カメ子 レ級   作:灯火011

47 / 55
酒飲みのレ級、エリレの参戦により
ル級を次々と撃破していく艦娘達と、カメコ達。

彼女たちは、ついに、敵の親玉と対峙するようです。


128 そして宴会も海の華である。

敵の中心部へと吶喊するエリレと港湾棲姫を追って、カメコと金剛達艦娘も、速度を上げながら、海の上を往く。

 

そのさなか、航空戦はどうやら、飛行場姫と加賀の優勢で決着がついたようだ。

敵の攻撃機が、次々と、海の藻屑と消えていた。

 

「流石加賀と飛行場姫デース。」

 

金剛はその光景を感心しながら見つめていた。

高高度で行われる制空戦、そして、攻撃機の防護機銃を避けながらも、攻撃機を落としていく戦闘機の勇姿である。

 

「すげーよなぁ。姫様も加賀も、味方でよかった。」

 

金剛と合流したカメコも、その光景を見ながら、口を開いていた。

 

「それにしてもレ級ぅ。なんでヨッパは参戦したんデス?」

 

「知らねぇ。基本的に裏切るような奴らじゃねーんだけどな。・・・まぁ、おそらくは、さっきのル級の砲撃で、肴か酒か、はたまた気にってる備品でもぶっこわされたんじゃねーかな。」

 

カメコは苦笑いを浮かべていた。エリレ達は基本的には、忠実な深海棲艦である。だが、酒が絡むとソンナことは関係なくなるのだ。

苦笑いを浮かべるレ級を見ながら、金剛は溜息をつく。

そして、目線をエリレに向けながら、苦笑を浮かべながら口を開いた。

 

「なんだか、私の中の深海棲艦のイメージが完全に砕け散りマーシた。自由ですね本当に。」

 

「いや、金剛。おかしいのは私達と、私達の先を行く奴らだけだから。深海棲艦は、金剛達艦娘の敵だから、ね?」

 

「ムゥ。深海棲艦の貴女が言うと、説得力があるような、ないような・・・。」

 

「ま、金剛。エリレと港湾棲姫様のコンビは近距離戦においては心強いから。だってほら、港湾棲姫は私達戦艦とか飛行場じゃなく、海と陸を束ねる存在だし。能力はたけーんだ。・・・酒が絡むとメンドクサイけど。」

 

「そうなのデースねぇ・・・。それじゃあ、とりあえずこの場は甘えマース。武蔵。エリレと港湾棲姫の援護をしていきマショウ。」

 

「・・・応。心得た。それにしても金剛よ、お前も適応が速いな。私は未だに飲み込めんぞ。」

 

「カメコとかエリレとかと交流してマースから。非常識はなれたものデースよ。」

 

金剛はそう言うと、武蔵に苦笑を向ける。そして、エリレの後を最大戦速で追従していくのであった。

 

「それに、心強いのは本当デース。」

 

そしてそのさなか、エリレと港湾棲姫は、次々と敵のル級を海底へと沈めていく。

 

港湾棲姫が首をもぎ、体をレ級が砲撃し。

かと思えば、レ級がわざと甘い攻撃を繰り出し、敵に受け止めさせた所に、港湾棲姫の全力の拳を突き刺したりと、容赦がない。

 

「・・・なるほどな。わかった。甘えよう。」

 

エリレ達を見て、武蔵も諦めたようである。

 

「ま、武蔵と金剛に菊月は、よっぱの援護を頼むわ。私はちょっと尻尾直してくる。」

 

「判ったデース。未だここは激戦区ですから、油断せずに気をつけてくださいネ?」

 

「あいよぉー。」

 

金剛とカメコは、一旦別れ、金剛達は港湾棲姫とエリレの援護に

カメコは、あぶくまへと踵を返す。

 

だが、この判断が、カメコの運命を、一つ決定づけたのだ。

 

◆

 

あぶくまへと戻ろうとしたカメコは一つのピンチを迎えていた。

敵の親玉、港湾型の姫らしき艦と対峙していたのだ。

 

「コレハコレハ、飛行場姫ノトコロノ、レ級デハナイカ。」

 

