はぐれ一誠の非日常   作:ミスター超合金

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オーフィス可愛い(Infinity→意味:無限、オーフィス)


Infinity

 駒王町。親友が領主を務めるこの街で、我らは暮らしていくことに決めた。そこには、愛しい彼の故郷を守り続けるという決意も含まれていた。我を気遣って誰もが口にしないけれど。

 

「……行ってきます」

「行ってくるぜ」

 

 リリスとイクス。我と彼に瓜二つの娘と息子は周囲の支援もあって健康に育ち、今は駒王学園に通っている。時間が経つのは早いものだと実感しながら愛する子供達を見送った。

 家事にも慣れた。そもそも知識としては有していたこともあり、幾らかの経験を積めばあっという間に慣れることができた。人間の文明の利器は凄いのだ。

 

 仲間達は、平和を守る組織を結成した。

 

 現在は世界情勢も安定しているとはいえ、力のある主神達が倒された以上、いつ戦争が勃発しても不思議ではない。その隙を突こうと目論む愚か者が現れるかもしれない。そういった懸念点に対抗するべく、シーグヴァイラ達は四大神話の後継者達と共に国際平和機関″D×D″を旗揚げした。かつてのテロリスト組織の血脈を受け継ぎながら、しかし正反対の道を選んだのである。

 

 街の復興の為に、戦友の故郷を守る為に、以前の罪を償う為に。

 

 駒王学園は、奇しくも三大勢力が同盟を結んだ際と同じように協力体制の象徴として扱われており、各神話からも教師或いは生徒として秘密裏に人員が派遣されている。″D×D″からはレイヴェルとゼノヴィアと椿姫が、日本からは九重が、冥府からはベンニーアが、ギリシャからはアルテミスが、そして北欧からはアーシア・アルジェントが派遣された。日本神話代表の娘である九重もそうだが、現北欧神話を率いる二代目主神の側近を担う男の妻が直々に出向するという異例の対応は本人の意向を尊重してのことらしい。

 

 また、再建途中の″神の子を見張る者″や天界も一応の同盟を結んでいる。ただし、シーグヴァイラが言うにはあくまでも復興支援を狙っての同盟であるようだ。

 

 そしてシーグヴァイラといえば、かねてからの宣言通りにフリードと結婚した。今では子宝にも恵まれ、リリスとイクスの親友として行動を共にしている。娘が言うには、父親譲りのハイテンションに母親の知謀までも兼ね備えたサラブレッドとして両親の手を焼かせているそうな。

 

 役割を果たしたバロールは再びギャスパーの影である道を選択し、肉体の主導権を本来の持ち主へと返却した。そんなギャスパーも邪眼王に影響されてか、男の娘からホストへと変身した。ギャスパーはヴァレリーと結婚したのだが、二人の息子は美しい男の娘に成長した。血は争えない。

 

 クロウ・クルワッハ率いる邪龍軍団は、″D×D″の主力部隊として世界各地を飛び回っている。そして折を見ては現地の珍しいお土産を片手に訪ねてきてくれる。クロウは明らかにリリスに恋心を抱いているが、娘も満更でもないようだし本人達に任せようと思う。歳の差? 我と彼よりはマシだろう。

 

 同じく聖杯で蘇生したゲオルクとレオナルドは孤児院を再建し、自分達と同じ境遇の子供を救う為に奔走している。かつて英雄を目指していた二人は子供達の笑顔を守るヒーローになれたようだ。

 

 そして、我は少し身長が伸びた。

 

 夫の性癖を汲んで幼女を貫いていた我は、二度の出産により完全に姿が固定された。以前のように老若男女に化けるといった芸当ができなくなり、今後は人間と同じように少しずつ成長を遂げていくのだろう。そのせいで娘と並んで歩けば妹と間違われるのは悔しいが。

 

「また相棒を懐かしんでいるのか、オーフィス」

 

