fallout とある一人の転生者   作:文月蛇

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とうとうUA十万越えました。

もう二年も経ってしまったのですね。早いものです。






四十一話 自然淘汰

 

 

 

 

 

 

よくしゃれたレストランや格式ばったところではフルコース料理が出される。その源流はフランスであり、現在の世界基準として注目されていた。

 

 

前菜からスープ、魚料理か肉料理、口休めのソルベ。そしてローストなど工夫を凝らした肉料理、生野菜、デザートといった順で出されていく食事方法である。大戦争後、そう言う技法を凝らした料理は失われ、ウェイストランドなどの荒廃した世界において、食事を工夫するよりも腹を膨らませることが大事である。今では西海岸のNCR位なもので、後はベガスの高級レストランぐらいが関の山だろう。

 

そしてもう一つある。エンクレイヴだ。

 

彼らの上層部の殆どは、政府首脳や実業家、高級将校などでフルコース料理といった文化は継承されて、現在でもエンクレイヴの街には何店舗か存在するほどだ。そしてその首都のレイヴンロックには民間人や非番の軍人向けの商店街やレストランが存在し、戦前の文化が継承されるエリアがあった。そのレストラン街の一角にある高級レストランは士官以上でしか入室を許可されないほぼ会員制である。

 

そしてその奥の政府高官エリアの一室には統合参謀本部の担当官であるオータム大佐が肉料理に舌鼓を打っていた。そしてその向かい側には中尉の階級章を付けるアリシアがワインをグラスに注ぎ、火照った顔でグラスを傾ける。そして俺は目の前にあるものを凝視する。牛のヒレをよく煮てシャリビアンソースを掛けたものであり、その肉は100%牛肉だ。バラモンと言った変異した牛肉ではない。放射能に汚染せず、変異もしない肉であった。

 

エンクレイヴには合成食料を生成する食料のほかに、地下で酪農ができるような設備も完備しているらしい。さすがに10万もの国民に100%の牛肉を行きわたらせることは不可能なのだが、高級官僚や軍人であれば食すことができるそうだ。ナイフで柔らかい肉を切り取ってフォークでそれを口に入れる。

 

肉からこぼれ出す旨みの凝縮した肉汁が口に溢れ、味覚中枢を刺激する。肉とは思えないその柔らかさに涙が零れ落ちそうになるが、すぐに次の肉を切り取って口に入れた。

 

バラモンの肉にもA5級の肉があり、食べたことがあるものの、肉を柔らかくする技法は戦前から続く高級レストランの御業なのだろう。アンダーワールドにはミシュラン三ツ星シェフだったグールがいたがどちらが美味しいのだろうか。しかし、ここのレストランは200年の間、顧客に美味しいものを提供するために切磋琢磨したに違いない。それを考えれば、どちらが勝つかは火を見るよりも明らかだろう。

 

隣にいる、先ほど合流したシャルは最初不満そうな顔をしていたが、今はその柔らかい肉を食べて満面の笑みを浮かべている。

 

 

会議終了後、解散となった俺たちはオータム大佐とともにここにやってきた。オータム大佐の部下が拘束していたシャルやウェイン、軍曹やドックミートを助け出した。シャルは関係者だったので連れてきたが、他三名はばれるのを避けるために基地から退避してもらったようだ。ウェインやドックミートは渋々といった様子だったが、レイヴンロックにいても何が起こるかわからないため、シャルが説得したらしい。必ず帰ることを約束してきたらしいが、帰らないわけがないだろう。

 

ウェイン他三人(一人と一匹、そして一機)はメガトンに渋々帰ったものの、ウェイン曰く「俺を蚊帳の外に置いたんだから、報酬はたんまりもらえるよな?」と皮肉っぽく言っていたようで、彼には今回の礼もあっていろんな装備を提供しなくてはなるまい。

 

 

 

「どうかな、3人とも。私も会食以外ではここには来ないのだが、旨いだろう?」

 

 

 

そしてゲームではありえなかった温和なオータム大佐。正直言って、俺から見れば中間管理職の胃薬がいくつあっても足りないような人物だったなと記憶している。片や一人の101のアイツに振り回され、そして上司は人類を破滅に導こうとし、その中間で指揮を執っていた彼にはかなりの重荷であっただろう。

 

「非常に美味しいです。元ミシュラン三ツ星料理人に会ったことがありますが、材料も限られてますからね、こことは雲泥の差ですよ」

 

「ほう、戦前生まれが残っているとはな。放射能で変異したものたちか・・・・」

 

オータム大佐は渋い顔をするが、俺はそのまま続けた。

 

「彼らは文字通りの大戦争の生き証人です。外見は醜いでしょうが、長年培ってきた経験や大戦争当時を生で体験している。歴史の教科書が歩いているようなものですよ。迫害するなんて論外ですよ」

 

空になった肉料理の皿が給仕に引き下げられ、追加で生野菜のサラダが出された。それを新しいフォークでつつき、口に含める。レタスのシャキシャキとした食感が口に広がっていき、チーズをベースとしたドレッシングが絡み合い絶妙なバランスで旨さを引き立てた。

