はぐれ一誠の非日常   作:ミスター超合金

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オーフィス可愛い(①→■■■■■の性質上、■■■■■の誕生は■■の誕生よりも後年もしくは最低でも同時期でなければ辻褄が合わない)

オーフィス可愛い(②→■■■■■が■■■■■を有していた理由や経緯は不明)

オーフィス可愛い(③→■■■■■の■■である■■■は■■■の最初の■とされている)

オーフィス可愛い(④→状況的に■■■は■■を持ち出していても不思議ではない)

オーフィス可愛い(⑤→①②③④より■■■■■は■■或いは■■■なのではないかと推測できる)


鞍替え

 あの忌々しい白トカゲの声音が聞こえた瞬間に俺はその場を飛び退こうとしたが、しかし間に合わなかったようだ。全身から力が抜け落ちていくのを感じる。それも目眩で済むような生易しいものではなく、思わず膝をついてしまう程だ。

 

 兵藤一誠は″白龍皇の光翼″に覚醒した。

 

 リアス・グレモリーを喰らって滅びの魔力を操れるように変異したのだから、ヴァーリ・ルシファーの魂を介して神器を獲得できない道理は無いのだろう。特徴的な純白の翼こそ見当たらないが、代名詞である″半減″と″吸収″を行使してみせたのが証拠だ。どうやら攻撃を受け止めた際に意図せず条件を満たしてしまったようだ。

 地に伏せた俺に歩み寄る兵藤一誠は、直前よりも機敏さが増しているように思える。単純な魔力や身体能力だけでなく体力も奪われたらしい。或いはヴァーリ・ルシファーの人格が色濃く出ているのか。

 

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide──』

 

 兵藤一誠が無言のまま″白龍皇の光翼″を乱発し、その力を加速度的に増大させていくのに反比例して、俺自身は聖杯の恩恵で得た強化も含めて力を奪い取られていく。

 

『無様なものだな、アポプス』

 

 ″半減″発動時の合図と同じ声に、俺は舌打ちする。それは神器の中に封じられていながら俺を蔑む声の持ち主──アルビオンにどうしようもなく苛立ちを掻き立てられたからであり、しかし不覚を取ったことは事実であるために何も言い返せないからだ。

 

『言い忘れたが俺は兵藤一誠に着く。以降よろしく頼む。短い間だろうがな』

「貴様……!」

 

 アルビオンの鞍替えは、兵藤一誠が抱えていた欠点を完璧に補ってしまうことを意味している。

 無限の侵食やそれに伴う精神面の不安定さを除いても、兵藤一誠に付け入る隙が無いわけではない。

 第二次連合戦争の映像を解析したところ、兵藤一誠は神にも匹敵する馬鹿げた火力と引き換えに継戦能力が低いと感じた。というよりも素の身体能力自体は最上級悪魔の領域に留まっており、それらを″赤龍帝の籠手″や無限で強引に補っているとした方が正確だろう。

 だからこそ兵藤一誠は挑発や策略を駆使してでも短期決戦に拘わらなければならず、故に持久戦に引きずり込めば勝算はあると推測していた。ましてや精神に支障を来した今の状態では話にならない。

 

 ところが、赤龍帝と対をなす白龍皇の参戦が全ての目論見を水泡に帰す。

 

 前者が再現無き自己強化による対多数の戦闘をも得意とするのなら、吸収を有する後者はタイマン特化とすべきだろう。相手に触れるという条件さえクリアしてしまえば自己強化に加えて相手の弱体化も同時に行えるのは、サシの戦闘では脅威だ。

 リゼヴィムは、前所有者であるヴァーリ・ルシファーの対策として吸血鬼の大部隊を動員し、絶えず包囲網を敷くことで完封している。囮役にヴァレリー・ツェペシュ──彼と似た境遇の小娘を用意した点も功を奏したようだが、包囲に成功した段階で白龍皇の強みは消えている。逆に言えば、赤龍帝の力を合わせ持つ現所有者に同じ手は通じないということでもある。

 

 しかしグレンデル達を扱き下ろした手前、策を試さないまま一方的になぶり殺されるという事態は避けねばなるまい。

 

 転移術式を展開し、他ブロックを巡回中の全警備隊をこの場に強制集結させる。ハッキリ言って犬死にさせるも同然の愚策だが、リゼヴィムの戦力の大多数を残したままにするのもまた愚かなことだ。

 次々と淡い光が宙に浮かび、そこから困惑した様子の吸血鬼共が降り注いだ。恨みは無いが、あのクソ野郎への嫌がらせに利用させてもらう。

 

 術式に仕込んだ魔法が、彼らの自我を奪った。

 

 猿のように兵藤一誠に襲い掛かるのは、物言わぬ人形と成り果てた約一万の軍勢だ。とはいえ、数を揃えただけで勝てる相手なら三大勢力は滅びなかったことだろう。彼らは四方八方から強襲を繰り返しては、兵藤一誠の放ったオーラに弾き飛ばされていった。

 

「この程度で()に勝てるつもりかにゃ?」

 

 女性のような口調で告げる兵藤一誠を前に、俺は肩を竦めた。

 

「まさか。単なる余興だ」

 

