普段の言動こそ奇妙奇天烈極まりないが、フリードは腐っても元神童である。強者と同時に大量の死亡者をも排出する戦士養成機関を生き残った経歴は偽りではない。彼を支えるのは地獄に等しい訓練で培われた強靭な肉体と豊富な実戦経験、そして誰よりも突出した生来の戦闘センスだ。
故に、時間経過に従い戦況がフリード達の優勢に傾くことを彼は誰よりも早く悟っていた。
──やっぱ、思った通りだ。先輩の動きが徐々に乱れてきてる。
八重垣が振るう剣を紙一重で避けながら後退しつつ、その隙はシーグヴァイラの牽制射撃で埋める。しかし教会戦士に支給される光の剣は悪魔にとって猛毒の塊である。それは上級悪魔であるシーグヴァイラとて同様だ。
「あんま前に出るなよ! 彼氏を作る前に傷物にされても責任取らねえからな!」
「今更ね! あんたの言葉で私の心はとうの昔に傷だらけなんですけど!」
フリードは、戦況を膠着状態に持ち込むべく徹底して一騎討ちを回避し、前後衛を彼女と分担することに決めた。機動力と手数に長けたフリードがアタッカーを務め、魔力操作に優れるシーグヴァイラがサポートを担うのだ。果たして人的有利を活かした作戦は見事に嵌まり、八重垣は絶え間なく続く二人の攻撃に攻めあぐねている。とはいえ、人的不利と十年間のブランクという無視できないハンデを背負わされてもゴリ押しを可能としてしまえるのが、蘇生した対象の身体能力を底上げする″幽世の聖杯″の真骨頂の一つである。
甘かったか、とフリードは内心で舌打ちする。剣を一度振るう度に、衰えた筈の八重垣の剣筋がまたも勢いと鋭さを増したように感じる。それも養成機関で叩き込まれる剣術ではなく遮二無二振り回しているだけの力任せの癇癪だ。本来であればカウンターを仕掛ける絶好の機会でも彼が攻勢に回れないまま表情を歪めるのは、振り下ろされた切っ先が床に亀裂を生じさせたからだ。
「クソみてえなチート使いやがって!」
「何とでも吠えろ! 竦め! そして吠え面をかいたまま死んでいけバカップル共が! ハハハッハハァ!!!」
高笑いしながら床を蹴る八重垣。その嘲笑からは生前の冷静さは微塵も感じられない。そして跳躍した後の床に刻まれた足跡──それを中心に放射状にヒビが走ったコンクリートが、彼が正真正銘の異端者にまで堕ちてしまったことを教えている。さながら弾丸のように正面から突撃してくる彼の凶刃をフリードは敢えて受け止めた。八重垣が厄介なシーグヴァイラから先に殺そうとしていることに気付いていたのだ。
加えて、尋常ならざる超怪力から放たれる剣と一瞬でも鬩ぎ合えばどうなるのかも彼は既に気付いていた。天才的な戦闘センスを持つ元神童であるが故に。
「──!!」
真っ先に右腕がへし折られる音を聞いた。次いで莫大な負荷に耐えられずに右太腿が折れた。必然的に崩れた体勢がぐらりと彼の身体を揺らした。最後に肋骨と視界全体を衝撃が襲った。錐揉み回転しながら壁に激突し、それでも衝撃を殺すには至らずに大穴を穿ち、粉砕する。
「フリ──」
「そんなに彼氏が心配かい?」
形振り構わず反射的に展開した障壁術式は果物の皮を捲るかの如く切り裂かれ、掠めた左頬から血と黒い靄が微かに溢れる。「ああっ!?」と挙がった悲鳴は、シーグヴァイラの体内に侵入した光が烈火のように彼女を攻め立てているためだ。それでも歯を食い縛りながら堪える。応急処置もしないまま、お返しとばかりに両手に魔力を集中させ、凄まじい速度で結界術式を描いていく。やがて完成した水色の術式の中央に大きく記されているのはアガレス家の紋章──アガレスの悪魔に脈々と受け継がれる秘術が発動される合図だ。
極限にまで高められた集中力と魔力で描かれた二つの術式の内、一つは今にも襲い掛かろうとしていた八重垣に向けて放つ。直後、彼の動きが急速に勢いを失っていき、先程までの怪物染みていた動きが嘘のようなスローモーションと化していく。
これこそがアガレス家のみに伝わる固有能力″時間操作″である。
一族に伝わる特殊な術式を媒介として発動させた結界は対象が触れると瞬く間に捕縛しその時間の流れを遅らせる。アガレス家の中でも特に才気に溢れる者のみが発動できる能力だ。
そしてシーグヴァイラはアガレスが誇る″氷姫″にして駒王町の三代目領主に抜擢された才女である。土壇場の覚醒ではあったものの、目覚めるだけの素質は既に示されていたのだ。
──発動した!? どうして!? 今までどれだけ練習しても習得できなかったのに! いや、そんなことよりも今は!!
