fallout とある一人の転生者   作:文月蛇

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駄文、短文の駄目駄目な小説です。更新も遅めです。書きためた分を一気に分割して更新していくので本当に遅いです。


大幅な改訂を行いました。微妙な変化と情緒的な文章の増加なので次の話に影響はありません。




第一章 vault101
一話 プロローグ


かつてこの世界がどのような文明を築いていたか、知るものは殆どいない。

 

人類が誕生してから、その歴史は同じ種族の血に染まっていた。戦いは人を成長させ、文明を昇華させた。剣から槍へ。弓から火砲へ。そして火薬からレーザー。爆薬から原子爆弾へと人類は戦争を繰り返し、戦争の方法を変えていった。しかし、戦争の本質は変わることはない。

 

2077年.資本主義と共産主義の戦いは遂に終止符を打たれた。核戦争という最悪の結果で。

 

アメリカの資本主義経済によって優雅を誇る摩天楼や権力者の力を誇示する為に作られた高層ビル群、そして工場で大量生産された物の数々。これらは核の炎によって焼き尽くされ、瓦礫と廃墟、そして数百年以上残る放射能が残った。

 

人々はこの世界を「Wasteland(ウェイストランド)」と呼び、人類の歴史は血に染まり続ける。

 

荒廃した土地は人の心を荒廃させ、法も秩序もない世界へと変貌した。200年経った2277年でも、それらは変わらない。

 

 

 

戦争が始まる直前、アメリカは核や疫病から逃れるために「vault」と呼ばれる核シェルターに身を寄せた。そして、そのシェルターから出てきた人々は世界を見て驚愕する。ワシントンD.C.郊外にあるvault101。その耐爆扉は決して開かれることがなかった。しかし、200年の時を経て、突如その扉は開かれた。出てきたのは若い男女。これは本当なら居るはずのない男の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

鳥がさえずり、常に遠くでは車の音など雑音が聞こえてくる。空は蒼く、散りばめられた綿飴のような雲が空を漂っている。

 

銃声や悲鳴もなく、平和と言えるその土地は約七十年戦争を経験していない「日本」と呼ばれる国だった。

 

「早く家に帰らなくては!」

 

日本のとある住宅街の道をママチャリで爆走する。時計は短い針が12時を指す辺り。一般的にそれはお昼のご飯の時間であり、疾走するママチャリに乗る学生服姿を見られてしまえば、「学校を抜け出してきたのか」と思われるかも知れない。

 

しかし、簡単なこと。中学や高校の定期テストは、テストは半ドン。つまり昼には終わってしまうのだ。だから、食堂で友達と飯を食ってカラオケなり遊ぶ計画を立てるもよし。もしくは、家に帰って母親の飯を食うのもよし。俺はその二つの選択を取ることはせず、ママチャリのかごにコンビニ弁当と若干の菓子を入れて、坂を全力疾走で駆け上がる。

 

途中で食後の散歩らしき老人が疾走する俺の姿を見て不思議そうな顔をしていた。ご老人の場合「肉親が倒れた」とでも思うのだろう。だが、違うぞご老人。そんな不幸は訪れていない。

 

目的地に到着し、ふざけてドリフトをかましながら家の自転車置き場に自転車を置く。ドリフトは中学校の時に覚えた。決して格好いいからとやって一つタイヤを壊したわけではない。

 

バックの中の家の鍵を取り、扉を開けて家に入る。靴の向きを考えないで急いで中に入った。

 

「ただいま!」

 

いつもの癖でそう言うものの、返ってくる声はない。それもそのはず。母親はPTAの旅行のため今は留守である。

 

買い置きの清涼飲料を持って、すぐに自分の部屋へと突入する。通学鞄を放り投げてPC机にへばりつき、電源を入れた。

 

 

 

 

「やっと、ゲームが出来る。キャピタル・ウエイストランドよ!私は帰ってきた!!」

 

某ジオン残党、ガトーさんの名台詞を言うのもご愛敬。学ランをベッドに投げ、ヘッドセットを首に掛けた。そして、俺は不気味な笑みを浮かべる。

 

そう、友達とカラオケでも親のご飯を食べるわけでもない。そして肉親が倒れたから急いでいるわけでもない。

 

ただ、ゲームがやりたかっただけなのだ。

 

「二週間ぶりのゲームだ。はっはっは!長かったぞ」

 

定期テスト期間中、いつもはゲームする時間を全て勉強につぎ込んだ。何と言っても来年は高校三年生に辺り、内申の成績は良くてはいけない。いつもへらへらして遊んでいるが、こういうときは勉強しないと不味いのだ。センターや一般も良いのだが、何かあったときの予防線のつもりである。

 

 

「ふふふふ、やっとだ。やっとfallout3ができるぜ!」

 

 

fallout3

 

