その時だった。隣の部屋から大きな音が聞こえる。
「・・・ん?これ・・・ランボのVGかな?」
隣の部屋に視線を向けたツナが呟く。
「雷の守護者かぁ・・・さすがの雲雀も分がワリィかもしれねぇなぁあ」
スクアーロの呟きに、ツナは首を傾げた。
「そうかなぁ?雲雀さんは守護者最強だよ~?そうそう簡単にはやられないと思うね」
そう言うとツナは隣の部屋へと繋がる扉を開けた。
***
煙幕が次第に晴れていき、獄寺のシールドで守られた山本や了平がふるりと首を振った。
雷の炎が燃え上がると同時に放たれた電撃と爆音で聴覚がおかしくなっている。おそらく雲雀はガードしきれなかっただろうと、彼のいた方に視線を向ける。
「・・・あっ」
ランボが声をあげた。
VGを発動するのと同時に前に進んでいたから“それ”を一番最初に確認できたのだ。
「な!」
次いで獄寺も声をあげる。
「きゅ、球針体!?」
「マジかよ・・・」
山本も愕然と呟いた。
球針体の“堅さ”は守護者達も良く知っている。あのツナの攻撃もある程度までは耐える“堅さ”なのだ。
「・・・うん、今のは少し効いた」
パキパキと音を立てて崩れた球針体を見つめ、中から出てきた雲雀は呟いた。
「ら、ランボの雷の炎でもダメか・・・!」
万事休す。
獄寺はもはや手の打ちようがないとばかりに棒立ちになる。
「雷は硬化だったね・・・なかなか良かったよ。でも・・・まだまだだね」
どこのテ●スの王子様だとつっこみたくなるようなセリフを吐き、雲雀は足元に落ちているトンファーを拾って、硬直しているランボに歩み寄って軽く頭に振り下ろした。
ガツン!という音が鳴ってVGが小刻みに揺れる。
「ぐ、ぐわんぐわん、するんだもんねぇ~~~・・・」
ランボは目を回してふらりとその場に倒れ込んだ。
「・・・まずは1人」
ニィ、と笑う雲雀はまさに肉食獣のようで。
何度も修羅場を潜り抜けてきた守護者達も口元を引き攣らせる。
「・・・かかって来ないの?じゃあこちらから行くよ?・・・後の予定がつまってるからね」
チラリと雲雀が視線を向けたのは、今しがた隣の部屋から出てきたツナだ。
守護者達もそれに気付いたのか、あ、という顔をした。が、今はそれどころではなかった。
「全員まとめて、咬み殺す!!」
突進してきた雲雀に為すすべもなく、ボッコボコにされて床に転がる羽目になった。
***
「・・・おー。お見事」
「まぁ、僕だってそうそう簡単にやられるわけにはいかないさ。守護者最強の名は結構気に入ってるからね」
パチパチと手を叩くツナに、雲雀はニヤリと笑ってみせる。
「・・・じゃ、約束通り」
ツナがその笑みに反応して同じように笑う。
「裏庭が良いな。室内じゃ君の全力は体感できないし」
雲雀の申し出に、ツナは素直に頷く。
「良いですよー」
何の話だ、と床に転がる守護者達は思う。が、口を開けるほどの体力は残っていない。
「10代目、約束とは?」
皆の疑問を代弁するかのように、ガナッシュが不思議そうに首を傾げる。
「ああ、ちょっと雲雀さんとVG無しで手合わせする約束してるんですよ。協力してもらった対価ってやつですね」
ニッコリと笑って答えるツナに、9代目の守護者達は思わずどん引いた。これは9代目以上に手こずるのではないかと、後輩達を憐れに思う。
さすが初代の再来と謳われる10代目ファミリー。守護者も中々に規格外だが、それ以上にボスが規格外だからそうならざるを得なかったのだろうと納得した。
おそらく使っている武器(VG)も含めて考えるならば、歴代最強と言っても過言ではないかもしれない。
楽しそうに会話しながら部屋を出ていくツナと雲雀を見送り、9代目の守護者達は9代目の守護者で良かったと心底思ったのだった。