fallout とある一人の転生者   作:文月蛇

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勢いにのって投稿してしまい、かなり後悔しています。やっちまったな・・と思っている。
まあ、とてつもなく更新遅くなりますが、宜しくお願いします。


七話 Escape Vault

3年後

 

 

 

 

pip-boyに内蔵された目覚まし時計がなり、スイッチを切って堕眠を貪ろうとした。時計は5時を回り、普段なら寝ている時間だ。

 

「いけね、今日は巡回じゃん」。

 

今日の予定を思いだし、立ち上がる。警備の着る防弾チョッキを上から着て、警備が使うガンベルトを腰に巻き付ける。ホルスターには愛用している10mmピストルを差し込み、反対側に警棒を引っ掻ける。更に後ろのポーチには簡易型の手錠を突っ込み、警備のヘルメットを腰に引っ掻けた。ラッドローチの襲来の時には、被った方が言いかもれないが、普通の巡回にヘルメットを被る必要はない。部屋にあるキッチンでコーヒーポットを暖め、マグカップに合成のコーヒーを注いで、合成パンと共に啜る。昔は食べるのに気が進まないパンだったが、今では貴重な栄養源だ。朝食を食べ終え、歯を磨き、家を出た。

 

今はゴメス家を出て、一人暮らしをしている。何処に住んでいるのかというと、オフィサー用の特別宿舎で寝泊まりしている。因みに兄貴のフレディは既に神父となってvaultの最下層にある教会で祈りを捧げている。あまり、熱心な礼拝者は少ないが、誰かが結婚すると、立会人として結構役に立っている。以前では考えられないような変わりぶりだ。しばらく歩いてオフィサーの詰め所に到着した。

 

 

俺は警備長育成コースを順調に進んでいるため、ハノン警備長が辞めれば、代わりに俺が警備長になる。しかし、今はただのオフィサー。持っていた鍵でガンキャビネットの扉を開けて、クリップボードに数量を記入する。

 

「えっと、32口径が2つに10mmが5つ。アサルトライフルが二挺。ショットガンが一挺。弾はえっと・・・」

 

武器管理担当なので、ここにある武器を確認しなければならない。他にも監督官の部屋にはアサルトライフルとショットガンが二挺ずつ保管されているが、そちらは監督官補のアマタが管理している。弾薬は弾薬製造プレス機があるので製造可能であるが、使用頻度や材料の理由もあり、弾薬の数も多くはない。その代わりに、暴動鎮圧用の警棒やライオットシールド、手榴弾や閃光手榴弾などが置かれている。ゲームではなかった物もあるので、最初は興奮したが4年も経つので喜びも半減した感じだ。

 

「おお、やってるじゃないか」

 

来たのはハノン警備長。ホルスターの44口径マグナムを持った自称タフガイだ。

 

「在庫の数は確認しました。ここにサインを」

 

警備長に催促し、クリップボードにあるサインの欄に警備長の名前が書き込まれる。

 

「まったく、お前さんは仕事が早いな。おれの席がそんなに欲しいか?」

 

ハノンは俺を睨み付ける。

 

「いえ、そんな事」

 

「ふん、だけどないいか。警備長はこの俺だ!お前がいようといまいがこの俺だ。お前には譲らんから覚悟しておけ」

 

つくづく嫌になる性根の腐ったくそ野郎だ。4年前の試験のあのときみたいにぶん殴りたいが、それをすれば一発でクビだろう。父曰く、もうそろそろ解任間近で後続をなじるだけらしいが。ハノンはそう言って、詰め所から出ていった。

 

彼の姿が見えなくなるまで直立不動を続け、見えなくなると近くにあった椅子に腰を下ろした。

 

「覚悟なんかするかよ、馬鹿野郎」

 

 

ガンキャビネットに入ったアサルトライフルを取り出すと、机の引き出しに入っていた核分裂バッテリー内臓型のフラッシュライトを銃に取り付けた。スタンリー叔父さんに作って貰った特注品で、暗いところでもよく見えるのだ。それを背中に掛けてヘルメットを被る。本当は要らないが、とある巡回をするときは被らなければならなかった。詰め所を出て、住民の集会所とも言うべきアトリウムに向かう。本当の目的地はその向こう側にあるのだが。早朝であるにも関わらず、数人がチェスや戦前の映画を見て楽しんでいる。そこに完全武装の俺が歩いていく。しかし、誰も不審に思わない。何故ならばそれが日常であるからだ。

 

俺はアトリウムを抜けてゲートに差し掛かる。一度振り返ると、通路上の天井にはこう書かれていた。

 

「welcome to vault101! 」

 

