秘色のフレイムヘイズ   作:sairu

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いや~~~~~~~~~~~~~~本当に申し訳ない!!
一か月も更新しなかったからって?いやそれもありますけど・・・今回の内容です。
見れば分かります。本当に申し訳ない。自分のポリシーを自分で曲げてしまうとは・・・
理由としては・・・内容的になんですけど・・・ね
それと、一か月書いていないと自分の書き方がわからなくなってしまいますね^^;
色々おかしいかもしれませんが大目に見てくださいまし><


ウニョールくりぃむパン

 

 

体が熱い・・・正確に言うと体の中心、心臓のある場所が・・・・

 

 

 

悠二の体の中、零時迷子が数秒の狂いもなく発動し、悠二の残り少ない存在の力をいっぱいまで満たしていく。その事が今日の終わりと始まりを悠二に告げた。

 

「・・はぁ・・・・・今日が・・終わったね」

「・・・・・・・そうですね」

 

一つのため息を吐いた後、悠二はヘカテーに膝枕されたまま、上に向かって話しかける。しかし実際は悠二が言わずとも、見れば分かるのだ。

零時迷子が発動し悠二に存在の力が満たされる時、悠二の体はヘカテー同様淡く発光する。そのことを知らない悠二ではないが、話すしかなかったのだ、ヘカテーとこうしていられるようにするためには。

つまり時間稼ぎである。

 

事実ヘカテーが悠二を膝枕しているのは、悠二の怪我を治療しやすくするため、と言う理由が大きい。

そして治療後もその行動を続けた理由は先ほどの逆。理由がないから。

ヘカテーは紅世の徒、悠二の頭程度の重さなら足が痺れたり、痛くなったりすることは無い。

だが日付が変わった今、ヘカテーには悠二と共に家に帰ると言う理由が出来てしまっている。

だからこその行動。

 

読心術など出来るはずもない悠二には、今までのヘカテーの行動を分析して、このような結論を無意識に想起してしまっている。

 

「そういえば・・・パンは食べないのですか?」

なんとか現状を保とうと、苦心している悠二にヘカテーが上から不意に呟いた。屋上の隅忘れさられていた、パンの事を。

悠二は“パン”の言葉にすっかり忘れていた自分の考え、そしてシャナの顔と行動が鮮明に脳裏に浮かぶ。そこから導き出される行動は一つ・・・・。

「ヘカテーに・・あげるよ。・・・・・よっと」

「・・・・・・・・? ぁ・・・」

そう言い悠二は、ヘカテーの膝から身を起こし、同時にヘカテーの帽子を床に置く、そして屋上のフチ“パン”の元へ、頭を上げた時の小さな声に気づくことなく・・・足を進める。

 

いくらハシの方にあるとはいえ、よくヘカテーの攻撃に当たらなかったものだ・・・

いやヘカテーが知っていたことから、おそらく当てないようにしていたんだろう。

悠二はレジ袋の中から“ウニョールくりぃむパン”・・・・・・・を取り出した。

もちろん包まれている袋に名前など書いてはいないが、あまりにもインパクトのある名前なので覚えてしまっていた。はたしてどこら辺がウニョールなのか?それともその名前のインパクトがウリなのか?

当然答えなど出るはずもない。

パンを持ったまま、振り返るとヘカテーは元の場所にいたが、さすがにコンクリートの床には座っておらず、帽子を右手に持ち立って此方を眺めていた。遠いとは言わない間でも、まぁまぁ離れている場所にいるヘカテーの様子が、この暗闇の中分かることから、フレイムヘイズは視力まで人間離れしているようだ。

 

悠二はヘカテーに向けて、パンを放る。パンは夜空に放物線を描きヘカテーの元へ・・・

 

パシッ・・・

 

ヘカテーの顔に“ウニョールくりぃむパン”が炸裂・・・・などするわけもなく。

さも普通に顔の前でパンを両手(・・)で捕る。・・・・・当たったところ見てみたいな・・・

まぁこの程度普通に、できなければ王とは・・いや紅世の徒とも言えないかもしれない。

だからと言ってさすがに、小さい手では片手でパンを安全に捕ることはできず、帽子は再びコンクリートの床に音を立てて落ちる。

 

ヘカテーはそれを気にせず、目の前にあったパンを腕を下ろすことによって視界を確保し、こちらに歩いてきている悠二に少し大きめの声で言う。

「悠二・・・・食べ物は投げてはいけないと、千草が言っていませんでしたか?」

「・・!・・ああ・・ごめん・・・つい・・・」

わざとらしく頭を描きながら近づいてくるが、顔は本当に驚いているようだ。

まぁ悠二が驚いているのは、ヘカテーのリアクションに対してなのだが・・・

 

悠二は落ちてしまった帽子を拾いヘカテーの前に立つ。

「・・・・それでこれは・・私が食べてもいいんでしょうか?」

「・・・・ど、どうぞ」

すぐそばに来た悠二に、ヘカテーはパンを両手で胸の前で持ち、悠二を見上げながら尋ねた。ヘカテーはシャナ同様小柄なので悠二が近寄った場合、顔を見上げなければならない。必然的に上目遣いになる。当然悠二はそれを見下ろす形で目にするのだが・・・

 

考えてみてほしい。あのヘカテー(・・・・)が自分の目の前で、両手でかわいらしくクリームパンを持ち、さらに大きい瞳を上目遣いで自分に向けてくる光景を!