どうやら相手の港湾型の姫は、カメコを知っているようである。そして、それに応えるように、カメコもゆっくりと口を開く。

 

「・・・なるほど、戦艦ル級をまとめていたのは、港湾水鬼様でしたか。」

 

「アァ、マトメルトハ少シチガウガナ。アレラハ全力デタタカイタガッテイタ。私ハソノセナカヲオシタダケダ。」

 

「ずいぶんとまぁ・・・めんどくさいことを。あなたは確か、インド洋の守備を任されていたのでは?」

 

「インドデハ全力デタタカエズニ逃ゲタノダ。ココヘタドリツイタトキ。奴ラガイタ。恨ミデハナク、後悔ノ念ニシズンダ彼ラガイタノダ。ソシテナニヨリ、ワタシガタタカイタカッタノダ。方向性ノ一致ダ。」

 

「なるほど。それでアツ島とキスカ島を攻撃したわけですか。」

 

カメコは言葉を発しながら、腰を落とす。

それを見た港湾水鬼も、同じように腰を落とした。

 

「・・・エェ。マサカ深海棲艦ガ相手ニナルトハオモッテイナカッタガナァ!サァ、カメコ!人間ヲスクイタケレバ私ヲシズメテミセロ!」

 

港湾水鬼は、一気に体を加速させる。合わせて、カメコも叫びながら全力で体を前へと加速させていった。

 

「いいねぇ!じゃあまずいっぱああつ!」

 

カメコは尻尾ではなく、しっぽを振った反動で、右足を港湾水鬼に叩きつけた。

だが、港湾水鬼は、びくともしない。それどころか、カメコの足を無造作に掴んだのだ。

 

「甘イワ。パワーダケナラ、ワタシノホウガアルノダ。カメコ。」

 

カメコの一撃を軽くいなし、海面へと叩きつける。そして、カメコの体を足で押さえつけた。

 

「ぐふッ・・・!?」

 

「・・・ソレニシテモコノシッポハ、ジャマダナ。」

 

港湾水鬼は、倒れ伏したカメコの体を足で押さえつけながら、その尻尾を、掴みあげた。そして、そのままカメコの尻尾を、千切ろうと力を加え始め、カメコの体からギチギチと嫌な音が立ち始める。

 

「ガアアアア!」

 

体を足で押えられているカメコは、身動きが取れないまま、叫んでいた。

そして、港湾水鬼は、カメコの尻尾を掴み直す。そして。

 

「フンッ!」

 

その一言と共に、カメコの尻尾を、カメコの体から引きちぎったのだ。

 

「------------!」

 

カメコは声に成らない叫び声を上げる。と同時に、尻尾と体から、おびただしい量の鮮血が流れ始めていた。そして、追い打ちをかけるように、港湾水鬼は、カメコの胴体を、その足で踏み潰そうと、片足を天高く持ち上げた。

 

「ッソオオイヤアア!」

 

その瞬間、エリレの尻尾が港湾水鬼を襲う。だが、港湾水鬼は手慣れた手つきでその尻尾を掴みとっていた。

 

「馬鹿ノヒトツオボエダナ。」

 

港湾水鬼はそう言うと、エリレを水面に叩きつけようとする。だが、そうは問屋が卸さない。港湾水鬼は知らないのだ。ここに、港湾の名を冠する、もう一人の化け物がいることを。

 

「アナタモ、ヒトノコトハイエナイワ。」

 

港湾水鬼は、足元から聞こえた声に、思わず顔を向けていた。

その目に写ったものは、海面下から拳を突き出し、勢い良く海面から飛び上がる、港湾棲姫の姿であった。

 

「ナ!?」

 

水鬼は驚愕の表情を浮かべ、拳を避けようとするも、時は既に遅し。

港湾棲姫の拳を、顎からまともに受けたのだ。

 

「ナイス港湾棲姫ィ!」

 

「レ級。カメコヲツレテ撤退。あぶくまニハ、バケツアルカラ。」

 

「アイヨォ!サーイクゾカメコォ!」

 

エリレはそう叫びながら、ぐったりとしているカメコを担ぎ、未だ倒れ伏す港湾水鬼の元から、撤退していった。

 

◆

 

エリレは自身が担いだカメコを観察する。

 

顔や体に特に大きな損傷は、ない。

だが、その背中に生えていた尻尾も、ない。

 

更には尻尾は完全に千切られているためか、こうしている間にも

おびただしい量のカメコの血液がエリレの体を伝ってきていた。

 

(こりゃあかなり不味いなぁ。つーかこれ、尻尾復活すんのかな?)