戦前に来場した人達を出迎えるものであったらしく、いまだ色褪せないその天井は今も戦前の頃と変わらないということを見せつけていた。だが俺が行くところはゲートの先。つまりハッチのあるエントランスゾーンだ。そこは警備以外は立ち入り禁止で関係者以外は入れないようになっている。重武装なのはそのためで、侵入者を撃退するのが目的だ。たとえ、vaultから出ようとする人も同様に。俺はアサルトライフルの弾倉を確認し、レバーを引いて次弾が銃身へ装填された。

 

エントランスに入るハッチを見ると、あることに気が付いた。キーパッドが壊れていた。何時もなら点滅しているランプがある筈であったが、ランプは割られ、キーパッドは煙を挙げていた。脳内に緊急事態のアラームが鳴り響き、咄嗟に壁に寄り、アサルトライフルを扉に向けた。

 

キーパッドが壊れていると言うことは、侵入者が不正アクセスをしたと言うことに間違いない。と言うことは、脱走者?フラッシュライトの電源を点けて、手動で扉を開けた。エントランスはいつも通りで巡回していた警備はいない。それもその筈で、ここの警備は交代の時にタイムラグが発生する。これを知っていると言うことは警備の中にいる者かもしれない。アサルトライフルを周囲に向けつつ、足音を立てずにvaultの入り口であるハッチの近くに来た。

 

 

ガチャン!

 

 

機械的な音が鳴り響き、鉄の擦れる音がエントランス中に響き渡った。

 

まさか、ハッチが開いたのか!?

 

俺は中を確認しないでハッチのある部屋には飛び込んだ。そこには白衣を脱いで32口径ピストルをホルスターに入れたジェームズおじさんがハッチの制御盤を弄っていた。

 

「おじさん、そこで何を!?」

 

とは言いつつも、俺はジェームズが何故外に出ていこうとするのか知っていた。彼は20年前、外の世界からやって来た一人だ。赤ん坊を連れて。前世でやっていたゲームを朧気に思いだし、ここから物語が始まるのだというのを知っていた。だが、それを知ったのは前世の記憶。既に20年近く前の話なのだ。今の今まで忘れていても仕方がない。以前なら俺はこのまま外に出て行くはずだ。

 

しかし、今はどうであろう。

 

俺は今やvault101のオフィサーとして、治安と規律を守る番人として責務を果たすべく行動している。この仕事にも誇りを持っているし、vault101が故郷だと思っている。だが、これから起こるのはラッドローチの襲撃で起こる地獄絵図。ここは大混乱に陥り、多くの人間が死ぬ。

 

もしかしたら、それを食い止められるのでは?

 

俺の頭にそれが過り、アサルトライフルの安全装置を解除した。

 

「私を撃つのかい?」

 

 

ジェームズは俺に問いかける。彼は俺が銃を向けているにも関わらず、腰のホルスターにある32口径ピストルを抜いてはいない。既にハッチは開き、外の空気が風となって吹き付ける。

 

「ユウキ君は・・・・そう言えば君もだったな」

 

言っている意味がよくわからない。ジェームズは何かを悟ったように腕組みをした。

 

「君の父上はまだあのことを言っていないみたいだね」

 

「何のことです?早くハッチを閉めてください。監督官の所に連行します」

 

俺はオフィサーの役割を果たすべく、口を開いた。

 

「君はvaultの中で一番優秀なオフィサーだよ」

 

「どうも・・・・銃を床に置いて、制御盤から離れてください」

 

そこで何故誉める。俺は怪訝に思いながらも、一歩歩み寄った。

 

「君の母上、椿さんはvaultの人間だと思うかい?」

ジェームズの言った言葉に俺は行動するのをやめた。

 

え、何だって・・・・?

 

「それって、どういう・・・・」

 

その答えにジェームズは冷淡に答えた。

 

「彼女は私と一緒に来た外の人間だ」

 

 

俺は驚き、身体を強張らせた。その隙にジェームズは俺の構えていたアサルトライフルを弾き飛ばし、背後から首を締め上げた。

 

 

「がはっ!!」

 

気道が圧迫され、呼吸がしにくくなる。視界がぼやけ、意識が遠退いていく。ジェームズは俺の首を絞めながら、耳元で呟いた。

 

「娘を頼んだぞ・・・・!」

 

それは苦痛に苦しんだ病人が放つような苦しい一言だった。

 

その後俺は意識を手放し、失神した。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

10分後・・・・・

 

 

 

「ジョナス!貴様らがラッドローチを呼び寄せたことは分かっているんだ!いい加減白状しろ!!」

 

「し、知らない!だから殴らないでくれ!がっ!!」

 

骨が折れるような音とジョナスの悲鳴によって目を覚ました。冷たいタオルが俺の頭の上に乗せられ、横には父が心配そうな目で見つめていた。だが、近くにジョナスはいない。多分、隣の部屋なのかもしれない。