 そして重い身体を無理矢理に起き上がらせると、真の形態である闇を解放する。軍勢は既に、その大部分が壊滅させられたらしい。リゼヴィムからすれば痛手だろうが、俺が回復するまでの時間稼ぎにはなった。

 闇そのものと化した俺は、兵藤一誠と対峙する。

 俺を起点に発生した暴風が粉塵を撒き散らしながら渦となり、周囲に転がっていた兵隊共の死体を吹き飛ばした。まだ生きている連中の悲鳴は無視だ。

 

『邪龍如きが……我々の邪魔をするな!』

 

 アルビオンは、冷たく言い放った。

 

『DivideBoost!!!!!』

 

 そうして宣言されたのは、本来あり得ない筈の二天龍の同時使用だった。

 ここに来て、オーラで形成されていた兵藤一誠の背の大翼が″白龍皇の光翼″に酷似したものへと変化していく。呼応するように、肩や胸部アーマーまでも″白龍皇の鎧″を目指して蠢いていき、該当箇所に散りばめられた宝玉から血管のような白いラインが幾つも伸びていく。

 

『聖杯の恩恵にすがるような分際で二天龍に勝てると少しでも思ったか? 身の程を知れ』

 

 今度はドライグからの指摘に、またしても俺は返す言葉が見付からない。

 しかし俺にも邪龍筆頭格の誇りがあるのだ。勝ちの目は無いにしても、最後まで足掻いてみせるのがドラゴンとしての本懐だ。

 

『せめて骨も残さずに喰らってやろう。そうして貴様も兵藤一誠の血肉となれ』

「だったら力で従えてみせろ」

 

 それがドラゴンに属する者の真理だろう、と俺は返した。

 

「遺言はそれだけ? じゃあ──さようなら」

 

 惜しむらくは、年頃の娘のように小首を傾げる兵藤一誠は、ドラゴンとは似て非なる存在であった点だ。

 一足飛びに跳躍した彼──或いは彼女は、頬まで裂けた大口を既に抉じ開けている。振りほどこうにも信じられない怪力で押さえつけられ、俺の身体を介して地面そのものが揺さぶられる轟音が嫌でも耳に入ってくる。

 まさか、俺の言葉を額面通りに受け取ったとでも言うつもりだろうか。今のは決闘に応じろという意味なのだが。

 

 ──いや、この期に及んで言い訳はするまい。

 

 過信があった。油断があった。二天龍の和解という想定外が生じた。されど結局は俺の弱さだ。

 

『言い残すことは?』

「……あのクソ野郎を殺せ」

 

 城でふんぞり返っているだろうリゼヴィムの顔を思い浮かべて、俺は悪態をついた。代わりにあのバカを殺してくれるのであれば少しは喰われる意味もある。

 

「──言われずとも」

 

 瞬間、俺は咄嗟に兵藤一誠の瞳を見た。直前まで自我を失っていた筈の眼差しには確かな光が灯っており、しかし次にはまた元の振る舞いに戻ってしまった。

 そうか、完全には消滅していないのか。

 彼自身の人格が残っているのなら、俺の魂を取り込むことで少しは復活に近付く筈だ。吸血鬼や有象無象のテロリストに御される程、俺は弱くない。

 

「眷属悪魔、テロリスト、怪物……この次は果たして何になるのだろうな」

 

 かくして生きたまま喰われた俺は、気付けば純黒の世界へと立っていた。あの世ではない。兵藤一誠の精神面の具現化だろう。

 

『あら、お客人?』

 

 いつの間にか目の前に佇んでいた紅髪の少女が、ニタリと嗤う。生前にはリアス・グレモリーと呼ばれていた彼女は、怨念と憎悪に彩られた異形と化していた。どうやら犠牲者の負の面を取り込んだらしい。

 

『……止めに来たの?』

 

 かつてリアスだった化物は嘲笑した。様々な色の混ざりあった魔力を雨霰と撒き散らす姿は、この矮小な空間に君臨する魔王のようである。そこから察するに、ヴァーリ・ルシファーは″白龍皇の光翼″の譲渡こそ成功したが彼女を抑えるには至らず、逆に吸収ないし分解されてしまったようだ。

 

『虎視眈々と機会を窺うつもりだったけれど、その必要は無さそうね。あなたを喰って私は再び表に出るわ。そしてオーフィスを殺してあげるの』

『クロウ・クルワッハが聞けば激怒しそうだな』

 

 本人は隠しているつもりだが、彼はオーフィスに思慕の情を抱いているようだった。それが知らぬ間に子供を作っているものだから、自棄酒に付き合ったのは一度や二度ではない。

 

『さて、俺も敗者の責務を果たすとしよう。亡霊はそこで大人しくしておけ。欲を出すとろくな結果にならんぞ? どこぞの邪龍の経験談だ』

『どいつもこいつも私の邪魔を……』

 

 これでいい。俺が相手をしている間はこの怨念も邪魔立てはできないだろう。兵藤一誠が目的を果たせるかどうかは本人の問題だ。とはいえ、ドライグとアルビオンが手を結んでおいて何も成せないまま、という結末には終わるまい。あれでも天を名乗っているのだから。

 まあ、先ずは怨霊を鎮めるべきか。

 

『貴様如きがドラゴンの邪魔をするなよ』

 

 身の程を知れ、と勝者の言葉を引用して、俺は新たな戦いに身を投じた。

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