養って下さい何でもしますから!!   作:いつのせキノン

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ちくわ4本目

「そんな…………一夏ぁ!!」

「おい、起きろ!! 何故だ、何故眠ったままなんだ、わたしが起きろと言っているだろう!?」

「嘘よ、こんな、こんなのって……!!」

「一夏さん……一夏さん……!!」

 

 4人の中心には、ボロボロになった一夏が満身創痍で横たわっていた。

 

「は、ははっ、何だよ、皆……何で、泣いてるん、だよ……げほっ……」

「ダメだよ喋ったら!! 待ってて、今すぐに治療を……!!」

「遅いよ、シャル……もう、手遅れだ……」

「弱気になるんじゃない!! わたしの嫁なら、……嫁ならッ、もっと踏ん張ってみせろ……!!」

「嫁、か……あり、がと、ラウラ……」

「一夏……ねぇ、一夏ぁ……っ」

「ものは、言わなきゃわかんねぇよ、鈴……こういう、風に、さ……酢豚、また、食べたかった、なぁ……、」

「一夏さん、わたくしは、……わたくしはどうすれば良いのですか!?」

「……ぐ、ぅ……簡単さ……泣かないで……せめて、最期、くらいは…………皆、笑って、く、れ……」

 

 今にも崩れ落ちてしまいそうな震える手を一夏が空へ向け、皆がその冷たくなった手を優しく包み込んだ。

 

「……別れる、時は、笑顔で…………皆の、顔……ぜっ、だい、わずれない……か、ら………………………………………………」

「一夏ッ」

「一夏っ!!」

「一、夏……?」

「一夏さん……!!」

 

 その手から力が抜け、地面に落ちる。

 織斑一夏の表情は、実に幸せそうな笑顔で、静かに、静かに、眠っていた。

 

 

 

 

 

 ――――織斑一夏、死す。(注:死んでません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっつ!! めっちゃあっつい!!」

 

 グラブレ使ったおかげで機体温度が有頂天!! ある程度防げてもこれはまずいですよ!!

 

「妹様、あちらに何故か冷却プールがご用意されておりますのでそこに飛び込んでみてはいかがでしょう」

「誰か知らないけどナイス!!」

 

 グラブレ取り外してISごとダイブ!!

 

 

 

 ――――って、あぁ!?

 

「メインブースターがイカれただと!? 狙ったかメイドさん!! よりによって水上で……クッ、ダメだ、飛べん!! ……浸水だと!? 馬鹿な、これがあたしの最後と言うか!! 認めん、認められるか、こんなこと、……!!」

 

 

 

 

 

「楽しそうですね、妹様」

「実は1回やってみたかった」

 

 何故か用意されていた冷却プールで水没王子ごっこは楽しい。

 あまりの熱量にプールの温度が上がって熱湯になってる。多分沸騰寸前。

 

「ふぃ~疲れた疲れた。もう終わりじゃダメ?」

「またアイアンクローされかねませんよ?」

「うぐっ、…………やります」

 

 あれはダメだよ。ぷちっと潰れる。

 

「おーい、次は誰だーい?」

 

 冷却がある程度済んでから専用機メンバーのとこに行くと皆が円陣を組んで何か相談中だった。

 

「うにゃ、何しとるん?」

「いやぁ、ちょっとまぁ色々相談をね…………意見とか言ってもいい?」

「ええよ」

「あの……こっち複数でもいい?」

「多対1かぁ…………まぁ別にいいけど、あたし負け確じゃない」

「あ、う、それ、は……、」

(優しさに押し負けちゃダメよシャルロット!! 一夏みたいに死んじゃうわよ!!)

 

 ※死んでません。

 

(そんな、不公平じゃ……、)

(シャルロットさん、一夏さんはその命をかけて証明して下さいました……彼の犠牲を、無駄にしたくはありません……!!)

 

 ※何度も言いますが一夏は死んでません。

 

(っ……で、でもっ……!!)

(シャルロット、覚悟を決めろ。もう我々は、戻れないところまで来ているんだ。ここで何が何でも生き残らなければ、誰が一夏の墓前に花を添えられようか……!!)

 

 ※再三言いますが一夏は(ry

 

「…………高宮さん。お願い、してもいい、かな……?」

「全然問題ないお、そんじゃあやろっか♪」

 

 早く終わらせよう、グラブレ重くて疲れたよもう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 陣形を展開、専用機持ちの4人が弧を描いて横に並ぶ。

 向かい合うISは相変わらず歪だ。背負うグラインドブレードのプレッシャーは計り知れないものがある。

 

「うっひゃ~、やっぱり壮観だねぇ、勝てるビジョンが浮かばない」

 

 手をかざして間延びした声で司信が4人を見渡す。その様子は余裕を含んでいるように見えて仕方ない。

 

「じゃっ、お手柔らかに――――おろ?」

 

 グラインドブレードを展開、しようとしたところでワイヤーが飛来、チェーンソー部分に滅茶苦茶に絡まった。

 

「行けッ!!」

「ナイスよラウラ!!」

 

 ラウラの操るシュヴァルツェア・レーゲンのワイヤーがぎりぎと音を上げて展開を阻害し、鈴音が愚直に真っ直ぐ突っ込んで来る。左右にはシャルロットとセシリアが展開できるだけの中・遠距離武装を展開して司信へ向けてくる。

 グラインドブレードは展開させてしまってはもう色々ヤバいので、とにかく奇襲で隙を作るしかない。よってラウラが全力で阻害、他が最大火力で潰すしかなかった。

 

「貰ったぁぁぁぁぁっ!!」

 

 作戦は成功した、鈴音は確信した。あとは双天牙月で叩き割ればいい……!!

