まだ生きていたい   作:kesarun

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いや、まさかここまでお気に入り登録されるとは思っていなかった。
えーと、お気に入り登録してくれた皆さま本当にありがとうございます、徐々に上がってくるお気に入り数とUAをみてにやにやしてました。
はい、楽しんでいただけたら幸いです、つたないのは大目に見てください。


第一幕:冒涜の種火
第一幕:1


 世の中には、気づかないが冒涜的な事象は存外そこらへんに転がっているものであり。

 

 彼らはふと道を外れたものを引きずり込もうと手ぐすねを引いているのだ。

 

 彼らの中には少しでも機会があればどんなものでも利用し、各々が崇め奉る名状しがたき冒涜的な神格を呼び寄せようと画策している者たちもいるのだ。

 

 それはたとえ、それらの冒涜的な神格の存在が薄い世界でも変わりはしない。

 

 『原作』(本来あるべき物語)から外れてしまったのが引き金となったとは言えないが、世界に狂気に満ち溢れた『神話』の最初の使者はすぐそこまで迫って来ていた。

 

 

 

 

 

――ふと目が覚めた、どうやら欠けた夢を見ていたようだ。

 

 気が付けばベットの中に自分は寝かされていた、何かどうしようもない夢を見ていたような気がするがあまり思い出すことができない。

 

 眠気を覚ますためにぐぐっと背伸びをして違和感に気づく。

 

 おぼえている限りでは自分はまつろわぬ大黒天と戦い何とか勝利したが、同時に大怪我を負い、もはやまともに動ける状態ではなかったはず、つまるところ、うまく思い出せない夢が何かしら関係でもあるのだろう。

 

 何とか記憶をあさっていると、おぼろげながら神を殺めカンピオーネというものに自分はなってしまったということを思い出し、おそらくその時に体が書き換えられてしまったことにより傷が治ったのだろう、また、それに連なるように自分が大黒天から簒奪した権能を把握する。

 

 名づけるならば『黄金律』(コレクトマネー)だろうか、どうやらこの権能は常時発動しているタイプのものらしい、やろうとすればoffにすることもできそうだが、おそらく権能を完全に掌握することができていないためか、効果をある程度抑えることしかでいなかった。

 

「あら? お目覚めになられましたか白谷様」

 

 そんな声とともに女性がドアを開けて入ってきた、茶髪で小柄な人である。

 

 少し驚いたが、まあうすうす感づいてはいた。

 

 なにせ自分の家はまつろわぬ神のせいでほぼ半壊、人が住めるような状態ではなかったのだ、おそらくこの人は自分を保護した人か何かしらの関係者なのだろう。

 

「私は白谷様のお母様の知り合いの家政婦でございます、少しの間ですが此度羅刹王となられた御身のお世話をさせていただきます」

 

 ということらしい、この人が言ったことを信じるのであればの話だが、羅刹王とは何かと思ったが少し頭の知識を探ったらカンピオーネの別称のようなものらしい、相変わらず自分の脳内は魔窟となっている、少し探ってみたい気持ちはあるが、なんというか理性がそれをすることを強く拒んでいる。

 

 そんな感じで思考にふけっていると、家政婦の人が顔ををうかがってくる、どうやら何か言いたいことがあるようだ。

 

 少し下に向いていた顔をあげ、相手と目を合わせる、それを察した相手はクスリと笑って話し始めた。

 

「ふふ、確かに美弥子様のいう通りですね、全然子供を相手にしているようには思えません」

 

 子供らしくなくて悪かったですね、こちとら目が死んでますよ。

 

「あらあら、そんなにお怒りにならないで、では私は御館様たちに意識を回復なされたことを伝えてきますね」

 

 そういうと家政婦の人は一度こちらに向けて礼をすると、楚々と音を立てずに部屋を出て行った。

 

