Jumper -世界のゲートを開く者-   作:明石明

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どうもこんにちわ、最近pixivでこの作品のマルチ投稿を始めた作者です。

さて、今回はいつもの半分ほどの文章量でお送りするため短めの内容となっています。
というのも最近忙しいくせにいろいろネタが混在してきてどの辺から手を付けていいか迷走しています。
一先ず今まで最低5000字ほどを目途にして投稿いたものを半分の2500字ほどに削減し、これなら最低限の区切りで投稿できると判断したものから投稿していこうかと思います。
これにより各作品のペースが少し上がる分内容が少ないという事態になると思いますが、ご了承ください。

それはともかく。本編第72話、どうぞご覧ください。


第72話「結成、異世界混同チーム『クロノス』」

『さあ! お昼休みを挟んだところで、午後の部が開催です!』

 

『両軍とも布陣を敷きなおし、解説席の皆さんもここから戦参戦となります!』

 

 

 解説に回っていた騎士団長たちが加わり、ビスコッティとガレットの戦はここから総力戦となる。

 総大将であるミルヒとレオはそれぞれの本陣で指揮を執るため今は戦列に加わってはいないが、必要とあらばすぐ出られるよう傍らに武器を控えさせている。

 両軍の兵たちが今か今かと闘志を滾らせ、実況からの開始宣言を待つ。

 

 

『午後の決戦、間もなくかい――『その戦! ちょぉっと待ったぁ!!』』

 

 

 フランボワーズたちの声を遮り、新たな声が戦場に響く。

 一部の人間を除き誰もが何事かと思うと、空中ディスプレイがその主を映し出す。

 

 

『ウチじゃ! パスティヤージュ公国第一公女、クーベル・エッシェンバッハ・パスティヤージュじゃ!』

 

 

 予想だにしなかったもう一つの同盟国の出現にある人物は怪訝な声を上げ、ある人物は知り合いの登場に笑顔で答える。

 打ち合わせしたかのように落ち着いた様子でミルヒがマイクを握り、応対する。

 

 

『クー様。今日はどうなされたんですか?』

 

『どーしたもこーしたもないぞミルヒ姉! それにレオ姉もじゃ!』

 

『なんじゃ、ワシもか?』

 

『確かに我がパスティヤージュは戦興業がそんなに盛んな国ではないが、そっちだけで勇者とか呼んで内輪だけで大盛り上がりしているのはずるいのじゃ!』

 

『ふふ、混ざりたいのであらば最初からそう言えばよかろう』

 

『えーっと、混ざって頂くのは構わないんですが、ルールとか勝利条件とかはどうしましょう?』

 

 

 その質問を待っていたとばかりにクーベルはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、自分の後ろにいた少女の姿を晒す。

 画面に現れたのは勇者であるシンクと七海の友達、レベッカだ。

 

 

『ウチの狙いはこの子じゃ! 異世界からの客人レベッカは、こちらで預からせてもらう! 返してほしくば、我がパスティヤージュが誇る飛空術騎士団40騎とエッシェンバッハ高速陸士隊150騎を突破して、ウチのところまで来るのじゃ!』

 

 

 いつの間にか用意されていた新たな装いの軍隊の出現に会場は盛り上がりを見せる。

 ビスコッティやガレットと比べれは数字の上では少々心許ないかもしれないが、制空権を独占していることを考えれば数の不利はあってないようなものだろう。

 

 

『ふむ。我がガレットとしては、パスティヤージュが参戦しようとビスコッティもろとも撃破するだけじゃが、うちの勇者はどうするかの?』

 

「私としては、レベッカさんを助けたいですが…勇者シンク、どうしましょう?」

 

 

 ここまで来ればよほど鈍い物でもない限りこれが仕組まれたものだと気づくだろう。事実、合点がいったダルキアンはなるほどと笑みをこぼし盛り上がる予感を感じてガウルは獰猛な笑みを浮かべた。

 そしてお膳立てが整い、改めてクーベルが問う。

 

 

『両軍勇者、返答やいかに!?』

 

『『――無論、受けて立つ!!』』

 

 

 

 

 

『よく言った! それでこそ勇者だ!』

 

 

 

 

 