 

ここにほんの少し涙があればPERFECTなのだが、それを補え得る力を持った“ウニョールくりぃむパン”!

さらに・・・もしこのパンを投げなければヘカテーは帽子をかぶり、顔がよく見えなかったかもしれないのだ。ここにきてそのパンがとても神々しく感じる・・さすが神創ベーカリー侮りがたし・・・。

それにヘカテーの必殺技に耐えた悠二もまた侮りがたし・・・。

 

 

 神様・・・今この瞬間を僕にくれてありがとうございます・・・

 

 

上、下記悠二の心のより・・・

 

 

目の前には美味しそうにクリームパンにぱくつくヘカテー。さらにそれを独り占めできる優越感。

ここを天国と言わずどこを天国というのか?

 

だが・・悠二の天国は数十秒後に地獄になる。

昨今の例がある通り・・・

無性にヘカテーを抱きしめたくなったのだ。シャナの時と同様。

だが違うのはその気持ちの大きさ、シャナの時はまだあまりよく知らないので、ただその行為が可愛かったから抱きしめたくなった。今回はそんなレベルではない、ヘカテーのことはずっと好きだった・・・

いつからと聞かれれば回答に困るが、いつの間にかというやつだ。恋愛とはそういう物じゃないかと自分では思っている。

いつの間にかヘカテーの事が好きだった、だからこそ今のこの状況がものすごく幸せだが物凄く辛い。

このとてつもなく大きな気持ちのままに、行動することは容易く、なにより満たされる気がする。

だが、もし拒絶されたら・・・そうでなくても口を聞いてくれなくなったりなど・・・考えたくもない。

 

正負の気持ちの板挟み・・・・その苦悩が、はからずとも顔に、行動に現れる。

 

「・・悠二?・・大丈夫ですか?」

「え・・・ああ。うん平気」

ヘカテーの心配に慌てて答える悠二。いつの間に食べ終わっていたのか、ヘカテーの手にパンはもうない。

「・・ですが・・ひどく辛そうな顔をしていましたよ・・」

普段はさほど追及しないヘカテーが、ここまでするのは・・・悠二はそれほどひどい顔をしていたのか。

だが実際それは事実だが完全な理由ではない。ヘカテーが追及した理由は顔の他に行動、しぐさだ。

普段悠二はヘカテーの単純な質問に対し、之ほどまで動揺はしない。それともう一つあるのだが・・

「だ、大丈夫だって。ちょっとお腹が痛いだけさ・・」

完全に動揺している悠二はもはや言い訳を考える余裕もない。フレイムヘイズが簡単に腹痛などなるのだろうか?

「で・・ですが・・そ」

「だから、大丈夫って言ってるじゃん!」

ヘカテーのあまりのしつこさに悠二は思わず声を荒げてしまう。言い終わった後、ヘカテーの驚いた顔を見て、さらに体に力が入り後悔の波が押し寄せてくる。またもや悠二が思考の海に溺れそうになった時。

さすがは王、悠二の声程度ではあまりひるませられなかったようだ。

「悠二!いい加減私の話も聞いてください!」

こちらも珍しく荒くはないが声が大きくなっている。それも当然だろう・・・

「っ!・・・・・・・・」

さすがの悠二もヘカテーにここまで言わせてしまったら、肩を落として黙るよりほかなかった。

「悠二・・・右手を見てください」

ヘカテーの不思議な言葉に困惑しながらも、少しかがんでヘカテーの下におろした右手を見る。何もないように見えるが・・よく見ると少しだけクリームが付いている。

 

・・・・なめろってことだろうか?・・・・それは色々とまずいような気が・・・

 

悠二の困惑は深まるばかりで首を傾げていると、ヘカテーの鋭い声が屋上に響いた。

「自分の右手です!!」

 

悠二はそう言われ慌てて自分の右手を見て止まった。

別に封絶をかけられたわけではない、そもそもフレイムヘイズには無効。

だが悠二は止まっている。自分の右手にあるものを見て・・・

 

そうヘカテーの帽子である。

 

無残にも悠二の苦悩と後悔の犠牲者。悠二が辛さを耐えるために、握りしめていた物は自分の拳ではなかったのだ・・・

 

慌てて体機能を回復させ手を開くと、悠二に万力で握りつぶされていた部分のみ酷くシワシワになっていた。

 