 

「大丈夫か?」

 

父は辛そうな目で俺を見る。俺を見るのが辛いわけではない。聞くに耐えない行為が隣の部屋で行われているのだ。服を見てみると、着ていた防弾チョッキとヘルメットは外され、いつものジャンプスーツだ。体を起こして、部屋のインテリア等を見る。見知ったことのある同級生の家。監督官の家のソファーに横になっていた。俺は立ち上がり、何が起こっているのか、部屋の扉を開いた。

 

 

「た、助けて・・・」

扉を開くとそこには、白衣を血で汚し、足元で助けを求めるジョナスの姿があった。俺は助けようと手を差し伸べようとする。だが、

 

「死ね!」

 

ハノン警備長は持っていた44口径マグナムの引き金を引き、ジョナスの頭部に命中した。血が飛び散り、赤い血が俺の頬を撫でた。銃声で駆け付けた監督官と数名のオフィサーがハノン警備長を見て、驚く。

 

「ハノン警備長!何てことを!」

 

俺は悲鳴にも似た抗議を発する、しかしハノンは持っていたマグナムで俺の頭部を殴り付けた。

 

「痛っ!」

 

殴られた衝撃でその場に尻餅をついた。

 

「外から来た野郎がとやかく言うんじゃねえ!腹が立つんだよ!」

 

ハノンは俺にマグナムを突き付け、人差し指は引き金に掛かっていた。

 

俺は殺されるのか?

 

俺はハノンの狂気で淀んだ目を見て思う。ホルスターに未だ収まっている10mmピストルがあるが、それを抜こうか。いや、その前に撃ち殺される。だが、どの道殺されるのなら足掻こう。俺は僅かな希望と大きな絶望を見い出しながら、ホルスターに手をおく。

 

しかし、

 

「息子に銃を向けるな!」

 

 

父は10mmピストルをハノンの頭部に突き付け、俺を庇おうとする。それを見たハノンはマグナムで父の頭部を狙う。緊迫感が漂い、その場の人間は凍り付いた。

 

 

銃口が互いの頭部に狙いを定め、撃鉄が下ろされようとしたその時だった。

 

「ハノン、貴様は最下層の教会でのラッドローチ掃討があるだろう。早く行け!」

いつの間にこの場にいたのだろうか。監督官は命令すると両者共に銃を下ろした。

 

「ちっ!」

 

ハノンは分かるように舌打ちをすると、部下のオフィサー・マックと共に外に出た。俺は痺れを切らし、監督官に食って掛かろうとしたが、父が止めに入った。

 

「止めろ、只でさえお前と私は危うい状況だ。ここで抗議でもしてみろ。確実に今の職を失うぞ」

 

ジョナスが目の前で死んだことに動揺していた俺だったが、次第に落ちついて来た。

 

「一体何が遭ったんだ?」

 

父は時間がないと言って手短に説明した。十分前に監督官のオフィスで警報が鳴り響き、外へ通じるハッチが開いたことを知らせた。監督官はすぐにオフィサー数名と共に、エントランスに行くが、そこには気絶した俺と閉まるハッチだけがあったそうだ。更に悪いことにvaultの中層階で大量のラッドローチが発生し、大混乱になった。以前ラッドローチが生息しているとされる区画の扉があり、警報が鳴ったすぐあとに半開きになっているのをラッドローチ鎮圧班が発見した。犯人はジェームズと脱出を手助けしたジョナスと思われるためで、注意を引くためにラッドローチを招き入れたと推理して、ジョナスを連行。尋問した。尋問と言うよりも、拷問に近く、痺れを切らしたハノン警備長はジョナスを撃ち殺した。手元の情報源が無くなったので次はシャルを重要参考人として引っ張るらしい。

 

「そんな・・・・」

 

俺はジェームズを止めていればvaultの惨事を食い止められたのではないかと思ったが、それを思ううちに、ジェームズの一言を思い出した。

 

『彼女は私と一緒に来た外の人間だ』

 

頭の中でそれがフラッシュバックし、目の前にいる父にこの疑問をぶつけた。

 

「父さん、俺の母さんは外から来たって本当?」

 

「!!」

 

俺が聞くと、父は顔を強張らせた。

 

「ハノン警備長も言っていた。どういうことか話してよ」

 

俺は自分のこと、いや目の前で父と呼んでいた男が信じられなくなっていたのだろう。

 

「そうだ、お前の母親、椿は外からきた人だ」

 

父の言った言葉に多少は救われ、多少は気が重くなった。

 

「20年前、お前の母親とジェームズは外と交流を深めるために派遣された調査隊と一緒にここにやって来た」

 