 赤龍帝ドライグ。我よりも夫と付き合いの長い彼はミニサイズに縮むことで我が家の番犬として働いている。その行動原理は語るまでもない。

 

「……ドライグも同じ。自由を得たのに、いつも我の近くにいる」

「相棒は歴代最高の宿主だった。その彼に家族の護衛を頼まれては断れんさ」

「……それ、必要?」

「違いない」

 

 長き封印から二天龍と、ついでにファーブニルも解放された。彼らは現世に舞い戻るや否や、神話連合軍を再起不能なまでに叩き潰した。本人の願いだったとはいえ、宿主の仇を討ったのだ。そのまま怒りに任せて本拠地に乗り込まなかった点は評価しておこう。

 

 アルビオンとファーブニルはマスコットどころかキーホルダーサイズにまで縮み、リリスとイクスの鞄にぶら下がっている。この方が神器みたいで落ち着くとは両者の意見だが、たまには羽を伸ばしていいのにと思う。娘も息子も彼らより強いのだから。

 

「時代は変わる。世代も変わる。今後は彼らのような若者が世界を引っ張っていくことだろう。二天龍の伝説も三大勢力の存在も相棒の復讐も、遠い先の未来では寓話や絵空事のような扱いを受けるかもしれん。それこそが歴史というものだ。故に残された者達は忘れてはならないのさ。いや、忘れる方が難しいか。今のは愚問だったな。すまなかった」

「……忘れない。忘れるわけがない」

 

 テーブルの上に飾られた写真には、在りし日の二人が笑顔で取り残されている。

 

「で、これからどうするんだ?」

「……我、洗濯する」

「誤魔化すな。俺もアルビオンも永遠に近い時間を生きるだけで不老でも不死でもない。シーグヴァイラ達も、元人間との混血であるリリスもイクスも同様だ。しかしオーフィスは別だろう。無限の体現者であるお前は無限の寿命を生き続ける。俺達はお前を残したまま去ってしまう。その日が来たら、お前はどうするんだ?」

「……分からない。それに、そんな先のことを今から考えても仕方ない。我は今日を精一杯に生きる。家族や仲間と笑顔で過ごす。邪魔してくる者があれば潰す。その積み重ねが歴史というもの」

「そうか」

「……でも、叶えたい夢はある」

「夢?」

 

 あの日から、我は夢を抱いている。聖杯による復活すらも拒絶する頑固な夫にもう一度会いに行くという夢を。仲間達が生きている間に、仲間達と共に再会を果たすという願いを。

 

「……地獄に行く」

「は?」

「……地獄では一誠を裁くことができない。あまりにも力の差が大きいから。暇潰しに、地獄に落ちた三大勢力の軍勢と遊んでる。グレートレッド、夢の中で教えてくれた」

 

 グレートレッド曰く、獄卒は一誠を恐れて近寄らないらしい。閻魔大王や裁判官達ですら彼と接する必要が生じた場合は遠距離から拡声器を使って会話するそうだ。我の夫を害虫と勘違いしているに違いない。妻を待たせて遊び歩いてるような馬鹿なのだから似たようなものだけど。

 

「……我、一誠をお仕置きする」

「地獄は広いぞ。会うアテはあるのか?」

「……我のオーラを辿る」

 

 地獄直通の道を抉じ開けることなど我にとっては造作もないこと。現世に悪影響をもたらすかもしれないけど、そこは結界で抑え込めばいい。無限を司る我だからこそ可能な芸当で、グレートレッドにも協力させればその難易度は更に下がるだろう。

 

 我の作戦を聞いたドライグは、「アホかお前」と言いたそうな顔で溜め息を吐いた。

 

「仮にも″D×D″のトップが世界平和を崩しかねない暴挙に出てどうする。パートタイマーとはいえ、今度は御輿でも食客でもないんだぞ」

「……プイッ」

「可愛くないが」

 

 失礼な。これでも我はリリスと姉妹に間違われるぐらいには少女のままだ。

 