 

「エンクレイヴは排他主義で昔のような人種差別も公然と行っている。君の言うように彼らが生き証人であったとしても、人は外見で判別してしまうからな。・・・・・だが、私も安々歴史の教科書を焼くわけにはいかない。」

 

とオータムはグラスに注いであったワインを飲んだ。俺も飲みたかったが、俺はエンクレイヴの士官に化けた身の上。いつバレルかわからず、ほろ酔い気分はまずい。

 

「オータム大佐、このような歓迎を受けて非常に有難いのですが、私たちをただ歓迎するためだけにここに来たわけではない筈です。私たちに何かさせる為にここに呼んだのでは?」

 

シャルは料理を堪能する片隅でそのことを考えていたらしい。彼女でなくても、俺もそれを考えていた。ただの捕虜ならこんな好待遇はありえない。何かをさせる為にこうして料理を振る舞っているのだろう。

 

「そうだな、そろそろ本題に移るか・・・・」

 

オータムは給仕に料理を片付けるように言い、人払いをするよう声を掛ける。そして、ジャミング装置のような機械のスイッチを入れた。

 

「この店一体の盗聴器を混乱させる装置だ。これで我々の話は漏れない。さて、話をしよう」

 

 

そういうと、アリシアは持っていた書類鞄から一枚の見取り図らしきものを取り出した。それは何かの会場のようだった。少し古い紙らしく、縁には少し汚れが染みついている。見取り図には「第7室内練兵館」と書かれていた。大きさからして体育館と言えなくもないだろう。

 

「1700時より、ここで司法省改編の際に設立される首都警察の開設式が執り行われる。そのあとはパーティーとなるのだが、ユウキ君にはある人物の殺害を頼みたい」

 

殺害?

 

俺は声に出さず、ただ目を見開くしかなかった。

 

一度、アリステア・テンペニーを暗殺させるために対物ライフルを貸し与えたり、700mの距離からレイダーを狙撃したこともある。だが、至近距離からの暗殺は専門外だ。見取り図から見ても、狙撃ポイントは限られるし、シークレットサービスは既に目星を付けている筈だ。それに、窓からの狙撃を行おうとしても外の道路や建物の屋上にはパワーアーマーを着た部隊が警戒態勢を敷いている。

 

なら、専門外である至近距離からの暗殺となると話はさらにややこしくなる。禿げたおっさんのように暗殺者をやろうと思っても絶対不可能だろう。俺はそこまでスペックが高いとは言えない。ウエイストランドにいた時は物資に物言わせてきた。熟練のウェイストランド育ちの傭兵と俺を比べれば一目瞭然で前者が強いに決まっている。ダラスで暗殺されたケネディー大統領にしても、至近距離でなく。狙撃によって暗殺された。それ以降、狙撃に対しては厳戒体制を敷いて警戒に当たっていた。今では暗殺されない様にすべての可能性に備えて重武装のシークレットサービスや軍が配備されている。仮に誰かを暗殺することに成功したとしよう。その周囲にはシークレットサービス。死を覚悟する前に、プラズマ粘液になりかねない。

 

 

 

 

「大佐、無理です。出来ません」

 

「まあ、そういうだろうな」

 

「仮に一か月調べ上げる時間があればいいのですが、今からですと五時間後です。30分勉強して中国人にフランスフルコース料理を作れと言っているようなもんでしょう」

 

大佐は苦笑しつつ、テーブルの端におかれたコーヒーを一口飲むと、両手を組み口元へ寄せる。

 

「誰を殺すのか知っておいてほしいがね」

 

「さっきの話から分かりそうなものですが」

 

話の流れから大体理解できている。人類を破滅に追いやる現在の指導者の暗殺。史上五度目と思われる大統領暗殺。

「標的はジョン・ヘンリー・エデン大統領ですね」

 

「ああ、そうだ。だが彼を殺すためには本体であるZAXスーパーコンピューターの大型サーバーを破壊しなければいけない」

 

「なら本体を先に破壊すればいいのでは?」

 

 

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という諺がある。だが、将を射ることができる距離にいるなら、矢を放ってしまって良いだろう。将を討つためには周到な準備が必要であるが、近道があるのであれば、手間を掛けるよりも最短を目指したほうがいいに決まっている。

 

「エンクレイヴにも国民がいることは知っているだろう。いきなり演説中、ロボットのようにエラーを叫び始めたら困るだろう?」

 

それならば、就寝時間中にサーバーを破壊すればいいのかもしれない。しかし、就寝中に老衰したと報道されることだろう。現在の副大統領は何処の派閥にいるのかと聞くと、大統領派であった。其れ故に臨機応変な対応が出来ない。大統領の肯定絶対主義者であるがために、ほかの事は出来ない。自身が政策を想像して執政することは困難だ。

 

