無窮なるガーズ   作:おさぴら

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6.ガーズ!逮捕!

青組の街の外で野宿をしていたガーズは目覚めの悪い朝を迎える。

しかし、起きてみると何やら建物の中らしく、無機質な光景が目に入った。

 

 

「おらっ起きやがれこの糞野郎!」

 

「いでぇ!なんだ一体!?」

 

 

青色の服を着た人々がガーズの事を囲むようにして集まっていた。

体を起こそうとするが上手くいかない。

後ろ手に縛られてしまっている。

 

 

「てめーら何なんだ!さっさとこの縄をほどきやがれ!」

 

 

ガーズソードがあればこんな縄すぐにでも切ってしまえる、が今は鉄くず。

 

 

「こら!暴れるんじゃない!」

 

「ぐぉぉぉ!放しやがれ!」

 

「っち!なんだこいつ!?バカみたいに跳ねやがる!」

 

「おい、あれを使え」

 

 

一人が怪しげな機械を取り出し、ガーズにスモークを吹きかけた。

 

 

「何しやが…」

 

 

途端、ガーズは静かになり、ピクリとも動かなくなった。

 

 

「よし、運べ」

 

 

青の民たちはガーズを担ぎ上げ青の領域へと戻っていった。

 

 

 

 

 

「ぐっ…ここは?」

 

 

ガーズは気を失っている間に黒の刑務所の拘留場まで運ばれてしまっていた。

 

 

「厄介なところにきちまったな…」

 

 

ガーズは一度黒の刑務所に入れられたことがある。それゆえ一目で今の状況が把握できた。

 

 

「しかしどうして俺様がこんな目に…」

 

 

寝ている間に見張りをしていたウチキの頭をひっぱたこうとする。

が、当然そこにウチキはいない

 

 

「…っち、居ねぇのか、そういえばあいつは何処に行きやがったんだ?」

 

「おう!ガーズじゃねえか」

 

「てめぇは確か…」

 

 

ガーズは壁に埋め込まれた男の名を思い出そうとするが、中々出てこない。

以前捕まった時も同じ格好で、壁に埋まっていたことだけが印象に残ってしまっている。

 

 

「う~ん、名前が出てこない…くそっ!ムカムカする!」

 

「いでぇ!?なんだよ、八つ当たりするなよ!」

 

 

ガーズは思い出せない怒りに身を任せ壁に埋まった男の頭を殴りつけた。

 

 

「ボッケだよ、忘れちまったのか?」

 

「ああ、なんかそんなボケみたいな名前だったな」

 

「初めて会った時も同じことを言われた気がする」

 

「よくそんな事覚えているな」

 

「人と話すことがめったにないからな」

 

「確かに、こんな場所に埋められてたんじゃまともに人と会話する機会なんてなさそうだな」

 

 

独房の外は白い廊下がどこまでもつづいていて、誰かが通りかかる様子もなかった。

 

 

「まぁこれだけ静かだと脱走するのにはありがたいけどな」

 

「また脱走するつもりなら無駄だぜ」

 

「無駄だと?どういうことだ?」

 

「ここからはどうやっても逃げられない、逃げようとするだけ無駄さ、また独房戻りだ」

 

「誰に向かってそんな忠告してるんだ?俺様は一度ここから脱出したことがあるんだぜ?」

 

「その考えが甘い、いいかよく聞け」

 

「…」

 

 

ボッケの声のトーンが急に変わったため、ガーズは黙ってそれを聞くことにした。

 

 

「特異体質の連中の事は知っているな?」

 

「キリンみたいな奴らのことだよな」

 

「まぁそうだ、お前が今までどれほどの特異体質の奴らとやり合ったかは知らねえが、ヤバイ連中だってことは分かっている筈だ」

 

 

特異体質の人間は総じて<操師>と呼ばれている

特異体質の人間はその性質ゆえに宝剣を握ることができない。

その代りに卓越した能力を備えている。

キリンの場合だとあらゆる金属を制御する<金操師>

金属に触れることなく自在に操つることができてしまう。

宝剣の刃の部分は当然金属でできているので宝剣使いにとってこれほど厄介な相手はいない。

ガーズはもちろん剣士なのでキリンと戦った時は相当な苦戦をしいられた。

 

 

「それで、どうして急に<操師>の話が出てくるんだ?」

 

「ここの監視員が変わったんだよ、その<操師>にな」

 

「なるほど、確かに前に俺様が脱獄した時の監視員は雑魚だったからそれと比べると面倒くさそうだな」

 

「面倒どころの話じゃないぜ、脱獄は不可能なほど監視の目が厳しい」

 

「何言ってんだ、どんなに監視の目が厳しいったってずっと大量の監視カメラを見続けられるわけないだろう、相手だって人間なんだからちょっとした隙ぐらいあるだろう?」

 

「嫌、あの操師に隙はない」

 

「随分ときっぱりと言うな、そんな訳無いだろう、人間なんだから」

 

「人間だったらな…」

 

「何かあるみたいな言い方だな」

 

「とにかくだ、奴の目からは逃れられない、ここから脱出するには奴を倒すしかない」

 

「目から逃れられないなら目を潰せって事か」

 

「しかし奴は<操師>だ、俺も詳しいことは分からないが、勝つことは不可能だろう」

 

 

この壁の中でずっと生きていたボッケがそう言うのだからそうなのかもしれないとガーズは思った。

 

 

「俺様は無敵のガーズ様だぞ!誰にも負けたこはないし、無敗の栄光はこれからだって続く!」

 

「その威勢の良さは相変わらずだな、ま、死なない程度に頑張れよな」

 

「ぐははは!安心しろ、むしろ相手の方を死ぬほど痛めつけてやるつもりだ」

 

「監視員に恨みは無いのにか?」

 

「俺様はそういう性格なのだ!!」

 

 

バカ笑いをもう一度して、ガーズは難なく独房の扉を外して外に出た。

 

 

「監視室ならこの廊下をいった突き当りにあるぜ、せいぜい頑張れよ」

 

 

返事をすることもなくガーズは一直線に監視室へと向かった。

 

 

「そういえばあいつは何でここに送られてきたんだ…?」

 

 

ボッケの独り言がむなしく独房の中で響いた。

 

 

「あ!また、ここから助けてもらうの忘れてた!おーい!ガーズー!戻ってきておくれー!!」

 

 

しかし、その叫びもまたむなしく響くだけであった。

 

 

 

 

 

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