「・・ご・・ごめん!・・・」

憔悴しきった顔と声でヘカテーにいい、なんとか帽子のしわを直そうと手で引っ張っている悠二にヘカテーは呆れてため息を一つ大きく漏らした。

「悠二・・・・返してください・・」

「・・・・ごめん・・・・」

ヘカテーの声に、なんとかシワを伸ばそうと頑張った挙句、引っ張った部分がまたシワとなり、またそれをのばそうと・・・・といった悪循環を繰り返した結果見事に全体がシワシワになった帽子をヘカテーに頭を下げ謝りながら申し訳なさそうに返す。

「ふぅ・・・まったく。。。何があったか知りませんけど、大切な帽子なんですから、あまりシワシワにしないでくださいね」

「・・・・・ごめん・・・・」

シワシワの帽子を持ち、何時もと違い饒舌なヘカテーは何故か笑いをこらえてるように見える。それに対し悠二は本当に申し訳なさそうに、ひたすら謝っていた。

「・・・ふふふふ・・・悠二・・ふふ・いつまでそうしてるんですか・・・ふふ」

ついにこらえきれなくなったヘカテーが、口元を手で押さえ笑いながら頭を垂れている悠二に向かって言う。

「え?・・」

いきなり笑いだしたヘカテーについていけず、頭を起こして訝しげな顔でヘカテーを見下ろす。

「ふふふ・・・本当に気づいてないんですね悠二・・・・ふふふ・・・今の私は悠二の自在法(・・・)によって顕現してるんですよ?」

「・・・・・あ・・」

「気付いたみたいですね・・・ふふ」

そういうことだ。つまり悠二の自在法で顕現しているヘカテーは、帽子も本物ではなく、自在法で作られている。つまり消して戻せばすぐに元通りになるのだ。態々あんなに謝る必要もない。普段の悠二なら気づいているだろうがあの動揺した状態ではさすがに無理だったようだ。

「ヘカテー・・・・・・」

気づいた故に悠二の声が1オクターブほど下がる。

その言葉と同時にヘカテーは屋上のフチ、その塀の上へと逃げる。

「待てッ!」

悠二もヘカテーを追い塀の上へと飛び乗る。そして塀の上で対峙。

今までは塀に囲まれ感じなかった夜風が、帽子をかぶっていないヘカテーの髪とマントを、悠二の髪と朔夜を翻らせる。

「ヘカテー・・・良くも騙したね・・・」

悠二の笑みが黒く染まる。憎しみは多少こもっているが、当然本気ではない、ヘカテーの機転で悠二は何時もの悠二にもどった。・・・べ、別に腹黒いっていってるわけじゃないんだからね!

 

「あの程度で騙される悠二が悪いんですよ」

ヘカテーは塀の上を悠二の方に歩きつつ、不敵な視線で悠二を睨み毒づく。

 

 

 

そして、ヘカテーが、“ウニョールくりぃむパン”を食べた時と同じ位置関係になった時。

悠二の胸(・)におでこをぶつけて・・・・呟いた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹痛いのは・・・・治りましたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その発言と共にヘカテーの輪郭が薄れ炎と成り変わる。悠二の視点ではヘカテーの顔が見えなかった。

だけど・・・多分笑っていたと信じて。

悠二はヘカテーの中心にあった腕輪を受け取り、炎と化して腕につける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく・・・・たまには勝たせてもらえないのかな・・・」

悠二の本当に小さな独り言は夜風に吹かれ空へと消える。

 

 

その少し後、ビルの屋上付近から光がほとばしり、そこから生まれた光の鳥は夜の闇の中、一点を目指して飛んで行った・・・。

 

 




※お詫び?・・・とりあえず第4話初心者≠弱者でフリアグネが「逢魔が時に~・・・」って言っておりますが。そこは原作を意味もわからず直接引用したんですね・・・。そのせいでミスが今更ですがw逢魔が時って夕暮れ時なんですよね・・・昼休みってもろ正午じゃん!気づいていた方申し訳ありません。一応まだまだ間違えてる所あるかもしれませんがその時は報告おねがいします^^即刻なおしますんでw

あと今回の話ここまで読んでくださった方はお分かりかと思いますが、前作のもろ続きです。続きものだから同然じゃんって思うかもしれませんが。「もろ」ですwわからなかったらごめんなさい。
一応そのために5000字程度で切りました。できればですがもう5000↑の小説が今日中にUPされるかもしれません。その時はまた読んでもらえるとうれしいです。
それともう一言。悠二君へ向けて・・・
そこをかわれえええええええええぇぇぇぇぇえええ!!!
ヘカテーの上目遣い+クリィムパン持ってとか・・・・・・
うん・・・とりあえずかわろうか・・・

以上です。
お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでしたw

それと作者はヘカテーの帽子あまり好きではないのですよ。
だってほら・・・なでなでしにくいでしょ?←馬鹿w

他の人はどうなんでしょ?
あった方がいいですか?それとも無い方がいいでしょうか?
それと誤字脱字や感想などできればおねがいします^^
それではまた次回(^^)ノシ

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