 

「――――なんて、甘い考えはいけないよぉ」

「ッ、嘘っ!!」

「なん――――!?」

 

 鈴音が驚きに表情を染め、ワイヤーを引っ張っていたラウラの体勢が大きく崩れる。

 

「高々ワイヤー程度で止まると思っちゃ大間違い♪」

 

 ギャリッ、と異物を磨り潰すようにグラインドブレードがワイヤーを巻き込んで無理矢理展開され回転を始めた。

 

「ラウラ!! 早くワイヤーを……!!」

「わ、わかってる、わかってはいるが……!!」

 

 ワイヤーを切り離すにしてもそれは途中ではできない。1回機体にある分の全てを出しらない限りは。グラインドブレードの回転数はワイヤー射出の速度を遥かに上回り逆にラウラを引き摺り込もうとしてくる。

 

「クソッ、頑丈過ぎだ……!!」

 

 耐久性が高すぎるのが裏目に出た。

 

「ッ、よし…………あっ、しまっ――――!?」

 

 右腕のワイヤーが2本パージできた。その僅かな安心感がラウラの体勢を崩した。まだ左腕の物が残っていたのだ。

 

「ラウラァァァァァァァァッッ!!」

 

 鈴音が手を伸ばす。もうちょっと、自分のすぐ横を流れて行くラウラに、全力で。

 ラウラも助けを求めるように手を伸ばし――――

 

「――――あっ、」

 

 虚しく空を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガシャンと音を立ててシュヴァルツェア・レーゲンが地面に追突し横たわる。

 

「……よくも……よくもラウラを……!!」

 

 シャルロットが震える声で司信を真っ直ぐ見据える。目の前で親友が落とされた、その事実を目の当たりにして黙ってはいられなかった。

 

「シャルロットさん、落ち着いて下さい!! 貴方が取り乱してしまっては……!!」

「マズイマズイマズイマズイマズイわよぉ!?」

 

 鈴音が全力で前線を離脱、先程まで彼女がいた空間をグラインドブレードが轟音を喚き散らしながら抉った。

 もう帰りたい。鈴音はスローモーションの中で泣き叫びたくなった。目の前で暴力の渦中へ投げ込まれたラウラを見て、正気を保てる筈がなかったのだ。

 

「ちょっ、鈴音さん、前線は……!?」

「イギリス貴族さん足が止まってるよ?」

「っ」

「そぉれそれぇーいっ!!」

 

 次の標的はセシリア。無限ブーストでシャルロットの弾幕を置き去りにして司信が追ってくる。

 チャージが終わったグラインドブレードが容赦なく襲い掛かる!!

 

(当たらなければ……!!)

 

 迎撃は放棄。狙いはつけずにビットで足止めになることを願って指示を送り、自身は身を投げ出すように横へ避ける。

 司信はビットの攻撃をその身に受けながらも力押しで突貫し、ビットを1つ巻き込みながら空間を凪いだのだった。

 

「ぬぁぁぁぁ!! 当たらないしバリアないから絶対防御発動しちゃうしもう無理ゲーでしょこれ!!」

 

 喚きながら振り返り辺りを見回す。グラインドブレードを展開したおかげでレーダーもセンサーも感度が落ちて肉眼に頼らざるを得ないのだ。

 

「にゃ、ブロンド君がいない……?」

 

 セシリアも鈴音も視界にいる。しかし、シャルロットはいない。

 

「やばっ……!?」

「もう遅いよ」

 

 背後からの声に司信の表情が曇る。そこには《灰色の鱗殻(グレースケール)》をスタンバイしたシャルロットがいた。

 

「食らえ……!!」

「わぁぁぁぁぁブロンド君背中はらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 司信の制止も虚しく、パイルが背中を、正確にはグラインドブレードへのエネルギーバイパスを貫いた。

 

「がはっ……!? ヤバい、エネルギーが――――」

「え、何――――きゃあッ!?」

 

 エネルギーが濁流となって溢れ、シャルロットを飲み込んだ。グラインドブレードが稼働するためのエネルギーはそれこそ熱暴走を意図的に起こすほどのもの。巻き込まれてはひとたまりもなく、シャルロットが落ちる。

 

「熱い熱い熱い熱いぃぃぃぃぃ!! 貴族さん助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「ひぃぃぃっ!? な、何でこっちに来るんですのぉぉぉぉ!?」

「そのセシリアがどうしてこっち来るのよ!?」

 

 司信か背中から炎を吹き出して2人がアリーナ中を縦横無尽に逃げる。しかしながら膨大なエネルギーに後押しされる彼女はあっさり2人に追い付き、

 

「あ、エネルギー容量オーバー」

「「は?」」

 

 爆発四散してまとめて落ちた。南無三。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………なんだこれは…………、」

「お疲れ様でございます、織斑千冬様。説明致しますと、模擬戦の結果です」

「さっき爆発音が聞こえたんですが……、」

「妹様の武装が爆発しました」

「きのこ雲だったんですけど……、」

「問題ありません、ただのエネルギー爆発です」

「……………………………………………………、」

「……………………………………………………」

「……………………じゃ、じゃあ、まぁ、いいか…………、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後に5人が満身創痍の状態で発見された。その内3人がアフロになってた。

 

 因みに言っておくと、一夏は夜に巡回警備員に見付かるまでピットの端っこで放置されてた。




一夏
「言っただろ。“鈍感”は死なないのさ」





五之瀬キノン:ツイッター
@itunosekinon529


PS
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