前回と引き続き、お楽しみいただけたら光栄です(雫*・ω・)
くりむはというと、お菓子を1つ食べただけなのに、めちゃくちゃテンション下がってた。知弦の一言が効いたんだろうなぁ。
「大丈夫ですよ、会長。もし貰い手がなくなったら……」
お、鍵が何かカッコいいことを言おうとしている気がする。あくまで『気がする』だけ。
「杉崎……太っても美少女じゃなくなっても、そんな私でも好きだって言ってくれるの?」
「仕事に生きてください」
「リアルなアドバイスだ!?」
やっぱり『気がした』だけでした。そこは嘘でも『好きだ』って言ってあげようよ。
「俺、陰ながら応援しますから!」
せめて日なたから応援してあげて。
「陰からなの!? 太った私には付き合う価値さえないんだ!」
「太らないように頑張ってくださいっていう、俺なりの叱咤激励ですよ」
「あうー……」
あーもう。くりむが泣き出しちゃったよ。まったく鍵は……。
「頑張れ!俺のハーレムに留まるために!」
「あ、なんか急に太っても良い気がしてきた」
「そうそう、別に良いと思うよ? くりむ可愛いんだから、少し太ったって変わんないよ。もし、貰い手がなくなってもオレが貰ってあげるし」
「ふぇ!?」
あれ?どうしたんだろう。くりむが耳まで真っ赤にしてる。知弦は子供を見守る親のような目でオレとくりむを交互に見てるし。鍵は……
「ちょっと、
「くりむはお前のじゃないし。それに誰が誰を口説いたって言うのさ?」
「結姫さんが会長を口説いただろ、今!」
「……?」
よく分からないから首を傾げてみる。なんか鍵が「くそぅ!可愛いじゃねぇか!天然はズルい!」とか言ってる。……我が親友ながら訳の分からん奴だ。
ちなみに、知弦は本格的に勉強に取り組み始め、くりむはさっきのことなどなかったかのようにお菓子食べてます。……いや、まだ多少ほっぺが赤い。マジで何で?
「おっくれましたー」
「す、すいません」
対照的な態度で入ってくる女子生徒2人。この2人の紹介もしておこう。
気の抜けた挨拶で入ってきた女子生徒は、鍵のクラスメートであり同じ役職の副会長・2年の椎名深夏。長い髪をツインテールにしていて、運動神経が良く男口調の美少女。男女ともに人気が高いけど、男嫌いで若干百合気味。特に鍵みたいな男が嫌いみたい。鍵曰く「ツンデレ」なんだって。
ものスゴく申し訳なさそうに入ってきた女子生徒は、深夏の妹の会計・1年の椎名真冬。頭に大きなリボンをつけ、姉の深夏と真逆で儚げで、男が苦手という美少女。みんな『ちゃん』付けで呼んでるけど、オレは呼び捨て。姉の深夏以外の人は呼び捨てがしっくりこないんだって。そんなことないと思うんだけどなぁ。
そして何と言っても……
「真冬ー。新作のモ○ハンやったー?」
「はい、もちろんです!」
ゲーマー仲間なんだよね♪
「やっぱり武器は大剣派なんだよねー」
「そうですか? でもハンマーも使いようによっては――」
「おーい。真冬、結姫さん、そろそろ戻って来ーい」
真冬と二次元へ旅立とうとしたら、深夏に三次元へと連れ戻されてしまった。
「そうそう。2人は『初めてのときはあんなに面白かったのに』みたいなことってなんかあるか?」
「なんだよ、鍵。やぶからぼうに。」
「いやさ。会長が世間がつまらなくなったんじゃなくて自分がつまらなくなったんだ、なんて久々に良いことを言うものだからさ」
「久々とは失礼なっ!」
「落ち着け、くりむ」
くりむが騒ぎ出したから落ち着かせる。知弦も見てないで手伝ってよ。
「真冬は……お化粧、コスメですかね」
「化粧?」
「はい。子供の頃は母親がしてるのを見て憧れてたんです。それで中学生の頃、初めて自分のコスメを買ったときは嬉しくて。でも良く考えたら、真冬は着飾るのって好きじゃなかったみたいで……。最近では、最低限のことしかしたくないというか……」
なーる。面倒そうだもんね。ちなみにオレは化粧水と乳液を欠かしません。月1パックも忘れずに。乾燥肌って大変。
「ちょっとダメですよね、女の子として」
「大丈夫だよ、真冬ちゃん! 真冬ちゃんは化粧なんかしなくても十分可愛いから! むしろ真冬ちゃんの本来の魅力を隠してしまう化粧なんて、無い方が良い!」
「あ、ありがとうございます……」
真冬が鍵の言葉に頬を染めている。え? もしかして脈アリ? もしくは男がそばにいて緊張?……後者だな、うん。
「コラ鍵! あたしの前で妹を口説くな!」
深夏、その言葉だと深夏の前じゃなかったら口説いて良いって聞こえるよ。
それにしても、深夏ってシスコンだとつくづく思う。そんなシスコン(笑)の肩に手を置いた鍵。
「まあまあ。嫉妬をするな、深夏よ。……お前もちゃんと魅力的さ!」
「いやいや、嫉妬じゃねーから!」
「深夏にも、結婚すれば真冬ちゃんが義妹になるという大きな魅力がだな――」
「しかもあたしの魅力じゃねぇ! 結局真冬狙いかよ!」
きっと鍵は今頃、『自分を見てもらえなくてヤキモチか』とか思ってんだろーな。
今思ったけど、嫉妬とヤキモチって同じじゃない?
