小さな二人は共に行く《凍結》   作:麦わらぼうし

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とりあえず、投稿。

少し書き直しました。


海鳴市に異常発生、あなたは何者?

――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!

 

「――っ!?」

 

 思念体が叫びを上げる。それと同時に思念体から魔力の霧がこちらに向かってくる、避けるのは簡単だけど後ろには高町たちが居るため避けられない。

 私は飛んでくる魔力の霧を能力で打ち消すが、すぐに四方八方から別の魔力の霧が向かってくる。ただの高密度の魔力みたいだけど、正体が分からないものを後ろに通すわけにはいかない。でも、能力を対処に回しているせいで、もう一度魔力を集束させる暇がない。

 

「美遊、とりあえず高町さんたちを安全な場所まで連れて行って!」

「分かった」

「うわっ!? み、美遊ちゃん!」

 

 視線だけ後ろに送ると、高町とユーノがオーフィスに担がれている。

 

「絆ちゃん!」

「いいから、ここから早く離れて」

 

 ハッキリ言って足手まといだ。

 私の言葉を聞いて、オーフィスが二人を抱えて飛行する。そして十分に距離ができたことを確認してから、私は思念体の方に向き直った。

 

「さてと。何だか知らないけど、これ以上暴れられても面倒なんでね」

 

 私は向かってくる魔力の霧を打ち消しながら思念体に接近する、そして懐に入ったところで、

 

「吹っ飛べ!」

 

――ドッッ!

 

 思念体を殴る。しかし、身体に穴が開いただけで手ごたえがない。どうやらこの思念体というのは実体のない魔力の塊のようだ。なら、魔力を全て奪い取れば――。

 

――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!

 

 その直後、再び思念体が声にならない叫びを上げる。それと同時に黒い魔力の霧が私を包み込んだ。何だか分からないけど、私は能力で魔力を変換して吸収するように念じる。

 

「全部、奪い尽くす!」

 

 私は思念体の頭を掴む。

 

――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!

 

 声にならない絶叫をあげる思念体。その直後―――思念体の頭が取れた。

 

「なっ――!?」

 

 あまりの光景に一瞬声を上げるけど、よく考えれば相手は魔力の塊。生物の常識なんて通用しない。私が魔力を奪っていることに気づいたのか、私から離れようとする思念体。

 

「誰が逃がすか!」

 

 私は思念体、動きに合わせて能力の行使を続ける。すると、周りの霧が少しずつ薄くなり始めて、本体の思念体のみとなる。すると、思念体の中心にあの青い石が見えた。魔力の流れや、先ほどの出来事からおそらくあの石が思念体の核なのだろう。私は、今度は私が触れても影響が起きないと念じてから石を掴んで、魔力を吸収し続ける。

 

――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!

 

 思念体が断末魔のような叫びを上げる。私はそれを無視して魔力を吸収し続けると、思念体の声は徐々に小さくなり煙のように消えてしまった。だが――

 

「一体なんだった――っ!?」

 

 手に取った石を確認するために、手を開くと目の前で石が消えた。つい先程まで目の前にあったのに、突然霧散してしまった。転移魔法を使われた形跡はない。

 

「っ!? さむっ!」

 

 さらに急激に周りの空気が冷たくなった。攻撃、を受けたわけじゃない。単純に周囲の気温が下がったみたいだ。よく分からないけど、とりあえず能力で温度調整をする。

 

「とりあえず、この辺りの修復をしない――――と……?」

 

 私は、戦闘で壊れてしまった周囲の物を直そうと声に出したが、そこで言葉を止めた。いや、止まってしまった。先程戦闘した痕跡が、すべて消えていたから。

 何だかわからないけど、一度オーフィスたちと落ち合おうと思って魔力を探ろうとする。しかし、どういう訳か辺りに魔力が充満して気配を探れない。仙術はまだ、広範囲を探れるほど扱えない。

 

「とりあえず。近くの公園か、家に行ってみよう」

 

 そう考えて、私はここから一番近い公園に向かった。しかし、高町たちはいない。一応、他の場所にも行ってみるけど、やっぱり見つからない。そして――

 

「え? これってまさか―――雪?」

 

 空から白い物が降ってきた、手に触れてみると冷たくてすぐに溶ける。ほぼ間違いなく雪だ。でも今は4月、雪が降る訳がない……何やらものすごく胸騒ぎがする。

 私は自分の家に向かった。だが、オーフィスと高町の姿はない。いや―――リニスの姿すらなかった。

 謎の恐怖が込み上げてくる。私は全速力で高町家に向かった。

 

 

 

 深夜だから迷惑かとも思ったけど、先程のこともあるのでインターホンを押した。しかし、誰かが出てくる様子がない。今度はドアを叩いてみようとするが、

 

「あれ? 鍵が空いてる……」

 

 ドアには鍵が掛かっていなかった。どういうこと? 高町が出た時に閉め忘れた? 理由は分からないけど、私はドアを開けて玄関から大声で呼びかける。

 

「士郎さん! 桃子さん! 恭也さん! 美由希さん!」

「……………………………」

 