ゲームでその調査内容が監督官のターミナルに保管されていた。前世の記憶ではそう覚えているが、もうどうでもいい記憶の一部に過ぎない。

 

「あのとき、ジェームズは東から赤ん坊と護衛の二人と一緒にいた。一人は戦前のパワーアーマーを着て、もう一人の護衛。お前の母親も着ていたな」

 

まさか、母もbrotherfoot of steelの一員だったのだろうか。疑問が多く吹き上がるなか、父が口を開く。

 

「調査隊は武装集団に襲われて、ジャックとモリス、Dr.アリスも死んだ。その時vaultには医者がいなかったため、医者であるジェームズが入植出来るよう頼み込んだんだ。無論、すぐにOKを出した訳じゃない。余所者を入れるのはリスクがあったが、医療従事者が居なくなるのは避けなければならない損失だからな」

 

それなら、何故母がvaultに入れたのだろうか。

 

 

「お前の母親は何かの武装組織のメンバーだった。彼女も入植を希望したが、調査隊の隊長・・・今の監督官が許可しなかった。だけど・・・」

 

「父さんが何とかしたんでしょ」

 

俺は父の話の流れからしてそうだろうと、検討付けていた。

 

「ああ、そうだ。あの時のvaultには生き残る技術や知恵を持つ者は居なかったし、経験が物語る時代だ。彼女は軍事的知識が豊富であったから、警備の質の上昇に繋がると言っておいたんだ」

 

父の独白を聞き、俺は埋もれ掛けていた前世の記憶を掘り起こしに掛かっていた。ゲームをやっている内にこの世界に吸い込まれてしまった記憶。この世界で父とめぐり会えた。俺の選ぶべき道は多くある。

 

一つはこのままvaultで生きるか。それとも・・・・・。

 

 

「ユウキ!中層階の北側でまたラッドローチだ!お前もこい!!」

 

呼んだのは、オフィサー・ケンダル。彼はライオットシールドと警棒を持った重装備だ。

 

「了解、今行く」

 

「ユウキ、良いのか?」

 

その「良い」はどの良いだろうか?それは出るか出ないかを意味している。

 

「ああ、僕の故郷はここだ。ここ以外の何処でもない」

 

俺は立ち上がり、先ほど着ていたアーマーではなく、最近になって防御力が強化されたボディーアーマーを着た。首筋を守るために、ケブラー繊維を首周りに付けて肩も防弾繊維で固めてある物で、コンバットアーマーよりも防御力が高かった。腕と足にプロテクターを取り付け、覆面を被る。これは、発生した煙を吸わないようにする処置で、覆面の素材は煙の毒素を取り除く戦前の技術が利用されていた。

 

そして、標準装備のヘルメットをして、ヘルメットのフェイスガードを下ろした。更に、監督官のガンキャビネットからショットガンを取りだした。キャビネットから10mmピストルがなくなっているのに気が付いたが、誰かが持っていったのだろう。

 

「監督官がシャルを見つけ次第、無力化してここに連れてこいとのお達しだ。やればボーナスで配給券が貰えるらしいぜ」

 

ショットガンにショットシェルを装填する俺の手が止まる。確か、今から行くのは中層階の北側だ。シャルとジェームズもそこに住んでいた。俺はシャルを“無力化”してここに連れてくると言うことに躊躇いを抱いた。さっきまで、いや今でも友人であることに変わり無く、そんな彼女にvaultのためと言って暴力を振るうのか?

 

「おい、早くしろ!俺の家族もあそこに居るんだぞ!」

 

ケンダルの怒鳴り声で目が覚める。そうだ、俺がやらなければ大勢の仲間が死ぬことになる。シャルのことはもとより、ラッドローチの駆除に専念しなくては。ショットガンを背中に背負い、右手に警棒、左手にライオットシールドを持って中層階に走った。

 

「痛い!た、助けてくれ!」

 

「お母さん!起きてよ」

 

中層階に行く途中、怪我をおった作業員や動かなくなった母親に抱きつく子供を見る。喉元は食いちぎられ、至るところに噛み傷があった。破傷風のワクチンをvaultの住人は接種しているものの、接種していなければ、ラッドローチに噛まれた者の殆どが破傷風になる。

 

俺はそれを横目で見ながら下層へと急いだ。

 

「ラッドローチだ!!」

 

10mmピストルを持ったオフィサーが近づくラッドローチを撃ち殺し、逃げる住民を避難誘導していく。その中にシャルがいないか探そうとするが、見つからなかった。

 

「中階層の食堂まで行く、あとを頼んだ」

 

ケンダルは避難誘導をしているオフィサーに頼み、俺を連れて、ラッドローチのいる中階層に進んだ。

 

「食堂だ。奴等はここら辺を集中的に発生するからな、注意しろ」

 

ケンダルの忠告を聞き、警棒を握りしめ、ライオットシールドを確りと持った。

 

 

カサカサカサカサ・・・・・

 

 

ラッドローチの独特な音と共に、食堂から一匹這い出してきた。警棒を振りかざし、ラッドローチを力任せに殴る。グシャ!という音が響き、ラッドローチの体液が飛び散った。

 

「グへ、気持ち悪・・」

 

「そう言うな、食堂の中も潰していくぞ」

 

 

ドカ!グシャ!ドゴン!

