無窮なるガーズ   作:おさぴら

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3.ガーズ!ピンチ!

「よーし!半そでも乾いたし、ウチキの呪いについての情報収集でも行くか!」

 

「ぽーろ!」

 

「つー訳で、お前行って来い」

 

「ぴるっ!?」

 

「あーたりまえだろうが!何でご主人様が奴隷のために動かなければならないんだ?」

 

「り、りぱぷ…」

 

「そこらの魔法図書館とか魔法学校何かに行けば呪術の本なんていっぱいあるだろうが!さっさと行け!」

 

 

ガーズはそういってウチキの尻を蹴り飛ばした。

 

 

「昼までにはここに戻ってこいよ!午後には俺様の家に帰るからな!少しでも遅れたら置いてくぞ!」

 

「れぽんぱ…」

 

「何か言いたげだな…文句でもあるのか?」

 

 

ガーズは拳を握りしめてみせる。

ウチキはびくびくしながら答える。

 

 

「ぺーぺん!ぽーぽーり!」

 

「何が言いたいのかさっぱり分からねえぞ!ん…分からない…?」

 

 

その時ガーズは恐ろしいことに気づく。

 

 

「そうか、お前が調べてもその内容を俺様に伝えることができないのか…」

 

 

呪い関係の本は持ち出しが禁止されている。

呪術というのは呪いをかける対象、呪いをかけ術者、そして呪術書の3つが必要なのである。

当然、呪いの内容を他のモノに書き写すことも禁止されている。

 

 

「くそ…じゃぁ呪いはあと回しだ!予定を繰り上げて、俺様の家にいったん帰るぞ!」

 

「ぷらろ」

 

「俺様の家に帰るにはこれを使う!」

 

 

ガーズは上着の右腰あたりのポケットから一つのサイコロを取り出した。

 

 

「このサイコロは必ず4の目を出すように細工してある、そして4の目が出ると俺様の家の二階自室にワープするのだ!すごいだろ?」

 

「ろんぷ?」

 

 

 

どうしてそんな回りくどい設定にしたのか疑問に思ったが、ガーズは説明を続けている。

 

 

 

「名付けて!振出しダイスだ!」

 

「ぽーん」

 

「今の時代はどこもかしこも転移系魔法禁止区域になっているが、俺様の家だけは別だ!」

 

「ぽり?」

 

「あまり大きな声では言えんが、その禁止区域をちょこちょこっといじってだな…」

 

「りー!」

 

「まぁ細かいことはいいだろう!それじゃサイコロ振るからしっかり掴まっとけよ!転移最中に離れたらとんでもないことになるからな!」

 

「ぷぷり…」

 

「そーれ!4の目出やがれ!」

 

 

放られたサイコロが地面を転がる。

4の目が出るとガーズ達は白い光に包まれ河原から姿を消した。

 

 

 

 

 

「到着ー!!ぐははは!ちゃんと転移できたようだな!」

 

「そのようねガーズ。」

 

「おうよ!俺様の発明品は完璧だからな、がははは…はぁ!?」

 

「ぷりぽぽ?」

 

「久しぶりねガーズ、3年ぶりくらいかしら?」

 

 

 

ガーズの部屋と思われる空間にはガーズとウチキの他にもう一人女がいた。

女は部屋の扉に寄りかかり、とおせんぼうしているように見えた。

女は兵隊のような格好でありながら、軽装備な鎧をしていた。

その鎧のところどころに黄組の証である黄色い紋章が施されていた。

 

 

 

「なんでお前がここにいる…黄の憲兵になったんじゃなかったのか?仕事はどうした?」

 

「その仕事であなたの家に来ているのよ、大体の理由は分かっているんじゃない?」

 

「なるほど仕事熱心なこった、こんなちっぽけな転移ポイントさえも取り締まるなんてな、黄の国もよっぽど黒組におびえているとみえるな」

 

「そりゃそうよ、噂によれば黒組は敵の城内に突然ワープして奇襲をしかけるようだしね、わずかな転移ポイントも見逃せないわ」

 

「んで、俺様をどうするんだ?禁止区域書き換えの容疑で逮捕か?

 

「いいえ」

 

「んじゃ、見逃してくれるのか?たしかお前は俺様に貸があったよな?」

 

「確かに貸はあるけれど、見逃すわけじゃないわ」

 

 

 

女の雰囲気が変わったことをガーズはいち早く感じ取った。

女はもたれかかっていた扉から離れ、ガーズに歩み寄ってきた

 

 

 

「じゃぁどうするんだよ?」

 

「あなたには黒組のスパイ容疑がかかっているから拘束しに来たのよ」

 

「はぁ?何で俺様が黒組のスパイ扱いなんだ!?」

 

「たとえわずかな転移ポイントであっても、何回も転移すれば大勢の人を送り込むことができるわ」

 

「黒組が転移魔法で攻めてくる、だから転移ポイントを持っている俺様が黒組と内通しているってことか?」

 

「ええ、あなたは昔から自分のためなら平気で人を裏切るような人ですもの」

 

「俺様がスパイな訳ないだろうが!そもそも俺様は人とか組のために動くってことが大っ嫌いなんだよ!その俺がスパイ活動なんてするか!このアホ!」

 

「そう、あなたはいつも自分勝手に生きていく人間だってこと昔から知っているわ、だからあなたにスパイの疑いがかかった当初は半信半疑だったわ…でもね」

 

「でも?」

 

「ここに来てあなたを見て、あなたの事が信じられなくなったわ」

 

「それはどういう意味だ?俺様の顔が胡散臭いとでも言いたいのか!」

 

「そうじゃなくて…」

 

「ぷいぷい…」

 

 

ウチキがガーズの来ている服を指差す。

ガーズが着ているのは黒の半そで短パン。

どこからどう見ても黒の民の正装だった。

 

 

「これはだな!そろそろ夏になりそうだから涼しげな服をだな…」

 

「黄組にも同じような正装はあるわよ?」

 

「そのだな…黒組に行ってたからついでに…はっ、し、しまった!」

 

「ぷぴー…」

 

「黒組に行っていたのね…あなたの事少し信じていたのに、残念だわ…」

 

「いや違うんだ!黒組に行っていたのは…」

 

「問答無用!ガーズ!あなたをスパイの容疑で逮捕します!」

 

「違ーう!!信じてくれー!!」

 

「今まで何回あなたに騙されたと思っているの?覚悟!!」

 

「っち!仕方ねえ!掴まれ、ウチキ!」

 

「る!?」

 

「逃がすか!!」

 

 

女憲兵が剣先をこちらに向け突進を繰り出す。

ガーズはその一撃を鉄くずで弾き返すと、ポケットから何かを放り投げた。

 

 

「くらえ!癇癪餅玉!」

 

「ぐっ姑息な真似を…!」

 

 

癇癪餅玉の中身が弾け、中からまばゆい閃光と鼓膜をつんざくような破裂音が飛び出した。

 

 

「今だ!逃げるぞ!」

 

「待ちなさい…!」

 

 

女は追いかけようとするが衝撃が大きく、思うように体が動かす逃げられてしまった。

 

 

「あいつもバカなことをするわ…ここで大人しく掴まっていればよかったものの…」

 

 

憲兵はガーズ達を追いかけることもなく、報告書をまとめあげた。

 

 

「ガーズとその仲間と思われる二人を黒組のスパイ、および国外逃亡の容疑に切り替えて追跡を行う…」

 

 

ガーズ達はこの日から逃亡犯としての生活を送ることとなった…。

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