「ヤキモチじゃねーって!」
「おぉ! ついに以心伝心まで! ゴールインは近いな」
「オレも鍵が『ヤキモチ妬かなくても』とか考えてると思いましたー」
「結姫さんとも以心伝心!? 俺めっちゃ嬉しい! 大好きだーっ」
「オレも鍵のこと大好きだーっ」
鍵とハグ。真冬が若干興奮してる気がする。そして、くりむがなんかコッチ見てむくれてる……。どうしたんだろう?
「2人とも仲良すぎだろ! てか鍵、お前なんか怖いよ! 思い込みの激しさが怖すぎるよ!」
「思い込み?……仕方ない。そういうことにしておいてあげるよ。照れ屋さん♪」
「こ、殺したい……」
プルプルと怒りに震える深夏を、真冬は必死に
大丈夫。オレも少しイラっときたから。
なんだかんだで全員集まった生徒会メンバーを見渡し、鍵は満足げな笑みを浮かべている。
「ううん、ハーレム万歳! いつ見ても良いねぇ、この光景は。頑張って生徒会に入って良かったなぁ」
「そういえば、キー君は【優良枠】で入ってきたんだっけ。……とてもそうは見えないのに」
「そうだよなー。コイツ、どこをどう見てもただの色ボケ男だよなー」
「才色兼備な顔してると思うんだが」
鍵はどこからともなく鏡を取り出して自分の顔をマジマジと見ていた。それを見て真冬は苦笑していた。たぶんオレは呆れ顔だ。そこで、くりむがバンッと机を叩いた。
「散々言ってきたけど、やっぱりこの学校の生徒会選抜基準はおかしいわよ! 人気投票からしておかしいけど、【優良枠】にしても、成績だけじゃなくてメンタル面も見るべきだわっ!」
くりむが、今年度に入ってから何度目か分からない文句を口にする。
さて、ここでこの学校の生徒会役員選抜法の説明をしよう。
まず、基本的には全校で行う【人気投票】でメンバーを決める。ただしこれは、ほぼ100%の確率で可愛い女子に決まるので、つまりのところミスコン。キレイな女子は男女共通の憧れになるけど、美男子は男子からの反感を買ってしまう。しかも、その『憧れの生徒会』が上に立っていれば、案外みんな生徒会の言うことを聞いてくれる。カリスマ性さえあれば、生徒会の仕事は誰だってできるしね。結果的に、生徒会は美少女の集う場所となる。
しかし、やっぱり妥協点はある。それが【優良枠】。各学年の、年度末試験のトップ成績優秀者は、本人が希望すれば、生徒会に入ることが出来る。これによって、表向きは優秀な人材も取り入れられるようになってるんだけど……。普通、学年1位になる人はビン底メガネをかけてるようなガリ勉……、まぁオレの偏見だけど。とにかく、めったに希望者は出てこない。
けれどもそこに、昨年の年度末で1学年のトップを取って希望を出したのが――言わずもがな、鍵である。
「しっかし、鍵も良くやるよなぁ。そのパワーは尋常じゃねーぞ」
深夏が呆れた視線を鍵へ送る。くりむも「まったくだよ」と嘆息していた。
「俺は、【自分以外全員美少女のコミュニティ】に入るためならなんだってしますよ。ええ。入学当初ほぼ最下位の成績だったとしても、1年でトップになることくらい、朝飯前です」
「オレは美少女じゃないけど……、まあいいか」
なんかくりむが「よくないでしょっ!」って言ってるけど気にしない。
「……な、なんか真冬、たまに杉崎先輩がスゴく大きく見えます……」
「真冬っ! それは錯覚だ! 鍵なんかに憧れるな!」
「でも鍵はホント頭良いよね。そこだけは憧れても良いんじゃないか?」
「そうそう。頭が良いのは事実なんだぞ、深夏よ」
でも本音を言うと、オレは鍵に憧れたくないんだよな。
「動機が不純なんだよ! そんな心持ちで生徒を束ねる生徒会に在籍しようだなんて……」
「政治家だって、よく女性問題でスキャンダルになるだろ? 人間、多少エロい方が人の上に立ちやすいんだよ。俺も中年になっても、手鏡で女子高生のスカートの中を覗くようなハングリー精神だけは忘れたくないものだ」
最近の政治家は金銭問題の方が多くない? てかさ、『中年になっても』ってことは、今もやってるってこと? さすがにオレも引くぜ?
