生徒会の一存<補佐という名のお世話係>   作:雨宮夏流

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原作の1話分は長いので、3つに分けて投稿します。

お楽しみ頂けたら幸いです(雫*・ω・)


駄弁る生徒会①

「世の中がつまらなくなったんじゃないの。貴方がつまらない人間になったのよっ!」

 

 今日も碧陽の小さな会長は小さな胸を張りながら、なんかの本の受け売りを偉そうに語っていた。

 いつもならスルーするオレだけど、くりむにしては良いことを言ったのではないかと思う。

 初めての経験ほど面白いことはないだろう。……いや、あるかもしれないけどね。

 初めてのラノベ。

 初めてのゲーム。

 初めてのネット。

 ――ってあれ? コレだけ見るとオレって廃人じゃない?

 

 あ、自己紹介をしてなかったね。

 オレは3年の(ひさぎ)結姫(ゆき)。初対面の人には必ず「なんて読むの?」と言われる。切ない。女子みたいな名前だけど、男の娘だから気にしない。

 役職は生徒会長補佐。生徒会補佐じゃないよ。ちなみに、別名・生徒会長のお世話係とも言う。というかコッチが正式名称になりつつある。

 

「じゃ、童貞もそんなに悪くないってことですか?」

『ぶっ!』

 

 さすが鍵だ。あの言葉からこんな言葉が出てくるなんて……。

 くりむは飲んでいたお茶を吐き出して咽ていた。どうでもいいけどさ、女子がお茶を吐き出すのはどうかと思うよ。

 オレ? オレはくりむの隣で長机を拭いています。お世話係だからね。

 

「今の私の言葉からどうしてそんな返しがくるわけ?」

「甘いですね会長。俺の思考回路は基本、まずはそっち方面に直結します!」

「なにを誇らしげに! 杉崎はもうちょっと副会長としての自覚をねぇ……」

「くりむに同感。鍵、お前は自覚がなさすぎだと思うよ」

「ありますよ、自覚。この生徒会は俺のハーレムだという自覚なら十分―」

「ごめん。副会長の自覚はいいから、そっちの自覚を捨てることから始めようね」

「なんかサラッとオレもハーレムに入れられてる気がする」

「当たり前だ! 結姫さんは同性だけど、そんなに可愛いなら全然OK!」

「まあ、鍵が良いならオレは別に構わないんだけどね?」

「そこは構いなさいよ、結姫!」

 

 一応この2人も紹介しておこうか。

 

 女子生徒の方は、ここ、私立碧陽学園生徒会長・3年の桜野くりむ。

 どこをどうみても高校3年生に見えないロリ容姿。小学生並みの頭脳。

 いつも思うけど、ホントにくりむが生徒会長で良いのかな?

 てか、どうやって高校に入れたの? 不思議でならない。

 ちなみに、オレとくりむは幼馴染だよ。

 

 男子生徒の方は、生徒会唯一の男(オレは男の娘だからね)、副会長・2年の杉崎鍵。

 容姿だけ見れば良いのに、その中身が物凄い美少女好きで生徒会を自身のハーレムだと思い込んでいる、とても残念なイケメンだ。

 ちなみに鍵がタメ口なのは、オレが『親友だから』って理由で敬語止めさせたから。でも、『さん』付けだけは譲らなかったんだよ。「結姫さんにはお世話になったから、敬意を示してる」らしい。そんな大したことしてないと思うんだけどな。

 ……本当、黙ってればカッコいいのに。

 

「結姫ー、それ取ってー」

「ん、これ? ほい」

 

 くりむはさっきオレが長机を拭いたティッシュを何故か要求。何すんだろ?

 

「会長ぉ」

「なによ」

 

 あ、なるほど。さっきのティッシュはゴミ箱にシュートするみたいだ。片目瞑って、マジで狙ってるし。見た目も頭脳も子供だ。コ○ンくんとは全然違う。

 

「好きです。付き合ってください」

「にゃわ!」

 

 今の状況を詳しく言うと、鍵が唐突に告白、驚いたくりむがズッコケる、ティッシュが床へダイブ。え? 詳しくない? そこ気にしたら負けだから。

 

「杉崎はどうしてそうやって軽薄に告白が出来るのよ!」

「もちろん、本気だからですよ」

「嘘だっ!」

「くりむ、『ひ○らし』ネタは古いぞー」

「別に良いのよ。杉崎、この生徒会に初めて顔を出した時の第一声を忘れたとは言わせないわよっ」

「えーと、何でしたっけ? 『俺に構わず先に行け!』でしたっけ?」

「『皇帝(カイザー)ベリアル、降臨。ゼロ、光とともに立ち向かえ!』でしょ、鍵」

「初っ端からどんな状況よ!? 違うでしょ! それと結姫! 私はウ○トラマンはコス○ス派よっ」

 

 えー、良くない? ウルトラマンゼ○。カッコよくない? セ○ンの息子良くない?

