スレツナまでの軌跡☆彡   作:cibetkato

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12.引き継ぎ・・・大空の場合

「ふふふ・・・どうやら全ての守護者が揃い、本格的な引き継ぎが始まったようだね」

 

 とてもご機嫌な様子の9代目に、ツナは口元を引き攣らせた。

 

「じい様・・・すごく楽しそうだね」

 

「それはもちろん!燃えるだろう?守護者がこぞってワシらの脱走を阻止せんが為の方法を己の後輩に叩きこんでいるのだから」

 

「・・・え、えええぇえッ!!?なに真面目にそんなことやってんのぉおお!!」

 

 なんで自分の周りはボケばっかりなのだ。生まれながらのツッコミ体質が恨めしい。ここでスルーできたならばどれだけ楽だろうか。

 

 そんなことを思いながら、ツナは頭を抱えた。

 

「ツッ君!ここは絶対に負けられないよ!我々はいかにして守護者を出し抜き、騙くらかし、脱走をするかに己のプライドをかけているんだからね!!」

 

「そんなことにプライドかけるなぁああああ!!!!9代目ってこんな人だったっけ!?っていうか、この人、ニセモノじゃないよね!!」

 

「嫌だなァ、ツッ君。じい様って呼んでおくれとお願いしたじゃないか。それに、ニセモノなんかじゃないよ」

 

 ニッコリ。

 

(ああ、その優しげな笑顔は確かに貴方です、9代目・・・)

 

「って、笑顔に騙されるかぁあああ!!!!」

 

 もはやツッコミが止まらない。というか、もう全部がおかしい。

 

 こんな引き継ぎを守護者達も受けているのかと思うとなさけなくなってくる。

 

「もうヤダ、何コレ・・・マフィアのボスになるって、ようやく覚悟決めてイタリアまで来たのに・・・何この仕打ち。俺の5年間の苦労を返してよ・・・」

 

「ツッ君・・・」

 

 9代目は困ったように眉根を寄せ、それからツナの方をポン、と叩いた。

 

「大丈夫だよ、すぐに慣れるから!」

 

「慣れたくないィイイ!!!」

 

 大音量の叫びが、9代目の執務室から響き渡った。

 

 

***

 

 

 そして、引き継ぎが始まってひと月が経った。

 

 ある者は無自覚に、ある者は理解したくないと思いながらも徹底的にボスの脱走対策を教え込まれる中、リボーンはこっそりと9代目の執務室に通じるダクトに潜んでいた。

 

「・・・9代目がツナにろくでもね―コトを教えていたら、一応注意しねーとな」

 

 ツナの教育を任された身である以上、彼が10代目を継ぐまではリボーンの権限は有効だ。

 

 それに、守護者達の引き継ぎの様子を見れば不安に思うのも当たり前で。

 

 あのツナが脱走の達人とやらになるとは思えないのだが、いかんせん、9代目が言い包めるという可能性もある。

 

 素直なツナが9代目の言葉を真に受けて、ボスは脱走するもんだと思い込んだら大変なことになる。

 

「ツナの超直感が妙なトコで使われでもしたら・・・俺たちじゃ到底敵わね―からな」

 

 ツナの超直感は様々な戦いを乗り越え、凄まじい進化を遂げていた。

 

 試しにボンゴレ系列のカジノで賭け事をさせたことが一度だけあるが、全てのテーブルで負け無しの大勝ちで、たった1回の利用でブラックリストに名を連ねてしまっていた。

 

 そんなツナが死ぬ気で逃げ回れば、おそらくリボーンであっても捕まえられないだろう。

 

 そこまで考えて、リボーンは自分がツナの教育が終わってもボンゴレに身を置くつもりでいることに気付いた。

 

「・・・チッ・・・俺様まで籠絡するたァ、ツナのことを甘く見すぎたか・・・」

 

 文句を言いつつも、嫌な気はしていないリボーンである。というか、この機会に正式にボンゴレに所属してしまおうかと考える始末だ。

 

「まぁ、フリーも飽きて来たしな。たまには組織に縛られてみるのも良い」

 

 普通逆だろ、とツッコミを入れる人間はここにはいない。

 

