入隊試験当日
私は試験会場に到着すると彼の姿がないかと辺りを見回した。
「フレア…確実にユーリがいるってわけじゃないんだ、そんなに念入りに探さなくても…」
「久々にユーリに会えるかもしれないのよ?フレンは楽しみじゃないの?」
私がそう言うとフレンは不貞腐れた様な顔をしながらボソボソと何かを呟いた。
「別に……ユーリと会ったってまたいつもみたいに喧嘩するだけだろうし…」
「?何か言った?」
「いや、なんでもない。それよりもフレアの中では今日ユーリに会うのは決定みたいな感じだね。」
「うん!会えるよ!」
私の満面の笑みにフレンは押し黙ってしまった。それから私とフレンは沢山の人混みの中を進んで行った。すると、彼を見つけたのは私ではなくフレンだった。
「あれは…」
「どうしたの?フレン…」
「フレアの勘ってホントによくあたるんだな。」
「え?」
まさかと思ってフレンの視線の先に目を向けると長くて黒い髪が見えた。その後ろ姿は私のよく知る男の子の背中ではなかった。でも、紛れもなく彼だった。そんな彼は私たちの知らない人と話をしていた。
「よろしくお願いします!お互い頑張りましょう!僕、ルシオ・モントレーと言います。」
「おう!よろしくな。オレは…」
「ユーリ…」
「え?」
「彼の名前はユーリ・ローウェルだよ。」
「ちょっと、フレン!?」
2人の会話に割り込んだのはまさかのフレンだった。驚いたのは私だけでなくユーリもだ「え?」と間抜けな声がでていた。
「久しぶりだね。」
「久しぶり!ユーリ。」
未だ状況を理解していないのかユーリは私とフレンの顔を交互に見て瞬きを何度もしていた。こういう所は昔の幼さが残っていて可愛いと思った。
「……フレン…フレア…お前ら本物か!?」
「本物だよ。」
「お知り合いですか?」
ユーリの隣にいる青年がユーリに尋ねるとユーリは
「あ、ああ…まあな、ガキの頃以来だ。」
「ちっとも変わってないな、ユーリ」
「あん?」
「その、短気で飽きっぽい所がだよ。」
はあ、また始まった…と心の中で溜息を吐く。
フレンの言葉にユーリの眉間が動いたのが見えた。この2人は何年経っても変わらないなと思った。でも、なんだかんだでフレンもユーリと会えたことが嬉しそうだと顔を見て思った。
「お前も相変わらずだな、その陰険なとこ。」
「あ、あの…こんなところで喧嘩は……」
「してねぇよ!」「してないよ!」
「そ、そうですか?」
「ふふっ相変わらず息ピッタリね」
「うるせえ!」
「まさか君が騎士団の試験会場にいるとは…本気かい?」
「ちゃんと俺なりに考えて受験したんだよ。」
「本当か?」
「あったりまえだろうが!」
「騎士団というのは……」
そしてフレンはユーリに騎士団のなんたるかを説明しながら彼の気持ちが本物か探る様な質問をしていった。
「そんな態度じゃ合格するのも難しいだろうし…」
「……難しい?」
「うん、騎士団の倍率は結構高いのよ。」
「え?」
「今回も書類選考で受かった受験者が100人近く来ていますが採用は30人程度だそうです。」
「だから無理に試験を受けることは…」
「やってやる…」
フレンはユーリに受けるだけ無駄だと伝えたかったのか受験の難しさを伝えると逆に、負けず嫌いなユーリの闘志に火をつけてしまったようだった。
「ぜってー合格してやらー!」
「そうやってムキになるとこ…全然変わってないのね。」
「うるせー!」
「よかった。あ、よろしくお願いします。フレン……」
「シーフォだ。よろしく。」
「私はフレア・シーフォね!よろしく!」
「え、お二人は…兄妹なんですか?」
「ああ、こいつら双子だぜ。似てねえけどな。」
「二卵性の双子だからな。」
「そうだったんですか!そう言えばお二人の受験番号…フレンさんが98番でフレアさんが100番なんですね!」
「98と100って…」
「ユーリさんが99だから……」
「オレ、お前らに挟まれてんのかよ!?」
「せいぜい頑張るんだな。」
「へぇ〜お前余裕だな。」
「そりゃフレンは騎士団に入るために毎日頑張ってたもの。ユーリはどうなの?」
「ユーリが騎士団に入る為の努力なんてしてるはずないだろ。」
「フレンてめえ、その余裕も今のうちだからな!」
久々に会った彼は昔の頃より大きくなって見た瞬間ドキッとしたけど話してみると昔と特に変わらなくて…少し安心した。
こうして私とフレン、ユーリ、ルシオは騎士団の入隊試験を受けるのだった。