スレツナまでの軌跡☆彡   作:cibetkato

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10.手のひらコロコロ

 少し時を遡り・・・

 

 執務室では雲雀と了平が、9代目の雲と晴の守護者に引き会わされていた。

 

「雲の守護者ビスコンティと、晴の守護者ニー・ブラウJr.だよ。それぞれの属性同士で引き継ぎを行ってもらうから、そのつもりでいて欲しい」

 

 9代目の言葉に了平は力強く頷く。

 

「おう!」

 

 が、拘束を嫌う雲雀は眉を顰めた。

 

「それは、強制なわけ?」

 

「・・・まぁ、守護者がどのようなものかということを聞くだけだから我慢してくれないかね?絶対に引き継ぎ通りにしなければいけないということもないし」

 

 やんわりとだが己に我慢を強いる9代目に、雲雀の切れ長の目がキリリとつり上がる。

 

「ふぅん・・・この僕に我慢しろと言うの?」

 

「おい、雲雀・・・」

 

 不穏な空気を感じ取ったのか、了平が雲雀にたしなめるような視線を向ける。

 

 雲の守護者を体現するかのごとく自由を好む雲雀には手を焼くだろうとは思っていたが、最初からこの調子ではマズイ。

 

 そう思ったらしい9代目は困ったように笑う。

 

「引き継ぎはどうしても嫌かい?・・・せめて1週間は我慢してもらいたいんだが」

 

「1週間?・・・そんなに?」

 

 雲雀にしてみれば、数時間車に乗せられて来ただけでも我慢した方だというのに、1週間もの間、引き継ぎと言う名の拘束をされるとなれば不機嫌になるのも当たり前で、“咬み殺す!!”と叫び出さないのが奇跡だ。

 

「雲雀、1週間ならば良いではないか!沢田はもっと大変なのだぞ!!」

 

「・・・沢田は沢田。僕は僕だよ」

 

 了平の言葉に一瞬視線を落とした雲雀だったが、あっさりとそう言って踵を返す。

 

「ひ、雲雀君!」

 

「極限に待つのだ、雲雀!」

 

 慌てて立ち上がる9代目と、どうしたら良いものかと戸惑う9代目の守護者達。

 

 そして、ガッチリと雲雀の腕を掴んで何とか執務室に留まらせようとする了平。

 

「放してよ、笹川。僕は引き継ぎなんて受けるつもりはないよ、興味が無いんだ」

 

 雲雀が自由な立場でいられることを約束してくれたリボーンやツナならばともかく、9代目やその守護者と慣れ合うつもりは毛頭ない。

 

 さっさと執務室を出て行こうとする雲雀に、了平がしがみつく。

 

 が、その細身の身体のどこにそんなパワーがあるのか、雲雀はしがみつく了平ごと扉へと歩いて行く。

 

 その時、執務室の扉が開かれる。

 

「・・・うわ、予想以上に修羅場ってる!?」

 

 執務室の様子を見に来たツナは、扉を開けるなり視界に入って来た状況に口元を引き攣らせた。

 

「さ、沢田ぁ!雲雀を止めてくれぇ!!」

 

 懇願する了平に、ツナは咄嗟に雲雀の前に進み出た。

 

「雲雀さん!どうしてこうなっちゃってるんですか!!」

 

「引き継ぎをするなどと言われて拘束されるなんて、僕は嫌だよ。それでなくたって僕のムカツキ度はMAXだって言うのに」

 

 ツナが目の前に立ち塞がったため、雲雀はその場で足を止めて不満気に告げる。

 

 何よりも自由を好む雲雀に、引き継ぎなどやはり無理かという空気がその場に流れる。

 

「・・・雲雀さんは俺の守護者になってくれないんですか?」

 

 ポツリ、と悲しそうにツナが呟く。

 

「何言ってるの?なるつもりが無いなら、わざわざ並盛を離れてまでイタリアまで来たりしないよ」

 

「でも、引き継ぎは嫌なんでしょう?」

 

 今年で19になるというのに、奇跡の童顔を持つツナが瞳を潤ませて雲雀を見上げる。

 

 小さく、本当に小さく雲雀がウッと呻く声が了平の耳に届いた。

 

 しがみついていたからこそ聞こえた声であり、他に聞き取れた者がいたとしたら目の前にいるツナやリボーンくらいだろう。

 

「ほんの少しでいいんです・・・俺の守護者になってくれるのなら・・・ね?雲雀さん」

 

 完全おねだりモードのツナ。これは5年近く雲雀と付き合って来て会得したものだ。

 

 群れる草食動物は嫌いだが、小動物は好きな雲雀。最初の頃こそツナを草食動物呼ばわりしていたが、ツナが実力を見せつける度にその呼び方が変わっていったのを了平は知っている。

 

(そう言えば雲雀のヤツ、最近は沢田のことを小動物と呼んでいたな・・・)

 

 つまり、ツナのことがお気に入りということであり・・・。

 

「・・・君か赤ん坊・・・どっちかが僕と戦ってくれるなら良いよ」

 

 とうとう、雲雀自身から妥協案を示してきた。これは以前であれば有り得ないことだった。

 

(ツナのヤツ・・・すっかり雲雀の手綱を握れるようになってきたな)

 

 雲雀の呻き声もしっかり耳で捉えていたリボーンは、長年守護者達に振り回されて、その扱いに手慣れて来たツナに舌を巻いていた。

 

 無意識だろうが他人を掌の上で転がすような真似ができるようになったなんて、ボスらしくなったと喜んで良いのか、すっかり変わってしまったと悲しんだら良いのか悩みどころである。

 

 まぁ、それは措いておくとして、リボーンはとりあえず妥協してくれる気になっている雲雀を説得することに集中する。

 

「わかった、その条件を呑む。だから1週間は我慢しろ」

 

「1週間?・・・なら毎日じゃなければ嫌だよ?」

 

「・・・1週間、俺とツナで代わる代わる相手をしてやる。どうだ?」

 

 いつもなら勝手にそんなことを言うなと叫ぶだろうツナが大人しい。ここは雲雀の妥協案を呑むべきだとわかっているからだろう。

 

「・・・・・・わかった」

 

 渋々頷いた雲雀に、その場の空気がホッと緩む。

 

「じゃあ、ビスコンティさんよろしくお願いします」

 

 ツナが9代目の雲の守護者に笑みを向ける。

 

「・・・ああ」

 

 雲雀相手にどう引き継ぐべきかと悩みながら、ビスコンティは頷き・・・。

 

「ニー・ブラウJr.さんも、了平さんのこと、お願いします」

 

「任された」

 

 自分の引き継ぎ相手が、雲雀よりは話も通じるし単純であるが故に扱いやすい了平であることにブラウJr.は雲じゃなくて良かった!!と心の中で叫びながら頷いた。





 雲雀さんが素直だと・・・!?

 いいえ、対ツナ様のみの特別仕様となっております。
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