そうすれば、自然と西海岸派の連中に吸収されてしまうだろう。それだと、意味がなくなってしまう。東海岸派は暗殺したことが無意味となり、結局は西海岸派の増強という結果となる。議会の目的は真の意味での民主主義の復興と資本主義の再開。それを達成するためには大統領の暗殺と西海岸派、大統領派の掃討が必要である。

 

「あの場では言わなかったが、統合参謀本部のドライセン中将を議会に入れたのには意味がある。我々の行動が実を結べるようにした。あの方を取り入れなければ暗殺が成功しても主導権をとることは難しいからな」

 

傀儡として噂されているドライセン中将であるが、それなりにいる無所属な中道派である。そんな彼は前統合参謀本部総長のシニア・オータム中将によって推薦されている身であった。そんな彼は西海岸派と東海岸派の緩衝材としてうまく中枢を纏めているといっても過言ではない。そして、彼が議会に属したことによってパワーバランスは大きく変わっていく。

 

「大統領が死亡した場合、継承順二番目に当たる副大統領が大統領として就任する。その時を見計らってドライセン中将が戒厳令を発布する。事前に大統領には大統領令として参謀総長が反乱やクーデターの証拠を掴んだ場合、独断で軍を展開できるよう命令が下せるようになっている。大統領暗殺に乗じて西海岸派の主要メンバーを拘束し、副大統領に退任を要求。継承順位三番目に位置する国防総省長官が大統領に就任する」

 

それは、歴史上。の名前で行われた軍事クーデターのほとんど同じであった。名称や所属は差異あれど、率いる首謀者が大佐という階級に運命の悪戯すら思えてならない。

 

副大統領を排することができれば、議会メンバーの一人である国防長官が大統領に就任することができる。西海岸派を全て拘束したのち、危険分子や反乱分子は強制労働か銃殺刑となるだろう。革命やクーデターには血が流れるのは必然だった。

 

「大統領を暗殺か・・・・撃ち殺した後『暴君はかくのごとし』と叫べばいいのかな?」

 

リンカーン大統領暗殺事件の時、犯人は事件現場でそう叫んだという。それをすれば、いう前にプラズマ光線が降り注ぐことになるだろう。

 

「改めて言うが、俺には出来ない。暗殺の訓練を受けたことがないんだ。そもそも、可能性の低い賭けにしか思えない。他に適任者がいる筈だろ?」

 

「ああ、君が思うように君を暗殺者とするには、やはり役不足だ。やろうと思えば、他にも適任者がいる・・・・・君の横にいるアリシア君とかね」

 

オータムはそういうと、コーヒーを一口飲む。

 

俺はその一言でアリシアの顔を見るが、俺の顔を見て愛想笑いを浮かべている。

 

「ユウキ、お前がやらないならば私しか居ない。むしろ、私の方が適任かな」

 

大統領を暗殺すれば、その場で射殺は免れない。射殺されないようにしたとしても難しいだろう。周囲にはシークレットサービスが展開している。暗殺をしたとしても、脱出は容易ではない。

 

「君ひとりで暗殺させるわけではない。脱出の手引きはこちらで用意している。あとは君の戦闘技術とサポートする人員だけだ。サポートする人員は整っているから、あとはどうにかなろう。辞めても構わない。だが、大統領や西海岸派の奴らを野放しにしておけば、君もどうなるか分かるだろう?」

 

今、エンクレイヴが融和策をとっていても、それはオータム大佐が色々と策を講じているからに他ならない。オータム大佐が居なくなれば、排他的な西海岸派によってウェイストランド人は奴隷としての扱いに転じることになるだろう。だが、東海岸派が掌握すれば、民主主義的なエンクレイヴが誕生する。それがウェイストランドのためになるのか。そして、亡きジェームズの意思や浄化プロジェクトは?

 

隣にいるシャルの顔は俺と同じような葛藤をしていることだろう。俺の左手を握り、俺の目を見る。そこにあった彼女の意思を読み、最終的に俺は決断を下した。

 

「分かりました。・・・・シャルの安全を保障してください。それと、浄化プロジェクトについては・・」

 

「君たちの言いたいことは分かっている。あれを金儲けや支配確立のためには使ったりしない。だが、民間の手にはあまりにも壮大で巨大すぎる利権を生む。」

 

仮にBOSが浄化プロジェクトを掌握しても、誰かが横流しをしたりした。きれいな水は生命の源であるがゆえに、それだけで殺し合いが起きてしまう。利権がうまれ、それを持つ者の支配は確固たるものになるだろう。

 

だが、その壮大な利権を生む物を保護・無料で配るためには、それを侵害しないようにある程度の武力を持たなければならない。俺の武器は有限であり、守り切れる自信はなく 、現に守り切れていなかった。エンクレイヴのような強大な力を持つのであれば話は別だ。それはベルチバードや装甲車、そしてパワーアーマーを着た兵士が護衛し、ウェイストランドに水を配給する。

 

