ちくわ1本目
あたし、
高宮重工業はISの兵器開発を行う製造会社で古くから続く軍需企業である。現在はお父さんが代表取締役社長でお母さんは副社長兼秘書。因みに祖母が今会長をしてる。
娘である私は、それはもう恵まれた環境で好きなことをして生きている。幼い頃に英才教育を施された私はそりゃあもう何もかも余裕だ。勉強とかする必要なし、運動とか面倒だからしない、でも怒られない!! なんて最高の人生を歩んでいることだろうか!! 神よ、感謝致します。
「ぬぁっ、ひどっ、このっ……!!」
そんなあたしは社長室のソファーに寝転がって神喰いなう。お小遣いで中古で安くなってたのを買ってきた。スピードアクション系はあんまりやったことないから苦戦中で、でも面白いかも。モンハンとはまた違うね。こうなってくるとモンハンのとろとろした速度じゃ満足できないねっ。
「ねーお父さんもやろーよー」
これマルチプレイできるんだしやっぱりやりたいよねー。
社長室のデスクではお父さんが難しい表情で座っていた。何だろう、とても辛そう。
「? お父さん、どうしたの?」
「……司信。このままじゃ倒産するかもしれない」
…………………………………………………………………………………………………………ギャグ? お父さんと倒産をかけた?
「……あ、はは、はははは、お、おおおお父さん、にゃに、何ををををを言っていらっしゃるのでせう……?」
「落ち着いて聞いて欲しい。実のところ会社経営が傾いている。今すぐに、とはいかないだろうが、この見通しだと10年以内に会社を畳まなくてはならないだろう」
「…………え、じゃあ、この生活……優雅な、堕落した……天国……」
「無くなるな。道端で段ボールにくるまる生活を送る可能性も否定できない」
…………………………………………う、そ…………。
「どっ、どどどどどどどどどどどうするのお父さん!? あたしは快適な場所で死ぬまで堕落した生活をしたいんだよ!?」
「娘のだらしない生活態度は今は置いておくとして、このままでは非常にマズイことになることも重々承知している。そこでだ司信、君に協力して貰わねばならない。君の生活を守るためだ、できるね?」
「勿論ですぞ父上殿!! この生活を守れるのであれば不肖高宮司信、全身全霊で以て協力させていただく所存であります!!」
「いい返事だ。母さん」
気付けばお父さんの横にはお母さんが。いつもいつの間にかいるけど忍者じゃないだろうかこの人。別に気にすることでもないんだけど。
お母さんは封筒と1つの箱を私に渡してくれた。
「その書類はIS学園への入学届。箱には君の専用機が入っている。君に与える任務は、IS学園での大々的な宣伝だ」
「具体的には何を?」
「そのISで優秀な成績を修めてくれれば自然と広告になる。言わば我が会社の顔に君は任命された」
「え、じゃあまた学校行かないとダメ……?」
そんな、折角飛び級で全課程修了して一生遊んで暮らしてく予定だったのに……!!
「大丈夫。君が他に類を見ない天才的な堕落人物であることは一番わかっている。信じているよ、司信」
ぬ、ぅぅ……し、しかし、これをせねば私の将来が真っ暗に……ダメだ、それだけはダメだ!! ここでどうにかして会社の宣伝を成功させて経営を立て直さねば、私のニート生活は永遠に訪れることはない……!!
「た、高宮司信……任務を、全う……したくな……してま……参り、ます……!!」
「どんだけ学校行きたくないねん」
背後のお父さんのツッコミに肯定したい。学校、行きたくない。行きたくないから飛び級で頑張ったのに……!!
重い身体を引き摺って壁に手を付き歩く。くっ、学校に行くと言うのはこんなにも辛いモノなのか……!?
