イラストが描けぬ……
着替えてしばらくすると汽車は速度を落とし始め、やがて小さく暗いプラットフォームでその車体を完全に停止させる。
汽車から出ると……うん、めっちゃ寒かった。
生徒の頭上にランプがゆらゆらと近づいてきた。
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!ハリー、元気か?」
ハグリッドがハリーに笑いかけるのが見える。
彼についていけばいいんだな、しかし足場が悪い……。
滑ったりつまずいたり、誰かの足を踏んだりしながら小道を歩く。
「みんな、あの角を曲がったらホグワーツが見えるぞ。」
そしてその角を曲がると……そこは雪国だっ……いや、失礼。大きな湖の向こう岸に高い山がそびえ、その天辺に壮大な城が見える。
「四人ずつボートに乗って!」
ハグリッドは岸辺に繋がれた小舟を指差したので、適当に選んだ船に乗る。
「よーし、では、進めぇ!」
しばらくして暗いトンネルに入り地下の船着場に到着、下船し岩の路を登り城の陰に入る。
皆が巨大な樫の木の扉の前に集まると、ハグリッドが拳を振り上げ城の扉を三回叩いた。
すると扉が開きエメラルド色のローブを着た黒髪の魔女が現れた。
なんか厳しそうな顔つきをしている。逆らったら面倒臭そうだな。
「マクゴナガル先生、イッチ年生の皆さんです。」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう。」
玄関ホールを経由し大広間に通される。
何千本というロウソクが空中に浮き、四つの長テーブルが並んでいる。
また、広間の上座にはもう一つ長テーブルがあり教員方が座っている。
マクゴナガル先生が私たち新入生を上座側まで誘導すると、私たちの前に4本足のスツールとボロボロのとんがり帽子が置かれる。……ふむ?おそらく魔法の品、何かあるのだろう。
と、思っていると帽子のつばのヘリの破れ目がまるで口のように開き、帽子が歌い出す……なにあれ、欲しい。
歌の内容としては組み分けの方法、と言ってもかぶるだけ……と、騎士道精神に富む人間がグリフィンドール、誠実な人間がハッフルパフ、知識欲旺盛な人間がレイブンクロー、手段をいとわない狡猾さを持つ人間がスリザリンに組み分けられるといったところだ……おそらく私のいく場所はレイブンクローかスリザリンになるだろう。
騎士道精神に関しては前世の私がまさにそんな感じの人間だったが。
今の私はむしろ騎士道精神に関しては否定的だ。
よってグリフィンドールはない。
誠実な人間が集まるハッフルパフもない。
私は昔から嘘を言うのは得意だった。
というか得意にならざるを得なかった。
だってそうだろう?私がこの世界においてこれから起こりうることを知っており、さらに前世の記憶があるなんて誰が信じるものか。
私だって信じない。
「ABC順に呼ばれたら椅子に座って、組み分けを受けてください。」
マクゴナガル先生が名前を読み上げる。
「アボット・ハンナ!」
金髪のおさげの少女が転がるように前に出て帽子をかぶり組み分けを受ける。
一瞬の沈黙の後
「ハッフルパフ!」
と告げられる。
ハッフルパフのテーブルからは歓声が上がる。なるほど、これが組み分けか。
その後、次々と名前が呼ばれその度にどこかの寮の名が叫ばれる。
「ハルファス・スタンフォード!」
ん、次はハルか。
まああいつはもしかしなくてもグリフィンドールかね。
とりあえずスリザリンだけはあり得ない。
「グリフィンドール!」
ほらね、予感的中。
ハルはグリフィンドールの長テーブルに向かう途中に一度こちらを振り返りすこし微笑む。
やれやれ、私に微笑んだって仕方ないだろう。
その微笑みはハルを慕う女の子に向けるべきだ。
「ハリー・ポッター!」
その名が呼ばれた瞬間、大広間が一瞬シーンとなり、ささやきが漣のように伝播していく。
流石は有名人といったところか、本人はあまり気分よさそうじゃないけれどね。
でもそんなんじゃ苦労するよ、ハリー。
と心の中で届かぬ忠告を送り帽子を見つめる。
「グリフィンドール!」
グリフィンドールの長テーブルから割れんばかりの歓声が響く。
まあ、有名人ゆえ致し方なし。
ハリーはロンのそばに座った。
しばらくして私の名前が呼ばれる。
「リア・シャトレーヌ!」
さてさて、とうとう私の番だ。
スツールに腰掛けボロ帽子をかぶる。
すると面白いことに帽子の声が聞こえて来る。
他の人間の時に声が聞こえなかったということはこれは直接心に語りかけているのだろう。
「(ふーむ……これまた面白い子が来たね。私には君が二重の魂を持っているように見える…。)」
ちょうどいいし、あれやってみるか。
「(ファミチキください。)」
「(ファミキチ……?なんだね、それは?)」
ネタが通じなかった。まぁ期待はしていなかったがね。
しかしこれでは私が痛い人だ。
「(一つの魂は限りなくグリフィンドールの因子が強い魂だ……しかしもう一つはレイブンクローとスリザリンが半々、グリフィンドールとハッフルパフの因子は見受けられない。どうしたものか……む!?誰だ貴様は!止めたまえ!私の中に入ってくるなあぁぁぁぁっ!!!)」
……ん?組み分けさんの様子がおかしいな。私も面倒な事情抱えているからそれを垣間見て正気でも減ったのかね?
