誤字などございましたら教えていただけると幸いです。
はいはいみなさん、こんにちは。
リア・シャトレーヌです。
ただいま水中にドボン中。
えーとですね……ロウソクの火……消えちゃいました……。
なんてこったぁぁぁぁぁぁぁぁ!
え、ちょっと待ってなにこれ。
こんなあっさりハリー死んじゃうの?
え、私が殺したの?
でもあんなところに落とし穴があるなんて知らなかったんだもん、私は悪くない!
………わけないですよねー、はい。
とりあえず穴から脱出しないと……。
壁をよじ登ろうとすると壁から琥珀色の液体が滲み出てくる。
というかショーンだった。
「マスター、無事ですか?」
「私は無事……ロウソクは無事じゃない……。」
「おやおやそうですか、まぁ私はマスターさえ無事なら誰が死のうが構いやしませんが。それにマスターの魔術ならどうせ生き返らせることも可能でしょう?」
「いやまぁ、そうなんだけど。」
さらっとひどいこと言ってるよこの子。
ショーンの力を借りて穴から脱出する。
「あれ?あの蛇は?」
「丸呑みにしました、あとあの蛇はニャルラトテップの分身のようです。狩人にしては強すぎましたし本物のニャルラトテップであれば奉仕種族の私が時間稼ぎはできても倒せるわけがない。」
「ぐっ……また遊ばれたか……!」
あの忌々しい邪神はことあるごとにちょっかいかけてくるからな。
「マスター、あと数秒でこの空間が崩壊、そして元の世界に転移します。」
「え?あと数秒って早くな……。」
言いかけて突如視界が歪み立っていられずに体勢を崩して倒れ込んでしまう。
そのまま意識は遠のくのだった。
そして舞台は変わり冷たい床の上で私は目を覚ました。
んー……?あれ人の気配。
「………ッター、君はいろんなところに首を突っ込みすぎる。生かしてはおけ……。」
「……トロールを……ですか!?」
話し声がするな。
ここからは板が邪魔して見えない……あれ、これ溝の鏡じゃないか!?
こっそり溝の鏡の陰から会話してる二人を伺う。
えーと、クィレル先生とハリーか。
え、ハリー!?
生きてたのか、じゃああのロウソクは何だったんだ!?
その時あの男の声が頭に響く。
『一体いつからハリーが死んだと錯覚していた?まああれだよ、私は火が消えたらハリーが死ぬとは言ったよ。しかしね、ロウソクの火が消えたら死ぬとは言っていない。消えたら死ぬのは篝火の火さ。まぁあの話の流れからしたらロウソクの火と勘違いするのも致し方ないな。というかあの私はそれが目的だったろうね。あえて事前にろうそくを守るように指示し、その後関連性の強い「火」という単語をつかってプレッシャーをかける。ここで「ろうそくの火」と言わないのがポイントだ。』
お、おぅ……。
なんかいつもと違って理知的な喋り方だな。
『私は千の姿を持つ邪神さ、であれば千のペルソナを持つことぐらい容易いに決まっているだろう。今の私は私が持つペルソナのうちの一人さ。』
できればずっとその性格でいてもらいたいものだ。
『それは無理だし、できたとしても何も変わらないよ。私の本質は愉悦、快楽の探求だ、やることは変わらないさ。君にちょっかいをかけて君が喘ぎもがく様子を見て愉しむよ。』
ええぃ!なんということだ!!
っと鏡にクィレル先生が近づいてきたな。
コツコツと足音がこちらに近づいてくる。
となるとやることは一つだ。
鏡の裏側に先生が回り込もうとした瞬間に……。
「はっ倒すッ!!!」
先生の視線はハリーに向いているので隙だらけ。
無防備な顎をめがけてスローイングパンチを放つ。
ふふふ……避けれまい!
「グフォア!?」
え?あまりに考えなしすぎるだろって?
