ただ、ダブったり刀剣男士達もいましたので、其処だけは割愛させて頂きます。
因みに、手伝い札はありません。
それでは!どうぞ!
葵が目を開けてみると、其処は既に日本ではなく、昔ながらの和風の屋敷となっていた。
「……此処は?」
「此処が本丸。拠点だな。場所は大和国だ」
「大和国……ですか」
葵は物珍しそうにキョロキョロと首を動かしていると、後ろから聞きなれた声がした。
「神社とそんなに雰囲気は変わらないんだ。キョロキョロしなくとも良いと思うぞ?葵」
「『和』って意味ではそうだけど……」
葵が振り返ってみれば、既に元の姿の鬼灯が其処にいた。
が、少し違うのは何時もは透けているその姿が何故か透けていないことだろう。
「あれ?鬼灯、姿が……」
「此処は『過去』だぞ?信仰心はまだあった頃だから、此処では一時的だが力が戻っているんだ」
「そうなんだ」
そんな風に会話をしていると、ふっと思い出したように山姥切切国の方に顔を向け、紹介を始める。
「そういえば、まだ山姥切さんには紹介を……」
しかし、その言葉の途中で山姥切国広が嫌そうな顔をしていることに気づき、首を傾げる。
「山姥切さん?どうしました?」
「……その名で呼ぶな」
葵は少しの間、その言葉の意味を理解出来なかったが、どうやら『山姥切』と呼ばれる事が嫌な事に気付き、了解の意を示そうとしたが、それではどう呼べば良いのかが分からない。
「えっと、それでは何と呼べば……」
「葵、『切国』と呼べば良いんじゃないか?それならお前も良いだろ?あと、私は葵がいた神社の神の鬼灯だ」
「……それで良い。それと、俺は山姥切国広だ」
「名前は知っている。狐の時に聞いていた」
「そうか」
お互いの挨拶を済ませると、葵は切国と向き合った。
「それで、あの……私は今から何をすれば……」
「今から出陣するのも良いが……」
「それは駄目です!」
葵が一際大きな声で静止すると、切国は別の提案をする。
「それなら、鍛刀して仲間を作れば良い」
「鍛刀ですか?ですが、何処で……」
「こっちだ。付いて来い」
葵と鬼灯は切国の後を付いて行くと、其処には小さな人がいた。
「えっと、この人は……」
「妖精さんだ。この妖精さんが俺達を作ってくれる」
「そうですか……えっと、どうすれば作っていただけますか?」
「資材の量を指定すれば良い。それに合わせて妖精さん達が作ってくれる」
「分かりました!有り難うございます!切国さん!」
葵が笑顔を浮かべてお礼を言えば、また切国は驚いた様な表情を浮かべ、顔を反らしてしまった。
それに疑問を持ちながらも取り敢えずはと妖精さんに資材を全て50ずつで頼むと、作り始めた。
「時間は20分ですか……」
「其れ迄は何処かで互いに話すか?」
「いえ、此処で待ちましょう。20分経つのは意外と早いですから」
鬼灯と葵の会話を隣で聞いていた切国にも二人が顔を向けると、切国からは「主の好きにすれば良い」と言われた為、その場で待つ事にした。
***
20分後。
鍛刀が終わり、出来たのは短刀だった。
「この短刀は『五虎退』ですね」
葵は妖精さんから短刀を譲り受け、触るとその場で刀が光り、小さな白髪の男の子が現れた。
その足元には四匹の小さな白い虎がおり、頭の上には同じく白い虎が一匹乗っていた。
「僕は、『五虎退』です。あの……しりぞけてないです。すみません。だって、虎がかわいそうなんで」
「初めまして、五虎退くん。私は葵と言います。よろしくね!」
葵が五虎退の目線に合わせて背を屈ませ、手を差し出すと、五虎退はおずおずと手を差し出し、互いに握手した。
「さて、これで二人仲間が出来たが……どうする?葵」
鬼灯からの問い掛けに一瞬ピクリと震えると、少し間を空けてから答えた。
「……やっぱり、しないといけませんよね……」
その後、一度全員で門の前まで来ると、葵は指示を出す。
「……切国さん、五虎退さんと一緒に、出陣してきて下さい」
「了解した」
切国は葵の指示に従い、五虎退と共に出陣しようと門を開け、歩き出す。
が、直ぐに後ろから服を掴まれ、それに気付き後ろを振り向くと、心配そうな表情の葵が切国と五虎退を見ていた。
「お二人とも……無事に、戻ってきて下さい。必ず、此処に戻ってきて下さい……」
「……」
「お願いします。此処で、約束して下さい」
葵のその言葉に切国は少し戸惑っていると、五虎退が先に言う。
「わ、わかりました!約束します!必ず、無事に帰ってきます!」
「うん、約束をしだよ、五虎退くん」
「は、はい!」
五虎退の顔を見て安心した様な笑みを浮かべた後、切国にまた心配そうな顔を向けると、切国は顔を背けた。
「……切国さん」
「……写しの俺がどうなろうと、主には関係のない事……」
「そんな事ありません!」
切国がそう言った瞬間、葵が大きな声をあげ、その心配そうな顔ながらも真っ直ぐに切国の目を見て、自分の気持ちを言葉にする。
「切国さんが『写し』だとか、そんなの、私には関係ありません!切国さんは切国さんなんですから!……それに、自分の事を『どうでもいい』なんて、蔑ろにしないでください……切国さんが傷付くのは、嫌なんです」
「……主」
葵の目に涙が浮かんでいるのを見て、それが本心だと知ると、益々切国には葵が眩しく見えた。
その『光』から顔を背けると、切国はその場から歩き出す。
が、少しして立ち止まると、小さく言葉にする。
それは風に乗り、葵へと届けた。
「……約束は、出来る限り守る。それが、主からの命だからな」
それが聞こえると葵は少し安心したように笑みを浮かべると、切国と五虎退の背に向けて手を振った。
その後ろ姿が見えなくなるまで……。