「……司信、お前何してんだ?」
「あ、お兄ちゃん……」
社長室を出てずるずると歩いていると箱を抱えつなぎを着た
「ふ、ふふふっ、あたしはとても重要な任務をお父さんに言い渡されてしまってね……これからIS学園なる場所に行かなければ……ぐふっ、くそっ、拒否反応が……!!」
「そんな仕込みケチャップで吐血の真似されてもね……」
「お兄ちゃんだってあたしが学校嫌いなのわかるでしょ!?」
「知ってる。冷暖房完備の社長室の高級ソファーで昼寝してゲームして菓子を食うのがたまらなく好きなのをな」
「学校なんて無駄な場所、あんな場所に居ては数少ない寿命を勉強と言う無駄な時間に費やすことになってしまう!! あたしは学校が嫌いだああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「おい、戻るな、学校行け」
「お兄ちゃん!! あたしは、あたしはどうすれば楽して生きれるんだい!?」
「もう充分なくらいニートしてたろ、全く……仕方ない。」
あ、まだ服着替えてなかった。でもめんどい。
と、うだうだひんやりして気持ち良い壁に頬ずりしてたらお兄ちゃんが内線で誰か呼び出してた。しばらくするとお兄ちゃんのメイドさんをしているヴェンデルガルトさんが優雅な歩きでやって来た。
「すいません、コイツの面倒をお願いしていいですか? 俺の事はいいんで、取り敢えずIS学園に一緒に行ってやってくれると助かります」
「
ヴェンデルガルトさん、万能メイドさん。会社で働くお兄ちゃんの補佐担当。家政婦としても働いてる。
「もしかしなくてもお兄ちゃん、あたしにメイドさんがつくってことでおk?」
「ああそうだよ。あんまり迷惑かけるなよ、って言っても無駄か」
「ご心配には及びません。妹様ほど本職のやりがいがあるお方はいませんから」
「いやぁ、照れる」
「褒めてないぞ、世界で一番貶してるぞ」
んなバカな。
IS学園にやってきた。服装は面倒だったんでネオニートと書かれたTシャツと背中に働きたくないでござるとプリントされたパーカー。下はスウェット。実際寝巻にパーカー羽織っただけ。
リムジンを降りてあくびをし、ぼりぼりとかゆい所を掻きながら歩く。豪華な校門を抜ければそこはモダンアートな校舎がそびえるIS学園校舎がある。何これ。
「金の無駄。もっと別に力入れるべきだろ。てか金余ってるなら頂戴よケチ」
「妹様。そろそろ制服に着替えていただけますか?」
「えー、でもキツイの嫌い……」
「そう言うと思いまして、制服の方は改造を施しました。着やすくなっていますから。更衣室をお借りして着替えてしまいましょう」
そう言えば制服改造OKなんだっけ、ここ。校風が自由なのはいいことだ。
適当に空いてた部屋を借りてお着替え完了。制服だけどさっきの寝巻並に落ち着く。匂いには慣れないけど悪くない。これなら及第点だろう。
「スゴイねメイドさん。一生養ってほしい」
「報酬がありましたら、考えなくはありませんがね」
「ちくわじゃダメ?」
「ちくわしか持ってないんですか?」
「人生無駄な物を捨てて生きるべきだよ。プライドとか」
因みにちくわは非常食だ。おやつにもごはんにもなるから素晴らしい万能飯。
「で、こっからどうすればいいの?」
「取り敢えず教員室へ向かいましょうか。先生方に挨拶を致しませんと。資料は既にお渡ししてありますからこちらから行けば大丈夫でしょう」
「お客様にわざわざ向かわせるとは、礼儀がなってないね!!」
「この場合、こっちの立場が下なんですけどね……」
余計なこと言うなやい!!
