「つまり、君はガーズの味方をするわけだな…共犯者として捕まるぞ?」
「捕まりませんよ、私とガーズは」
ガチコウの鷹のような鋭い眼光とウチキの毅然たる眼差しが交差する。
ガーズはその様子を椅子に座ったまま眺めていた。
ただ単に体が痺れて動けないだけでもあった。
ウチキはガーズに近寄って、体を屈める。
「私の背中にどうぞ」
「俺様は他人の力に助けられることはしないんだよ」
「分かりました」
ウチキは小さくため息をし、一呼吸置いた。
そっと目を閉じ、呟くように言う。
「私に負ぶさりなさい、ガーズ」
「ぬぉあ!?」
ウチキにそう命令された途端にガーズの体は、言葉通りに動き出した。
「これでよしっと」
「まさかガーズを背負ったままここから抜け出すつもりなのかい?」
「そのつもりです」
「無理だ、それとも何だ?黄金のトウソウシンにでも力を借りるのか?」
「あいにく私はそういった都市伝説は信じません、私が信じるのは…」
ウチキはポケットに手を入れ、何かを取り出した。
取り出したそれをそのまま地面へと放った。
それは転々と転がっていき、ガチコウの足元で止まった。
「何だこれは?」
注視してみてみるとそれは立方体の形をしていた。
そしてそのすべての面には4つの黒い点があった。
「私が信じるのは現実に起こることだけです!」
「くっ!?眩しい!」
サイコロが放つ眩い光が取調室全体を照らす。
光が収まった時には、既にサイコロとウチキ達はその場から消え去っていた。
「ふー、何とか逃げ出せましたね、ガーズ」
ウチキはガーズを背負ったまましゃべりかけた。
ウチキ達が戻ってきたのはガーズの家だった。
振出しダイスのおかげで何とか刑務所から抜け出すことができた。
「刑務所の保管室にあった、ガーズの発明品を持ち出しておいて正解でしたね」
「ないと思ったらお前が持って行っていたのか」
「違いますよ、捕まった時すでにガーズの所持品は没収されていて…」
「そうじゃない、保管室から盗み出したのが 君 だという事をいっているのだよ」
ガーズの突然の変化にウチキは驚いた。
そして背中に嫌な汗が流れる。
ガーズはこんなに体がソフトだったか?
ガーズはこんなしゃべり方だったか?
ガーズは…
こんなに軽かったか?
「これは余罪がたくさんありそうだな?ウチキ」
「そんな…なぜ貴方が!?」
「カッコウのすり替えだよ、ガーズと私が入れ替わってるとも知らず運んでくれるとは大手柄だよ」
「ぐっ!体が痺れて…」
「そりゃ、背中全体で触れていたからね、毒もすぐ回るだろうさ」
ウチキが背負ってきたのはガーズではなくガチコウだった。
自分の迂闊さを呪いながらウチキの意識は白い世界へと沈んでいった。