「なら約束してくれませんか。死んだジェームズは無償でウェイストランドに水を与えようとしていました。彼の意思を尊重してほしい」

 

交換条件、そんな言葉が浮かんだが条件を出せる立場ではない。寧ろ、要求されているのはこちら側だった。向こうが頷かなければそれでもうお終いだった。

 

すると、オータム大佐は軽く頭を頷かせると、口を開いた。

 

「それに関しては安心したまえ。水は無償にするつもりだ。アメリカ合衆国には国民にインフラを提供する義務がある。エンクレイヴの統治体制が盤石なものになるだろうが、これに関しては仕方がない。」

 

オータム大佐はコーヒーを全て飲んだようで、給仕を呼んで片付けさせる。すると、他の給仕がデザートらしきアイスクリームを出してきた。

 

黙々とシャルはそれを食べていた。いつもであれば、満面の笑みで100%のミルクで作られたアイスクリームで美味しく頂いていたことだろう。アリシアに至っては渋い表情で既に冷えているコーヒーを飲んでいる。その空気の悪さを招いたことを後悔したようで、オータム大佐はさきほどの会合の続きがあると、ここを後にした。だが、そこで何もしないのでは統合参謀本部というエンクレイヴの魔窟で実行部隊の指揮官と大統領補佐官を兼任することは出来ない。彼はしばらくゆっくりするといいと言って、基地のホテルを案内した。

 

 

 

 

エンクレイヴは各基地からの高級将校や官僚の宿泊施設としてホテルが設置されている。以前は、軍の宿泊施設があったものの、貧相な軍施設に満足できる者などいなかった。エンクレイヴの組織からして、一兵卒が泊まるところに満足できなかったことが原因だ。大戦争前、上層部は大戦争前に貴重なものをシェルターに移送するよう命令を下していた。其れらはレイヴンロックの倉庫に保管されることになる。芸術品や古文書、文化的に価値があるものは多く運ばれるものの、公文書館に保管された独立宣言書などを筆頭に回収されなかったものも多くある。保管されたものの中にはマホガニー材を使用した家具や調度品があり、それらを一部の官僚だけに独占することは、その下の官僚に不平不満が募る恐れがある。そのため、生き残りの企業家がそれを任され、高級官僚のためのホテルをオープンした。オープンまでにはかなりの苦労と妨害があり本一冊ほど書けるだろうが、今回は割愛する。

 

 

 

「イーグルネストホテル」と呼ばれる、一階部分の外装はレンガ造りでできており、従業員入口や二階以降のフロアはコンクリート製で出来ている。もしかして、ここはドイツのベルヒデスガーデンで、エンクレイヴはドイツ国防軍だったのか。

 

ワーゲンの国民車ではなく、フォード社の核融合車両に乗ってホテルについた我々は民間人の支配人に連れられて中に入る。中はvaultの中で見た戦前映画のホテルにそっくりだった。オータム大佐は5時間後に迎えに行くといい、参謀本部の方へと車に乗って行った。

 

「当ホテル支配人のセバスチャンと申します。オータム大佐からスイートルームへとご案内するようにとお請けいたしました。お料理はお作りいたしますか?」

 

何処の執事かなと疑問を抱くものの、彼の疑問を答えたのはアリシアだった。

 

「この二人はランチを食べたので大丈夫だ。私はまだ腹が減っているから何か持ってきてくれ。部屋は別がいいのだが」

 

俺たちの面倒を見るように言われていたアリシアであったが、シャルとの蟠りがとれていないこともあり、同じ空間にいるのは酷だろう。だが、申し訳ないと言わんばかりの表情で支配人は告げる。

 

「申し訳ございません。当ホテルの客室はほとんどが満員状態でして、予約も埋まっております。ご料理につきましては承知いたしましたが、お部屋をお取りするとなると・・・」

 

「そうか、それは致し方ない。案内してくれ」

 

支配人に案内され、ホテルのエントランスからエレベーターフロアへと移動する。元々、軍の弾薬庫だったのだが、火薬を使用する銃器をエンクレイヴはほとんど使用しなくなったために、弾薬庫に残ったものはすべてリサイクルに回された。空っぽになった弾薬庫は周囲に非番となった兵士の慰労として商店や高級将校のための料理店を建設したため、保安上の問題で建物を売却した。

 

建物は四階まであり、壁がコンクリートで出来ている。しかし、前述のようにマホガニー材を使った家具があり、プロの芸術家が描いた絵画が飾られているなど様々な工夫が施されている。無骨な雰囲気であるコンクリートであるが、資材の節約や焼けてしまった木材は今や貴重な存在だった。弾薬庫だった名残か、壁には霞んだアルファベットと数字が書かれているが、それを隠すかのように古い時計が飾られていたり、豪華な調度品で無骨な雰囲気を消しているかのようだった

 

 

エレベーターで四階まで上がり、オータム大佐の護衛の一人はエンクレイヴの装備品箱を携えていた。四階に到着すると、スイートルームの扉がすぐ前に来ていた。

 