 

 

何匹かは果敢に突撃し、ジャンプして俺を噛もうとしてくるが、ライオットシールドで防ぎ、警棒で叩き割っていく。ショットガンで一気にやってしまうのもありだが、弾の生産量と備蓄量も考えてみても、トリガーハッピーのように連射は危険であった。使うのは、群れで襲撃してきた場合だけだ。

 

「可哀想に、テイラーじいさんの奥さんじゃないか」

 

ケンダルは食堂の床に倒れた哀れな犠牲者に十字架を刻む。ベテラン警備で指導を担当するオフィサー・テイラーの妻、子供達からテイラーおばあちゃんと親しまれている穏和なおばあちゃんだ。しかし、食堂に倒れていたのは、哀れもない姿であった。喉元は骨が見えるまでグシャグシャに噛み喰われ、至るところに噛み傷が、腹の傷からは内臓が飛び出していた。俺は苦悶の顔で最後を迎えたテイラー老婆の目を閉じてやり、近くに置いてあったテーブルクロスを体に掛けた。

 

「次行くぞ、」

 

ケンダルを後ろから援護しつつ下層へと降りていく。

 

 

 

「助けてくれ、母ちゃんが!!」

 

「この野郎!」

 

ケンダルはブッチの母、エレンを襲うラッドローチを警棒で叩き殺した。それは戦前の主婦が新聞紙で叩くかの如く。グシャと潰れ、俺は10mmピストルでケンダルを援護した。サイトで狙いを合わせ、ケンダルに襲い掛かろうとするラッドローチに10mmホローポイント弾を喰らわせた。一通り終わる頃には、ラッドローチの死骸が散乱し、そこら中に黄色の体液がばらまかれていた。

 

「ありがとう、ユウキ!本当に助かった!母ちゃん助けてくれてありがとう!これを受け取ってくれ!!」

 

ブッチは持っていた革ジャンを俺に渡し、デロリアを連れて、急いで避難場所に走っていく。ブッチから感謝の言葉を言われたのは初めてだったが、まさか、「俺」が革ジャンを貰うとは思わなかった。一応、革ジャンをpip-boyに収納し、ケンダルは落ちていたウォッカを懐に納めた。

 

「こんな、大規模な襲撃は初めてだぜ。これは相当ヤバイぞ」

 

ケンダルは口から垂れた涎を服の袖でふき、呟いた。かつてのラッドローチの襲撃は生易しいもので怪我人しかでなかったが、今回は死傷者が出るほど大規模なものになっている。俺たちは次の区域を掃討するためにブッチの家を後にした。

 

「もう少しでジェームズが住んでいた家だ。友達だからと言って気を抜くんじゃねえぞ」

 

「・・・分かっています」

 

住居区に入り、逃げ遅れた住民が哀れな姿となって床に転がっているのを見つけた。もしかしたら、既にラッドローチに喰われているんじゃ・・・と最悪なことを想定する。しかし、したところでいまの状況が変わることはない。ライオットシールドをpip-boyの中へ収め、ホルスターに収められた10mmピストルのスライドを引いて次弾が装填されているのを確認した。一応、ショットガンは背中に掛けているが、それを使うのはラッドローチが出てきてからで、シャルに向けるつもりは毛頭ない。

 

「抵抗すれば、銃を使って無力化してもいいとの命令だ。躊躇わずに撃て」

 

ケンダルはホルスターの32口径ピストルのリボルバーマガジンで装填しているのを確認し、周囲に注意を払いながら進んでいく。

 

「誰だ!止まれぇ!」

 

「まって、アマタよ!撃たないで!」

 

廊下の向こうから走ってきたのは、アマタだった。息も切れ切れでラッドローチから逃げてきたようだ。

 

「アマタか、さっき監督官が呼んでいた。今すぐオフィサー詰め所に来いと・・・何かやらかしたのか?」

 

ダンケルはこの状況でよくへらへら笑っていられるなと、俺は疑問に思ったが、そこはベテランのオフィサー。住民が怯えないように落ち着いて避難できるようにそう言う態度をしているのだ。

 

「ええ・・・まあね」

 

アマタは意味げなことをいい放つと走り去っていった。そう言えば10mmピストルが無くなっていたが、アマタがシャルに渡したんだろう。それをケンダルに言おうとしたが、通路から何かが飛び出した。

