“城”に着いたツナ達はボンゴレに所属する面々に次々に出迎えられて、9代目の執務室に着く頃にはぐったりとしていた。
「だ、大丈夫ですか?10代目」
「うん、ありがと獄寺君・・・大丈夫」
自身も結構な疲れ具合だが、主を心配して言葉を発する獄寺にツナは疲れた笑みを向けた。
「さすがに、アレは参るよな・・・はは・・・」
いつもあっけらかんとしている山本でさえも、いささか疲れた様子で空笑いする。
「・・・怖かったんだもんね・・・」
「うん、アレは怖かった・・・」
ランボとフゥ太も目の色変えて次代を見に来た強面集団に恐怖を感じたらしい。
「まぁ、前評判がスゲーからな・・・」
マフィア潰しの骸を復讐者送りにし、ボンゴレの独立暗殺部隊のXANXUSを負かした。そして、未来で白蘭の野望を潰して世界を救い、初代霧の守護者の仕掛けた罠によるシモンファミリーとの誤解を解いて事件を解決に導いた。
羅列すると何度死んでもおかしくないだろう的な事件の数々を中学生だった頃に乗り越えて来たのだ、注目されて然るべきだろう。
「・・・なんか、思い返すと酷い目に遭ってばっかだったような気がする」
肩を落として深い溜息をつく。
「イイじゃねェか、箔が付いて」
ニヤリ、とリボーンが笑うとツナは苦笑いをうかべた。
「そう?・・・周りだけごてごて飾っても意味無いと思うんだけど」
「まだ自分に自信が持てねェのか?・・・ツナは充分に強くなったぞ」
「ん~・・・どうだろう?」
珍しくリボーンが褒めるような言葉を口にしたのに、肝心の本人は未だに半信半疑だ。
(やれやれ・・・もう少し自分に自信が持てりゃ、もっとボスらしくなるだろうに)
「10代目、あそこが9代目の執務室です」
先頭に立ってツナ達を案内していたオレガノがツナ達を振り返る。
「ご苦労だったな、オレガノ。後は俺が引き受けた。自分の仕事に戻ってくれ」
「わかりました、黄のアルコバレーノ・リボーン」
オレガノは今一度ツナに深々と一礼し、颯爽とその場を去っていく。
「オレガノさん、カッコいいよねぇ・・・あんなダメ親父でも門外顧問なんてやってられるのは部下が優秀だからなんだろうなァ」
「・・・ツナ・・・家光はそれなりに優秀だぞ・・・?」
ツナのあんまりなもの言いに、リボーンは口元を引き攣らせる。
「えー?・・・だって、ろくに家に帰って来ないのは仕事だから仕方ないとしても、帰ってきたら妖怪“食っちゃ寝”に早変わりだよ?ちょーダメ親父じゃん」
「・・・おい、家光の評価がダダ下がりしてる気がするのは俺だけか?」
思わず守護者達に視線を向け、リボーンが問いかける。
「あー、でもさ・・・ツナは親父さんの事になるとすっごい毒舌になるよなァ・・・中学の時はそうでもなかった気がするけど・・・」
「ああ、そう言えばそうだな・・・確か、高校に入学してしばらくしてからだったか?やたらと10代目が門外顧問を扱き下ろすようになったのは」
常にツナと行動を共にする2人がそう言うのであれば間違いないだろう。
「・・・高校時代に何があったんだ・・・?」
後で家光に確認しておこう。そう心に留めてリボーンは獄寺に執務室の扉を開けるように指示した。
重厚感のある扉が音を立てて開かれていく。
「・・・やあ、待っていたよ」
柔らかな、およそマフィアらしくない笑顔をうかべて己を迎えた相手に、ツナは満面の笑みをうかべた。
「おじいちゃん!」
ツナがこう呼ぶのは、ただ1人を除いて他にはいない。
「ツッ君、久しぶりだねェ」
好々爺然としたその雰囲気に、獄寺達守護者の面々の肩の力が抜ける。
「久しぶりだな、9代目」
「ああ、リボーン。元気そうで何よりだよ」
リボーンが前に進み出ると、彼はゆるりと目を細めた。