1つ、白い筋を青い空に描き大空を飛翔する影があった。それを追いかける、これもまた白い影。
「おおおおおおおおおおッッッッ!!!!」
刹那、追いすがる『白式』の
それに『白式』はぴったりと追い付く。それは本来の『白式』ではなく、
「なんて機動なのよ……!?」
『甲龍』を駆りなお全く追いつける気配がない。その事実に歯噛みする。
「鈴さん、追いかけるだけでは無理ですわ、誘い込みます!!」
「ラウラ、セシリアに合わせて!! 鈴、僕が囮になるからその間に!!」
「6時方向、撃ち込むぞ!!」
海上付近から放たれたレールガンの弾道が音速を越え筋を描き飛ぶ。それは1つでなく、2つ3つと絶え間なく『
軌道を読み切り回避――した先には紅の影、『紅椿』が待ち構えていた。
「はあぁぁぁぁッッ!!」
空裂の雨月の斬撃が雨霰となって空間を埋め尽くす。『
『紅椿』は距離を詰め未だに回避行動中の『
手数は同じ、しかし自由度は?
「チィッ!!」
ぐにゃりと翼が形を変え、刀を掻い潜ってきた。ただの翼ではなく、一対から二対に分裂している。
「箒、合わせてくれ!!」
「応!!」
白と紅の線が交わる。前後左右から刀の雨、それを4枚の翼でもって弾き、時に懐を狙わんとしてくるのだ。
「挟み込むわよ!!」
「一夏、箒!!」
『甲龍』と『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』が肉薄し、『
【――――――――La――――A""""""""""""""""""""""""""】
その中心で『
【Lo――――Gi――jjjj――――a】
それだけでなく、今まで碧銀色だった翼が血のように真っ赤に染まり上がる。
「な、まだ出力が上がるのか!?」
「ちょっと、何か
【Viiiiiiiiiiaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaoooooooooooooooooo】
「うわぁ!?」
「やべっ……!!」
迸る電流が囲んでいた4人を襲う。たちまち『
それは、もう天使ではない。悪魔そのものだ。
「皆さん!! 今すぐそこを離れて下さいまし!!」
「いや、離れたいんだけど……!!」
「くっ、無理だ、引き付けられる……!?」
黒の稲光は音を立てて4人に絡み付き、決して離さない。
「待って、これ、エネルギー吸われてないッ!?」
「くぅぅ……どうしよ、早くしないと、吸い尽くされちゃうよ……!!」
全力でスラスターやブースターを噴かしても逃れられない程の引力。更にガリガリと削られていくエネルギーが『
「クソッ、どうすれば……!?」
『
「やぁ」
「「「「「ッ!?」」」」」
あれぇ、皆ピンチやん。
「高宮さんか!?」
「応ともさー、しのぶちゃんですよー。ピンチの時はビビッと参上、高宮司信けんざーんっ。かっこいいポーズ!!」
ふふん、決まった。
「……高宮、どこから通信してる」
え゛、眼帯ちゃんもしかして見えてない……?
「まぁいいや。今ポースできない状態だし」
「真面目にどこだ!?」
「あたしの場所はどーでもいいから、眼帯ちゃんと貴族さんは速く真っ白いの捕まえちゃって」
「高宮さん、一体どういうことですの!?」
「理由は終わってから話すよー。そこでわちゃしてる織斑君含め4人っ。そのまま引き付けて捕まえててねっ」
さぁて、と。
「メイドさん。切り離し、お願いねー」
「仰せのままに。ご武運を」
という訳で、あたし、戦場に参上ッ。
今あたしは戦闘領域内、更に言えば丁度『
ガコン、と頭上で音がする。あたしをISとOWごと持ち上げていた大型ヘリの固定具が外れた。
「ではではお次の
あたしが積んできたのは、マルチプルパルス。両肩に扇状に何列もマウントされたパルスキャノンがスライドし、展開。前方から真横まで、計130門が牙を剥くのだぁ!!
ジェネレータがリミッターを超えて稼働を開始、轟音を上げてエネルギーが生成され強力なパルスキャノン1本1本にチャージされてゆくゥ!! この感覚!! この感動!! この感触!! 良きかな、絶景かな!!
「やっほおおおおおおおおおお皆あああああああああああお待たせええええええええええええっっっっ!!!!」
「ちょっと待って高宮さん何担いで来てるのおおおおおおおおおおおおお!?」
「いつもの
「ちくしょおおおおおおおおおお助けに来てくれたのに全然嬉しくないぞおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
「はいでは皆さんご一緒にCount Dawn!! わん!! つー!! さんっ!!」
距離はゼロ!! では遠慮なく。
「発射ァ!!」
「「「「「やめてえええええええええええええええええええええええっっっっ!!!!????」」」」」
ハッ、視界から光が逆流する……ギャアァァォァァァ眩しいいいいいいいいいい!?
