毎日の鬼ごっこの成果だろうか、山本は己の野生の勘が示す通りに森の中を進み、明らかに人の手によって造られただろう“何か”を見つけた。
「・・・パッと見じゃわかんねーけど・・・これ人工的なモンだよな?」
ちょうどここが入り口です。と言わんばかりに間隔を空けてそびえ立つ2本の樹。
明らかに人の手が入ったようなそれに、山本は首を傾げながら近づいた。
その時だった。
地鳴りのような音がして、2本の樹が移動を始める。
「え、エエッ!?マジかよ!!」
さすがの山本もこれには驚いた。
目の前で、樹が生きているかのように動き、ドンドンと間隔が狭まって行くのだ。
「ちょ・・・やべ、とりあえず連絡しねーと!」
烈火のごとく怒るだろう獄寺を脳裏にうかべながら、山本は通信機をオンにして獄寺に連絡をとる。
「獄寺~、聞こえっか?」
『・・・野球馬鹿か。どうした?』
「なんかさ、スゲー怪しい場所を見つけたんだけどよ・・・どうにも良くわからねェから、知恵を貸してくんね?」
『ハァ・・・今どこだ?』
「えーと・・・目印ねェから、小次郎を真上に飛ばせる」
山本はそう言って、VG(ボンゴレギア)に炎を灯す。
「行け!小次郎!」
山本に頭上に飛びあがった雨燕。
それを見上げた獄寺は、意外と近くにいるらしい山本の元に向かって駆け出す。
***
程なくして山本と合流した獄寺だったが、目の前でザワザワと蠢く樹に目を輝かせた。
「なんだコレ!UMAかッ!?」
「・・・あー、いや・・・違うと思うけどなー」
『雨の守護者の言う通りだぞ、獄寺隼人』
「ッ!!・・・G・・・」
VGから出て来た初代嵐の守護者Gに、獄寺は眉間にしわを寄せた。
「おっ、獄寺は、ツナみたいに初代を呼び出せんのか~」
すげーな、と笑う山本に、獄寺は肩を落とす。
「あのな、ボンゴレリングの特性を忘れたか?」
「へ?」
「縦の時間軸。代を重ねて行くその特性を持ってトゥリニセッテの一角を担ってるんだ。それぞれのVGに初代の魂が宿ってるに決まってるだろーが!!」
がなる獄寺に山本はキョトンとし、それから破顔した。
「ナルホド、そういうことな♪」
『・・・おい、雑談は後にして、今はこの迷路の説明をさせろ』
機嫌悪そうなGの言葉に、山本は本当に獄寺に似ている、と苦笑し、その当人である獄寺は苦虫を噛み潰したような表情をうかべた。
「・・・テメェが言ってた初代特製の脱出口ってのが、コレか?」
獄寺が問えば、Gは深く頷いた。
『ああ、そうだ。・・・こいつはボンゴレリングと共に授かったものでな、大空の炎を感知して主を守る特性がある』
「主・・・この場合は9代目ってトコか・・・」
おそらく率先して逃げているのは9代目だろう。そう考えて獄寺は呟く。
『・・・だろうな、Ⅸ世(ノーノ)も柄にも無く楽しんでいるようだ』
「ははッ、お茶目なのなー」
山本は危機感無く笑い、獄寺はこちらに来て初めてGが出て来た時の言葉を思い出して青褪めた。
「おい、G・・・まさかとは思うが、10代目もノリノリなんてことは・・・」
『あるだろうな。・・・だから言ったんだ、Ⅹ世(デーチモ)もその素質は充分にある、と』
Gの、どことなく達観した様子にⅠ世(プリーモ)も“そう”だったのだと知れて、獄寺はこれからも起こされるであろう脱走劇に頭を悩ませる自身を今のGに重ね合わせ、口元を引き攣らせた。