肩で息を切らしながら驚愕するシーグヴァイラ。現当主に才を見込まれ秘術を伝授されてからというもの特訓は欠かさなかったが、これまでついぞ習得は叶わなかった一族固有の能力。このタイミングで発動できた理由はまだ彼女には分からなかった。シーグヴァイラは思考を切り替えると瓦礫に埋もれたままのフリードに駆けていき、手が傷付くのも構わずに瓦礫を取り除いていく。
「フリード! 生きてるの死んでるの!? 死んでたら死んでると返事しなさい!!」
言葉は、返らない。
「……ふざっけん、なバカヤロー! あれだけ私のことを馬鹿にしといて自分だけ先にくたばる奴がある!? 絶対に私の負った傷の分だけぶん殴ってやるんだから!」
その声は、聞こえない。
「……フリード」
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二度と足を踏み入れたくなかった場所。戦士養成機関本部内のとある部屋の前にフリードは立っていた。「夢か」と吐き捨てる彼の横顔はこれ以上ないほどに憎悪に満ちており、夢である筈なのに握り締めた拳が痛む。苛立ちを晴らすようにフリードは扉を蹴破った。広々とした空間に反比例して部屋の中はキングサイズのベッドが中央に鎮座するだけで他にテーブルなどの家具はおろか小窓の一つすらも見当たらない。強いて挙げるなら悪趣味な中身をした棚が片隅に置かれているだけだ。
そんな殺風景な部屋なのだから、彼の視線は自ずとそこに立っていた人物に釘付けとなった。
「お久し振りっすねー、お兄ちゃん。私のことは今でも覚えてますかね?」
投与された薬物の影響で白と黒の入り交じる髪をアップにし、教会戦士の制服ではなく娼婦が着るような身体を隠すつもりのない派手な衣装に身を包んだ、フリードと似た顔立ちの少女だ。
「……リ、ント」
驚愕に目を見開きながら紡がれたか細い声に、名を呼ばれたリントは嬉しそうに頷く。
「正解♡ ご褒美にイイコトしたげよーか?」
「ちんちくりんの癖に生意気言ってんじゃねーよ。ちゅーか、お前も仮にも悪魔祓いだろうが」
「ひっどーい! 教官達にも好評なのにー!」
ギャーギャーと喚くリントと彼女を適当に宥めるフリードの姿は年の離れた兄妹或いは親友のような雰囲気である。事実、二人は実験で生まれた試験官ベビーであり、同一遺伝子を元に製造されているが為に彼らは兄妹のような関係だ。顔立ちが似ているのも遺伝子パターンが同じだからだ。本人達は知らないし知るつもりもないが。
それはさておき、同一遺伝子を使用していながら兄妹の能力には雲泥の差があった。生産施設から養成機関に移された後、戦闘センスをメキメキと開花させた兄は神童と謳われるまでに成長を遂げた。
反対に、妹は落ちこぼれだった。
「私には……お兄ちゃんのような才能は与えられなかったんすよね。ドジだらけで失敗ばかりで」
笑みを浮かべるリントだが世間一般で言えば彼女もまた間違いなく天才に分類される。否、彼女に限った話ではない。機関では落ちこぼれと蔑まれる少年少女達とて環境が違えばその溢れんばかりの才能を活かして世界に羽ばたけた筈である。ただ一重にフリードや上位層に及ばなかっただけなのだ。とはいえ、捨てる神あれば拾う神あり、という言葉があるように思いがけず助けてくれる人間もいないことはなかった。