そっからのことはよく覚えてない。あまりの眩しさに目がくらんで、海に落ちた、みたい。
みたいって言うのはあたしの意識がハッキリしたのがヘリの中で、そこでメイドさんの話を聞いたから。曰く、あたしのOWの影響でゴスペル共々専用機全員を落としたらしい。メイドさんがあたしをここまで運んだ大型ヘリで海に落ちた全員を回収して、ついでに沈みかけてたゴスペルもサルベージしたとかなんとか。
今はヘリで帰還中で、ゴスペルはあたしのISと一緒にぶら下げてるって言ってた。機能も完全に停止してて、これで一応今回の事件は幕を閉じた、と思う。
あ、因みにこの輸送ヘリ、初日にはまだ無かったけど、その日の夜にメイドさんが取りに戻ってたみたい。あの時近くにメイドさんがいなかったのはそういうことなのだー。
さて、ヘリの中でボーッとドリンクを飲みながら天井を見上げてたら、床に雑魚寝状態だった皆が起き出した。
「おはよう諸君。あたしより目覚めが遅いとは実に由々しき事態だね」
とは言ってみるが元々私は朦朧としてただけで起きてはいたからね。
しかし皆まだボーッとしてる。仕方ないか、至近距離でマルチプルパルスに晒されちゃあねぇ。
「君たち大丈夫かーい?」
「……ぁ、高宮、さん?」
「はいはい、司信ちゃんですよー、ブロンド君」
「えっと、ゴスペルは……?」
「アレならもう止まったから今下に釣り下げてるよー」
「じゃ、じゃあ、さっきの光は……夢、じゃない……?」
「夢だったら皆今頃やられちゃってるよ? ゴスペルが本来の枠組みを超えて暴走しちゃってたみたいだし」
「うっ」
あ、ブロンド君がまた倒れた。
「顔真っ青だよ?」
「僕だけじゃないと思うけどね……」
はて、そうなのか。と周りを見渡して見ると皆揃って顔色悪くして目を逸らした。
「うん、やりすぎちゃったね。めんごめんご」
「もう……次は巻き込まないでよ……?」
「だいじょぶだいじょぶ問題ないない。あたしの近くにいなければ当たらないから」
「もう使わないって選択肢はないのぉ!?」
「それは無理な注文ってやつだよブロンド君。あたしの武装6つしかないんだから」
まぁ他は滅多なことが無ければ巻き込まれる心配もないしね。多分。
ヘリが移動を止めて徐々に高度が下がり始めた。覗き窓から外を見ると下は夕焼け色の砂浜で、既に待っている人影が。世界一位の人と副担任さん、あと兎さんまでいる。
「ご苦労だった」
ヘリを降りると世界一位の人が腕を組んだままそう言った。あたし以外は皆若干ふらついてたけど、まぁ大丈夫でしょ。
「お前たちの成果は認めざるを得ない、が、それは堂々と命令を無視した上でのものだ。罰則が適用される、ということはわかっているな?」
お許しは出ないそうだ。つらいのう。
「……お前たちには反省文の提出を命ずる。期間は1週間後だ。遅れずに提出するようにしろ。以上だ」
「え、あの、それだけ、なのですか……?」
「それだけだが? なんだ、更に増やして欲しいのか?」
惚けるあたし以外を代表して眼帯ちゃんがそう言い、世界一位の人が意地悪そうに笑った。
「……ふっ、冗談だ。お前たちはよくやってくれた。しばらくは休め。山田先生、彼らをお願いします。私は
「仕方ないなぁ」
世界一位の人は兎さんを連れ立ってゴスペルの方へ。後処理、か。何するんだろ。アメリカへの引き渡しか何かかね。兎さんがいる時点で主導権はこっち側にあるのは明白だけど。
ま、気にしても仕方ないか。
「疲れた。お風呂入りたい」
「旅館の温泉が開放されてますから、皆さんゆっくり浸かってきて大丈夫ですよー」
「おー、ナイスだぜ副担任さん。行くかー。…………あ、歩くのメンドクセェ。メイドさぁー……んは、そっか、ヘリ収容しに行ったんだった。織斑くーん、おんぶー」
「え、あ、おう?」
「怪我人に何を強要させる気だバカ」
「あうー、眼帯ちゃん襟首は苦しいからだめよー。わかったよぅ、歩くよぅ、自分で歩いてやりますよぅ」
はぁ……つらい。
「というか、一番ダメージが少ないのはお前な上に私たちのダメージソースはほぼお前からだからな?」
「その点については反省してるさー。後悔は微塵もしてないけどネ。取り敢えずいつかお詫びは皆にするからさ、今は一件落着ってことで」
ね? とぶりっ子ぶってみると、皆一息ついて苦笑してた。良かった良かった。
「ではひとまず温泉へ~、れっつらごぉ~」
まずは休みだ。風呂、飯、寝る。何、夜にはOGの講習会だと? 知らん、あたしは寝るからなッ。
五之瀬キノン:ツイッター
@itunosekinon529
PS
活動報告にて、ペロちゃんに関係するアンケートしてます。
ご協力お願いします。
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