 

「動くな!シャルロット!!お前を連行する!そのバットを捨てろ」

 

ダークブラウンのショートヘアに研修医であることを示す白衣。バットとの組み合わせは悪かったが、それは仕方がない。ケンダルは32口径ピストルをシャルに向け、それに呼応した俺は仕方がなく、10mmピストルを構えた。

 

「シャル!バットを捨ててくれ!なにもしないから!」

 

俺は友人の頼みと言うことで、俺はシャルに言った。最初、俺の覆面で誰か分からなかったのか、警戒した顔つきだったが、それは一気に怒りの顔つきとなった。シャルはあまり感情を表に出さない。楽しいときもあまり笑わないし、悲しいことがあっても泣かない。怒って普通な場合でも、表情には絶対出さない。しかし、このときは違った。同じ志を持つ友達を殺された恨みは大きかった。

 

「嘘つき!ジョナスを殺したじゃない!!」

 

それは悲鳴にも似た怒鳴り声。シャルの目からは涙が零れ落ちた。

 

「シャル・・・」

 

俺は彼女の怒鳴り声と表情に驚いた。シャルに近づこうと一歩、歩み出る。

 

「近付かないで!」

 

俺はシャルの叫び声と明確な拒絶で彼女に近付かなかった。シャルは俺が見殺しにしたと思っているんだろう。または、俺が殺したか。

 

そうだ。その通りだ。

 

ジョナスが殺されるのを止められず、あまつさえ、ハノン警備長と監督官に一矢報いることが出来なかった。さらには、やつらの手先としてシャルを捕まえようとしているのだから当然だ。奴等と同じであった。俺は謝らなくてはならない。ここで謝らなければ全てが崩れ去る。ここの生活や家族、思い出、そして友人。俺が謝罪の言葉を口にしようとした時、横の通路から黒い物体が襲いかかった。

 

 

キュイイイイィィィ!!!

 

 

独特の威嚇の鳴き声と共に、ラッドローチは俺とケンダルに襲いかかってきた。

 

「くそ!ラッドローチ!・・・がぁぁぁ!!」

 

ケンダルは32口径ピストルを放つが、ラッドローチには当たらず、喉元に食いついた。頸動脈を噛まれたのか、ケンダルの喉からは鮮血が吹き出し、ヘルメットのフェイスガードが血で濡れる。俺は襲いかかってきたラッドローチを10mmピストルで殴り付けるが、弾かれ首を噛まれそうになる。

 

「くっそ!!」

 

噛まれないように、必死でラッドローチの胴体を抑える。既に防弾チョッキのネックカバーの隙間から喰われようとしている。シャルは隙を見て、通路を走り去った。

 

「シャル!」

 

早く追わないと!

 

俺はグローブをはめた握り拳をラッドローチの目に叩き込み、ラッドローチは衝撃で床に叩きつけた。すぐに俺は床に転がった10mmピストルを拾い上げ、ラッドローチに撃ち込んだ。

 

 

グシャ!

 

 

そして、付近にいたラッドローチも撃ち殺し、首から血を流したダンケルに駆け寄った。

 

「ダンケル!しっかり!」

 

金にがめつい先輩であったが、よきベテランオフィサーとして勤めを果たしていた。だが、それは生きていた時の話。彼は大量出血のショックでそのまま息絶えた。脈を計った血のついたグローブを彼の首から離した。

 

「後で迎えに来ます」

 

俺はそう呟き、逃げたシャルを追った。

 

改良されたボディーアーマーはさっき命を救ったものの、今は怨めしく思えた。ケプラー繊維を重ね合わせ、コンバットアーマーよりも重武装。重たい対弾プレートや肩の保護パット、後ろに担がれたショットガン全てが忌々しく、走るのには不適切だ。だけれど、今ここで脱ぐ時間も身体を危険に晒すこともできない。

 

今はただ走るだけだ。

 

階段を掛け上がり、息も矢継ぎ早でシャルを制止できるかどうかさえ怪しい。しかし、着実にシャルの行く場所に近づきつつあった。ゲームでも俺は監督官からハッチへと続く秘密のトンネルを開くパスコードを教えて貰うため、アマタが尋問されている警備詰所に突撃した。その場で尋問しているハノン警備長を撃ち殺し、場合によっては監督官も手に掛けた。

 

しかし、このあとのクエストでも関わってくるため、監督官を殺してアマタとの関係をギクシャクさせたくなかったため、二回目には監督官は殴って走り去った記憶がある。だが、それはゲームの中の話。現実問題、親友が無惨な死を遂げて、仇を討とうとするだろう。シャルは今その仇を討とうとしている。そろそろ、警備詰所に着こうとしていた矢先、警備詰所の方で銃声が鳴り響く。それはシャルに違いない。俺はホルスターから10mmピストルを引き抜き、息を落ち着かせながら部屋へと入った。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