唯一の問題は、その救済方法が人間にあるまじき外道の所業である点だ。
「でもでもー? 教官曰く、私って娼婦の才能はあるらしいっすよ♡ マジでウケるっしょ!? ハハハハハハハハアハアハアハ」
リントは、人間の醜さに殺されたのだ。
──泣いて感謝しろ、不良品の癖にこうやって俺達に使ってもらえるんだからな。
──抵抗するんならお前の友達や兄貴が少し酷い目に合うかもしれないねえ?
──そうそう、そうやって大人しく尻を振っておけば良いんだよ。そうすればたっぷりと可愛がってあげるからね。
──新品は反応が薄くてつまんねえな。強めの薬でも打つか。なーに、気持ちよくなるだけで死にはしねえさ。
ある日の夜、教官からの呼び出しを受けたリントは少女から女性にされた。試みた抵抗は人数差と体格差もあって簡単に抑え込まれ、更に同室の親友や敬愛する兄について言及されたことで沈黙を貫かざるを得なくなった。「明日もあるからな」と連中がすっかり満足して部屋を出ていく頃にはリントの身体はボロ雑巾も同然で、赤い染みの付いたベッドの上で誰にも知られないまま啜り泣いた。
「こんなこと、誰にも言えない……」
集団暴行と薬物の影響でぐわんぐわんと回る視界の中で彼女はひたすらに堪えることを選択した。機関を卒業して正規部隊に配属されるまでの辛抱だからと。
かくしてリントは玩具に堕ちた。ある夜は首輪を嵌められ犬の真似事もしたし、またある夜は余興として浮浪者を相手に売春させられたこともある。されど大半は芳しくない成績への懲罰という名目で淫らに踊り続ける日々を過ごした。
「……ねえ、大丈夫なの?」
「どうしたっすか、マーガレット」
「だって最近は遅くまで帰ってこないし、それに顔がやつれているわ」
「あー、あれっす。特別に教官達に稽古をつけてもらってるだけなんすよ」
「でも……」
心配する親友から逃げるように部屋を去り、明け方には腹を薬物と精液で満たして帰り、そして一睡もできないまま朝の訓練に参加する。その繰り返しなのだから成績は下落する一方であり、それがまた連中に彼女を呼び出す理由を与えてしまうのだ。
「リント、なんか俺に隠してねーか?」
「やだなー、マイラブリーお兄ちゃんに隠し事なんてする筈ないじゃん? 考え過ぎなんザマスよ、お兄ちゃんもマーガレットもさ」
「けど……最近のお前は」
「おっと教官に呼ばれてるのを忘れてた! ちゅーことでバイバイチャ☆」
「おい、まだ話は……逃げやがった」
「……あいつ、勘だけは獣だからなー。こんなもん股の中に入れて日常生活してるなんて知られたくもねえや」
桃色の器具を着けて座学を受けることを強制され、それすらも抜け出して彼女は踊る。今や学校で誰かと交わらなかった場所は無く、比例して連中が彼女の身体で知らない箇所も無くなっていった。リントが自暴自棄同然に自ら進んで尻を振るようになったこともあり、やがて彼女の中では当たり前のサイクルと化した。強固な刷り込みと記憶処置を施されている候補生達に教官を疑うという選択肢は存在せず、彼らの所業は誰にもバレなかった。またバレないという自信もあった。
だから、油断した。
──おい、こいつ動かねえぞ。
──意識が飛んだだけじゃないのか?
