スレツナまでの軌跡☆彡   作:cibetkato

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32.大団円・・・って、違うだろ!!

 ボンゴレ10代目就任式当日。

 

 式典は滞りなく進み、守護者がボスに忠誠を誓ってVGを授与され終了となった。

 

「これで名実ともにボンゴレ10代目か~・・・うわ、いきなり脱走したくなってきた」

 

「じゅ、10代目!?」

 

 悲鳴のような声をあげた獄寺に、ツナはクツクツと笑う。

 

「ウソだよ、隼人。ちょっと言ってみただけ」

 

 にこっと笑うツナは、大人になっても可愛らしいのだが・・・完全に獄寺をおもちゃにしている辺りは昔とは全然違う。

 

「ううっ・・・お可愛らしかった頃の10代目を返せ・・・」

 

 嘆く獄寺に、他の守護者が同意と同情の視線を送る。

 

「やだなぁ、隼人ってば。男に可愛いなんて言わないものだよ?」

 

 ニコニコと告げるツナだが、その背後には何やら黒いものが渦巻いている。

 

「~っ!!」

 

 ゾゾゾゾゾッ!!!

 

 全身総毛立って、獄寺は青ざめた。

 

―――どうやら可愛いは禁句らしい。絶対に言わないようにしよう。

 

 その様子を見ていた守護者達は揃ってそう胸の中で呟いた。

 

「・・・さて、お客様のところに挨拶に行かないとねー」

 

 式典が終わった後は、お披露目パーティーが開かれる。ここで招待された同盟ファミリーのボスと顔合わせをするのだ。

 

 パーティー会場に入ると、強面集団が一斉にこちらを向いた。昔のツナであれば「ヒィッ!?」とかなんとか、反応したのだろうが、スレてしまった彼はそれらの視線をにこやかに受け止めた。

 

「わー、カポが盛りだくさんだぁ」

 

 なんて、楽しそうに呟いている。

 

「あ~、沢田チャン!こんち~!!今日はお招きあんがとー!!」

 

「お、ロンシャンじゃーん。久しぶりー!」

 

 あのロンシャンとテンションが似たりよったりなのは、パーティー会場の空気の変化を感じ取っているからだろうか。

 

「いやー、これで正式にボンゴレ10代目って、沢田チャンも結局は腹くくったんだねー」

 

「まぁねー。しょうがないっしょ、俺しかいないって言うんだもん」

 

「あははー!・・・なんか、沢田チャン性格変わってね?」

 

「ん?わかった?・・・いい加減いちいち反応するのが面倒になってきたから、開き直ってみましたー」

 

「おおー!開き直った沢田チャン、いいね!!」

 

―――いや、そのノリやめろ。とはパーティー会場に先に到着していたリボーンの独白だ。

 

「ツナ君!」

 

 更にそこに“同級生”が合流する。

 

「あ、エンマ!久しぶり!」

 

「うん、久しぶり。・・・ボンゴレ10代目就任、オメデト」

 

「ありがと!・・・ロンシャンもエンマも、これからは同盟ファミリーってことで、よろしくね!!」

 

「おっけおっけー!」

 

「うん、よろしく!」

 

 ガッチリと三人で手を握り合う。

 

 それを離れた場所で見ていた他の同盟ファミリーのボス達は妙な焦りを覚えた。

 

 ロンシャン率いるトマゾファミリーは内乱の絶えないファミリーで有名だったのだが、8代目となった彼がその辣腕をふるい始めた頃からその内乱がピタリと止んだ。

 

 元々古豪のファミリーであったが故にあっという間にその勢力を伸ばし、今ではボンゴレやジッリョネロに並ぶ勢いだ。

 

 そして、ボンゴレの古くからの盟友とされるシモンファミリー。長年にわたる不遇と10代目同士の誤解による戦いのうえの和解。それゆえに10代目ファミリー同士の絆は下手な同盟ファミリーよりも深い。

 

 この濃ゆい二つのファミリーが同盟ファミリーに名を連ねることになれば、自分達の存在自体が意味のないものになってしまうのでは?―――そう思ってしまうのも当然の結果だったのかもしれない。

 

 我先にとツナの元へと群がった同盟ファミリーのボスに、一斉に話しかけられたツナは目を丸くしてそれぞれのボスに対応する羽目になった。

 

 敢えて確認しよう。今のツナは昔のツナではない。れっきとしたスレツナさんなのだ。その後どうなったのか、推して知るべし。

 

 自分に群がるボス達に丁寧に対応していたのも最初のうちだけで、突如キレた。

 

 天使の笑顔で悪魔の所業をやってのけたツナはこの日伝説になった。

 

 この鮮烈なデビューは後世まで語り継がれることになるだろう。なにせ、お披露目パーティー中にキレたツナは、護衛を含む大勢のボス達を一瞬で無力化したのだから。

 

 仮にもボスを名乗る人間。そして、そのボスの護衛にと選ばれた人材を、だ。

 

 しかも、その一瞬でツナがしたことと言えば―――。

 

「ウザい」

 

 ボス達を睨み据えてこの一言を呟いただけなのだ。もちろん、無力化するための力は使った。が、それは指先一つ動かさずに行われたのだ。

 

 驚いたのはボス達だけではない。守護者やロンシャン、エンマも仰天した。視線だけで対象を氷らせることができるなら、ツナはもう何をしても止められないということに他ならないからだ。

 

「嘘だろう・・・」

 

 愕然と呟いたのはリボーン。

 

 人間業じゃないソレをあっさりとやってのけたツナを育て上げたのは確かに彼だというのに、信じられない気持ちでいっぱいだった。

 

「ダイジョブ、見せしめのつもりだし」

 

 いやいや、ぜんぜんだいじょばない!!とリボーンは叫びたかった。っていうか、見せしめって何!?とも。

 

 一歩間違えれば、攻撃された全員と敵対関係になる可能性もあったのだ。もっと慎重にといいたくても言えない。

 

 しかし、幸か不幸か、ツナの力に怖れをなしたボス達はそろって恭順の意を伝えてきた。こんな化け物みたいな相手とまともにやりあえるわけがない。つまり、戦意喪失した、というわけで。

 

「一件落着~」

 

 ニコニコとそうのたまったツナに、誰も何も言えない。

 

 後からその状況を知ることになったヴァリアーの面々も、何とも言えない微妙な表情をうかべ、参加者に同情した。

 

 とはいえ、スレツナさんの恐怖政治(笑)はまだまだ始まったばかりだ。いつ、誰が標的になってもおかしくない。

 

 願わくは、スレツナさんが本気でキレるようなことが起きないでくれ。そう願うことしか、ボンゴレおよびその同盟者にはできないのだった。




 これにてツナ様の物語は完結とさせていただきます。

 最後までお付き合いくださいました皆様、ありがとうございました。
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