「この糞アマがぁぁ!!」

 

 

肩からどす黒い血が出血し、ハノン警備長の青いジャンプスーツを真っ赤に染め上げていく。大きな血管を傷つけたのか、血が溢れ、vaultの床を汚していく。何が奴をそんなに痛め付けたのか。

 

答えは簡単だ。

 

白衣を着たシャルが震えた手で10mmピストルを構え、銃口からは煙が上っていたからだ。警備詰所の壁の端でvaultの監督官、アルフォンス・アルモドバルは怯みもせずにそこに立っていた。経験故か、またはそう言うことに怯みもしない肝っ玉の大きい奴か、それか気が違えたのかのどちらかだろう。

 

「シャル!止めろ!」

 

俺は叫び、銃を彼女に向けた。

 

震えた手で10mmピストルを構え、震えた人差し指は引き金に掛かる。しかし、そのピストルは軍用向けの拳銃。引き金は重く作られ、震えた指で人を殺すことはない。俺はそれを承知で銃を下ろし、シャルに語り掛けた。

 

「シャル、銃を下ろしてくれ」

 

「いや!父さんもいなくなったし、ジョナスも死んじゃった。私はどうすればいいのよ!」

 

いつもとは全く違う彼女の表情とセリフに驚く。が、これは彼女の本当の姿であった。よく、地方の村でも都会や外からやって来た人を忌み嫌うことがある。vault101もそれと同じ。余所者が来れば、仲間外れは当たり前。陰湿な嫌がらせもあっただろう。しかし、それを大人がすることはない。表面的な仕事上では情報交換はやらなければいけないし、仲間外れはあるはずもない。ところが子供はどうであろう。イジメによる相手の事を考えず、自分と生活基準が違うからと忌み嫌う。陰湿な嫌がらせは勿論の事。同年代からは孤立するだろう。シャルロットも外の世界から来たと言う理由で同世代の子から陰湿なイジメを受けた。vault schoolで物が無くなるのは当たり前。服が切り裂かれたり、仲間はずれにされたのはしょっちゅうだ。だから、シャルは自分の殻に閉じ籠った。表情を出さず、あまり喋らない。彼らとのコミュニケーションを減らすことでイジメから逃れようとしたのだ。彼女の親しい友人は同級生のアマタ、同じ志を持つ年上のジョナス。同世代の異性の友達は俺ぐらいだった。それでも感情を表に出さず、最低限の事はしない。だが、父はいなくなり、ジョナスは死に、友であった友人に銃を向けられた。裏切られた以外の何者でもない。

 

「シャル!お願いだ銃を下ろしてくれ。シャルがラッドローチを放つなんてあり得ない。俺達は友達だろ!俺は最初から撃つ気なんて無いんだ!」

 

「じゃあ、何でジョナスを!」

 

「あれはハノン警備長の独断だ。監督官だって命令していない。ジョナスは拷問を受けていたし、俺はそれを止めようとした。これがその証拠だ!」

 

俺はヘルメットを脱いで、覆面を脱いだ。

 

おでこの右端には、大きく切った痕があった。それはハノンが俺にマグナムのグリップを叩きつけたときの傷だ。ガーゼを貼って血を止めているが、少しガーゼから滲み出ていた。

 

「俺はジョナスを拷問し、殺したことを抗議した。そうしたら、このイカれ糞野郎が殴って銃を向けてきたのさ!」

 

「なんだと!てめぇ!」

 

俺はいつしか何時、“僕”から“俺”へと変化していた。しかも、上司に「イカれ糞野郎」と言ったのだ。クビは免れない。だが、もうどうでもいい、友人を失うより。シャルは震えた銃をゆっくりと下ろした。もう、撃つことはないだろう。

 

「銃を渡してくれ。これで終わりにしよう」

 

俺はシャルに近づいて、シャルの細い手に収まった銃を取った。

 

「ごめんなさい!・・・私・・・私!」

 

シャルは俺に抱きつき、俺の胸に顔を押し付けた。G.O.A.T.の試験の時にすすり泣きをした彼女だったが、今ここにいたのは大泣きするか弱い少女だった。俺は彼女の背中に手を置き、トントンと叩いた。それも、赤ん坊が泣いているのをあやすように。それは永遠に続くかのように思われた。しかし、一人の狂人が咆哮する。

 

「これで終わりだ!この薄汚いウエイストランド人め!」

 

肩を撃ち抜かれていたハノン警備長だったが、撃たれていない右肩には44口径のマグナムリボルバーが握られていた。

 

「死ねぇぇ!」

 