教員室に着いた。今は授業中なのか廊下に人はいない。
「失礼致します」
「メイドさん……?」「え、メイドが……、」「秋葉にしかいないんじゃないの……?」
メイドさんが部屋に入るとざわざわと波紋が広がった。何をそんなに驚いてるんだろう。
「本日付で入学となりました、高宮と申します。担当の教員の方はいらっしゃいますでしょうか」
「あっ、はいっ、高宮さん……あれ、写真と違う」
メイドさんに呼ばれてきたのはメガネの巨乳だった。あとロリ顔。マニア受けしそう。薄い本ができる感じで。
「申し遅れました。
「あ、ホントだ……はっ!! わ、わたしは1年1組副担任の山田ですっ。高宮さんのクラスは1組ということですので、これから案内しますね」
「はーいわかりましたー」
「妹様、返事しつつソファーに寝ようとしないで下さい」
あ、つい近くにソファーがあったものだから……応接用のソファーかな。中々いいモノだけどお父さんの部屋の私が使ってる奴に比べたらまだまだ。なんてしていたら「ドヤ顔かましてないで行きますよ」と首根っこ掴まれて持ち上げられた。子猫の気分。
「あの、その、ヴェイ……ヴァル……、えぇっと……」
「呼びにくいようでしたらメイドさんで構いませんよ。妹様にはいつもそう呼ばれていますから」
だって呼びにくいじゃん。
「それじゃあメイドさんで……。それでなんですけど、このIS学園は全寮制になっていまして、2人部屋が全生徒に割り当てられるんですけど、」
「それでしたら、妹様と私が一部屋貸切る予定だと伺っておりますが」
「えっ……あれぇ、ホントだ……、」
「申し訳ありません、私がいませんと妹様は絶対に登校しない方でありますので」
「あ、あはは……」
何笑ってやがる。がるるる。
教室に到着して、巨乳さんが合図したら入って来て自己紹介をお願いしますって中に入っていった。
「帰りたい」
「もう少し頑張りましょうね妹様。一応会社の宣伝が目的で来ているんですから。下手に悪い印象を残すと将来に響きます」
それはマズイ。
「よっしゃ突入するよメイドさん!!」
「御しやすくて助かります」
たのもー!! と入室。クラス全員が驚いた顔でこっちを見てきた。こっちみんな。
おや、最前列には男が1人。そう言えばISを動かした男が1人いた気がする。誰だっけ。
「ああ、おりものいちじく!!」
「織斑一夏さんですよ、妹様」
「そう言えばそんな奴いたね」
「来て早々俺の扱い酷くね!?」
まぁそう盛んになるなって。ビールでも飲んでリラックスしな。
「どーも、高宮重工業所属の高宮司信でっす。夢はお婿さんに養ってもらってニート生活送ること。あと会社の宣伝やりに来ました。よろしくどーぞ」
ビシッと右手を上げて自己紹介。これで覚えたでしょ。
「高宮」
「はいなんでしょう目が怖い人」
誰だコイツ、見た事あります。あれだ、世界一の人。
「世界一位の人だ!!」
「…………織斑千冬だ。貴様のクラスの担任だ。取り敢えず席に着け」
何この人怖い……。
あたしの席は教室の一番後ろ。メイドさんはあたしの後ろでじっと立って待機。丁度良かった。
隣にはブロンド貴公子的サムシングのボーイッシュな子がいた。ちょろそう。
「えっと、高宮さん?」
「何だいブロンド君。養ってくれるの?」
「へ、え……養う……?」
「あたしはね、ブロンド君。人生をいかに楽して好きな事だけして生きれるかを常に考えているんだ。そうするためには誰かに養ってもらわなければならない。つまりそういうこと」
「? ??」
ダメだ、わかってくれない。
「あ、いや、そうじゃなくて……僕、シャルロット・デュノアって言うんだ。これからよろしく」
「ボクっ娘とは恐れ入りました。同人でいっぱいネタにされそうだね」
笑ったまま首を傾げてる。ネタが通じんぞ。誰かいないのか他には。
「えっと、取り合えず、わからないこととかあったら言ってね? わかる範囲で教えるからさ」
「いい奉仕行為です。ちくわを送ってしんぜよう」
「は、はぁ、どうも」
「高級なちくわだかんね。味わって食べてね。あたしのお気に入りだから」
「あ、うん……」
「申し訳ありませんデュノア様。妹様は元来こういうマイペースな方でして……余り間に受けない方が身の為であります」
「失礼な」
「事実ですから」
「あははは……ま、まあともかくこれからよろしくね……」