「スイートの『狼の砦』でございます」

 

「・・・・・あとで予備軍の大佐が爆破しに来ないよね?」

 

「・・・・・・そのような人物を通しませんので安心してください」

 

ふと、ヒトラー暗殺未遂事件のことを思い出す。イーグルネストはドイツのベルヒデスガーデンにあるヒトラーの別荘の別称である。そして狼の砦は1944年7月に起きたヒトラー暗殺事件におけるヒトラーの総統大本営の名称であった。ヴォルフスシャンツェ (Wolfsschanze=狼の砦)と呼ばれるところは、ヒトラーが居る途中で爆殺しようと企む反ヒトラーグループによって爆発事件が起きた。そのことを知ってか知らずか、その名前をイーグルネストホテルのスイートにしていることに何らかの悪意かユーモアを感じる。

 

ホテルの部屋はリビングと寝室、風呂場と三つある。ベガスのlucy38のプレジデンシャルスイートには及ばないものの、家具の高級さはここの方が上だろう。長年整備され続けたマホガニー材の高級家具とエンクレイヴ旗と星条旗が飾られ、戦前の映画が見られるようリビングにはシアター装置が置いてあった。

 

「何かありましたら、電話でお呼びください。」

 

支配人とオータム大佐の護衛は荷物を入口に置くと、さっさと部屋を離れた。空気は微妙なものとなり、アリシアは苦笑し、シャルは能面のような顔つきであった。それに耐えきれないのは他ならない俺だ。まるで、二股が発覚した男の心境というべきなのか、非常にその場にはいたくなかった。そんな見るに堪えない俺の表情を見かねたアリシアは苦笑を交えながら寝室を指さした。

 

「私はリビングで食事をしよう。二人は積もる話もあるだろうし、寝室で話したらどうだ?」

 

「あ!ああ、シャル向こうで話そうか!」

 

そんな空気を打破するために少し声を大きめに話しながら、シャルを寝室へと連れていき引き戸を閉める。寝室はクイーンサイズのベッドでかなり豪華だった。高級な調度品があり、スイートの風格を醸し出している。空調は涼しいが、エンクレイヴ士官の軍服は厚かった。ハンガーに上着を掛けて振り向くと突如顔に衝撃が走った。

 

一瞬何が何だか分からなかったが、それはシャルの平手打ちだと分かった。

 

「シャル・・・・」

 

「なんで何も相談しないで勝手に決めるの!」

 

シャルは怒りながらも、彼女が着ていた士官服を投げてよこす。大抵の男ならそこで理由のない怒りから怒りを抱くかもしれないが、彼女の怒りは尤もだった。

 

「相談しないで決めたのは悪かった。だが、彼の要請・・・命令に背けばどうなるか分かっていたはずだろう?」

 

「だけど、なんでアリシアまで!彼女は裏切ったじゃない!」

 

「・・・・あいつは・・・・エンクレイヴの実情を知っていた。シャルも分かったはずだ。エンクレイヴがどれだけの国力を持っているか知ってるか?戦前以上の科学力を持ち、インフラや独自貨幣が存在し、教育まで整っている。軍事力なんて言わなくたって分かるだろう?」

 

「だけど・・・・」

 

「分かってる。奴らには選民思想や排他的で危険だ。だけど、それを正そうとしてる。浄化プロジェクトにしたって・・・」

 

「BOSはどうなの?彼らは?」

 

「彼らに装甲車やヘリはあるか?最新鋭のパワーアーマーは?浄化プロジェクトの主導権を握れば、ウェイストランドを支配下に置いたと言っても過言じゃない。だが、浄化プロジェクトを守るには、BOSだけで守れるとは思えない。都市部のスーパーミュータントを一掃できていないんだ。もし、奴らが大挙して押し寄せたら?BOSじゃ勝てそうにない」

 

「ユウキはお父さんがされたことを忘れたわけじゃないでしょ!!」

 

「忘れるわけないだろ!」

 

俺はその言葉に激昂してしまう。

 

流石に忘れたりするものか。浄化装置の原子炉装置をオーバーロードさせて俺たちが逃げるよう命を懸けて助けたジェームズのことを忘れるわけがない。エンクレイヴのやったことは許されないものだ。決して許してはならない。だが、エンクレイヴ全体に対して憎むべきものなのか?『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』と諺があるが、一番憎いのはあの場でジェームズに装置の起動をさせる為にシャルやDr.リーを痛めつけようとしたエンクレイヴの佐官だ。あいつさえいなければジェームズが死なずに済んだはずなのだ。しかし、だからと言ってエンクレイヴのすべてを憎むわけじゃない。

 

 

「じゃあ・・・・!」

 

 

「すべてを憎むのか。確かにエンクレイヴにジェームズを殺された。なら、エンクレイヴを壊滅させるのか。皆殺しにでも?」

 

 

「そうじゃなくて・・・・」

 

 

「エンクレイヴは10万人もの国民がいる。それをどうするんだ、ここを破壊して政府機能をマヒさせれば、何千もの餓死者が出ることになるぞ」

 