「……さて、どうする? 参加する? それとも尻尾を巻いて逃げる?」

「愚問だな。お前もドラゴンの一員であるならば俺の答えなど聞かずとも理解している筈だ。我々だけに許される、他種族にはどうあっても理解できないし、されたくない理由がな」

「……理由」

 

 ふと我の脳裏に、遠い過去の思い出が甦る。まだ一誠と出会ったばかりの頃の記憶だ。

 

『じゃあ、オーフィスは最強のドラゴンなのか?』

『……我、夢幻を除けば最強。こんな回りくどい特訓をせずとも赤龍帝を強化させることなど造作もないこと。この蛇を飲めば、少なくとも魔王を上回る程の力が獲得できる。復讐も簡単に終わる』

『そんなのがあるのか。オーフィス、教えてくれてありがとうな。でも、俺は大丈夫だ』

『……どうして?』

『ライザーにも負ける下級悪魔の分際で偉そうにって思うかもしれないけどさ、ドラゴンってのは誰よりも強くて誰よりも誇り高い種族なんだ。自分の力で目の前の困難を切り開いていくんだ。それが絶対の力を持つドラゴンだけに許された誇り(プライド)なんだよ。その黒い蛇を飲んで強くなったとしても、それは自分の力とは言えないだろ? 俺は俺の力で復讐を果たすよ。な、ドライグ?』

『いい心掛けだが、その為にもまずは実力を磨いていくことだな。歴代最弱の相棒よ』

『そうは言うけど自己流のトレーニングだけだと限界があるんだよな。いっそヴァーリや曹操に特訓相手を頼んでみるか』

『……絶対の力を持つ、ドラゴンだけに』

『どうした? オーフィス』

『……我、特訓に付き合ってもいい』

『『え?』』

 

 そうして我と一誠の道が重なった。馴れ初めと称しても過言ではない。

 

「……誰よりも強く誰よりも誇り高い。絶対の力を持つドラゴンだけに許された誇り(プライド)。一誠が我に教えてくれたこと」

「そうだな。相棒は最初こそ最弱の悪魔だったかもしれんが、しかし最初から最高のドラゴンではあった。この俺ともあろう者が情けない話だ。赤い龍の帝王などと崇められている間にかつての熱意を忘れていたのだからな。天狗になっていた鼻をへし折られた気分だったよ。だからこそ、相棒の復讐に付き合うと決めたわけだがな」

「……我も、同じ」

「思い返してみれば、これまで相棒と戦う機会など無かったからな。今度は相棒の鼻っ柱をへし折ってやろうじゃないか。ついでに忌々しい三大勢力のカス共にもお礼参りといこう」

「……我、夫を守る。ドライグ、天誅」

「あれれー?」

 

 かくして我らの旅行先が決定した。ある昼下がりのことだった。

 

▼Infinity▼

 

「前から思ってたんだけどさ。なんでリゼヴィムと一緒に地獄巡りなんかしなきゃならねえんだよ」

「仕方ないだろ? 腐敗しても政権を束ねていた魔王なんだ。本気で暴れたら獄卒共なんざ相手にもならん。俺やイッセーきゅんが呼ばれたのはそういう理由なのさ。案内役の鬼もビビりながら説明してたじゃんよ」

「そこはせめて曹操であれよ。そもそも三大勢力を潰すなんざ俺だけで充分なんだ。余命を気にすることなく初手から好きなだけ″龍神化″を発動できるんだからな。これで負ける方がどうかしてるぜ」

「イッセーきゅんへの嫌がらせだろ。案内役なんか元カノの堕天使にそっくりだったし、籠手の中身もドライグの代役にイッセーきゅん愛用の目覚まし時計を放り込まれてるし。Sympathyしてるねえ」