「悪い見本を引っ張り出すな!」
「そうだよ! やっぱり、成績が良いってだけで入れちゃうのは変だよ! そのせいで、杉崎みたいな問題児が入ってきて……」
「みんな忘れているようだけれど、ヒメちゃんも【優良枠】よ?」
え、ちょ、みんなして『そういえば……』って顔すんなよ。
「つい忘れてたけど、昨年も今年も、結姫さん【優良枠】で入ってきてたんだよなー」
「なんで結姫さんは【人気投票】で入れないんだろうか……」
「真冬もそう思いますっ。こんなに可愛いのに……」
「ヒメちゃんは、一昨年は6位。昨年は8位。今年は5位だったのよね。」
「ああ。やっぱり男の娘ってのが、足引っ張ってるんじゃないかな?『可愛いけど結局は男だし』っていう人は票入れないだろうし」
票入れてくれる人は、『可愛ければそれでOK』とかオレを愛でる対象として見てる感じなんだろう。
「結姫は可愛いけど、中身は普通に男子だしね」
「うん。それが当たり前だからな、くりむ。」
「いや、でも、結姫さんが実は男装美少女でしたっていうのもアリだ!」
「うん、それはナシだ!」
いきなり何を言い出すんだよ、鍵。男装とかが通じるのは二次元だけなのに……。三次元で通用したらクオリティ高いよ。……あ、作者の知り合いに男装してる子いるわ。
「あの、そういえば、楸先輩はどうして生徒会に入ったんですか?」
「んー。さっき知弦が言ったように、オレ、1年のとき6位で役員になれなくて。別に役員になりたかった訳じゃないんだけど、『あと少しだったのに』ってなんか悔しかったから、実力で役員になってやろうと思ってさ」
「改めて聞くと、結姫さんって負けず嫌いだよなー」
「まあ、もともと成績はそんなに悪くなかったし、勉強も嫌いじゃなかったから。ただ、1年の間勉強ばっかりで他人とあんまり接しなかったから、人気投票の順位は落ちたけどね」
「私と試験の順位競ったのよね、ヒメちゃん」
「一時期、勝てる気が本当にしなかったよ。今も余裕ないけど……」
正直、学年末で勝てたのも奇跡だよ。数点差しかなかったし。
「でも、悔しかったからって、全校集会で自己アピールしようとするのはやめてっ」
「自己アピールって、楸先輩は何をしようとしたんですか?」
「えーっと、女の子の声で可愛く自己紹介しようとしただけだよ?」
「それは……、違和感ありませんね……」
「でしょ、でしょ」
「全校集会でふざけないでって言ってるのよ!」
「オレ、ふざけてるつもりないんだけどなぁ」
「結姫さんのその容姿で、女の子の声だと……!?」
「≪うん、こんな感じでね♪≫」
「か、可愛い!」
「≪バカ○ス読んで、秀吉にあこがれて、頑張ったら声帯模写できるようになったんだー≫」
「頑張ったら出来るものなのか、声帯模写って!?」
「≪私、鍵のことだーい好き♪≫」
「ぐはっ!」
「結姫さん、それ以上は鍵が死ぬ!」
「≪えー……≫分かったよー」
ちぇ。久々にやったからもっと遊びたかったのになー。鍵からかうのって楽しいし。
「とにかく、ちょっとした悪ふざけを除けば、結姫は【優良枠】に相応しいわっ。どうして杉崎みたいな問題ばかりの男が入ってきたのかしら……」
「確かに、生徒会の全員をメロメロにしちゃったのは悪いと思っていますが……」
「誰1人なってないわよ!」
「ええっ!」
「何その新鮮な驚き! 自信過剰も
「まさか……そんな……。……まだ会長と結姫さんしかオチてなかったなんて……」
「私も結姫もオチてないわよ!」
「ええぇ!」
「いや、ある意味オチてるかも、オレ」
「ある意味って!? というか、マスオさん的な驚き方、やめてくれる?」
「結姫さんしかオチてないとなると……会長。じゃあ、あの夜のことはなかったことにするというんですか……」
「な、なによそれ」
え、え。何、いつのまにくりむと鍵はそんな関係に……って、そんなわけないか。だって鍵だし。
「あの夜、会長、
「ここに犯罪者予備軍がいるわ! ストーカーの卵がいるわっ!」
「酷い! 俺の純情を
「むしろ私が弄ばれてるんじゃないかしらっ!」
やっぱり鍵の妄想か。
【今回のオリ主まとめ】
*少し天然(というか鈍感な部分がある)
*ゲーマー
*乾燥肌
*優良枠=学年1位
*特技:声帯模写
*ラノベ好き
話が進むごとに、だんだん結姫くんがどんな人か分かっていきます(予定は未定)
感想、誤字脱字報告、ダメ出し、お待ちしております(雫*・ω・)ノシ