 

それはレイヴンロックを破壊すれば、政府機能はマヒするはずだ。ゲーム通りにエンクレイヴを破壊すれば、ウェイストランドからすればハッピーエンドだろう。だが、今のエンクレイヴには養わなければならない国民がいる。そして、俺には全てが全て極悪人とは思えない。

 

 

「それは分かってる!でも・・・・、私は誰にこの恨みを晴らせばいいの?この気持ちはどうすればいいの!」

 

 

BOSへの肩入れやエンクレイヴに対して敵対しているような行動を何度も行ってきた。GECKを入手するためにウェイストランドの横断を行い、そして強靭な肉体と凶暴性を秘めたスーパーミュータントと死闘をした。それはただウェイストランドに貢献したいという気持ちだけでは動けない。彼女のような子には復讐というただ一つの目標を胸にここまで来た。

 

ただ、エンクレイヴには悪役でいてもらいたかった。だが、実際にはただの軍事組織ではなかった。彼らは養うべき国民が存在し、彼らのために新天地を探していた。単に悪の結社であったほうがよかったかもしれない。シャルを案内したのはオータム大佐の右腕とも称される男であり、人心掌握に長けていたようだ。俺たちが議会で話をしている間、彼女はレイヴンロックにある民間人居住区へと足を向けていた。

 

そこで目にしたのは、アメリカ合衆国の歴史を学び、英語を覚え、科学の基礎を学習する小学生。夫の帰りをまつ妻。軍を退役した老人とその老婦人。皆、普通に生活している善良な市民だった。悪人と糾弾して批判を繰り返していたスリードックだったら驚くに違いない。いや、驚かないで「上流階級の富裕層」とその存在を批判することだろう。

 

しかし、シャルは違った。極悪人の組織として見ていたシャルには衝撃的だったに違いない。彼女は、彼らを見て憑き物を落とした。そしてその残りが彼女を怒りに導いていた。

 

ポタポタと涙を零し、嗚咽を出す彼女の背中を撫でながら、その小柄な体躯を抱き締める。その身体は震え、今にも崩れていきそうだ。

 

「エンクレイヴ全てを破壊することは出来ない。だが・・・・根源なら消せる」

 

俺がそういうと、俺の胸に顔を埋めていたシャルは顔を上げる。

 

「浄化プロジェクトを強行的に奪おうと命令した張本人さ。それに、浄化プロジェクト以外にもヤバい計画が進行しているからな」

 

「ヤバいってどんな?」

 

俺は色褪せた星条旗を見て答えた。

 

 

「ウェイストランド・・・いや、人類が滅ぶかもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

    

 

 

 

 

 

 

 

レイヴンロックはDC郊外の岩盤をくり抜いて建設されており、施設の大半は地下に造られていた。バンカーバスターと呼ばれる爆撃に耐えられるコンクリート製防空壕を破壊できる特殊弾頭でさえ、レイヴンロックを破壊することは不可能だ。

 

 

 

 

そして、軍需工場や市民居住区、行政区画などがある層より更に地下深くには生物化学兵器の研究所が存在した。地下深くに設置した理由が生物汚染を施設全体に及ばぬように、隔離できるような仕組みが成されていた。レイヴンロックの西部に位置する西部医療センターには唯一のエレベーターが存在する。伝染病や疾病対策センターとして特化された医療センターを目的としているが、実際は大統領命令によってウェイストランド人の人体実験が行われている。

 

 

 

そして、その地下にある研究所のもっとも機密性の高く尤も警戒レベルの高いエリアに白衣を着たエンクレイヴの科学者がスクリーンに映された実験映像を見ていた。見ている男の容姿は暗くてまったくよく見えない。白衣を着ていることは分かるものの、男か女か分からなかった。スクリーンに映されたのは機密扉で封鎖された人体実験用の部屋だった。

 

 

(これより実験体W342へvault87で採取したFEVを改良したV1型を投薬する)

 

 

(離せぇ!この外道どもがぁぁ)

 

 

エンクレイヴ科学者がよく使う防護服に身を包んだ科学者はモヒカンの暴れる男に薬を投与しようとしている。実験体と呼ばれる男はレイダーの一味なのだろう。血色が悪く、いかにも悪人ずらをしている。

 

(今回、実験の目的は改良型のFEV-V1型がウェイストランドに散布した場合、地元住民がどの程度の時間で死亡するかの経過実験である。)

 

V1型と名付けられたそれは、vault87で回収したウイルスに更に改良を施したものだ。元々、偏西風で西海岸にばら撒くつもりであった「Curling-13」を水溶性に改良したものはすでにあったものの、水溶性にするには若干毒性が薄まることが懸念された。そこで、毒性を強化し、vault87で製造されたFEVを元に更に改良したのが、vaultの頭文字からつけられた「V1型」である。

 