──薬の打ち過ぎだろ。こりゃ手遅れだ。放っておいてもすぐ死ぬぞ。
──マジかよ面倒だな。これまで通り裏山にでも埋めとくか?
「……なにやってんだ、お前ら」
▼追憶の兄妹▼
「ほんと、よくあの部屋を発見したっすよね。分かりにくい場所にあるのに」
「あのカス共の暮らしてる寮が怪しいとは踏んでたからな。毎日張り込んで、団体様がぞろぞろ出て来る部屋を見付けたってわけだ」
フリードが部屋に踏み込んだ際、室内は酒池肉林の極みとも言える様相をしており、教会関連施設にあるまじき地獄染みた光景に彼は思わず吐き気すら覚えた。脂ぎった男共がベッドの上に年端もいかない少女を寝かせ、寄ってたかってその身体を弄くり回しているのだから。
そして、その少女が自分の妹分だと気付いた瞬間から数秒の間、彼の記憶は途切れている。
我に返ったときには室内は暴風が通過した後のように荒れ果て、そこかしこにかつて人間の一部だったと思しきパーツが散らばっていた。それが妹を弄ばれたことと、それに遂に気付かなかった無力な自分自身への怒りが爆発した結果であることを、そのときの彼は分からなかった。
蹂躙を終えたフリードはベッドに横たわるリントの近くへと歩み寄った。薬物の過剰投与の影響で彼女の息はこの直後には途絶えてもおかしくなく、全身に残された痛々しい性的暴行の痕がこれまで堪え忍んできた苦痛の連続をダイレクトに伝えている。
──お兄ちゃん?
──悪い、遅刻しちまったわ。
自らを優しく抱き上げるフリードの頬に彼女はそっと手を伸ばす。顔に付着している返り血が掌を汚すのも気にせず、兄の名残を惜しむように。
──ううん、迎えに来てくれたからいいんすよ。でも、ごめんねえ? 私ってこんなに汚れちゃってさ。
──俺も血で汚れてるから一緒だろ。
──そっかあ、一緒か……。
嬉しそうに微笑みながらリントは死んだ。享年十二歳。あまりにも短い幕引きではあるものの、フリードの腕の中で眠る彼女は満足そうな死に顔をしていた。
それは神童が殺人鬼に堕ちた瞬間でもあった。
「その後は大変だったみたいっすね。すぐに追討部隊が出てきたんでしょ?」
「そりゃ養成機関の実態が性奴隷牧場だったなんて事実を天界に知られるわけにゃいかねーからな。事態を揉み消そうと上役も必死だ。表向きはバルパーの独断って筋書きだけどな」
「あー、あの変態っすか」
パン工場のおじさんを彷彿とさせる顔の変態を思い出して嫌悪感を露にするリント。機関関係者の中でバルパーはそういった事件に関わっていない稀有な人間の一人だが、それは単に彼がエクスカリバーにしか興味のない人種だからであり彼自身も別ベクトルで変態だ。仮に少しでもまともな人間であったなら養成機関の腐敗を告発した筈なのだから。とはいえ、そんな変人であるが故に事態の鎮火に必要なスケープゴートとして使われてしまったのだがこれは本人の自業自得である。
それはそれとして追討部隊までもが動いたこの事件は聖剣計画の首謀者バルパーが違法実験の証拠隠滅を図った独断行為として処理され、同胞の脱出を助けるべく殿を務めたフリードも逃走後に異端認定されたことで、その裏側を白日の下に晒さないまま燃え落ちる養成機関と共に歴史の片隅に埋もれたのだった。その際、必然的にリントの遺体も灰となって消失しているのだから蘇生でもされない限り再び笑顔を向けてくる筈がない。
故に、これはフリードの抱えた未練が見せる悪夢であり死に際に見せられる走馬灯だ。