 突如、また新しい声が戦場を駆け巡る。

 多くの兵が誰だとどよめき、聞き覚えのある声に一部の者はまさかと驚く。

 するとまた映像が切り替わって腕を組んだ仁王(ガイナ)立ちで不敵な笑みを浮かべる一人の男が、背後に14人ほどの武装した集団を従えている様子が映し出された。

 腕組を解いてマイクを握り、映像の男――尊は宣言する。

 

 

『だが、うまくいくと思わないことだ。お前たちの相手は二つだけではない。異世界の敷居を跨いで結成された俺たち『クロノス』が、この戦場をひっかき回させてもらう!』

 

「はぁ!? なんでなんミコ兄!」

 

「ひどーい! 私たちを裏切るんですかー!?」

 

「なんという鬼畜」

 

 

 彼に懐いていたジェノワーズが予想外の宣言にぶーぶーと文句を垂れ流すが、涼しい顔で尊は説明を始める。

 

 

『まあぶっちゃけてしまえば俺たちも戦に参加したいからなんだが、普通に参加するだけでは面白くない。だから俺たちはどこの陣営にも属さない第4勢力として乱入し、全ての陣営の目的を妨害するために行動させてもらう。ただし、俺たちはあくまで妨害を目的とした勢力だから撃破ポイントが加算されたりすることはなく、リザルト結果発表の時に順位がつけられることもない。だが逆に俺たちを撃破すれば特別ポイントを獲得することができ、しかもターゲットによっては総大将クラスのポイントを得ることもできる』

 

 

 そう告げる尊の隣にポイントが記されたボードが用意され、誰にどれだけのポイントが懸けられているかが記されていた。

 

  ロゥリィ …4000P

  エイラ …3500P

   尊  …3000P

   魔王  …3000P

  カエル …2800P

  クロノ …2800P

  ガイナー …2500P

  マシュー …2500P

 オルティー…2500P

   ロボ  …2500P

   サラ  …2000P

  ルッカ …2000P

  マール …2000P

  テュカ …1500P

  レレイ …1500P

 

 ずらっと並べられた配点に会場から歓声が上がり、戦場の兵たちは大量得点のチャンスにやる気を滾らせる。一番低いポイントでも親衛隊長以上の価値があり、一番高いロゥリィに至っては三国の総大将より高いポイントが懸けられている。これで盛り上がるなという方が無理な話だ。

 

 

『加えてこちらは紋章術以外に魔法という独自の技術を持っているが、攻撃魔法の一部は効果範囲が広く強力過ぎるためパワーバランスを保つべく使用しない。だが補助や威力の弱い魔法、紋章術に魔法以外の技術はどんどん使用していくので、舐めてかかると痛い目を見るぞ』

 

「ハッ! おもしれぇじゃねえか!」

 

『フフン、ウチの飛空術騎士団で叩きのめしてやるのじゃ!』

 

「相手がサラ殿であろうと、戦場では容赦はしないでござるよー」

 

『ええ、こちらも簡単に負ける気はありませんよ』

 

 

 各陣営からやる気に満ちた声が上がり開始前から会場のボルテージは最高潮を迎えようとしていた。選手や観客でこれなのだ。当然、実況者もその声に熱が篭る。

 

 

『これは、とんでもないことになってきました!』

 

『では! 各勢力代表の皆さんに開戦のコールをしていただきましょう!』

 

 

 フランボワーズの言葉を受け、まずクーベルが答える。

 

 

『此度の戦は、四勢力混成バトルロイヤル!』

 

『撃破ポイント総当たり戦! 勇者二人は、レベッカさんの奪還!』

 

『妨害者たちを退けて、その手に勝利を掴んで見せろ!』

 

『ファルネット湖水上戦、午後の部スペシャルマッチ!』

 

『『『『――開戦!!』』』』

 

 

 フロニャルド史上初の異世界勢力を含んだ戦が、ここに幕を開けた。




第72話、いかがでしたでしょうか?

一月以上も止めておいてこれだけかと思われるかもしれませんが、いろいろ事情が……。
次はもう少し早く投稿できるようにしようかと思います。
さて、次回はついにフロニャルド勢に対して異世界組を大暴れさせます。
誰と誰がぶつかるのか、妄想しつつ次回までお待ちください。

それでは、今回はこのあたりで。
また次回の投稿でお会いしましょう。

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