それは既に存在するオリジナルのFEVと反応し、免疫力を低下させ体組織を破壊する。1mlでもウイルス入りの水を摂取すれば、重度の放射能障害を引き起こしたかのように内臓を破壊し、最終的には脳を破壊する。更に、摂取した感染者からも経口・接触・空気感染によって感染が広がる。

 

大戦争後、ほぼすべての生物は放射能によって死滅するはずだった。仮に核の嵐を耐え抜いた生物がいたとしても、草一つ生えることのない不毛の地では餓死するか何かの肉食動物によって殺されてしまうだろう。放射能と過酷な環境。百年も経たぬうちに地球は微生物以外住むことは困難になる。だが、200年たった今では変異した生物がウェイストランドを闊歩している。

 

放射能で変異することなどありえない。子孫が放射能によって変異することはあるかもしれない。だが、基本的に放射能に巨大化を促すことや牙を生やすことなどできないのだ。だが、現に変異しており、食糧は変異した生物によって賄われている。

 

なら、どうして変異したのか。答えは簡単だった。

 

マリポーサ基地やvault87で製造されていたスーパーソルジャー計画のための強制進化ウイルス。

 

それらは大戦争終結後、破壊された貯蔵タンクから何らかの形で大気に触れた。元々気体を吸って変異させるタイプを量産させるつもりであったため、すぐに大気に広がっていき米全土に広がった。もしくは世界中に散ったのか。生き残った人や生物はFEVによって強制的に進化した。放射能に耐えられる体や、病原菌やウイルスにある程度の抵抗を持った。動物によっては巨大化し、生命力や攻撃能力が上昇した。

 

そして個体差によっては放射能の影響で半永久的な生命を得ることも可能になった。生き物のいないノーマンズランドにならなかったのは生きていた生物が放射能やそれらの環境に強制的に適応・進化したためだからだ。

 

 

(この実験体は第4管区にて殺戮や略奪行為に走った犯罪者であり、腕や首には薬物を投与した痕跡。投与には静脈より注射して経過を観察する)

 

スクリーンの科学者はそういうと、抵抗しようとする男の行動もむなしく腕に注射針が突き刺さり、ウイルスが体内に注入されていく。

 

(やめろぉぉお!!てめぇら!絶対ぶっ殺してやる!!)

 

男は叫ぶものの、注射器の容量にはウイルス剤はもはやない。体内に全て注入されてしまっていた。映像はそこで途切れ、スクリーンを見ていた科学者は操作盤を操作して若干早送りで再生し、手のひらサイズの音声レコーダーを再生する。

 

(実験体W342へFEV-V1型投与から74時間経過。体温は38度と高温であり、脈拍も乱れている。内臓機能は乱れており、血便や下痢を多数見受けられる。)

 

(実験体W342へFEV-V1型投与から100時間経過。吐血が多数。貧血や顔面蒼白の症状。120時間後には体温は39度を超えた。言語機能の低下や認識機能が低下しつつある。)

 

(実験体W342へFEV-V1型投与から130時間経過。出血性ショック死により死亡が認められる。また、空調を同じくしていた実験体W343からW346までが感染。実験体脂肪の3日後にラッドローチ、モールラットが死亡。これにより空気感染が確認された)

 

(FEV変異の見られない猿や犬の空気感染は確認されたものの、発症することはなく自身の免疫によって排除されていた。FEVによって変異していない生物には害が見られない。これにより、大統領の要望には応えられたといえよう)

 

レコーダーはそこで終わり、上映室にエンクレイヴ軍の士官服を着た男が科学者へと近づいた。

 

「ハウプトマン博士、大統領命令により例の物を受け取りにきました」

 

「ああ、情報局のフィッシャー中尉か。ウイルスは第五実験室の保管室だ。金庫に保管されている。」

 

「暗証番号は?」

 

「0000だ。そのままだよ。私はパスワードというものは好きではなくてね」

 

ハウプトマン博士と呼ばれた男はフィッシャー中尉と呼ばれた士官が蛍光灯のスイッチを入れたために容姿が顕れる。

 

ハウプトマン博士はまだ50代過ぎ。しかし、見た目はすでに70を超えているのではないかと思えるほど、老化していた。白衣に止められた写真付きのIDカードには髪は黒く、まだ若々しい彼の姿があった。数十年前の彼の姿を見ているようだが、写真が撮られたのは2年ほど前だ。いったい何が彼をここまで老いさせたのだろうか。白髪には油がなく、風さえ吹けば倒れてしまうような痩せ細った体躯。彼がここまで衰えたのは、実験による副産物だ。あまりにも残虐な実験と作り上げたものの恐ろしさに恐怖し、窶れ、老いた。目には狂気と諦めが漂い、生きることを忘れてしまったようだ。

 

フィッシャー中尉は腰にあった無線を使い、部下に指示を送った。

 

「ああ、あいたか。例のものはあったな。よし、軍曹に撤収の準備をさせろ。」

 

「君たちはいったい何をするつもりだ。機密性の高い兵器と訊いたが、統合参謀本部や技術局へは何も話してはいないのだろう?大統領の独断なのは知っていたが・・・・」

 