 正直なところ、ツナが10代目となりファミリーを動かしていく姿を間近で見たいというささやかながらもアルコバレーノとしてはちょっと肩入れしすぎではと思われるような望みがあるのは確かだ。

 

「ラルのヤツはチェデフにマーモンはヴァリアーにそれぞれ所属してんだ・・・俺だってボンゴレに所属したって問題ねーよな?」

 

 一応、同じボンゴレ系列でも別のファミリー的な扱いであるチェデフと、9代目直属と謳い10代目ファミリーに参入はしないだろうと思われるヴァリアー。

 

 アルコバレーノが集中しすぎ、と言われてもまぁ何とかなるだろう。というか自分だけ我慢する必要がどこにある?的な開き直りをして、リボーンは部屋の中を覗き込んだ。

 

 

***

 

 

「・・・ね、じい様・・・ここはどこに繋がってんの?」

 

 9代目の執務机に大きく広げられた本部内のマップ。

 

 その地下3階にある地下牢の一番右奥の独房を指してツナが問う。

 

「ああ、そこはね・・・中庭の井戸に通じているんだよ」

 

「中庭の井戸?・・・へぇ・・・じゃあ、この×印がついてるトコは?」

 

「ボンゴレを囲む森の中にある隠し扉だよ」

 

「ナルホド~」

 

 興味津々でマップを眺めるツナに、リボーンは危機感を抱いた。

 

(な、なんか・・・妙に仲良くなってねェか?)

 

 元々9代目は孫のように扱って可愛がっていたが、ツナ自身はまだ遠慮があっておじいちゃん、と呼ぶのでさえも躊躇っていた節があって、このように爺孫の会話のようなコトは出来ていなかったはずだ。

 

(・・・しかも、敬語も使ってねーな・・・どういうことだ?)

 

 首を傾げるリボーンの目の前で、9代目とツナの引き継ぎは尚も続く。

 

「・・・でも、守護者の皆も脱走阻止のための引き継ぎを受けてるんでしょ?そうそう簡単に逃げられるとは思えないんだけど」

 

「大丈夫!ツッ君の超直感なら絶対に負けんよ」

 

「そうかなぁ?・・・そう思う?」

 

「ああ、もちろんだとも」

 

「そっかぁ・・・じい様が言うならそんな気がしてきた」

 

(くぉら!9代目!!妙な自信つけさせるんじゃねェッ!!)

 

 とツッコミを入れたいが、それでは警戒心を煽ってしまい二度と様子が窺えなくなってしまうだろう。それは避けたい。

 

「その意気だよツッ君、あと、公的なサボリもあるんだよ?」

 

「公的な?」

 

 そんなの聞いたことが無い。ツナが首を傾げれば9代目は得意気に告げる。

 

「ふふふ・・・その名も、市内視察だ」

 

「確かに、聞こえは良いけど・・・・・・サボリだね」

 

 思わず納得してしまったツナである。

 

(納得すんな!ツナ!!毒されてんぞ!!)

 

 ああ、もう、ここから飛び出したい。そんなことを考えながらリボーンがうずうずとしていると、9代目の目がこちらを向いた。

 

「そうだ、ツッ君。試しに今から脱走してみよう!」

 

「・・・え?いきなりレベル高すぎじゃない?“リボーン相手”でしょ?」

 

(!?)

 

 9代目のみならず、ツナも自分が覗いていることに気付いていたらしい。まったくこちらに意識を向けないから気付いていないのかと思ったら、とんでもない。知っていながらも無視していたのだ。

 

(やべぇぞ、だんだんツナが9代目に毒されていってやがるッ!!!)

 

「はっはっは、リボーン相手に通じたら、ツッ君も自信が持てるだろう?」

 

「そっか、そうだね、じい様」

 

「~~~オメェら!!ちょっと待てぇえッ!!」

 

 もう我慢の限界とばかりにリボーンがダクトから飛び出した時だった。

 

「えっと、こうだっけ?」

 

 ツナの手に大空の炎が燃え上がり・・・眩い光を発した。





 目がっ、目がぁあああ!!

 なんて、言ってる場合じゃねぇ!!!(by リボーン)
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