欧米では数々のゲーム賞を受賞した有名なゲーム。欧米のゲーマーでは知らない奴はいないほど。日本には吹き替えがあるものの、あまり知られていない。近未来 に核戦争が起こり、それの200年後の荒廃した世界。主人公は生活してきた安全な核シャルターから飛び出して、荒廃したアメリカ東海岸かつてのワシントンDC「キャピタル・ウエイストランド」を冒険していくことになる。世界観は近未来であるものの、文化は1950年代のままであり、近未来でありながらも何処か古めかしい、古き良きアメリカが描かれている。

 

パソコンのソフトでは、MODと呼ばれるゲームを改造するものも多くあり、ゲームの中には ないような武器やアイテム。主人公を超絶美少女に変えたり、新たなる新天地を作ることが可能なのだ。

 

「うーん、二週間見てない間に色々更新されてるな」

 

某MOD紹介サイトも見つつ、新しいfallout3のMODを確認していく。二週間の間にそこまで最新のものが、MODの改良版が出ていたりするものがあり、その都度更新していく。

 

「流石に3の新規MODは少ないな。new vegasばっかだ」

 

最近リニューアルされたfallout newvegasというのもあり、それはアメリカ西部の旧ネバダ州が舞台となるもので、3の方の世紀末的な雰囲気から西部劇っぽい雰囲気を醸し出している。

 

このゲームの特徴としては高い自由度とRPG、主人公の成長システムなどがある。その自由度の高いシステムがこのゲームの面白さを引き立てているに違いない。

 

今からやるのはfallout3であるため、それのMODを検索していく。

 

「さてと、・・・なんだこれ?」

 

海外のMOD公開サイトを見ていくと、「New another world」と題名されたMODを見つけた。紹介画像やMODの解説などは載っていない。ただ、データと題名があるのみ。インストール方法とファイル形式が一応書いてあったが、それ以外何もない。

 

「まさか、ウイルス付きとか勘弁」

 

最もダウンロードしてみなければ分からない。ダウンロードをマウスでダブルクリックし、ファイルをチェックする。しかし、ファイルにはウイルスの類いは見つからなかった。

 

「導入して、壊れたらヤバイよな。」

 

かといってMODを数多くやって来た俺にとって、その奇怪なMODには何が入っているんだろうかと興味が沸く。もう少し熟練した理系ゲーマーならプログラムが何なのか見る奴もいるのであろうが、不幸なことに俺は文系。数学はクラスの中でもワースト3に入る成績だ。それ故、数字やプログラムの羅列を見ても首を傾げるのみ。適当に導入しては、CTD(ゲームの機能が停止)するのもしばしば。だが、あらゆるMODを導入し、楽しみ尽くしたおれにとってそれは蛇が誘惑する禁断の果実。

 

所詮は人間。

 

欲には逆らえない。MODの管理モジュールからインストールし、ゲームを起動させた。セーブデータから始めようとしたところ、ある異変に気が付いた。

 

「ん?・・・・ってセーブデータが消えとる!!」

 

“Load”の文字が選択出来ないように、塗り潰されていた。

 

「あ~あ・・・しょうがない・・・・。最初からやり直すか?」

 

意気消沈して、新規にやり直そうと“New game”をクリックした。すると、オリジナルと違う選択肢が表示された。それも日本語で。

 

「に、日本語MODだったか?」

 

英語版のfallout3をMODで日本語化させるものがある。xboxから抽出した日本語を英語版に埋め込むものもあったりする。もちろん、有志の翻訳があるかもしれないが、俺は英語のままやっていたため首を傾げた。

 

「ん~・・・何?“注意”?」

 

画面中央には“注意!本当に最初から初めてもよろしいですか?”

と表示された。MODのエラーでロードデータを引き出せないのだろうと、そのまま“YES”をクリックする。すると、すぐに消えると思ったが、念を押してもう一度聞いてくる。

 

“本当によろしいですか?”

 

「だから、良いって言ってんだろ!!」

 

苛立ちながらYESをダブルクリックした。

 

 

 

すると、画面上から突風が顔を通り抜けた。

 

「パソコンから風!?」

 

窓のカーテンが踊り、近くにあった紙が舞い上がる。物理的にあり得なかった。そもそも、液晶画面から風が吹くなんて一体何の冗談だろう。身体を引き、椅子から立ってパソコンから離れようとする。すると周囲の物を吸い込み始め勢いよく、俺を吸い込み始めた。

 

「PCは友達・・・・でも俺は餌じゃない!」

 

訳の分からんこと言いつつ近くの学習机にしがみつく。そして目の前には通学用に使っていたバックパックがあった。それに手を伸ばして、吸い込まれないようにバックを抱き抱える。机にしがみついたものの、それまでも飛びそうな勢いだ。

 

 

「誰か!助けて!!!」

 

叫んでみたが、誰も助けてはくれなかった。

 

親はPTAの温泉旅行だ。畜生!

 

とうとう、テーブルまでもが宙を舞って、画面の中に吸い込まれ、意識を失った。

その翌日、新聞の小さな所に「不可解な高2消失事件」と書かれていたが、気を止める者は誰もいなかった。

 

 

 


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