 いくら神との戦いに勝ちカンピオーネになったとしても今この状況で自分が取れることなどそうそうない、知識には魔術師たちからは畏れられるとあるが、それがどの程度なのかもはっきりしないのだ、さっきの家政婦だとそこまで畏れられている様子はなかった、まあ表向きだけだが。

 

 カンピオーネとなった今、自分の身体能力を確認する必要はあまりなくなった、するとまずやらねばならないのは現地の魔術師たちがどう出てくるかをうかがうことだ。

 

 それによって自分がどう身振りをするのか考えなければならない、魔術師たちにも派閥があるはずだ、まさか一枚岩ということはあるまい……。

 

 再び自分が物思いにふけり始めると、そう時間もたたず再びドアが開く音がする、その音につられるようにドアのほうに顔を向けると、そこにはドアの陰からちらちらとこちらをうかがってくる少女がいた。

 

 腰まで伸ばした赤銅色の髪にきりっと鋭い眼、鼻はすっと通っており全体的に整っている、体格からして同い年くらいだろうか? 水色のワンピースを着ており何とかかわいらしい感じにまとまっている。

 

「いったいどうしたのかな? 僕に何か用? 」

 

 そう呼びかけると少女は、ドアの陰からでてきて、ひょこひょことこちらへやってきた。

 

 そしてニパーッと自分には到底不可能な輝く笑顔をすると。

 

「ねーねー、きみはきょういきなりうちにはこびこまれてきたけど、どういうことなの? おとうさまにきいてもずっとわらってるだけだから、ちょくせつききにきたんだ、えへへ~ それでねそれでね……」

 

 どうやら好奇心でこちらをうかがいに来たようだった。

 

 しかし、本来の五歳児とはこういう感じなのか、すごく活発で場が静まることがない、しかも話題がころころと変わる、自分の父親がどうこうというところから、同じ保育園の○○君がどうたら、など、こちらが知らないことまで話題にしてくるので自分は適当に相槌や相の手を入れながらただ笑っていることしかできない。

 

 こうして観察して自分の以前の行動と比べてみると明らかに自分が異質だということがよくわかる、おそらく母親にも気づかれているのではないだろうか。

 

 少女のマシンガントークを聴いていると、人の気配とともに少女が入ってきたドアが数回ノックされる、どうぞと声をあげると先ほどの家政婦さんがドアを開けて入ってきた。

 

「白谷様準備が整いました……ってあら? なんだ、馨ちゃんこんなところにいたのね、お母様がさっきまで探していたわよ、リビングにいたから行って来たら?」

 

 家政婦さんが少女を見て少し驚いたような表情と安堵の表情を浮かべ少女に言葉をかけた。

 

 家政婦さんのその言葉を聞くと少女ははーいと答え、こちらをはなれ元気に手を振ると、どたどたとどこかに走り去っていった。

 

「白谷様にはご迷惑をおかけしました、どうかお許しください」

 

 いえいえ気にしてませんよ、元気でいい子ですね

 

 そう頭を下げる女性に笑顔で対応すると、クスクスとその女性は笑い始めた。

 

「やっぱり、子供の対応ではありませんよそれ、まるで高校生くらいのこと話している気分です」

 

 そんな家政婦さんのあながち間違ってはいない言葉に自分は苦笑を返すしかない。

 

 もはや自分の精神が普通の5歳児とかけ離れていることを隠すつもりは到底なくなった、どちらにしろカンピオーネになってしまったのだ、むしろこちらのほうが丁度良くなった、おそらく精神が幼いままであれば、たちの悪い人にこの強大な力を悪用されかねない。

 

 それで、気になるのだが、準備とは? 

 

「はい、ここらの有力者と会見をする準備が整いました」

 

What? いや、確かに現地の魔術師たちの動向をうかがうのができることとは言ったが、いくら何でもこれは早すぎるだろう、全然心の準備ができていないのだが……。

 

「ですので、私にについてきていただきます」

 

そういっていつの間にか外に出て行ってしまう家政婦さん、自分は慌ててその後を追っていったのだった。

 

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