このKY!空気読めよ!!俺は前世の記憶から、古い流行語を思い出した。

 

「伏せろ!」

 

抱きついていたシャルを床に倒し、ホルスターから10mmピストルを引き抜いた。二人は素早く引き金を引き、一人は死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

「あち~・・・・。なんであの時、これを着ちまったんだ?」

 

「かっこいいから?」

 

「う~ん、それも判断基準の一つかな?」

 

俺はシャルの問い掛けに答えると、シャルは笑った。あまり表情を出さなかったシャルだが、あの穴蔵から出てきてから表情は一変した。激昂していた時の会話は今と比べて普通だったが、今は英単語があまり並ばない。一応、英語を喋っているが、本当に発する語数が少ないのだ。それで医者が勤まるのかと聞くと、その時は語調は同じだが、語数を多目にするそうだ。だが、それもなくなって“普通の”シャルになるのかもしれない。どちらにしろ、殻を作る理由はないのだから。

 

シャルと俺は歩いていた。

 

灼熱の大地と煌々と太陽の下で。

 

そこは核戦争前にはD.C.圏内では有数の高級住宅街だった場所。最も治安が良いとされる場所であった。しかし、今は使っていたと思われる郵便ボックスと炭と化した家の支柱。放置された開かない金庫や壊れて錆びれた核搭載自動車がそこら中に廃棄されていた。

 

そこは「スプリングベール」と呼ばれた旧高級住宅街。

 

近くには20年前調査隊がコンタクトを取ったメガトンと呼ばれる街があった。そしておれたちはメガトンに続く道をひたすら歩いている。核シャルター育ちで教養があるとは言え、外に出たのは初めてであったし、太陽の日の光に当たるのも初めてだ。

 

だから、かなり疲れるのだ。

 

「あそこにあったホロテープと比べると、荒んでんな」

 

「核戦争があったから」

 

「それでも人間がまだ生きているんだ。凄いことだよ」

 

俺はヘルメットのフェイスガードを上げて、周囲を見やる。雲も少なく、青々とした空が広がっている。核戦争でオゾン層に穴が空いたのかも・・・と現実的な事を考えたが、200年の間に治ったと願いたい。

 

「ユウキ、ありがとう」

 

俺の顔を見たシャルは俺にそう言った。

 

「ユウキがいなければ私は死んでいた。命の恩人だよ」

 

俺に似合わない事を言われて、少しこそばゆい。命を救ったなんて・・・実際命を救ったんだろう。銃を構えたハノン警備長の眉間に銃弾を撃ち込み、監督官のオフィスから秘密のトンネルでエントランスに行って、ハッチを開いた。ありったけの武器と弾薬を持って。俺たちの友人であるアマタと別れを交わし、18年過ごしてきたvault101から飛び出した。アマタや父、義兄のフレディは元気でしているだろうか?まだ出ていってから余り経っていないのにそれを考えるのは、まだ未練があるんだろうな。故郷を後にした未練が。

 

シャルの感謝の言葉に複雑な心境に成りながらも、愛想笑いで返した。

 

「いや、俺は命なんて救っていないよ。それよりもあの集落へ行ってみよう」

 

俺は指差した。そこには戦前に使われていたであろう飛行機の部品をふんだんに使った城塞集落とも言える「メガトン」が見えた。

 

シャルは俺がそう言うところで謙虚なのを知っていたので、俺と愛想笑いをした。それはおれの複雑な笑いよりも、純粋で見とれるような可愛らしい笑顔だった。

 

「そうだね、じゃあ行こう!」

 

以前の彼女とは程遠い、元気ハツラツな声で拳を突き上げる。彼女の胴体の倍はありそうなダッフルバッグを揺らしながら。

 

これからどうするのか。

 

目の前にあるメガトンで持ち前の技術を活かして武器商人やガン・スミスも良いかもしれない。市民権取って、一軒家買うのも言いかもな。あわよくば、シャルとも・・・・。自分の未来図(妄想)を頭の中で描きつつ、口を歪める。

 

だが、彼女のしようとしていたことは全く別のものだ。

 

「あの街に父さんがいるかもしれない」

 

 

俺の理想図(妄想)と反する事を言ったシャルによって、俺の理想図は砕け、俺はズルリとづっこけた。遺伝かな。生まれたときの父のスベリと同じだぜ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈続く・・・・のか?〉




はい、これで第一章vault101は終了です。

最後がめちゃくちゃ長いが気にしない。

一応一万五千程度のストックがありますが、更新は来週です。まあ、更新できるかどうかは作者の気分次第です(おい!


※えっと、主人公がジェームズの脱走を事前に知っていたと言う所に加筆しました。これで、少しはおかしくなくなるはず・・・・です。(無理矢理だったか?)


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