「いやー、死ぬには早くないっすか? また遅刻するつもりなら話は別っすけど♡」
そんな兄の出した結論にリントは手でハートマークを象りながら意義を唱えた。そして彼女が左手を掲げるや否や、その掌に映像術式が浮かび上がる。
『死なせないから……このまま死なせてあげるような優しい女じゃないんだから!』
「シーグヴァイラ!」
朧気に浮かぶのは必死の形相で瓦礫を取り除くシーグヴァイラの姿。彼女はフリードの救出に夢中になるあまり、″時間操作″がほどけ今にも剣を振り降ろそうとしている八重垣に気付いていない。このままでは彼女は確実に殺されてしまうだろう。応援もまだ到着していない現状、その未来を変えることができる存在は一人だけだ。
「……悪い、ちょっと用事を思い出したっすわ」
「あ、お兄ちゃん忘れ物っすよ」
剣を握り締め、焦燥に駆られながらも踵を返すフリード。リントはそんな彼を呼び止めると赤黒い輝きを放つ握り拳サイズの宝玉を手渡す。雰囲気こそ先にシーグヴァイラが放った魔力球を彷彿とさせるが、最大の違いは纏っているオーラだ。前者が悪魔のそれであるのに対してこのエネルギー体はドラゴンの気配を強く感じさせる。彼もよく知っている赤龍帝の力だ。
怪訝な表情でフリードが宝玉を受け取るとそれは意思を持つように彼の周囲を漂い、やがてすっぽりと彼の胸に飛び込んだ。瞬間、フリードの全身から絶大な力の奔流がプラズマを帯びて溢れ出す。
「これまでお兄ちゃんの身体に蓄積していた赤龍帝の魔力を集めたんすよ」
リントは、掌の上の映像をシーグヴァイラから兵藤一誠に切り替えた。恐らくはフリードの視点をそのまま切り取ったのだろう、オーフィスに抱き付いて授乳プレイに興じる上司の顔が映る。自分の預かり知らぬところで痴態を拡散される一誠は泣いて良い。
「おやおやー、こんなところに丁度ピッタリの画像があるではあーりませんか☆」
「選び方に悪意を感じるんだが」
「さあ、何のことやら~♡ それはさておき、お兄ちゃんはいつも兵藤一誠と行動を共にしてたっすよね。だから彼が漂わせている魔力が身体に残留してたんすよ!」
即ち、赤黒い宝玉の正体は体内に蓄積した兵藤一誠の力の結晶であり、一時的にだがフリードは彼が有する″倍加″や″譲渡″を扱えるようになったのだ。擬似的とはいえ、その身にかの二天龍を降ろした姿はまるでチートなのだが八重垣も″幽世の聖杯″を使っているのでお互い様である。
無論、その代償は大きい。
あくまで人間であるフリードの肉体限界を考慮して使用可能時間は三十分にも満たず、それ以上の発動は身体はおろか魂にすら悪影響をもたらし最悪の場合は死に至る。更に絶大な能力の負荷に肉体が堪えられず、発動後は全身が地獄に等しい激痛に襲われてしまうという副作用も存在する。一週間は日常生活すらままならないだろう。
「ありがとよ、遠慮なく使わせてもらうぜ」
その説明をされた上で、フリードは微塵も躊躇しなかった。
「……今度は間に合うといいっすね?」
「間に合うさ、今度こそ」
深い海の底から浮上する感覚の中で、ニヤリと笑って赤い龍の翼の幻影を拡げるフリード。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね──死んでしまえ」
リントではない、数多の犠牲者の怨念が込められた声を背に受けながら。
「安心しろ。次は一人ぼっちにしねえから」
「……そっかあ、一緒だハハハハハハハハアハアハアハ」