「(いや、失敬。少々取り乱した。それでは君の寮を言い渡そう。)グリフィンドール!」
っはぁ!?私がグリフィンドールなんて場違いもいいところだ。
歓声を上げてくれた皆には申し訳ないが、抗議の念を送ろうと帽子に意識を集中すると、先ほどの紳士的な声とは違い、耳障りな、それでいて甘ったるい声音で聞き覚えのある声を聞いてしまう。
その声を聞いた瞬間背筋に氷柱を突っ込まれたような怖気が全身を走り、あの真っ白な空間で出会った男が脳裏にフラッシュバックする。
「(ヒャハハハハハッ!これでもっと楽しませてくれるかねえ?ククク……もっとだよ、もっと楽しませてくれよぉ!ヒハハハハハハッ!)」
……もっとということはこれからもちょっかいをかけてくるわけか。やれやれ、私も難儀な星の下に生まれたもんだ。
そんなことを思いながら、グリフィンドールの長テーブルに向かう。
ほらね、ハルが驚いた顔でこちらを見ている。付き合い長いから私がどんな人間かは知っている。
動揺するのも無理はない。
だが口の端が少々緩んでるのは私と一緒なのを喜んでくれてるのかね?
そうだと嬉しいのだが。
そんなこんなで組み分けが終わった。
その後は宴会でどんちゃん騒ぎとなり、私は半ばヤケになりながら先輩とのコネクション構築にいそしんでいた。
「う……うへへへへへ……。」
「おいおい、君大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です……。」
やはり私とは全く別のタイプの人間ばかりでどことなく居心地が悪かった。
そして宴会も終わると各テーブルの生徒が監督生に連れられてそれぞれの寮に向かう。
寮にむかう途中で一人のゴーストと出くわした。
まぁ、あのイタズラゴーストのピーブズだ。
原作知識由来の知識量の多さは凄まじい。
監督官であるパーシーに脅されてか姿を現したピーブズは意地悪なかん高い笑い声をあげ、私たちに突っ込んでくる。
「おおぉぉぉぉ!かーわいい一年生ちゃん!なんて愉快なんだ!」
皆はひょいと身をかがめてピーブズの突撃を避けるがそこにピーブズをにらみつけて動かないものが一人。
ハルである。
ハルは胸の前で両掌を合わせ右掌をわずかにズラし、一瞬だけ瞑目すると音高く両掌を打ち鳴らす。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
うん、ピーブズが吹っ飛んで行った。
今ハルが行ったのは日本神道でいうところの柏手である。
なんでも霊体相手にお手軽にできる簡単な対抗策らしい……詳しいことは知らんけどな。
さて、寮に着いた。
パーシーの話によると合言葉式の施錠方法らしい。
魔法ってもっと発展してるイメージがあったけどな。
肖像画の人物と目を合わせると瞬時に寮生だと確認され扉が開くとかさ。
「合言葉は?」
「カプート ドラコニス」
パーシーが答えると肖像画が前に開き、奥に丸い穴があるのが見えた。
苦労してなんとかよじ登ると談話室につながっている。
パーシーの指示で男女別のドアを抜けるととても長い階段が待っている。
設計した人はアホじゃないのか?なんでわざわざこんな長い階段を……。
なんとか天辺までのぼると天蓋付きの豪華なベッドが見えた。
もう荷物は届いているようだ。
一応念話でショーンに挨拶しておく。
「やぁ、トランクの旅は満喫できたかい?」
「はい、マスター。いささか狭いですが南極に比べれば極楽浄土みたいなものですよ。」
「さすがに比べる対象が違いすぎると思うなぁ……。」
私はベットに倒れこむ。
念話を続けるつもりだったのだが予想以上に疲れていたらしく睡魔に敗れ寝落ちしてしまった。
今回は自分でもあまり面白く書けてないと思いました。
もっと読者様を楽しませられるような作品を作れるよう精進いたします。
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