『キョウモイチニチバリバリハゲモウ!』

「サーゼクスより先に閻魔から潰してやろうか」

「少しは落ち着きなさいよ。元グレモリー眷属ともあろう者がみっともない。リゼヴィムも煽るような真似はやめてもらえるかしら?」 

「前から思ってたんだけどさ。なんでリアスもいるんだよ。あとバスタオル一枚で歩くな。せめて服を着ろ」

「私の魂もろともイッセーが地獄に落ちたからに決まってるじゃない。それに服を着ろと偉そうに指示するけど、私を裸に剥いて食べた本人に言われたくないわね。地獄の亡者は死亡時の状態が反映されるらしいわ。だから私は服を着てないの。不安なら捲って確認してみる?」

『キョウモイチニチバリバリハゲモウ!』

「捲らねえよ励まねえよ。嫁に殺されるわ。というかヴァーリ達はどうした?」

「完全には同化してないわ。今も私の中でしぶとく抵抗運動を続けているのよ。死んでまでテロリストなんて忙しいわね」

「殺すぞ」

「先に案内役の鬼を殺さない? どうにもこうにもあの堕天使を思い出してムカつくのよね。その後に地獄との戦争が勃発するかもしれないけど、そんなの気にもしないでしょ?」

「どんだけレイナーレが嫌いなんだよ。俺が言えた立場じゃないが」

「仲良しだねー。その調子で生前も話し合えば少しはマシな結末を迎えられたんじゃないの? 根本的に相性も良さげだし、もしかすれば主君と眷属の立場を越えて結婚してたかもね。グレモリー家も赤龍帝の力は欲しがりそうだしー? リアスちゃんで駄目ならグレイフィアちゃんとヴェネラナを見繕ったりして! うひゃひゃひゃひゃ♪︎」

「「だが断る」」

「阿吽の呼吸でウケる……っと、閻魔大王が拡声器で喚いてるぜ。またサーゼクスきゅんが暴れてるんだってさ。懲りないねえ。これだから戦争で武功を挙げただけのガキは嫌いなんだよ。アポプス、キミに決めた! 空を飛びながら超音波と地獄耳と熱光線しろ!」

「コイツ殺していいか?」

「どうどう」

「なんだよ邪龍筆頭の一角がこんな簡単なこともできないのかよー? 仕方ない。エルメンヒルデちゃん、キミに決めた! そのペラペラのロリロリボディでメロメロにしてこい!」

「嫌ですが?」

「どうしてこうなった」

「ああ、可哀想なイッセー。私のおっぱいで癒されてもいいのよ?」

「……一誠、浮気?」

「え、オーフィス!? なんで!?」

「相棒よ、俺は悲しいぞ。遊び歩くだけならまだしも浮気するとはな」

「しかも相手はまさかの無能姫かよ。これは俺も擁護できねえぜ」

「見損ないましたわ」

「待ってくれ、これは誤解だ!」

「……紅髪、本当?」

「強引に服を剥かれて、全力で抵抗しても腕を押さえつけられて、そのまま美味しく食べられました」

「二度目の裏切り!? 事実だけど!」

「……ふーん、ほーん?」

「違うんです身体が勝手に」

「……座れ、一誠。久し振りに尻に敷いてやる」

「確かに悪いのは誤解されるような真似をした俺だよそこは認めるよ。ただ俺の性癖が歪んだのはオーフィスがあんな乳首テープのゴスロリ衣装で膝の上に乗ってくるのが事の発端というか俺はオーフィスの細い脚に踏まれてると興奮することに気付いただけというか俺一人を悪者にしても本当の解決にはならないわけで、仮にロリコンだとしてもロリコンという名の愛妻家というかちょ……頼むから天国の父さんと母さんには連絡しないで! この程度で連絡されたら俺もうトイレとかオーフィスの見てない場所でしかパンツ脱げないじゃないか! ああっやめて蹴らないでいたた興奮する!」

「歴代最低の相棒だ」

『キョウモイチニチバリバリハゲモウ!』

「大将が励んだから騒動になったんだよな」

「仲直りの後は三人目でしょうか? 悪魔らしく何も学んでいませんわね」

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