 

「あれ? 違いますか? それじゃあ……『ただの人間には興味ありません。宇宙人、未来人――』」

「危険よ杉崎! 色んな意味で!」

「大丈夫です。原作派ですから」

「何の保証!? あとアニメの出来は神だよ!」

「オレはマンガ派だけどね。」

「そんなの知らないよ!」

「オレの今年度の第一声は『私の毒を、あなたに入れる。あなたが決して、私から――』」

「結姫! 富士見書房なら良いって訳じゃないのよ!」

 

 どうやら、くりむはツッコミすぎてお疲れのようです。息切れしてるし。でもオレだってたまにはボケたいんだよ。

 

「冗談ですよ、冗談」

 そりゃそーでしょ。それが第一声とか頭イっちゃってるよ。

 

 

「みんな好きです。ちょー好きです。みんな付き合って。絶対に幸せにするから」

 

 

 前言撤回。これも頭イっちゃってるね。

 

「そうよ。あの時点であなたの不誠実さは知れ渡っているのよ! 誰でもいいから付き合ってって堂々と言う人間と誰が付き合うっていうの!? それに結姫が男なのは知ってたんでしょ!?」

「くりむ、残念だけど1つ訂正。オレは『男』じゃなくて『男の娘』だ!」

「それわざわざ訂正することなの!?」

 

 オレにとっては大事なことだよ、とっても。

 

「失礼な。誰でも良くなんかありませんよ。それに結姫さんが同性だからって別に良いじゃないですか。俺は美少女に一途なんです! もちろんその中に結姫さんも入っています!」

「美少女っていう括りが大きいのよ! ていうか、結姫はそれで良いの!? 女扱いされてるのよ!?」

「別にいいよ? さっきも言ったけど、鍵が良いならそれでOKだし」

「即答!? なんか知らない間に幼馴染が変わってた!」

 

 それに、鍵が本気でオレのこと恋愛対象で見てるわけないじゃん。ただの()でる対象でしょ。オレもそれが分かってるから、全然良いんだけどね。

 まあ、ほっといた方が面白いからほっとくけど。

 

「でも、フラフラしてる主人公より、最初からハーレム宣言してる方が良くないですか?」

「いや、そもそも杉崎は立ち位置もスペックもギャルゲの主人公とは違いすぎるから」

「それには同意するよ、くりむ」

「こんなにも女の子が好きなのに!?」

「じゃあ逆に聞くけどさ、女好きの主人公なんて見たことあるの? オレはそっち系のゲームはしないからよく分からないけど、そんな主人公嫌じゃない?」

「そうよ! 女好きのキャラなんて、大体主人公の親友みたいなサブキャラじゃない!」

 

 ……なんで詳しいのかは聞かないでおこう。くりむの名誉のためにも。

 

「ルックスは良いのにー!」

「けーん。それ自分で言ってる時点で終わってるよー」

 

 何かブツブツ言いながら、鍵がさっきくりむがシュートをはずしたティッシュをゴミ箱へ。

 

「杉崎は、その……たまに気が利くって言うか、優しいわよね、無意識に」

 

 確かに。それは言えてる。

 それに対し鍵はと言うと、ニコッと微笑み……

 

「いつもとギャップがあると、好感度って大幅に上がるでしょう?」

「しまった! 狙ってやってるんだ!? 私の中で杉崎への好感度が微妙に上がった気がする!」

「よしよし。大丈夫大丈夫。きっとスグその好感度は減少するから」

「結姫さん、何気にそれ酷くね!?」

 

 ごめん、鍵。だってお世話係だから、くりむ(なだ)めないと。オレはきちんと仕事こなしてるだけだよ。

 

「まあ、女性にモテるためにやってたらクセになっちゃいまして。今では会長の言う通り、ほとんど無意識でやってますね」

 

 え? 『女性にモテるため』? オレにも優しいし気が利くよね?……無意識だからオレにもやってくれるんだよね、きっと。うん、そういうことにしておこう。鍵がオレをマジで女として見てるはずがないよね。

 

「ハーレムルートの先には尋常じゃない精力が必要ですから」

「なんのために必要なのかは言わないでね」

「その対応が既に理解してる証拠では?」

「はうっ」

 

 鍵って存在がセクハラだと思うときがあるよ。言動も行動も、全てがセクハラじゃん。親友のオレでも思っちゃうもん。裁判行ったら絶対勝てないよ、お前。

 

「キー君、あまりアカちゃんをいじめちゃダメよ。それにヒメちゃん、あなたも止めてあげてよ」

「あ、知弦」

 

 今会話に加わった女子生徒が、生徒会書記・3年の紅葉知弦。

 大人っぽい容姿に大人な口調。それに加えて成績が良い。まさに『クールビューティー』という名がふさわしいと思う。

 それと、『ヒメちゃん』というのはオレのあだ名。結姫⇒ユキ⇒雪⇒白雪姫⇒姫⇒ヒメちゃん、らしい。本人曰く「名前に『姫』って字が入ってるからいいじゃない。あと、女の子みたいだから『ちゃん』ね」とのこと。