「なんだ、貴様・・・、大統領の意思に背こうというのか?」

 

そこにいたのは、大統領を崇拝する大統領派の人間だった。ハウプトマン博士はやはりといったような顔で肩を竦ませ、笑い始める。

 

「背くのであれば、あの悪魔の兵器を作ったりはしないさ。・・・・元々、高度化された核兵器や生物化学兵器は抑止力として考えられていた時期がある。それは、使用すれば悪魔の所業として語られるからだ。そして、世界規模で使われれば人類の破滅すら導きかねん。」

 

ハウプトマン博士は見下すようにして見ているフィッシャー中尉の顔を見る。一見好青年に見えるだろう。だが。彼の眼はどぶのような腐った目をしていた。彼の右手は既にホルスターに掛かっていた。ハウプトマン博士はそのことを承知で話す。

 

「我々は適応できなかった人類だ。純血を誇りとしているが、それは放射能に適応しきれなかった劣等種に過ぎない。科学力や軍事力を持ったとしても、自然淘汰には抗えない。環境に適応できなければ滅ぶしかないのだ」

 

博士はそういうと、死を覚悟した。だが、死をもたらす男は黙ったまま何も動かない。すると、突然フィッシャー中尉は笑い始める。

 

「ハハハハハ!何を言うかと思えば、科学者は軍人の俺たちよりも頭がいいと思っていたが、ここまで愚かとは思わなかったぞ」

 

「何を言って・・・」

 

「ならば変えればいいのだ。その環境をな。兵士は敵が居れば叩き潰し、障害があれば破壊する。それはエンクレイヴにも言えること。使えるものがあればそれを使えばいい。生き残りたければ、頭を使うのが俺たちだ。劣等種?おいおい、ウイルスに侵されたか?俺は物をもつ者こそが勝者だとか考えている。奴らに何がある?高々、ウイルスで若干適応できるようになった身体だけじゃないか。それを適応種として迎え入れるなどおこがましい!」

 

フィッシャー中尉は怒り狂ったように近くにあった椅子を蹴り、スクリーンに椅子を命中させる。博士はそれを驚くこともせず、それを見ていた。

 

「大統領は決断したのさ。この汚染された大地を正常に戻してしまおうと。ミュータントどもを皆殺しにすること。適応できなければ、適応できるよう、障害を排除して環境を変えてしまえばいい。」

 

狂気。

 

 

その言葉が相応しい。フィッシャーはホルスターからプラズマピストルを抜くと椅子に座っている博士の眉間に狙いを付ける。

 

「私は先に地獄で待っている。君のために席を用意しておくよ」

 

博士は最後の言葉として言うと、フィッシャー中尉は引き金を引き、博士の命は潰えた。

 

「大統領のために」

 

フィッシャー中尉はそういうと、上映室を出ていく。外には完全武装の兵士達が待機していた。一人は大切に耐爆ケースを手錠付きで持っていた。

 

「すぐに撤退する。上等兵は俺と行動を共にしろ。それを大統領閣下に届けるのだ」

 

「Yes,sir.」

 

前衛にトライビームレーザーライフルを構えた兵士が前進する。床には兵士たちに殺された科学者の死体が転がっていた。警報らしき音が鳴り響き、ビーム発射音と叫び声が研究所内の所々に響き渡っていた。

 

「アルファ分隊は残りの科学者グループの掃討にあたれ。爆弾は仕掛けたか?」

 

「すでに爆弾は防疫措置としてクラスⅤの核弾頭が起爆可能です。」

 

「ならば、十分後に撤収する。科学者共は我らの理想のための犠牲となって貰おう」

 

兵士達は残る全ての科学者を掃討し、暴走したミュータントやFEVに感染した検体のの仕業のように見せかけた。

 

 

撤収するフィッシャー中尉や兵士たちは直通エレベーターに乗り込み、すぐに医療センターへと上がっていく。エレベーターから出て行くと、外には白衣を着た医者や看護師が往来する廊下に到着した。

 

医療センターは表向き研究施設ではない。普通の医療施設だった。小隊はそのまま医療センターを出て行き、停めてある軍用トラックに乗り込む頃には軽い地響きとともに医療センター全体に警報が鳴らされた。トラックは颯爽と医療センターを離れていく。トラックにはバイオハザードマークが描かれたジェラルミンケースが載せられていた。

 

 

 

 

 

研究所はその後の発表で生物汚染を防ぐために施設全体を消毒したと発表した。FEVウイルスが持ち出されたことは知ることは叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





falloutnewvegasのMODではビックホナーのジャーキーなどMODによって新たなレシピが追加されるなどあります。

正直言うと、新しくレシピ作るのが好きだったりします。

今の話の流れだと出来ませんがねwww

誤字脱字ございましたら、御報告頂けると助かります。

他にもご感想頂くと、某最後の大隊の少佐のようにココロ躍ります(笑)

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