だってこの距離じゃ魔法よりも拳の方が早いんだもん。
クィレル先生は3メートルほど後方に吹っ飛んでちょうど後頭部を強く床に打ち付けた。
うん、ハリーも呆然としてるね。仕方ない。
「ハーイ、ハリーちょっとこっち来てねー。」
「え……リア……だよね……?どうしてここに?」
「細かいことは後々!さて、この鏡に何が見える?」
「何が見えるって……え!?」
ハリーの視線がポケットに向く。
ふむ、今の反応から察するにちゃんと賢者の石は手に入れたようだね。
さて、あとはクィレル先生をどうにかするだけだ。
視線を向けるとふらつきながらも立ち上がってきたところだった。
「ぐぬぅ……貴様らぁっ!!」
あー口から泡飛ばしながら憤怒の形相でこちらを見ていらっしゃる。
まぁ、ここはハリーに戦ってもらおうかな?
「さて、ハリー。前方に敵一人だ、任せた。」
「え!?手伝ってくれないの?」
「君は立派な男の子だ、あれぐらいの敵一人でも余裕だろう?それに私はか弱い女の子なんだ。」
「男の子であることと余裕であることに関係性はないし、そもそもか弱くないよね!?先生のことさっきぶん殴ってたよね!?」
「ぶん殴る……そんなことがあったようななかったようなあの頃の思い出は……。」
「何年前にする気なのさ!?」
「私を無視するなぁぁぁぁぁぁ!!!」
あら、先生がお怒りのご様子。
そして私はハリーの後ろに回りこみ……。
「ハリー、いってらっしゃい!」
ハリーを先生の方に蹴り飛ばす。
「ちょ……!?」
うむ、出だしは順調。
「ハリー!男なら拳で勝負だ!!」
といったもの唐突に蹴られて驚いたせいだろう。
足がもつれクィレル先生に覆いかぶさるように転倒してしまう。
ハリーの右手のひらがクィレル先生の頭部をがっちり鷲掴みにし守護の呪文の影響を受けたクィレル先生の口から苦悶の絶叫が迸る。
「ッア”ア”ア”ア”ァ”ァ”ーー!!!!」
うわ、なんて酷い声だ。
生前見た映画でハリーに触られたら火傷したみたいになって死んだからこれでも行けるとは思うが……。
「ボッダーァ”……貴様ァ……!!」
そう言ってハリーに掴みかかろうとするがその手のひらが目標を捉える直前でその体は砂となり崩壊を始めた。
さて……潮時かな。
目の前で砂となってその形を崩していくクィレル先生に頭痛に苛まれながらも呆然とするハリーの背中に向けて短剣を向ける。
ごめんね、まだ私が表舞台に立つ時ではないんだ。
私がここにいた事実は忘れてもらおう。
「Obliviate-忘れよ-」
剣先から放たれた光線は狙い過たずハリーの背中に直撃し、ハリーは体から力が抜けたようにその場に崩れ落ちる。
あとはダンブルドア先生がハリーを回収してくれるだろう。
「さて……ショーン、そろそろ帰ろうか。」
『はい、マスター。』
転移魔法を発動させホグワーツ寮のベッドの上に移動する。
はぁ……。疲れたなぁ……。
へーい、リアさんだよ。
前世の記憶で言う所の修了式が終わり家に帰るために列車に揺られています。
私が介入したことで最終順位に変化はあるかな?と不安にもなったけどグリフィンドールが一位でした、やったぜ。
やっぱり出された料理は美味しかったし、みんなでワイワイやるのもまぁ私のキャラじゃないと思いつつ楽しかった。
目の前には眠そうに瞼をこするハルが座っている。
どうも昨日最後の夜だからと大騒ぎしたらしい。
生真面目堅物のハルがはっちゃけるなんて珍しいな。
でもそんなとこもおねーさんは好きだよ、まぁ……同い年なのだけれど。
さてさて次の一年はどんな一年になるのかなぁ……。
原作から逃げようとしてもあの忌々しい邪神がどうせちょっかいかけてくるのでどのみち厄介ごとに巻き込まれるのは必然といっていいだろう。
こんなことを思いつつ
「やれやれ……まぁ、あの男の遊びに付き合ってあげるのも悪くはないかな……。」
などとつぶやいてしまう程度には図太くなったメンタルに気づき少々愕然する。
やはり私は頭のネジを215本ほどどこかに落っことしてしまったようだ。
リアちゃんはツンデレ……かもしれない。