 しかし、帰ってくるのは沈黙だけだった。その後も何度も呼びかけてみるが、結果は変わらない。いくらなんでも、これは異常だ。申し訳ないけど、家に入らせてもらう。そして、士郎さんの部屋の前に来た。私は扉を叩く。

 

「士郎さん! 起きていませんか! 夜分遅くで申し訳ないんですが、早急にお話したいことがあるんです!」

「……………………………」

 

 だが、やはり結果は同じ。返事は来ない。何度呼びかけても、何の返事もない。おかしい、部屋の前でこれだけ騒いでいたら普通は起きる筈だ。そうでなくとも、家の誰かが気づく筈。でも、家の中は静寂に包まれたまま。

 

「士郎さん! お願いです、起きてください! 本当に緊急事態なんです!」

 

――ドンドン、ドンドン。

 

 私は扉を叩き続ける。しかし、やはり無反応。もう少し強く叩こうと、腕に少しだけ力を込める。

 

――バンッ!

 

 だが力を入れ過ぎたらしく、扉を叩き開いてしまった。そして、部屋の中の光景が目に入る。

士郎さんは、居なかった……。

 

「くっ!」

 

 私は、今度は恭也さんの部屋に向かう。先程のように扉を叩いてみるけど、返事はない。悪いとは思ったけど、扉を開けさせてもらった。だが、恭也さんもそこには居なかった。

 

「桃子さんや、美由希さんの部屋を見るのは流石に不味い………もしかして道場?」

 

 そう考えて道場に向かうが、道場も真っ暗で誰もいない。私は高町家を飛び出した。

 

 

 

 私は能力を使って上空に飛ぶ。気配が感知できない以上、原始的に目で探すしかない。海鳴市全体が見渡せるぐらい高い所にまで飛ぶ。そして、あることに気づいた。

 

「町に、明かりがない……」

 

 町には街灯以外の明かりがなかった。深夜までやっているオフィス街や、電車の光も何もない。一応、アリサやすずかの家にも行ってみた。二人の家には、警備のために深夜でも誰かいる筈なんだけど、やはり誰も出なかった。

 

「一体、何がどうなっているの?」

 

 明らかに町に異常が起きている。私は地上に降りて町を走る。でも、人が見当たらない。

謎の魔力の充満、降り続ける雪、周りの人間の消失。本当に何が起きているんだ……。

 

「ん? っ――! 人影!」

 

 その時、走る先に小さな人影が見えた。雪の地面に、しゃがみ込んでいる。

 

「すみません、ちょっといいですか?」

 

 先程まで誰も人が居なかったからか不安になっていた私は、その人影に何の警戒も抱かずに声を掛けた。人影がこちらに気づいて振り返ると、まるで狙ったかのように上空の雲が晴れて月明かりが人影の姿を照らした。

 見た目は10歳前後の少女。茶色の短髪で目の色は青く、マフラー、手袋、オーバーを着ている。

 

「なにか、ご用ですか?」

 

 透き通った声と共に、少女が首を傾げて聞いてきた。

 

「突然ですみませんが、ここは海鳴市で合っていますか? 今は何月の何日ですか?」

 

 とにかく情報が欲しい。傍から見たら怪しいどころの騒ぎではないけど、これぐらいだったら

答えてくれると思う。しかし、私の言葉を聞いた少女は悲しそうに顔を俯かせた。

 

「すみません、分からないんです。私、気が付いたらここに居て、ずっと探し物をしていたんです」

「探し物? 何か落としたんですか?」

「はい……とても大切なものを」

 

 私は少女の言葉を考える。気が付いたらここに居た、つまり彼女は別の場所からここに来た? 転移魔法の類で、ここに飛ばされた?

 

――ザッ、ザッ。

 

「な、なにやってるんですか?」

 

 少女が突然、地面に積もった雪が掻きはじめた。よく見ると、周りの地面に似たように手で掻いた跡がある。

 

「探さないと、ダメなんです……本当に、とても大切な物なんです」

「何を探しているのか分かりませんけど。こんな雪が降っている夜中に長い時間、外に居るのは良くないですよ」

「でも――」

「一旦夜が明けてから探した方がいいです。家の場所は―――たぶん分からないですよね。交番――も人が居なかったし………私の所でよければ泊めますが」

「………………」

 

 少女は答えない。当たり前だ、知らない相手が家に来ないかと聞くなんて、どう考えても怪しい。しかし、彼女の言葉が本当だとしたら、彼女は宿無し。あたりに他の人間も居なくて頼る当てもないから、どうしていいか迷っているのだろう。

 

「………分かりました。ご迷惑でなければ泊めてください」

「えっ? あ、はい喜んで」

 

 少し考えてから少女が言った。まさか、こんな簡単に了承されるとは思っていなかったので、少し面食らう。

 降ってくる雪が多くなってきた。私は少女の手を取って立たせ、誰も居なかった自分の家に向かった。

 




本当に内容がガラリと変わります。前回の話とは噛み合わないことも多々あります。
こんなブレブレの作者ですが、それでも構わないという方は今後もお付き合いしてくれると嬉しいです。

感想、ご指摘、お待ちしております。
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