 

エリレはそう考えながら、あぶくまへと速度を上げる。とその時、

見慣れた艦娘が一人、エリレへと近づいてきていた。

 

「・・・よっぱらいのレ級か?何をしているんだ?」

 

彼女は発射した魚雷を補給に、あぶくまへと帰還していた菊月だ。

丁度補給を終え、これから海戦へと出るというタイミングで、エリレと出会ったようである。

 

「オオ!チョウドイイトコロニ!菊月ツッタッケ?カメコノ治療ヲタノム!」

 

エリレはそう言うと、担いでいたカメコを、菊月へと渡す。

菊月はいきなりの行為に驚いたものの、カメコの状態を見て、その表情を固くさせていた。

 

「っ・・・これはひどいな。判った、すぐに医療班へカメコを渡す。

 よっぱらいのレ級。お前はどうするんだ?」

 

「港湾棲姫ガ港湾水鬼トタタカッテルカラ、援護ニイッテクル。サスガニ港湾棲姫ダケジャツラソウダシナ。」

 

エリレはそういうと、菊月の反応を待たずに、一気にその体を加速させていった。

 

「まったく、なんなんだあのよっぱらいのレ級は。忙しないな。

 いや、それよりも今はカメコの治療を急がねばな。」

 

菊月はその姿を見送りながら、体を反転させ、

一気に主機の出力を最大まで引き上げ、カメコをあぶくまへと運んでいった。

 

◆

 

戦艦の治療。もとい、深海棲艦や艦娘の治療は、そこそこ簡単である。

通常であれば、ドックに入り、体を休めれば、時間に応じて装甲が回復する。

 

大破や轟沈寸前の場合は、必要な鋼材や燃料を溶けこませた高速修復材に浸かれば、

艤装、装甲もろともすべてが、回復するのである。

 

「・・・あんまり、芳しくはないですね。」

 

戦艦レ級フラッグシップ改、カメコを菊月から受け取った船医は、高速修復材に浸かり

傷を癒やすカメコを見ながら、呟いていた。

その隣には、横須賀鎮守府の提督も渋い顔をしながら立っていた。

 

「艦娘とは違うのですね。艦娘であれば、腕や足がちぎれ飛んだところで

 高速修復材に浸かれば修復されるというのに。」

 

「えぇ、私もそう思っていました。ですが、見てください。

 レ級さんの出血は綺麗に止まりました。傷跡もほとんどありません。

 ・・・ですが、千切られてしまった尻尾は、修復されませんでした。」

 

未だ気を失っているカメコ。その体にあるものは、いつものパーカー、ビキニだけである。

巨大な尾っぽと、その先に付いている砲塔や魚雷は、失われたままだ。

 

「果たしてこの姿で、戦闘能力があるのかは不明です。艦娘の場合は、轟沈、つまりは

 艤装が完全に破壊され、生体にまで被害が及んだ場合は、もう戦闘能力がなくなってしまいますから。」

 

船医はそういいながらも、高速修復材を足していく。

 

「えぇ、判っています。とはいえ、レ級は深海棲艦ですから。艦娘の状態が当てはまるとは限らないでしょう。」

 

それに、と提督は続ける。

 

「このレ級は尻尾を失ったぐらいで、どうこうする奴ではないですから。」

 

「・・・まぁ、そうですよね。むしろ、「これで大手を振って写真とれるー!」とか喜びそうで・・・。」

 

船医は呆れ顔でため息をついていた。

提督も船医に続き、苦笑を浮かべながら、未だドックで眠るカメコを見つめるのであった。

 




妄想捗りました。

尻尾がなくなったカメコさんの巻。

きっとこれからは、よりアクティブに写真をとるのかなぁと妄想しております。


とりあえず次でいったん〆の予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。