 ちなみに、くりむ⇒クリムゾン(真紅)⇒赤⇒アカちゃん。鍵⇒カギ⇒key⇒キー君。

 

「やだなぁ。誤解ですよ、知弦さん。いじめてたんじゃなくて……辱めてたんですよ」

「知弦、オレはちょっと考え事をしてたんだよ。鍵の存在について」

「余計に悪質よ? ヒメちゃんは『キー君は存在がセクハラだ』とか考えてたんでしょう」

「さすが知弦。よく分かったね」

「当たり前でしょ? 3年間同じクラスなんだから」

「ちょっ!? 2人ともサラッと酷いこと言いませんでした!?」

 

 鍵が涙目になってるけど、気にしない。気にしたらそこで試合終了だ。

 

「そ、それはともかく、今日は集まり悪いですね。俺のハーレム。」

「ハーレムじゃなくて生徒会ね。それにいいんじゃないかしら。これといってやることはないんだし」

「いえ、それじゃダメなんです! 基本、好感度は直接会わないと上がらないんですよ!?」

「それで? それがどーしたのさ」

「つまり、生徒会室に来ないと俺との愛は(はぐく)めない訳で!」

「あ、だからあの2人は来ないのね」

「グハッ!」

 

 知弦の『心にグサッと来る発言』攻撃により、鍵に300のダメージ。

 

「で、でも! 知弦さんは俺との愛を育みに来てくれたってことですね!」

「……。あ……、うん、……そうね」

「うぐぁ!」

 

 知弦の『うわの空でとりあえず肯定』攻撃により、鍵に400のダメージ。

 合計で700のダメージ。

 それでもくじけないのが、杉崎鍵という男だけどねー。

 

「く……。しかしこういうクールキャラこそ惚れたら激しいに違いない!」

「あ、それは正解よ。私、昔初恋の子に『好き』だけを羅列したラブレターを毎日300通送って、最終的には精神崩壊に追い込んじゃったことがあるわ。意外ともろかったからそこで冷めちゃったんだけどね」

 

 オレは即座に理解した。絶対に知弦に惚れてはいけないし、惚れられてはいけないということを。この話聞いただけで鳥肌が……。

 相手の男子は大丈夫だったのかな?一生物のトラウマだね。ま○チキ!の主人公みたいに女性恐怖症になってないと良いけど……。

 

「キー君、あなたはどうかしら?」

 

 いやさすがの鍵でも無理でしょ。怖すぎるって。

 あ、空気と化してたくりむが恐怖に震えてる。とりあえず頭なでておこう。良い子良い子。

 

「……分かりました」

「あら。この話を聞いた上で私を受け入れてくれるの? 今、私の中でキー君への好感度が上昇して――」

「俺、知弦さんとは体だけの関係を目指します!!」

「……ハァ。さて勉強でもしようかしらね」

「え、ちょっと!? 知弦さん!?」

 

 ほら、やっぱりダメだった。だけどまだ諦めてないところが鍵らしいや。

 ちなみにオレは今、怖がってたくりむにお菓子を与えています。

 

「ん~~~~♪」

 

 ものすごく幸せそうに食べてます。……なんかオレも食べたくなってきた。

 

「くりむー。オレにもちょーだい」

「んー、ちょっとだけだよ?」

「ありがと♪」

 

 鍵と知弦はオレ達を見て、至極幸せそうにしてる。何故?

 

「あ、会長。そんなに食べてたら太りますよ?」

「うっ! だ、大丈夫。栄養を背と胸に回すんだもん!」

 

 お菓子に栄養なんてあるの? あるのは脂質だけじゃない? そう思いながら、オレもくりむに貰ったお菓子をパクパクモグモグ。オレは3個しか貰ってないからモーマンタイ。

 

「腹に行ったときのリスクは多大なものがありますよ?」

「ぐ……。えぇい!」

 

 結局くりむは、はむっと一口お菓子を食べてしまった。

 

「次の問題の答えは、よし。『メタボリックシンドローム』と」

「……!!!」

「知弦、さすがにそれは……。くりむが涙目になってるから」

「あら、それはそれで可愛いじゃない」

 

 そうでした。コイツは真正のSでした、ドの付くSでした。

 

 




ここでちょっとオリ主・楸結姫の補足説明をば。

容姿について。
髪は肩より少し長いくらいで、水色。基本、後ろで1つに束ねています。そして、両側の前髪をピンクのヘアピンで止めています。オッドアイで、右目が赤で左目が青です。
男子制服に、知弦さんと同じリボンをしています。

容姿が厨二っぽいのは、結姫くんの過去を成り立たせるためです。
過去にちょっと色々ありました。

結姫くんの座っている位置は、くりむちゃんの右隣です。杉崎側です。

参考までに、イラストを描いてみました。
イメージを崩したくない方は、見ないことをオススメします。
http://id24.fm-p.jp/data/454/7shizuku/pri/1.jpg

くりむちゃんがウル○ラマンコス○スを好きかどうかはわかりません。捏造です。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
感想、誤字脱字報告、ダメ出し、お待ちしております(雫*・ω・)ノシ
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