まぁこんな状態で台詞など考える余裕などないだろう
「そうですか・・・でわ・・・」
悠二の台詞にヘカテーがわずかに口の端を上げる・・・いわゆる黒笑・・・
その笑み通りヘカテーが腕を振ると2~30もの光弾がヘカテーの周りに現れる。
何をするのかは・・・推して知るべし。
「星(アステル)よ」
ヘカテーの一言で光弾全てが一斉に悠二目掛けて空をかける。
そしてもう避ける体力も残っていない悠二に微妙に着弾時間をずらして着弾。
実際全く同時に来るより若干ずらされたのが一番避けづらいのだ、だがなにもそこまでしなくても・・・
当然の如く悠二は全弾を体で受け止め、衝撃で空を飛び、・・・ぐしゃ・・・・カシャン・ガラガラ・・
・・・・・・・・・
かろうじて生きている悠二だが意識が飛んで、醒絶が解除され、光り輝いていたステージは元の硬いコンクリートに変わる。
その中でヘカテーはトライゴンを拾い、悠二のもとへ歩み寄り、悠二のちょうど頭の上の位置に座った。
仰向けでぐったりしている悠二の顔は色々なところが擦り切れひどい有様になっている。
ヘカテーがそのボロ雑巾悠二の頭にやさしく手を乗せ、固有色である明るすぎる水色の炎を発生させて、悠二を燃やす・・・わけではなく汚れや血などを落とすことができる自在法“清めの炎”。
それにより悠二の体から流れ出た血やゴミ、チリが取り除かれた。
だが傷が治るわけではないので傷口からの出血は続く、ヘカテーは自分の膝の上に悠二の頭を乗せ、片方の手を頭の後ろに回し、もう片方の手を静かに顔の上に置く。
悠二の息が掌に当たりその部分だけ温かく湿ってくる。
ヘカテーの小さい両手から先ほどと同じ色の炎が出て悠二をやさしく包み込む、今度は殺菌、消毒ではなく治癒の自在法、荒かった悠二の息が徐々に落ち着いてくるのを手に感じる。
「ん。。。。・・・」
少し呻くがまだ目を覚まさない。
「悠二・・・」
ヘカテーが静かに呼びかけるが眼は閉じられたまま。
「悠二」
今度は少し大きめに・・・・瞼が少し動くが目は開かない。
「・・・・・・」
今度は呼びかける代わりに悠二の鼻を摘む
「ん・・・んんん・・・んはあああああ・・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
悠二が目を覚ました
「起きましたか?」
「・・・・出来ることならもっと優しく起こしてほしかったかな・・」
「ふふ・・・」
ヘカテーの膝の上悠二はヘカテーを下から見上げながら呟いた。
すでに治癒は済んでいて悠二に傷はない、治療のために顔の上に乗せられていた手は、今は悠二の頭の上にある。
ほおっておいても0時を過ぎれば零時迷子のおかげで全快するのだが、存在の力が余ったのと個人的な“なんとなく”という理由でいつも悠二を治療していた。
悠二も最初に膝枕された時は驚いたが今ではそれが普通で、少し嬉しくてそして余裕がでてくる。
「ねぇヘカテー・・・」
「なんですか?」
悠二の下からの呼びかけにヘカテーが上から返す。
「ヘカテー、そのかぶってる帽子・・・貸してくれない?」
「・・・・・どうぞ・・・・」
悠二の意外な要求にヘカテーは少し躊躇ったが悠二の頭から手を離し、自分の帽子を悠二の胸の上に乗せる。
「ふふ・・・ありがとう」
悠二は帽子を胸で受け取りヘカテーにお礼を言う。実際に帽子が欲しかったわけではない。
ヘカテーの帽子をとった姿が見たかった。
下から夜空をバックにしてみるヘカテーの顔、そしてその夜風に吹かれ靡く髪がとてもきれいだった。
でも一番悠二が見ているのは・・・・
「ヘカテーの目って・・・綺麗だよね。。。」
口に出すつもりはなかった・・・。だけどなぜだか自然と出てしまった。
ヘカテーの帽子借りておいてよかったかもしれない。情けないけど・・心臓が・・・
「!・・・・ありがとうございます。・・・・でも悠二の目も綺麗だと思いますよ?」
いきなりの悠二の発言に驚くヘカテーだが、すぐに素直に自分の思っていることを言う。
悠二・・・脈拍がすごく速くなってますよ・・・・?
一方の手は帽子を渡した後地面に置かれているが、もう一方の手は頭の後ろに回したまま。悠二に触れていた。
悠二もヘカテーもお互いに目をそらさない。お互いがお互いの目の中にあるものを・・・・
大きな水色の目の中に今映っているのは僕の姿だけ・・・
深く青い目に映っているのは覗き込んでいる私・・・
今この時間だけは貴方(君)を独り占めに出来ているの(かな)?
日付が変わるまであと1分26秒・・・・
デデデデーーーン、デ、デ、デ、デーン・・・・・
なんだこの前半と後半の温度差わw知っての通り制作日が違うためこのような結果になってしまいましたwあと最後のヘカテーの台詞、あれだけちょっとゴロが合わなかったんで口調を変えさせてもらいました。なんか・・違和感あると思ったら一言、言ってくださればなんとか考えますw
あとちょっと早かったかな?と思ったけどいい加減じれったくなったんでねw伝わるかな?こういう系苦手で。。。
あと設定に関しては物凄く苦労しました・・・・ゆえに色々とおかしいところもあるかもしれませんが寛大にお願いします・・・
あとわからない所とかあったら質問してください。一応ご都合主義っていうのは好きではないんで可能な限り説明します。それでは
誤字脱字報告、感想、苦情、非難どしどし送ってください^^